♪第百五十二ページ『ある結末』

「今までありがとう、楊明。」
「いえ、私も色々教えられて楽しかったです。
それに、色んな精霊さん達と一緒に仕える事が出来たし。
なんと言ってもシャオリンさんと主様の結婚式を見ることが出来ましたしね。」
「そうか・・・。それにしても、愛原達には何も言って行かないのか?
初めて出来た親友なんだろう?」
「はい・・・。会うと、別れが辛くなるので・・・。」
「どうせだったら愛原達の誰かに仕えたらいいのに。」
「いえ、それはできません。前にもそれは教えたはずです。」
「そっか、そうだよな・・・。」
「・・・・・・。」
「それじゃあ、楊明。」
「ええ。さようなら、主様。」
そして楊明は空天書へと帰っていった。
太助はそれをそっと抱え込み、次なる場所へと送る準備を始める・・・。

「・・・という結末は果たしてくるでしょうか?」
「あのー、なんでそれを僕に訊いてくるの?」
「だってね、遠藤さんは・・・」
「眼鏡をかけてるからなんて言わないでよ。」
「それとは違います。もっと大切な・・・事なんです。
それはいいとして、どう思いますか?」
「だから僕に聞かれても・・・。」
「将来を考えるとそうなるんです。まあ、はっきりとした答えは必要無いですから。」
「そう?うーん・・・なんとなくなりそうかな・・・っていう程度だなあ。」
「そうですか。ありがとうございます。」
ぺこりとお辞儀をしたかと思うと、楊明はその場を去って行った。
ぽつんと残った乎一郎は、少し首を捻りながら彼女の質問の意味を考えていた・・・。

<これも、一つの・・・>


♪第百五十三ページ『君を忘れない』

「今までありがとう、花織ちゃん。」
「何かしこまってんのよ。」
「私、絶対に花織ちゃんの事忘れないから。」
「当たり前でしょ。忘れられてたまるもんですか。」
「約束だよ、花織ちゃんとも・・・」
「次!!知教空天!!」
ヨウメイの言葉の途中で別の男性の言葉が響いた。
「・・・・・・。」
「ほら、早く。」
「ああ、もうお別れなのね。」
「いいから早く跳び箱飛んできなさいっての。」
「ああ、花織ちゃん、さようなら・・・。」
「こらー!!早くしないか!!」
体育教師の再度の呼びかけにより、ヨウメイはしぶしぶと跳び箱に向かったのであった。

