SILENT HILL ……3
俺は、はっと廊下の向こうを見た。
それは本当に微かで、何かの風音だと言われれば、その通りだと返せるかも知れないほど、不確かな『声』だった。
しかし俺には、一瞬耳を通り過ぎる程度だったが、艦長のものではない、しかし低い男の声に聞こえた。
逡巡している余裕も理由もない。俺はすぐに駆け出し、廊下の奥へと飛び込んでいく。
そして、突き当たりに辿り着いて、俺は立ち止まった。大きな扉が、目の前に立ちはだかっている。
一応きょろきょろと辺りを見渡してみるが、声の主どころか、他の生き物の気配もない。
やはり気のせいだったのか、と思い切ろうとしたが、僅かな手がかりであろうと捨てられるものではない。俺は縋るような気持ちで、突き当たりの扉を開け放った。
ギイイイィィ……。
軋む音が長く尾を引いた。俺は、銃を構えながら、そっと中を伺った。
ところが、やはりと言うべきか、部屋の中には誰も居なかった。
個室らしく、簡素なベッドがひとつ置き忘れられたように、壁際にあるだけだ。
「……」
ふう、と溜息を付いて、俺は銃口を下げ、部屋の真ん中で突っ立った。あれは俺の空耳だったのだろうか。
「おい、何か居たのか?」
すると、後ろから固い靴底が床を叩く音が近付いてくる。
俺の様子から危険がないと判断したのだろう。ひょっこりと部屋に入って来て、辺りを見渡している。
「樫井さん、さっき人の声を聞きませんでした?」
「声?」
「ええ、低い男の……こう、呻くような───」
「? いいや、全然。風の音でも聞き間違えたんじゃねえの?」
樫井は、心底興味のなさそうな様子で、ベッドに勢い良く腰を下ろした。
薄汚れてはいるが、ベッドはまだ十分に使用に耐えるようだ。樫井を載せて、スプリングが軽く音を立てる。
「ああ、疲れた……」
そう言って、樫井はベッドに身体を横たえた。
そんなのんびりしている暇はない。僅かな時間も惜しい俺は、傍らに立ってその顔を覗き込んだ。
「まだこの病院内をすべて見回っていません。行きますよ」
「んー……それが……頭が痛くて───気分悪い……」
ところが、樫井は眉間に皺を寄せ、左のこめかみを押さえながら、苦しそうに仰向いた。
その姿に、俺は、ぞっと腹の底が震えるのを感じた。
彼が痛そうに押さえている、あの箇所は、艦長が狙撃された所と寸分違わなかったからだ。
「頭……が、痛いんですか?」
声が掠れそうになるのを堪え、俺は出来るだけ何気ない風を装って問う。
「ああ、何だかこの辺が…痛くて……」
側頭部を押さえ、沈痛そうに目を閉じて、ベッドに伏せる彼の姿。
それは紛れもなく、入院中のあの人に、余りに重なる光景だ。
俺は思わず乾いた唇を噛んだ。
「だ、大丈夫ですか? どんな風に痛いんですか?」
思わず俺が手を伸ばした、その時。
「!?」
ぐい、とその手が引かれ、俺はベッドに倒れ伏した。
かろうじて樫井の上に落ちる事は裂けられたが、両腕を突っ張った状態で、彼の顔を覗き込む。
その顔には、既に辛そうな表情など無く、何やら含みのある笑みが浮かんでいた。
「あの───御気分は……」
何だかさっぱり分からなくて、俺は取りあえずそう聞いてみた。しかし樫井は、ますます笑みを深くして、俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「気分? ……これから良くなるんだろ?」
「はあ?」
声も水底で聞くような、囁きに近い響きのあるものだ。俺はますます分からなくて、眉を寄せた。
「鈍いな、あんた。俺の顔は、愛しの上司様にそっくりなんだろ?」
「……」
「なら、身体はどうか、確かめたくねえか?」
俺は、やっと今の状況が飲み込めて、強張った喉でごくりと息を飲んだ。
つまり、ここで俺と寝よう……と言うのだろう。
しばらく相手を推し量るような、値踏みするような、奇妙な視線が絡み合う。
「いや……あの……しかし………」
「ふん、今更カマトトぶるなよ。あんたら、そういう関係だったんだろ?」
そして、白い両手が、するりと俺の腕を這い、首に絡み付いてきた。
ぞくっ、と寒気にも似た痺れが俺の首の後ろを貫いた。
「遠慮すんなよ……あんたみたいな、真面目そうなのほど、あっちは情熱的なんだよなァ。たっぷり答えてやるぜ?」
俺の首を捕らえている腕に、力が込められて、引き寄せられた。間近に迫る顔。あの幼い、しかし蠱惑的な顔。
ああ、そうだ。何度もこうして、腕の中で見つめ合って、それから決まって二人は熱く───。
(まずい!)
