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肥料編





  肥料についていろいろ勉強するページです。

1 肥料の成分について基礎知識

 肥料にはいろいろな成分が入っているものがあり、その最小単位を園芸の
世界では「要素」と呼ぶことが多く、販売されている肥料には、「□%」と表示
されています。
要素には、根からよく吸収されるものが6つ、少し必要とするものが7つあり、
以下のように分類されています。

多量要素(6つ) 微量要素(7つ)
チッソ(N)
リン酸(P)
カリ(K)
カルシウム(Ca)
マグネシウム(Mg)
イオウ(S)
鉄(Fe)
マンガン(Mn)
ホウ素(B)
亜鉛(Zn)
銅(Cu)
モリブデン(Mo)
塩素(Cl)

*水素(H)、酸素(O)、炭素(C)は主に空気中から吸収(呼吸)されます。    
*近年はケイ素(Si)も注目されています。                      


2 各要素の働き

 チッソは葉肥(はごえ)、カリは根肥(ねごえ)なんていう話を良く聞きますが
、実際はそんなに単純ではありません。例えばトマトなどは果実収穫ころから
チッソよりカリの方をたくさん吸収します。不足しても多すぎても困りますので
必要な時期にバランスよく与える必要があります。
 また要素によっては根に吸われやすいもの吸われにくいものがあったり、
吸収阻害や吸収促進を行うものもあり、その関係は大変微妙です。たとえば
トマトの尻腐れ予防にと、たくさんの石灰(Ca)をまくと、トマトの実の太りが悪
くなり(カリ欠乏)、下葉が黄化し(マグネシウム)欠乏、中心が黒くなります
(ホウ素欠乏)。

3 各要素の仲良し図

 下の表の見方:リン酸(P)が土に適量あるとMgの吸収を促進しますが、過剰
になるとK、Fe、Zn、Cuなどが吸われにくくなります。

要素別吸収反応                                    
要素 仲良し(吸収促進など) 仲悪い(吸収阻害など)
N Mg K、B
Mg K、Fe、Zn、Cu
Fe、Mn Ca、Mg、B、
Ca
K、Mg、Mn、B、Zn
Mg P Ca
Fe
P
Mn
Zn
Fe
Cu
Fe、Mn

*S、Mo、Clは不明                                   

4 要素の形態

 各要素はそのまま単独で土の中にいるわけではありません。これを化学式
などで説明すると難しくなるので省略しますが、実際に肥料として土に混ぜら
れた要素のうち植物に利用される要素は意外に少ないことは余り知られてい
ません。せっかくの高い肥料はいったいどこにいったのでしょう?

(1)そのまま土の中にいる場合
 根が吸収しにくい形となって土に残ることがあります。つまり他の要素とくっつ
いたり、土の粒子とくっついたり、土壌微生物に取り込まれたりして植物が簡単
に利用しにくくなるのです。おろしにくい貯金と思ってください。

(2)土の中からなくなってしまう場合
 せっかくまいた肥料がなくなってしまうことがあります。つまり水に溶けて流れ出
してしまったり(流亡:りゅうぼう)、他の要素と化学反応を起こして空気中に揮発
してしまうことがあります。このようにお金といっしょでなくなるのが早い要素も
あるのです。

 けっして損することがないように、作物の肥料を必要とする時期や肥料を与える
方法などに工夫をする必要があります。つぎに肥料の種類と使い方について
勉強しましょう。



5 肥料の種類と使い方

一口に肥料といってもさまざまなものがあります。まずは整理してみましょう!

表3 肥料分類方法

分類方法 肥料区分 簡単な説明
1 法律別 普通肥料
特殊肥料
 肥料取締法により、含有成分の最低保証量が公定規格で定められてい
るものを普通肥料、低成分で規格を設定しにくい肥料を特殊肥料といいま
す。
2 成分別 単肥
複合肥料
・配合肥料
・化成肥料 
(普通化成) 
(高度化成)
 NPKの成分が1種類のものを単肥、2種類以上のものを複合肥料といい
ます。
 複合肥料の中で単肥を配合した単純なものを配合肥料といい、成分を
均一に粘土に混ぜて粒状化したものを化成肥料といいます。
 NPKの成分合計が30%以下を普通化成、30%以上を高度化成といいま
す。
3 原料別 無機質肥料
有機質肥料
 原料が無機化合物や化学合成したものを無機質肥料といい、有機質由
来のものを有機質肥料といいます。
4 形状別 粒状肥料
粉状肥料
液体肥料
固形肥料
 一般に売られている粒径2〜4mmのものを粒状肥料、粉状のものを粉
状肥料、液体のものを液体肥料、9〜15g程度のものを固形肥料といい
ます。
5 残効別 速効性肥料
緩効性肥料
 すぐに効果のあるものを速効性肥料、じわじわと効くものを緩効性肥料
といいます。
6 使用別 基肥肥料
追肥肥料
 主に栽培前に使用するものを基肥肥料、栽培の途中に使用するものを
追肥肥料といいます。
7 その他 農薬肥料  肥料成分と農薬効果がある肥料をいいます。