<絶対に・・・>


♪第百五十四ページ『そのひとつは希望』

ある暑い暑い夏の日。
クーラーをガンガン効かせても、氷水をぶっ掛けても、冷蔵庫に閉じこもっても暑い日。
七梨家にいる者はものすごくだるだるな状態になっていた。
「くっ・・・。折角来たのになんだこの暑さは・・・。」
「たかし、わざわざうちに涼みに来なくてもいいだろうが。」
「太助君、僕達、あれ以上耐えられなかったから・・・。」
「それにしてもよく歩いて来たわねえ、ほんと。」
「シャオさんと那奈さんは翔子さんの家。
ヨウメイさんは花織さん達とお出かけですか・・・。」
「し、死んでしまう・・・。」
家に居る人物は、太助、ルーアン、たかし、乎一郎、出雲、そしてキリュウである。
皆非常にだるそうだが、キリュウはとにかく死にそうになっている。
用意している氷水もあっという間にぬるま湯になってしまうほどの暑さなのだ。
「ヨウメイが居てくれたらなあ。」
「たしかに。ヨウメイちゃんが居たらあっという間に涼しくしてくれるだろうな。」
「そうでしょうか?“試練です、耐えましょう”なんて言うんじゃないですか?」
「言えてるなあ。」
「なっとくなっとく。」
「そんな事は無い・・・。」
ぜえぜえと息をしながら、キリュウはそのもっともな意見に反論した。
両手両足を氷水につけて横になっている状態で。
「ヨウメイ殿はただ一つの希望だ。」
「そんな大袈裟な・・・。」
トゥルルルルル!
暑いのを更に増すような電話の呼び出し音が鳴り響く。
だるい体を言い聞かせて太助が電話をとりにいった。
「はい、七梨です。」
「あ、主様ですか?ヨウメイです〜。」
「ヨウメイ?」
太助の声にリビングに居た者達はぴくっと反応した。
キリュウの言う通りでは無いが、ヨウメイに期待しているようである。
そんな皆の心中など当然お構いなしに、次に聞こえてきた声はこうだ。
「今日は遅くなりますので、夕飯は要りませんから。」
「あ、ああ。それにしても元気だよな、この暑いのに・・・。」
「この程度でへばってちゃあ話になりませんよ。まあ、花織ちゃん達もだるそうですけど・・・。」
ちょっと電話から離れたような様子が太助の耳に届いた。少し見に行ったのだろうか。
「そうだ、家に居るであろう皆さんに伝言を。」
「なんだ?」
「試練です、耐えましょうってね。それでは〜♪」
「・・・・・・。」
ガチャッ
出雲が予想したとおりの言葉を残して、電話は切れた。
脱力しながらリビングに戻ってきた太助が告げた言葉により、
皆はやはりというか、一層だれた状態になった。
「くっ、最後の希望が・・・。」
「何を言ってんだよ。他に方法を考えればいいじゃないか。」
「ヨウメイ殿の数ある肩書きの一つにこういうのがある。“希望”というものが・・・。」
「なんだそりゃ・・・。」
死にそうになりながらのキリュウの熱弁に、他の面々は呆れ顔だ。
「わけわかんない部分をヨウメイから伝染されたんじゃ・・・。」
と、一人ルーアンは密かにキリュウを心配していた。

<これが>


♪第百五十五ページ『子午線の祀り』

ヒュウウウウウウ・・・
飛翔球が空を飛ぶ。太平洋上空を飛ぶ。
それに乗っているのは花織、ヨウメイ、熱美、ゆかりんの四人。そして操縦役は花織。
もちろん、なにものにも怪しまれないという特殊な法で飛んでいるわけだが。
「ねえ楊ちゃん、いつまで飛びつづけるの?」
「もうすぐ、もうすぐだよ。
「そろそろ教えてよ、何処を目指しているかを。」
「もう疲れた〜。」
熱美とゆかりんから文句が出た。
実は、何回も同じような文句が出ていたのだが、ヨウメイはそれに答えずであった。
と、今回、ようやくヨウメイはそれに答え出した。
「子午線だよ。」
「子午線?」
「子午線って経線の事だよね。何処の経線?」
「日付変更線。」
「日付変更線?」
「日付変更線まで行って何をしようっての?」
更に二人が詰め寄る。と、再びヨウメイが口を開いた。
「名目上だけど、そこでは日が替わるでしょ?そこで遊ぼうってわけだよ。」
「「どんな遊び?」」
二人同時に尋ねると、ヨウメイはふふっと笑った。
「今日は八日。そんでもって日付変更線の向こうは七日。
という事で、八日〜七日〜八日〜七日〜八日〜・・・、ってな遊びをしようと思うの。
楽しいよ♪一日を一瞬でかわりばんこできるから。」
「「・・・・・・。」」
にこやかに告げるヨウメイに二人は無言で顔を見合わせる。
しばらくの後に一緒に頷くと、熱美が素早く統天書を奪い、ゆかりんがヨウメイを抑えた。
「ちょ、ちょっと、何すんの!」
「はい楊ちゃん、いい子だからおとなしくしててね〜。」
「花織、とっとと日本に引き返して。」
「で、でも・・・。」
「「いいから引き返すの!!」」
「う、うん。ごめんね、楊ちゃん。」
「ああっ、ちょっと〜!」
じたばたするヨウメイ。済まなさそうに飛翔球の進む方向を反転させる花織。
そして、よにも恐ろしい顔の熱美とゆかりん。
結局、ヨウメイのお楽しみ企画は実行されないまま終わったのだった。
「一日を一瞬で変えられる事なんて滅多に出来ないのに〜!」
「「そういう問題じゃ無いでしょ!!!」」
ずっと駄々をこねているヨウメイに二人は一喝。
そんな様子をはたで見ていた花織は、
「熱美ちゃんもゆかりんも恐い・・・。」
と、少しばかり怯えていた。