「や、や、やっぱりいけません!」
俺は飛び上がるように、後ろにひっくり返った。その拍子に、見事にベッドから床に転がり落ちる。
したたかに腰と後頭部を打って、蹲り呻く俺に、密やかな忍び笑いが聞こえてきた。
やがて、その笑いが、本物のけたたましい笑い声に変わる。
「はは、あはははは! おっもしれえの! 大傑作! あっははははは!」
ぽかんと床に座り込んだまま、俺はしばらく樫井が声を上げて笑うのを見ていたが、やがて自分がおちょくられたという事に気付いた。
「………!」
怒りに任せて勢い良く立ち上がると、俺は後ろも見ずに扉へと大股で歩いていく。
「あっははは、おい、待てって、悪かったって! 何だか随分緊張してるみたいだから、ちょっとほぐしてやろうと思っただけじゃねえか。そんな、怒んなよォ」
俺はそれでも振り返る気にはなれなかった。そのまま荒っぽくノブを掴むと、大きく開け放つ。
「こら、山中! 待てっつってんだろ! 本当に頭は痛いんだから! 置いて行くなよ!」
背中へと追いかけてくる声に、俺は低く押し殺した声で答えた。
「……大人しく待っていて下さい。後で迎えに来ますから」
「本当だな? 本当に迎えに来───」
まだ何か喚いていたが、俺は構わず後ろ手に扉を閉めた。
そのまま、勢いよくずかずかと暗い廊下を歩いていた俺は、樫井の残る部屋からしばらく離れた辺りで、やっと立ち止まった。
握り込んだ手を開くと、じっとりと汗ばんでいた。これは、からかわれたという、怒りの為なんかじゃない。その直前に俺を支配していた、紛れもない邪な……。
(す、すいません、艦長っっ!)
俺は思わず傍らの壁に、額を打ち付けた。何という事だ。顔が同じだと言うだけで、その気になりかかってしまうとは。
3年にも渡る禁欲生活の長さもあったのだろうか。しかし、そんな事は言い訳にはならない。俺の大事な人は、海江田艦長、その人だけだ。そうだ、あの人だけが、俺のすべてなんだから。
壁に額を押し当てながら、俺は何度も何度も艦長に心の中で謝った。
すいません、俺はちゃんと拒みました。ええ、そうです、悪いのはあいつなんです。あいつがあんなに、貴方と同じ顔をしていなければ───。
(……それにしても)
あの娼婦のような笑みが脳裏を過ぎり、俺は思わず壁に爪を立てた。何という男なんだ、あの樫井という奴は。
ちょっとほぐしてやろう、などと言っていたが、大方本当の目的は、寝ることで俺に取り入って、身の安全を確保しようとでも算段したのではないだろうか。伺うような媚態、導くような誘いが、それらを物語っているような気がする。わざわざ艦長が狙撃された箇所を痛い、などと言い出したのも俺を誘い込むための芝居かも知れない。いや、きっとそうだ。何が『海江田なんて知らない』だ。俺が誰であり、何者であるか、承知の上なのだ。空とぼけているのは、俺に引っ付いていようと考えた末の芝居だろう。実に見え透いた、低俗なやり方だ。
まったく悪趣味極まりない。本当に艦長と似ているのは顔だけだ。畜生、人を利用するだけ利用してやろうと考えるだなんて、プライドというものがないのか、あいつには。いっそ、このまま放っていってやろうか。
そうとも、あの人は、人を頼ったりなんかしなかった。自分の責任は自分で取り、誰の手も借りようとはしない人だった。
(もっとも───)
……それが、時折寂しかったのだけれど……。
あの世界に類を見ない過酷な航海の中、俺が願っていたのは、彼が自分に課した重い課題と運命を、僅かでも肩代わり出来れば、という事だった。それは、俺を始め『やまと』乗員の誰もが、そう望んでいたのだけれど。
しかしあの人は、最期の最期まで誰をも省みず、ひとりで俺達の前から去っていったのだ。
それが彼の潔さであり、また慈悲だったのだろう、とは思う。
けれど、ほんの少しでも俺を頼って欲しかった。あの人に比べれば、これっぽっちも力も及ばない、無力で非力な俺だけれど、貴方と分かち合えるのなら、苦しみだって愛おしいのに。
たった一言でも良かった。言って欲しかった。
辛いのだと、苦しいのだと。
そしたら、きっと……。
俺は、額を支点に来た道を振り返った。暗がりの向こうに、樫井の休む病室がある。
姿形は同じなのに、まったく中身の違う彼。
感情の起伏が激しくストレートで、依存心が強くて、我が儘放題の彼。 そんな新鮮な姿が、時折眩しいくらいだ。
