走ってみた pt.2

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奄美大島地図

 ざっと一回り pt.2

 大浜海洋公園を出て少し走ると、行政区分が名瀬市から大和村に変わります。大和村は、「やまとむら」ではなく「やまとそん」と読みます。この他の村もすべて、「むら」ではなく「そん」と読みます。「住用村」は「すみようそん」、「宇検村」は「うけんそん」です。ついでですが、地元の人は「名瀬」を「なぜ」とは読みません。必ず「なせ」と読みます。まわりに影響されやすいわたしは、三度目の奄美大島ツーリングあたりから「なせ」と発音するようになりました。もちろん、島の人たちは「なぜ」と発音してもちゃんと応えてくれますよ。
 海岸沿いの道路はアップダウンが激しく、波打ち際を走っていたかと思えば、遥かに海を見下ろす崖の上を走っていたりと、リアス式海岸のワインディングとともにライダーをハイな気分にさせてくれます。シドニー・オリンピックの女子マラソンの代表選考が世間を騒がせていたころ、弘山晴美選手は屋久島、高橋尚子選手は徳之島、そして山口衛理選手は奄美大島でトレーニングを積んでいたそうですが、こういうところで練習していれば、好記録もうなづけるな、とわたしはひとりで納得していました。

 大和村には、奄美フォレストポリスとマテリヤの滝があります。オフ・ロード車で、荷物が少なければ、行く先案内板の通り、どこからでも行けますが、オン・ロード車や荷物満載の方は宇検村側から行った方が無難でしょう。
 奄美フォレストポリスは、原生林を切り開いて作られた多目的遊戯施設で、パターゴルフやアスレチック、ゴーカートもあり、キャンプ場も併設されています。このキャンプ場は、一泊あたり 1,000 円の施設使用料がかかるうえ、一番近くのお店までは「20〜90分、100% あなたの腕次第。エンデューロ気分でどうぞ」という条件ですので、荷物をすべて持参するファミリー・オートキャンプ以外の方にはとても薦められません。だって、「ビールを買いにエンデューロ」は納得できても、ビールを買ってキャンプ場につく頃にはすっかりぬるくなっているか、衝撃と振動で缶が破裂寸前になっているはずですからね。
 マテリヤの滝は、フォレストポリスからさらに奥に入った原生林の真ん中にあります。駐車場にバイクを停め、遊歩道を下っていくと、樹冠の間から差し込む陽光をスポットライトのように滝壷に浴びたマテリヤの滝が姿を現します。滝自体はちいさな部類に入りますが、真夏でも涼しい風がゆったりと流れるここは、奄美でも有数のお薦めスポットです。団体観光客もよく訪れるようなので、午前十一時くらいまでに行くといいですね。宇検村でお弁当を買って、滝を眺めながら食べるといいですよ。もちろん、ゴミはお持ち帰りで。

 今里から内陸に入り、ちいさな峠を越えて宇検村に入ります。今里のはずれにガソリンスタンドがありますが、ここを過ぎると 35km ほど先(もうちょっとあったかな?)までスタンドがありません。フェリーを降りて、すでに 200km ほど走っているはずです。タンクが小さいオフ・ロード車は、ここらで給油しておきましょうか。

 峠を越えて下りのワインディングを下りきると、県道は左にカーブしていきますが、右に曲がってみましょう。細い道の両脇に人家がぎっしりと並んでいます。宇検集落です。県道から 300m ほど入ったあたりに、雑貨屋さんがあります。肉、野菜、ビール、焼酎、蚊取り線香、トイレット・ペーパーなど、キャンプに必要なものはだいたい揃っています。また、雑貨屋さんの裏手に釣りえさ屋さんがあって、そこでは氷を 2kg で 100 円で売っています。バラと角氷が選べたはずです。
 以上の確認を済ませたら、さらに奥へと進んで行きましょう。人家はすぐに途切れ、木々の間に鏡のように静かな焼内湾と枝久手島が見えるはずです。茶色く濁っているのはエビの養殖池で、エビの一次加工工場を過ぎたら、枝久手海水浴場です。駐車場の奥にあるのがトイレ・シャワー棟、テントは駐車場入り口の芝生に張るといいでしょう。
 ここのウィーク・ポイントは、海です。駐車場を作る際、多量の土砂が海に流れ込んだものらしく、湾内の珊瑚はかなりダメージを受けています。手前にエビの養殖池があるので、そこの排水(なま下水並みの濁り方です)が汚染源のように見えますが、実際は、雨が降るたびに山から流れ出す泥水のようです。エビの養殖業者の方(結婚するまでは京都にいて、あっちでは単車に乗ってたんだよ)と話したら、「うちの排水が汚染源みたいに思われて困るから、山からの泥水をろ過する仕組みを考えている」とのことでした。芝生は狭く、せいぜいテント3張りまでしか収容できませんが、昼間の便利さと、夜の静けさが両立する貴重なキャンプ地ですから、はやくきれいな海を取り戻してもらいたいと思っています。