<あがめよ!>


♪第百五十六ページ『翼はもうはばたかない』

平地に生えた草木がざわざわと風になびいている。
雲が風に流されて行く。太陽がそれに合わせて顔を出したり隠したり・・・。
「鳥さん・・・。」
空の下で、一人の少女が一羽の小鳥を抱きかかえて座りこんでいた。
ちっちゃなからだ、真っ黒な服。その傍では、一冊の本が風によってばらばらとめくれている。
少女の隣には、同じように少年がしゃがみこんでいた。
少女とは対照的に、少し大きめの体、真白な服。
「なあ、いつまでそうしているつもりだ?」
「・・・・・・。」
「いくら調べてもその鳥を救う法なんて見付からなかったんだろ?
いいかげんに諦めなよ。」
諭す様に告げる少年だったが、少女はそれを拒絶する様に首をふるふると横に振った。
「・・・嫌です。私は諦めたくない。」
「そう言ってもさあ、今のお前の力じゃどうしようもないんだろ?」
「それでも、私は・・・。」
頭では少年の言葉を少女は理解しているらしい。
しかしそれでも少女は小鳥をぎゅっと抱きしめる。ぐったりとしている小鳥を。
「初めて自然に知り合えた友達・・・。」
ついには大粒の涙をこぼし始めた。それはひたすら続く。
小鳥が完全に意志を失うまで・・・。

やがて辺りが暗闇に包まれる頃、泣き尽くして墓標を見つめる少女に、少年はそっと告げた。
「治療の術くらいは残しても良かったんじゃないのか?」
「・・・・・・。」
「二度と取り出せないなら、別の方法を編み出せばいい。それだけのことだよ。」
「・・・・・・。」
「お前は研究が好きなんだろ?だから頑張りなよ。」
「・・・はい。」
沈黙の状態から、やっと一言を発する。
実に小さな声ではあったが、それはハッキリとした返事だった。
「それじゃあ、俺はもう行くよ。じゃあな。」
「・・・さん。」
「ん?」
立ち去ろうとした少年を、少女がか細い声で呼びとめる。
振り返った少年だったが・・・。
「いえ、なんでもありません。お元気で。」
「ああ。お前も元気でな。もう二度と会うことも無いだろうけど。」
「ええ、さようなら。」
そして二人は闇に消えた。
後に一つの墓標を残して・・・。

