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本はエンタメ

貞三先生の花言葉

貞三先生の花言葉『貞三先生の花言葉』
著者 倉本聰
エフジー武蔵


 「愛」、「恋」、「美」、「私はあなたを愛しています」。。。
これらはバラの花言葉。 古来より人々は己が心情を花に託し、それを花言葉としてきたようです。

 花に託す心情は人間の勝手な思い込みですから、国民性や地域性によってかなり異なる部分があるというのは当然のことです。
 精一杯咲いている花にとっては、人間の思い込みによって押しつけられる身勝手なプロファイルなど迷惑この上ない話なのでしょうが。

 さて、ここで紹介するのは、貞三先生が勝手に創った花言葉。
酸いも甘いも知り尽くし、たくさんの年輪を重ねてきた貞三先生が花々につける花言葉は、そうした解釈とは一線を画す、ちょっとヒネた一風変わった味わいがあります。

ちょっと紹介を。

「今は昔。 プロポーズした頃の妻」。
「わが青春のイングリッド・バーグマン」
などというのは、いかがですか?  え?、世代が違う? まぁ、貞三先生ですから。
ならば、こんなのはどうでしょう。
「尻軽女の厚化粧」
「後家さんの薄化粧」
「女の顔は請求書」
「ママの下着の控え目な下心」
え、 何ですか? お里が知れる? まぁまぁ、貞三先生ですから。
名誉挽回、こういうのもあるんです。
「天使ミカエルの耳飾り」
「赤ちゃんの好奇心」
見直しちゃうでしょう、貞三先生。
もっとも、こんなものまで創っちゃうから人間性を誤解されるんですけどね。
「天使のすかしっ屁」
(;^_^  ・・・、
 人間性を誤解されたままではやってられないでしょうから、貞三先生が本当の人間性を出して本気で創った作品。。
「孫娘を嫁に出す日」
どうです、うるうるしてきませんか?

 まだまだたくさんありますよ。 なにしろ 365 篇もあるのですから。
これらの花言葉が、どんな花に付けられているのか。 それは本書をご覧になってのお楽しみに。。



 貞三先生とは白鳥貞三というご老人で、フジテレビ系列で放映されたドラマ「風のガーデン」に出てくる、在宅の末期医療をしている医師です。
 もちろん架空の人物ですから、実際に花言葉を考えたのは脚本家の倉本聰なのでしょうね、きっと。

 あなたも貞三先生に倣って花言葉を創りませんか。 きっと散歩が楽しくなります。
タンポポを見たら、「女子高生の昼休み」などと言ってればいいんですから。



 TV ドラマでは緒方拳さんが貞三先生を演じていましたが、この作品が遺作となってしまいました。 御冥福をお祈りします。


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