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DNSサーバ (bind-9.2) の設定
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V.4.資源レコード

 資源レコードはゾーンファイルの主要エントリーであり、ホストに関する情報を網羅する。
資源レコードには多種のタイプがあり、よく使用されるタイプに次の種類がある。

レコード タイプ役割
SOA当該ゾーンに対して権威があることを示す。
NS当該ゾーンおよび委任したゾーンのネーム サーバーを示す。
A名前に割り当てる IP アドレスを指定する。
PTRIP アドレスに該当する特定の名前を示す。
CNAME1 つの名前 (別名) を別の名前 (正規名) にマップする。

▼ 資源レコードの記述順は、概ね上記の順番で行う。
   しかし、SOA レコード以外は必ずしもこの順である必要はない。


【 資源レコードの共通フィールド 】
各資源レコードの書式には、以下のような共通に使われるフィールドがある。
  • rname
    資源レコード名。 この資源レコードのドメイン名でもある。
    資源レコード名の最後はドット ( .) でなければならない。【 FQDN 形式 】
    最後のドット ( .) が省略されている場合は、起点名を追加したものが実際の資源レコード名として認識される。
  • ttl
    自ホスト情報を他のサーバーがキャッシュする時間を指定する。 省略可能。
  • class
    データクラス。 Internet を表す IN が主に使用される。 省略可能。
    省略した場合は、構成ファイルの zone ステートメントで指定した class が適用される。
▼ 資源レコード名 (rname) の記述には、ローカルのホスト名のみを記述する省略記法がある。
   見た目にもすっきりしているので、実際の運用ファイルは省略して記述されることが多いが、この章では省略記法
   を使わない正規な記述法で説明する。
※ 省略した記述方法は 「Y.ゾーンファイルの省略記法」で触れる。
※ 起点名については 「U.2.4.zone ステートメント」、および上記 【 共通フィールド名 】 説明文参照。


V.4.1.SOA (Start Of Authority) レコード

 Start Of Authority は権威の開始を意味する。 分割委任されたゾーンの情報源として信頼できる (権威がある) ことを表明する。
 SOA レコードはルート ゾーンファイル (通常 named.ca) 以外のゾーンファイルで必要であり、1つのゾーンファイル中で有効な SOA レコードは1つだけである。  ゾーンファイル内における SOA レコードの記載位置は、ディレクティブの直後、資源レコードの先頭に配置する。

rname [ttl ] [class] SOA master-name admin-mail
(serial 
 refresh 
 retry 
 expire 
 minimum )
  • master-name
    このゾーンのマスターとなるネーム サーバーのドメイン名。
    FQDN で記述する。
  • admin-mail
    ゾーンの管理責任者のメール アドレス。 FQDN で記述する。
    ただしアットマーク ( @ ) はドット ( .) で置き換える。
  ( ) 内の項目はスレーブ サーバーへの指示になる。
  • serial
    1 〜 4,294,967,295 の範囲で適宜付与する。
    ただしゼロ ( 0 ) は特別な意味を持つ場合がある。
    ゾーンデータに変更があった場合、この番号をインクリメントしなければならない。
    スレーブ サーバーは serial の増加をデータ更新のトリガーとしている。
  • refresh
    スレーブがマスターへ SOA レコードの更新チェックを行う間隔。
  • retry
    refresh 時、マスターへアクセスできなかった場合の、再試行までの待機時間。
  • expire
    ゾーンデータの有効期間。
    refresh 後、expire で定める期間経過までに再度 refresh が行えなかった場合、 スレーブ サーバーはゾーンデータを無効にする。
    無効になるとスレーブ サーバーは、そのゾーンに対する問い合わせに答えなくなる。
  • minimum
    ネガティブ キャッシュ TTL。
    ゾーンに対する権威を持ったネーム サーバーから返された否定応答を、キャッシュしておく期間。
    否定応答とは、特定のドメイン名が存在しない、あるいは特定のドメイン名について検索された種類のデータが存在しないという応答をいう。

【 SOA レコードの具体例 】
  • 正引き ( .zone ) ファイル
    project.ed.jp.INSOAns.project.ed.jp.master.project.ed.jp. (
    2008030101; シリアル番号 ( 年月日+2桁で表示した )
    3h; 3時間後にリフレッシュ
    1h; リトライは1時間後
    1w; 1週間後に期限切れ
    1h ); ネガティブ キャッシュ TTL として1時間を指定

  • 逆引き ( .rev ) ファイル
    3.2.10.in-addr.arpa.INSOAns.project.ed.jp.master.project.ed.jp. (
    2008030101; シリアル番号 ( 年月日+2桁で表示した )
    ・・・・・;
    1h ); ネガティブ キャッシュ TTL として1時間を指定

V.4.2.NS (Name Server) レコード

 管理しているゾーンのネーム サーバーのホスト (ドメイン) 名を記述する。  ネーム サーバーが複数ある場合は、ネーム サーバーの数だけ NS レコードが必要になる。
※ NS レコードは、すべてのゾーンファイルに必須。


rname [ttl ] [class] NS name-server
  • name-server
    対応するネーム サーバーのホスト (ドメイン) 名。 FQDNで記述する。
    ここに別名 ( CNAME ) を記述することはできない。

【 NS レコードの具体例 】
  • 正引き ( .zone ) ファイル
    project.ed.jp.INNSns.project.ed.jp.

  • 逆引き ( .rev ) ファイル
    3.2.10.in-addr.arpa.INNSns.project.ed.jp.


V.4.3.A (Address mapping) レコード

 A レコードはホストの IP アドレスを指定する。

rname [ttl ] [class] A IP-address
  • IP-address
    ホスト (ドメイン) 名に対応する IP アドレスを記述する。

【 A レコードの具体例 】
ns.project.ed.jp.INA10.2.3.234


V.4.4.CNAME (Canonical NAME) レコード

 CNAME レコードは、ホストの別名を実際のホスト (ドメイン) 名にマッピングする。
ネーム サーバーが名前を検索したときに CNAME レコードを見つけると、検索名を CNAME レコードの正規名 (canonical-name) に置き換えて検索を再実行する。
※ 別名は資源レコードの右辺に記述してはいけない。


rname [ttl ] [class] CNAME canonical-name
  • canonical-name
    正規ホスト (ドメイン) 名を記述する。 FQDNで記述。
    このレコードでの rname は別名である。

【 CNAME レコードの具体例 】
www.project.ed.jp.INCNAMEns.project.ed.jp.


V.4.5.PTR (Reverse-lookup Pointer) レコード

 PTR レコードは、IP アドレスをホスト (ドメイン) 名にマッピングする。
1つの IP アドレスは1つの正規なホスト (ドメイン) 名のみに対応させることになっている。 別名 ( CNAME ) に対応させてはならない。


rname [ttl ] [class] PTR dname
  • dname
    正規ホスト (ドメイン) 名を記述する。 FQDNで記述。

【 PTR レコードの具体例 】
234.3.2.10.in-addr.arpa.INPTRns.project.ed.jp.


V.4.6.MX (Mail eXchanger) レコード

 MX レコードは、このドメインに送信されるメールを処理するホスト (メール エクスチェンジャー) を指定する。


rname [ttl ] [class] MX priority exchange-host
  • priority
    メール エクスチェンジャーの優先度を、符号なしの整数値で表す。
    値が小さいほど優先度が高い。
  • exchange-host
    メール エクスチェンジャーとして機能するホスト (ドメイン) 名を指定する。
    FQDNで記述。

【 MX レコードの具体例 】
project.ed.jp.INMX10mail.project.ed.jp.




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