<もう二度と・・・>


♪第百五十七ページ『最後から二番目の真実』

本日は曇天なり、そして宮内神社。
珍しくもヨウメイが講義を行いにやってきた。
参加者は、ゆかりん、ルーアン、たかし、そして出雲の母である。
「えー、それでは・・・。」
「楊ちゃん、ちょっと聞きたい事が。」
場の雰囲気に耐えられないのか、ゆかりんが手を挙げた。
「なに?」
「なんでこういうメンバーなの?だいたいねえ・・・。」
ゆかりんが嫌そうになるのも無理はない。
出雲の母がにこにこ顔でもてなしの為に出した和菓子を、
ルーアンががつぱくがつぱくと勢い良く食べており、
たかしは昨晩妙な作戦を立てていた所為かうつらうつらと居眠り。
まともにヨウメイの相手をしているのはゆかりんだけだったのだから。
「ちっちっち、こういう状況だからこそ・・・」
「講義がまともにできないよねえ。」
改めてため息をつくゆかりんに、ヨウメイは気にもとめないで言った。
「出雲さんのおかあさんもちゃんと聞いてくれてるし♪」
“ええ”と、にこっと頷く彼女を見て、ゆかりんは“そうなんだ?”と疑わしげ。
「まあさておき、始めるよ。歴史というものの威厳について。」
「う、うん???」
さっぱりわからない、ちんぷんかんぷん顔のゆかりん。
それにも構わず講義は行われ、数刻の後にそれは終了した。
そのまま解散となったわけだが・・・。
「うー、わからない〜・・・。」
講義の中身はしっかり頭に入ったものの、妙に疲れたゆかりんはかなリ不満そうだ。
それは、この講義が何の目的で行われたのかがわからない所為である。
「ねえ楊ちゃん、なんでこれをやろうって思ったの?」
「ん?それはねえ・・・内緒。」
「教えてよ、気になるから。」
「試練だ、納得されよ、ってね。」
「ちょっと楊ちゃん。」
「おーほほほ、納得しなさい〜ん。」
「楊ちゃんってば!!」
「納得していただかないと困りますう。」
「・・・もういいよ。」
「あれ?えらくあきらめ早いね。」
「だって、教えてって言ってるのに教えてくれ無いじゃないの。」
「実はとっくに理由は言ってあるんだけどな〜。」
“あーあ”と呟いたヨウメイに、ゆかりんはぴたっと立ち止まった。
「うそ!?どこで言ったの!?」
「それはよーく思い返してね。ちなみに講義の内容は関係ないから。」
「え、えええっ!?」
必死になって考え始めるゆかりん。果たして答えは見つけられるのだろか・・・?

<真実はいつも一つじゃない>


♪第百五十八ページ『ひとみを閉じて』

起きていれば必ずやって来るもの、それは眠気。
「というわけでお休みなさーい。」
「いや、あの、ちょっと待てってヨウメイ。」
「ぐー・・・。」
「だから風呂で寝るなって!!」
「ぐー・・・。」
「おい起きろ!!」
必死になってヨウメイを揺すり起こして、那奈はなんとか風呂からでたのだった。
「なんで風呂で疲れなきゃならないんだ・・・。」

<ぐっすりん>

#特別企画≪聖剣伝説2≫のサウンドタイトルで話を作ろう(終わり)#


第百五十九ページ『遅い忠告』

朝。朝がやって来た。七梨家の者達は皆、いつもの様に目を覚まして朝食を取り始めている。
しかし、中には完璧に目を覚ましていないものももちろんいた。
「うーん・・・。」
うつら、うつら・・・
キリュウがふねをこいでいる。夜更かしを何らかの理由でする羽目になったのだろうか。
とても食事どころでは無いようだった。
「キリュウさん。」
隣に座っていたヨウメイがそれと無しに呼びかけるが、なんの反応もない。
そのうちに・・・
バシャッ!!
「熱っ!!!」
あまりに勢い良く船をこぎすぎたためか、
自分の分の味噌汁に顔から思いきりぶち当たってしまった。
そのショックに、飛びはねて暴れるキリュウ。そしてそれをなだめようと素早く行動するシャオ。
やっとの事で落ちついた時にヨウメイはにこっと告げた。
「キリュウさん。」
「なんだ?」
「あんまり船をこぎすぎると、味噌汁に顔をぶつけちゃいますよ?気をつけてくださいね。」
言い終わったかと思うと彼女の分の味噌汁をすすり出す。
と、キリュウはわなわなと震え出した。
「既に事が起こった後に忠告をするな!!」
「どうせ成る前にしたとしても耳に届いてなかったでしょうに。」
「うっ・・・。だ、だったら今度からは伝える方法を変え・・・あ、いや、しなくていい・・・。」
「ありゃま、残念。」
言いかけてキリュウは口を噤んでしまった。
言葉を詰まらせた理由は、他の皆には暗黙の了解で伝わった様である。