 このように肥料の分類方法はさまざまです。公定規格が定まっている普通
肥料では、袋の裏で2〜6について説明されている場合が多いです。しかし
最近は肥料も年々複雑化しているため、中間のもの(有機質+無機質肥料、
緩効性+速効性など)がたくさん作られています。

 それでは項目ごとにもう少し詳しく説明しましょう。


(1)法律別
 ア 普通肥料
   肥料として一般に販売されているものの大部分は普通肥料です。「肥料
 取締法」によって含有する主成分の最低保証量と有害成分の制限量を規制
 する公定規格が定められています。また保証成分量のほか、正味重量、生
 産年月日の記載が義務付けられています。

 イ 特殊肥料
   特殊肥料は一般に低成分で公定規格を定めにくい肥料をいいます。農林
 水産大臣が指定したもので、都道府県知事に届け出をすれば製造・販売する
 ことができます。ただし有害成分(カドミウム、ヒ素、水銀など)の値が規制基準
 値以下でないと許可されません。
   特殊肥料のうち、有機質由来のものは製造メーカーによって成分が一定し
 ない場合も多いですが、よく使われるもののだいたいの成分%をまとめました
 ので、参考にしてください。

表4 一般的な特殊肥料成分一覧                                     成分%
資材名 窒素 リン酸 カリ 備考
牛ふん 0.7 0.7 0.7
豚ふん 1.4 2.0 1.1
鶏ふん 1.8 3.2 1.6
落ち葉堆肥 0.4 0.2 0.4
生ごみ堆肥 1.5 1.0 1.2 家庭生ごみ由来
バーク堆肥 0.5 0.3 0.3
あぶらかす 5.1 2.5 1.1
米ぬか 2.1 3.8 1.4
骨粉 4.2 22.2

数値%の1/100は四捨五入してあります。


(2)成分別
  肥料を分類する場合、大切なのがこの成分別の分け方です。
さきほども述べましたが、普通肥料は法律上成分割合が決められています。
特にNPKが重要な要素であるため、この主要な3成分(窒素・りん酸・カリウム)
のうち1つの成分を含む肥料か2つ以上含むかでまず次のように分かれます。

 ア 1種類のものを含む肥料…単肥(たんぴ)
   N 尿素、硫安、塩安など
   P 過燐酸石灰、重焼燐、ようりんなど
   K 塩化カリ、硫酸カリなど
 イ 2種類以上のものを含む肥料…複合肥料(ふくごうひりょう)
   2種のもの NK化成など
   3種のもの そさい配合、BM畑作など
 袋に成分表示されているのでどの成分がどのくらい含まれているかが分
かります。
例えば「8−8−8」の場合は、窒素8%、りん酸8%、カリ8%を含むので、
実際の量は、一袋20kgあたり、窒素1.6kg、りん酸1.6kg、カリ1.6kgを含んで
いることになります。


 また複合肥料の中で単肥を配合した単純なものを配合肥料といい、成分
を均一に粘土に混ぜて粒状化したものを化成肥料といいます。

(ア)配合肥料
 単肥を一定割合に混ぜて作られ、BB(バルク・ブレンディング)肥料ともいい
ます。いろいろな形や色の肥料が混ざっているので見た目ですぐわかります。
 単肥の種類や配合率を目的別に変えやすいため、混合機で簡単にまぜて
販売でき設備や人件費が安く抑えられるので安価です。しかし近年は緩効性
肥料や有機質肥料を混ぜたり高価なものも多くなりました。マグネシウム、
マンガン、ホウ素など不足しがちな微量要素を混ぜてあるものもあります。
こまかな作物が多い園芸作物での利用が多いです(^−^)