 とはいえ、汚いだの珊瑚が弱っているだのといっても、それは奄美のほかの海岸と較べてのこと。わたしがぼんやり海を眺めている横で2時間ほど潜っていた人が海から上がると、手に持った魚篭から出てきたのは…。

 驚きあきれ、目を丸くするわたしに、魚を一匹わけてくれた人は、二年ほど前に近くの学校に転勤で鹿児島からやってきた先生だとのこと。奄美に来てからシュノーケリングをはじめ、土、日は毎週、枝久手で潜っているそうです。羨ましいと言うか、なんと言うか…。

ペットボトルは、普通の 500ml 入りのものです。
'99/ 9/18
枝久手浜、珊瑚礁の幸  撮影者:quickone

 宇検の海に満足できない方は、さらに先に進みましょう。
 県道名瀬・瀬戸内線に戻って、焼内湾沿いに 20km ほど進むと、宇検村の中心である湯湾です。湯湾には、雑貨屋さんとお弁当屋さんがあります。雑貨屋さんは、宇検のお店と較べて規模は2倍、品揃えは2割増、といったところでしょうか。宇検の雑貨屋さんは日曜が定休日なのに対し、こちらは日曜日も営業しています、と思います。とにかく、1999年9月19日は、営業していたはずです。お弁当屋さんのほうは、判りません。
 湯湾からは、道が二つに分かれます。左に行くと、峠を越えて国道58号線に出ます。直進すれば、焼内湾をさらに回って屋鈍ビーチに向かいます。
 屋鈍ビーチに向かってすぐに、右側に宇検村の村営温泉センター「やけうちの湯」があります。ここは、お薦めです。お昼頃(時間、忘れた)から22時までと、超リーズナブル(奄美に慣れると、夜8時以降に営業している施設には感動します)な営業時間もいいですが、昼間に入るのが最高です。大きな窓から陽光がたっぷり降り注ぐ時間に湯に浸かっていると、疲れや悩みが溶け出していくような気がします。

 湯湾から 15km ほど進むと、名柄に出ます。ビーチなんかどうだっていいや、もうくたびれちゃった、という方は、ここを左に曲がってください
 屋鈍海水浴場は、名柄からさらに 20km ほど先ですから、それなりの覚悟が必要です。とはいえ、奄美でもっとも美しいビーチのひとつに上げられ、奄美を紹介するガイドブックにビキニのお姉ちゃん入りで紹介されていますから、時間と体力に余裕があれば、一度は行ってみるべきでしょう。

西古見の灯台
西古見の灯台
撮影者:quickone

 実を言うとわたしも、ガイドブックのビキニのお姉ちゃんの微笑みにつられ、何度か屋鈍ビーチに向かいましたが、目の覚めるような白い砂浜と、惹きこまれてしまいそうなエメラルド・グリーンの海を目にしただけで満足するしかありませんでした。そりゃそうですよ、日本のほとんどの地域からは、グアムやサイパンの方が近いんだもん。グアムやサイパンの方がなん万倍も有名だもん。
 屋鈍ビーチに向かう途中の道は、ほとんどが海から 10 〜 20m の高さのあたりに造られていますが、1、2箇所、踏み分け道のように道路から海岸へ降りる道があります。探検気分で降りてみてもいいですね。地元の人たちが頻繁に利用しているので大丈夫かとは思いますが、ハブにはくれぐれも注意してください。踏み分け道が尽きたところには、美しいプライヴェート・ビーチが広がっています。もちろん、トイレもシャワーもありませんから、それなりの準備、もしくは覚悟をして行ってください。どなたか、わたしと一緒に行ってくださる女性がいらっしゃいましたら、ご連絡ください

 屋鈍ビーチには、トイレとシャワー以外には、キャンプ用の設備はありません。買い物も宇検まで戻るか、移動販売の車を捕まえるかしない限り、何もありません(集落内に雑貨屋さんがあると思いますが、2001年1月現在の時点では判りません)。テントも砂浜に張ることになるので、かなり旅慣れた方以外には薦められません。

 屋鈍ビーチを後に、さらに先に進むには、林道西古見線を走ります。わたしが「林道、林道、未舗装道」と走り狂っていた(技術については追及しないでください) '94、'95 年頃は、木漏れ日の中を夢のようなフラット・ダートが伸びていましたが、今ではかなり舗装が進んでいるようです。奄美の林道については、また稿を改めて記したいと思いますので、とりあえずここでは、名柄に戻ることにしましょう。
 名柄からは、峠を越えて、瀬戸内町に入ります(下のNEXTをクリックしてください)。




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