<あ〜あ>


第百六十ページ『さあ皆で食べよう!』

ある日、花織、ヨウメイ、熱美、ゆかりんの四人は、とあるレストランにやって来た。
ゆかりんが是非とも四人で一緒に食べてみたいと言うメニューがそこにあるのだ。
「・・・びっくりジャンボパフェ?」
「そう、それよ。」
「ちょっとゆかりん、これって{10人前}って書いてあるけど?」
「大丈夫よ。どうせ甘いものは入る所が違うんだし。」
「そういう問題じゃないでしょうに。それにこの値段、5000円って無茶苦茶・・・。」
しぶしぶな意見を言う三人を押し切り、ゆかりんはそれを一つ注文した。
しばらくしてテーブルに運ばれてきたものは、
大きな水槽に色とりどりのアイスやらフルーツやら御菓子やらが飾られている、
本当にびっくりするくらい豪勢なパフェであった。
「さあ、皆で食べよう!!」
「「「・・・・・・。」」」
元気なゆかりんとは対照的に、他の三人は浮かない顔である。
“こんなの本当に食べ切れるの?”という念で一杯の様だった。
「ねえゆかりん・・・。」
「何よ。」
「わたし二人分が精一杯。」
「ええー?」
熱美の元気のない声にゆかりんが嫌そうな反応をする。
次にヨウメイは・・・
「これ絶対に十人分以上あるよ。はっきり言って私達には無理っぽいんだけど。」
「なせばなる!!もう、どうしたのよ楊ちゃん。普段からいっぱい食べる事に熱心なのに。」
「いくらいっぱいでも限度があるってば。もうちょっと考えてよ。
まあ仕方ないから頑張って食べるけど・・・。」
嫌そうではあるが、ヨウメイ自身はそれなりにやる気のようである。
と、残る花織は・・・
「もぐもぐ。へえー、結構いけてるじゃない。」
「ちょっと花織!!何勝手に食べてんのよ!!」
「美味しい所だけを先に戴いておくのよ。」
「なんですってー!?」
「花織、あんたねえ・・・。」
「花織ちゃんずるい!よーし、私も!」
勢いに乗って、ヨウメイが食べ出した。
この時点でゆかりんと熱美は完璧に出遅れたわけである。
「負けるもんか!ほらほら、熱美ちゃんも!!」
「はいはい。」
結局熱美だけはローペースで食べていた。
約一時間後、彼女達はなんとかびっくりジャンボパフェを制覇した。
食後に口をきくものは誰もいなかった様である。
誰もが“四人だけでは二度と来るまい・・・”と思っていた。

<ぱくぱくぱくぱく>


第百六十一ページ『こばなし』

「シャオリンでーす。」
「ヨウメイでーす。」
「「よろしくおねがいしまーす。」」
“ぺこりっ”と二人がお辞儀をする。
その前では、太助、ルーアン、那奈、キリュウの四人が座っていた。
ここはリビング。今から二人の小話が始まろうというところである。
てくてくてくてく
「あらヨウメイさん、どこかへお出かけですか?」
「これからパーティーがあって、酸化するんです!」
「まあ!それは素敵ですね!」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
二人はにこにこと笑い合ったまま動かない。
不思議に思った太助達がひそひそと話しを始めた頃、ヨウメイがシャオを突つく。
「ちょっとシャオリンさん、酸化してどうするんですか?って言わなきゃ駄目じゃないですか。」
「あ、そうでした。でもヨウメイさん、酸化と参加なんて誰も気がつかないんじゃ・・・。」
「いいんですよ。私が後で気付かせる言動を取りますから。」
「は、はい。それでは・・・。」
気を取り直してシャオが改めた様に横を向く。
「ヨウメイさん、酸化なんかしてどうするんですか!」
「あっ、還元の方が良かったですか?」
「もう、そういう問題じゃ無いでしょう!」
「「あははははは。」」
笑い合ってオチ。
と、沈黙していた太助達の中の那奈がすっと手を挙げた。
「今の意味が分からなかった人手を挙げて。」
すっすっすっ。
四人とも挙手をした。
「ええっ!?なんでですか!?」
「あのね、あんなのでわかる訳無いでしょ。」
「そうだよ。言葉が足らないぜ。」
ルーアンと太助の意見にしょぼんとなる二人。
そして、とどめにキリュウがつけたした。
「私ならもっといいオチをつける。」
「な・・・!?キリュウさん、今のは聞き捨てなりませんね。」
「文句があるのか?ならば二人でやってみるとしようか。」
「望むところです!題して、漫才合戦・・・」
「「「やめんかい!!!」」」
話がまとまりそうだった所を、太助、那奈、ルーアンが渇。
こうして七梨家漫才大会はお流れになった。