そう、正直言って、あの顔で頼られ、依存されるのは、悪い気分ではないのだ……。
ふう、と俺は重い溜息を吐き出した。
(……後で迎えに行くか……)
俺はハンドガンを手に姿勢を正し、上の階へと足を踏み出した。
何段階段を上ってきたか、分からない。それぐらい各階を行ったり来たりしているのだが、足跡どころか、人の影も形もありはしない。
もっとも、化け物の姿はうじゃうじゃ湧いて出たのだが。しかも病院らしい、看護婦姿の者まで襲い掛かってきた。病棟内の衣装を拝借したのか、それとも元々そうだったのかは知らないが、白衣姿で鉄パイプを振り回す姿は、なかなか鬼気迫るものがあった。
あらかた目障りなそれら化け物達を片付けると、俺は3階の廊下で立ち尽くし、肩を落とした。結局この病院内に、艦長は居ないのだろうか。
そうかも知れない、と俺はふと思った。あの人にとっても、病院など嫌な場所だろう。好きこのんで、わざわざ駆け込んで長居したい所ではないじゃないか。もうさっさと出ていったに違いない。
ではまったくの無駄足になったと言えば、そうではない。途中入り込んだロッカーで、強力そうな銃、ショットガンを入手したのだ。
確かにこのハンドガンは使い勝手が良いけれど、口径が小さいので、今ひとつ攻撃力に難がある。その点ショットガンは強力だ。一発で殆どの化け物を倒す事が出来るだろう。俺は思わぬ収穫に、不謹慎だが顔を綻ばせた。これなら、あの得体の知れない『大鉈を持つ三角頭の男』とも渡り合えるだろう。
しかし、精神病院にショットガンとは、えらく物騒なシロモノだ。何に使うかのか、と俺は考えようとして、その凄惨な想像に、一人眉根を寄せた。
(患者達を、これで威嚇していたというのだろうか……)
今は見る影もないが、立派な病院に見えるここで、そんな熾烈な治療が行われていたというのか。むごい事だ。患者達は、狂いたくて狂っている訳ではないだろうに。
俺はショットガンを握り締めながら、奇妙な同情心が沸いてきた事に、少し驚いた。今までこんな世界に思いを馳せる事など、一度もなかったというのに。
このおかしな世界に、すっかり当てられてしまったのだろうか。俺も少しずつ狂いつつあるのだろうか。
慌てて、俺はぶんぶんと首を振った。ここは何という所だ。これ以上長く居続けたら、俺は本当におかしくなってしまうかも知れない。早く艦長を見付け出して、ここから出て行かなければ。
俺はショットガンを手に、歩き出した。そこで、廊下の奥まった所に、エレベーターらしき昇降口があるのを見た。
どうせ動かないだろう。今まで昇ってきた各階ですべて試してきたが、ボタンを押しても何の反応も無かったのだ。そんな投げやりな気持ちで下へ行くボタンを押した所、驚いたことに軽い電子音の後、するすると扉が左右に開いたのだ。
「!」
そっと狭い箱の中へ身を入れると、何の変哲もないただのエレベーターである。
ぐるりと辺りを見渡した俺は、一瞬、おっと目を見開いた。
何故なら、正面、各階停止ボタンの一番下に、『B』のボタンがあったからだ。
『B』とは地下の事だろう。病院の地下室と言えば、死体安置所などだろうか。余り好んで行きたくもないが、僅かな手がかりも捨てたくはない。俺は思いきって『B』のボタンを押した。
がくんと、身体が浮き上がるような浮揚感の後、エレベーターはどんどん下降し、やがて地下へ辿り着いたらしい。扉がするすると左右に開かれる。
新たに入手したショットガンを腰に据え、そっと外の様子を伺う。
地下らしい、冷たい湿った空気が流れ込んでくる。一歩踏み出して、ライトに照らされた光景に俺は少し驚いた。目の前に脈略もなく突如、細長い廊下が延々と続いていたのだ。想像していたような死体安置所の類ではなかったようだが、唐突に現れた地下の迷宮に俺は面食らった。
しかし化け物の気配はなさそうだ。俺は息を細長く吐くと、奥まで探索する事にした。
幾つも角を曲がって、どんどん進んでいくと、ふいにぽっかりと倉庫らしい部屋に辿り付いた。段ボールや瓶が、床のあちこちに転がっている。
(?)
その中に、きらり、と小さく光るものを見付け、俺は屈み込んだ。拾い上げると、小振りな鍵だった。プレートに『歴史資料館』と書いてある。
(資料館……?)
あの畔(ほとり)の資料館の鍵なのか?
