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基礎知識編その2


4 種まきのコツ
(1)種まきの方法は主に3通りあります。
  野菜によって施肥量・時期が違いますので、施肥については「野菜つくりのポイント」
「肥料編」を参照してください。
 

たねまき数 1ヵ所3〜5粒で、
種と種の間隔2cm以上
50〜70粒/mが標準 種間隔2cm以上離す
適する野菜例 大根、えだまめなど
比較的大きい野菜
ほうれんそう、かぶ、
ねぎ苗など小さい野菜
条まき野菜と同じ。
種の必要量 少ない やや多め 多い
まき溝の向き
(注)
@うね沿い溝
(図のとおり)
Aうねと直角溝
作業時間 やや少ない やや多い 多い 少ない
生育の均一性 良い やや悪い やや良い 悪い
難易度 簡単 やや難 やや簡単 簡単


注:条まきは、まき溝を掘って種をまきます。

@うねに沿って溝を掘る方法(図のとおり)と、
Aうねと直角になるように掘る方法の2通りの条まきがあります。

 @は大量に作る場合に適します。みなさんは野菜作りの上手な人はうね
も野菜の並び方もまっすぐだなあと感心されたことはありませんか?条まき
でまき溝をまっすぐ作るコツは、太さ7〜10mmくらいのロープをうねの上に
ピンと張り、上から手で鎮圧すると均一な深さで、まっすぐなまき溝ができ
ます。もちろんその後の生育も均一になりますよ。

 Aは比較的少量作る場合に適します。少量しか必要としない家庭菜園向
きといえます。うねだけ作っておき、必要量をまいたあと、1〜2週間後にま
た必要量をまくことを「段まき」といいますが、Aではこのまき方をするのに
適しています。また発芽も生育も揃いやすくなります。なぜならまき溝を作っ
たらすぐは種・覆土を行うことができ、降雨後はうね上からの排水も良いの
で均一に生育しやすいです。

野菜づくりの基礎用語                                             
うね間

うね面

うね幅

株 間

条 間




種まきの量について

 野菜が大きくなった姿を想像して、なるべく種まきの間隔を広めにとったほうが丈夫に大きく
育ちます。

 「じゃあ、最初から○×cm間隔に1粒づつ種をまいたほうがいいの?」という疑問が出てき
ますね。でもこれではダメです。見た目は同じでも種には大小もありますし、中が充実していな
い種も含まれています。

 すこし多めにまいてあとから小さなものや傷んだものを間引いてあげる方が、結果的にそろ
った生育をしてくれます。かといって狭い面積に多量の種をまいてしまうと、こんどは発芽時に
伸びすぎ(徒長:とちょうといいます)てしまい、間引いても弱々しくになります。

 野菜の種まきの間隔はだんだん経験が教えてくれるようになりますが、初めての人はそうは
いきません。そこで先ほども書きましたが、その野菜が大きくなった姿を想像し、葉と葉が余り
重ならない間隔に3〜5粒くらいの種をまいたらどうでしょうか。
 
 1例として小松菜でしたら、大きくなるのに株間10〜15cm必要なので、10〜15cmの間に5
粒くらいまき、あとは生育をみながら徐々に間引いて大きくしてあげればいいのです。大根な
ら株間23〜27cmくらいにまくなど、その野菜が大きくなった姿を想像して間隔を決めてあげて
ください。



(2)種まき穴(溝)の深さ
 穴や溝の標準的な深さは5〜7mmくらいがよく、2cm以上だと発芽が不
揃いになる場合があります。野菜の種類やまく時期によっても加減します。
 とくに発芽時に光を必要とする野菜(ゴボウ、レタス、セロリなど)は浅いほ
うが適します。
 夏季の乾燥しやすい時期は少し深め(1cm前後)が良く、春秋は標準的な
深さにしましょう。

(3)覆土(ふくど)
 種をまいた後にかける土を覆土(ふくど)といいます。普通覆土は種の厚さ
の2〜3倍が良いといわれていますが、種まきのあとは鎮圧(ちんあつ)する
ので、穴や溝を完全に埋めて少し盛り上がるくらい覆土します。

(4)鎮 圧
 種の上に覆土しただけでは、実は発芽が揃いません。スコップの背中か、
握りこぶし、もしくは鍬(くわ)の背で覆土を軽く押してあげます。なぜなら、種
と土が密着することにより、土の中の水が種に吸収されやすくなり、土の表面
からの乾燥も抑えらるからです。かん水しにくい畑などの場合は、かかとで踏
んであげると土の粒子と種が強く密着し、地下からの水の供給(毛管水:もう
かんすい)が期待できます。

(5)かん水
 種まきあとのかん水は軽くしておきます。なぜならたくさんかん水すると、
@種が浮いて流れてしまう。A粘土質では土壌中の空気が足りなくなる。
B土壌表面が乾いて硬くなるなどの害があるからです。 種まきの数時間前
にうねにはたっぷり水をまいて十分浸透させたあと、種まきを行う方が発芽が
揃います(図1参照)。乾燥する場合は(教えてほのちゃん)参照のこと。


    
図1 うねの中が湿っていること
   


      
図2 トンネルは高さが大切 
 
(6)べたがけ(うねの上に直接かける)
 種まきあとに被覆資材をかけることをべたがけといいます。効果は低温時の
保温効果、高温時の乾燥予防、鳥害予防、豪雨による種の流亡防止などです。
パオパオ、パスライト、ワリフ、寒冷紗などさまざまな資材がありますが、家庭
菜園では新聞紙が便利です。被覆資材は風に弱いので止め具を使うか、土で
おさえましょう。
 だいたい5〜7割くらい発芽したら、被覆資材を除去します。除去が遅れると、
弱々しくなってしまいます。

(7)トンネル(図2)
 春早い種まきの場合は、トンネルなどで保温してあげると、発芽が早まります
(表)。種類により保温性が違いますので、使い方には注意が必要です。一般
に保温性の良いものは晴天時に高温になりやすく、密閉すると高温障害が発生
する恐れがありますので、日中は開閉する必要があります。保温性の劣るもの
は通気性がよいので開閉の作業が省略できますが、発芽促進効果が劣ります。
家庭菜園ではパオパオやパスライトあたりが使いやすく、開閉管理できる人は
有効ポリを、土日農業の人はワリフやタフベルが使いやすいでしょう。
 トンネルの高さはうねの上80cmくらいないと、温度が十分確保できません。
 作物・品種・地域・時期によって必要温度が異なりますので、少し高度な技術
といえるでしょう。

表 被覆資材
資 材 保温性 高温障害 耐久性
一般農ビ 出やすい 1〜3年
有孔ポリ 出やすい 1〜3年
パオパオ やや出にくい 1〜3年
ワリフ 出にくい 5〜7年
寒冷紗 出にくい 5〜7年
新聞紙 出にくい 1回のみ


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