(イ)化成肥料
単肥や肥料原料を使用し科学的操作を加えて粒状化したものです。NPKの
成分合計が30%以下を普通化成、30%以上を高度化成といいます。

普通化成の例:「8−8−8」「6−12−8」など
高度化成の例:「15−15−15」「16−0−16」など

 高度化成は窒素が多くよく耕うんしないと肥料障害が起きることもあります。
ただ普通化成に比べて保管場所が少なくてすむことと施肥の手間が少なくて
すむため、高度化成の使用割合は6〜7割となっています。
 最近は外国産の安い高度化成もうられています(☆o☆)。


(3)原料別
   無機質肥料、有機質肥料
原料が無機化合物や化学合成したものを無機質肥料といい、有機質由来の
ものを有機質肥料といいます。

ア 有機質肥料
動物質…家畜や魚類に由来するもので、魚かす、骨粉など(家畜ふんは除く)。
植物質…植物に由来するもので、菜種、大豆、綿実などから採油したカス(油粕)など。
自給物…農家など生産者が原料を自給できるもので、家畜ふん、下肥、
        堆肥、きゅう肥、緑肥、草木灰など。
廃棄物…有機廃棄物を工業的に処理したもので、廃菌床、し尿処理、
        下水汚泥、食品工場廃棄物など。
 原料によって速効性をもつものもありますが、大部分はおだやかな肥効を
示すのが特徴です。収穫量を高めたり品質を良くしたりする効果が期待でき
ますが、ほ場条件や施用量・散布方法などによって結果は不安定なことが多
いです。
 土壌中では微生物のエサとなって数や種類を増やしたり、腐植を増やして
土壌の団粒化を促進したりさまざまな効果があります。有機質肥料の種類や
量にもよりますが、施用を続けていると土が肥えるといわれます。

イ 無機質肥料
 原料として鉱石、石油、空気(窒素)などのほか、貝殻、貝化石などから化学
合成した肥料や石灰類です。成分を保証できるよう加工され販売されるものが
多く、ほとんどが普通肥料に分類されます。
 土壌中では微生物のエサとはなりにくく(一部は除く)、数や種類を増やす
効果は低いです。長期間無機質肥料のみを使用すると、土壌中の微生物相
が崩れて土壌病害が発生したり、塩類集積(ハウス)や微量要素欠乏症状
などが起こりやすくなり一般に土が痩せるといわれます。

 近年は原料が有機質であるものを、加工して粉状や粒状、液状や固形に
加工したものが販売されていますので、一見すると無機質肥料のようなものも
多数販売されています。また有機質肥料と無機質肥料を混合した肥料も開発
されてお互いの特徴を生かした肥料が販売されています。


 ★有機質肥料、無機質肥料の使い方・考え方★

 結論は両者の特徴をよくつかみ上手に使い分けることです。

 多くの家庭菜園は恵まれた条件にあるとはいえません。ですから土作り
のために積極的に有機質肥料を使うのは、けっして間違いではありませ
ん。

 しかし極端な話、有機質肥料だけで上手に野菜を作れるかというと、十
分施用してあっても栄養不足や生育過剰になったり、急いで土作りをしよ
うと大量に施用したらかえって生育がわるくなってしまうことがあります。

 つまり散布後比較的すみやかに土壌中に成分が溶けて植物に利用され
やすい無機質肥料に比較すると、有機物肥料は微生物が消化・放出した
ものを植物が利用しますので、どうしても必要な時期に必要な量を供給し
にくいのです。また夏季高温時には微生物の活動が盛んになるため、作
物によっては必要以上吸収して草勢過剰となったり、逆に秋〜冬には供
給量が少なかったりすることもあり、コントロールが難しいのです。
 このほか、土作りを急いだ結果、油粕などを大量に散布したため土壌中
でガスが発生したり、窒素飢餓(微生物が一時的に窒素を吸収することに
より、植物の根が土壌中の窒素をすえなくなること)が起きてしまったりす
る危険もあります。

 土作りは短い期間ではなかなかできません。毎年少しずつ改良していく
ことが肝心です。労(有機物施用)多くして益(収穫)少ないことにならない
ようご注意を!毎年必要とされる量をバランスよく施用してすこしずつ良く
していきましょう。








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