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空想科学読本 第2版

空想科学読本 第2版 『空想科学読本 第2版』 
著者 柳田理科雄
メディアファクトリー



『疑問』
 もし、ウルトラセブンが本当にマッハ 7 で飛んだら、どうなるんだろう?
『解答』
 両手を広げて飛んでいるセブンの両腕からは、それぞれ先端角 16 度の衝撃波が発生し、どちらも顔面を直撃する。 顔はザクロのように弾け散り、体は 2 つに裂けてしまう。



『疑問』
では、マジンガーZ が、時速 360 km で走ったらどうなる?
『解答』
 コックピットは振幅 2 メートルの激しい上下動を、1 秒間に 5 回繰り返す。 狭いコックピットはシェーカーを超えて、フードプロセッサー状態になってしまう。 操縦者の骨はミゾレ状に複雑骨折し、想像するだにおぞましい状況になる。 とても敵と戦っている余裕などない。

 空想科学世界のヒーローや怪獣たちの、現実離れした能力や活躍は実際にあり得るのだろうか。 あんな必殺技は可能なのだろうか。 彼らの身体的特徴や必殺技の影響を、超真面目に科学的検証を行うと果たしてどうなるのか。 そんなしょうもない無駄とも思える努力を、本書は冗談ではなく本当に真面目にやってくれるのだ。

 そこには、ウルトラマンや仮面ライダー、鉄腕アトム、マジンガーZ 等のヒーローを始め、ギャオス、ガメラ、ザンボラー、ゼットン等の怪獣たちの本当の姿が披瀝されている。 頼もしく心をときめかせたヒーローや、不敵な中にも愛嬌のあった怪獣たちに、それ程の重大な悲劇的ともいえる欠陥があったなんて・・・。

 彼らは自身の負っている悲しい宿命など微塵も見せずに、健気に精一杯ヒーローであり怪獣であろうとしてくれていたのだ。 感謝です!!

 さりとて本書は告発書ではない。 誰もが持っている「もし○○だったら・・・」という疑問に正面から取り組んだ、真面目な (と著者は言っていると思う) 科学的思考実験の本なのである。

 本書を読めば、以前にも増してヒーローを身近に感じ、怪獣たちが好きになっているあなたがそこに居るに違いない。

 欄外の注釈もしっかりチェックしよう。 本書はその名の通り「科学読本」なので、なかなか役に立つ記述があったりする。


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