誰がこんな所に、あんな所の鍵を落としていったのかは分からないが、結構な拾い物をした。早速ポケットに仕舞うと、どうやらここで地下は終わりらしいので、来た道を引き返そうと踵を返した、次の瞬間。
ひた、ひた、ひた……。
それは、こちらへ近付いてくる、足音だった。
俺は思わずショットガンを握り直した。ラジオのノイズは聞こえない。では、何が近付いて来るのか。
(……あの、奇妙な兜の男か……)
弾をリロード済みである事をちらりと確認すると、俺は引き金に指を宛った。そこの角から現れるであろう姿を想像する。アパートで出会った、あの冷酷無比な破壊者だ。
あの大鉈で襲い掛かられてはひとたまりもない。強力な飛び道具を持っている強みを生かし、距離を置いて仕留めるべきだろう。俺はショットガンを目線の高さに持ち上げ、銃身を支えた。
ひた、ひた、ひた……。
一撃で撃ち抜くのが望ましいが、頑丈そうな兜を被っていた。なら心臓を狙うべきだろうか。何にせよ、急所をしっかり狙わなければ……。
ひた、ひた、ひた……。
もうすぐだ。姿が見える。
よし、そのままこっちへ来い……。
そして、角からそっと暗い人影が現れて───。
「!」
「や、山中?」
俺は、詰めていた息を飲み込んだ。現れたのが、樫井だったからだ。
危なかった。もうコンマ何秒か気付くのが遅かったら、今度こそ彼を撃ち抜いていただろう。腕はまだ引き金に引っ掛かり、強張っている。
「山中!」
ところが、樫井は、まだ銃を下げかねている俺に向かって走り寄り、抱きついてきたのだ。
「あ、危な───」
「どこへ行ってたんだよ! 俺を置いて、何してたんだよ!」
抱き締めてくる暖かく柔らかな体に、俺の身体が別の意味で強張ってくる。
暖かい。柔らかい。
この悪夢に近い、奇妙な世界の中、何と心強く、力強い感覚なんだろう。それは、俺が孤独ではないという証そのものだった。自分以外の命が、俺を頼って縋って来るその感触に、無性に身体の奥から力が沸いて来るのを感じた。
「か、樫井さんこそ、御気分は……」
内心の動揺を気付かれないよう、俺はしどろもどろになりながらも、そう聞いた。
すると、樫井は更に、ぎゅうっと俺を強く抱き締めた。
「お前を待ってたに決まってんだろ! ずっと、お前が帰ってくるのを、待ってたんだよ! それなのにお前はちっとも帰って来ないし……。何だよ、お前は本当に冷たい男なのか!? お前の上司と顔が同じってだけの、ただの男だと思ってんのかよ!? 俺の事なんか、どうでも良いのかよ!?」
空いている方の手で、そっと彼の背中に触れると、小刻みに震えていた。
これも彼の芝居のひとつなのだろうか。そう考える俺がどこか片隅に居るけれど、俺はそれでもその手で、彼の背中を掻き抱いた。
「危ないんですから……大人しく休んでいれば良かったでしょう?」
「いやだ! 頭が痛くて気分が悪くて……不安でたまらなくなって……仕方なく部屋を出たら、化け物はうようよ居るし……怖くて……心細くて……辛かった……!」
俺の手から、ずるりとショットガンが落ちた。
腕の中で震える体を、そっと両手で抱き締めると、温もりが一層肌に迫り、俺を包み込む。何と言うことだ。しなやかな背中のラインから、肩胛骨の浮き具合……そんな、抱き締めた感触まで、あの人と同じなのだ。
良かった。彼を撃たなくて本当に良かった。この身体を、あの人の命を奪った物と同じ銃弾で、殺してしまう所だったのだ。
そしてその暖かさと同時に、俺は、怯える余り震えながら彼が零す言葉を、心の内で噛み締めていた。
それは、俺が何度もあの人に言って欲しかった言葉だったからだ。
どれ程、怖いと、心細いと、辛いと、伝えて欲しかっただろう。
俺は、彼に憧れる大勢の人間の中では、比較的近くに居ることを許された幸運な男だっただろう。それでも俺にとって、あの人はこの町を包む霧のようなものだった。触れることは出来ても、捕まえることは出来なかった。
そんな俺の心を常に占めていた、『飢え』に近い感覚が、今この瞬間、少しずつ癒されて行くのを感じる。この人は艦長ではない、別人なんだと知っていても、あの人と同じ声、同じ顔、同じ身体で、俺に縋ってくるその姿は、無条件に俺を満たしてくれる。
「大丈夫ですよ……」
柔らかい髪を撫でながら、俺は出来るだけ安心させるよう、静かな声で言った。
「俺が守って上げますから……貴方を守って上げますから……」
そして、何度言いたかったか分からない言葉を、俺は噛み締めるように囁いた。
「……本当に? 俺の側に居てくれるのか?」
「ええ、勿論」
そっと身体を放すと、俺は樫井の華奢な手を取って、緩く握った。
「これからはずっと、俺から離れないで下さい」
大きな瞳が、揺れながら俺を見つめている。俺はその目に、微笑みかけた。