<ツヅク・・・??>


第百六十二ページ『寝る案』

ある夜。考え込んでいたヨウメイは何かを思いついたようだ。
「閃きました!これからキリュウさんは廊下で寝ましょう。」
「どうしてそうなるんだ。今まで通りベッドと床で眠ればいいではないか!」
「何をおっしゃる、キリュウさんが床で寝ている所へ、起きてきた私が踏みっ。
これで毎朝確実に・・・」
「人を踏んで起こすな!!!」
・・・というわけである。
つまりは、朝にキリュウを起こす方法についての案なのだ。
突発的な案ではあったものの、改めて考え出して、
キリュウを起こすには案外いい案かもとヨウメイは思うようになった。
「よっし!早速実行しなくてはいけませんわ!!」
「何故シャオ殿口調に・・・。」
「いやあ、もうこんな画期的な案を生み出したのが嬉しくって嬉しくって。」
「だから私は廊下では寝ないと言っているだろう!!」
不毛な言い争いが続く。しかしヨウメイはゆずらない様だ。
「キリュウさん、これを続ければ確実に私より早く起きられますよ。」
「だからそういう問題では・・・って言ってる傍から何をしている、ヨウメイ殿。」
「え?布団を廊下に敷こうと思って。敷かずに寝ますか?」
「だから私は廊下では寝ないと言っているだろう!!!」
そんなこんなで深夜。
遅くまでリビングでテレビを見ていたルーアンが二階へ上がってきた。
「ふあーあ、さて寝ましょっかね・・・って、そんなとこで何やってんのよキリュウ。」
「ルーアン殿ぉ〜。ヨウメイ殿が部屋で寝かせてくれないのだ〜。
寝ようとすると、熱気を呼びますよ、と脅すんだ〜。」
「おやまあ・・・。で、なんでそんな事に?」
「実はかくかくしかじか・・・。」
結局は廊下で寝る羽目になってしまったキリュウ。
上半身を起こしてルーアンにこれまでの経過を語る。
「・・・ふーん、そうなんだ。じゃああたしの部屋で寝れば?」
「い、いいのか?」
「その代わりといっちゃなんだけど、毎おやつ時間になったらそれを大きく・・・。」
「・・・・・・。」
「いやなの?まああたしはどっちでも良いけど。」
「わ、わかった、言う通りにする。」
「良かったわあ。それじゃあ早速・・・と思ったけどやっぱやめた。
キリュウ、諦めてそこで寝てなさいね。」
「な、なんだと?」
「おやすみ〜。」
「ま、待ってくれ〜!」
キリュウが手を伸ばすその背後に、統天書を広げて睨んでいるヨウメイが立っていた。
ルーアンが去った後にそれに気付いたキリュウは、慌てて寝に入ったのであった。
「うう、どうして私がこんな目に・・・。」
翌朝、予定通りヨウメイが踏んで起こす前にキリュウは目を覚ましたようである。
いや、正確には神経を尖らせてほとんど寝ていなかったのだろうが・・・。

<ぐー>


第百六十三ページ『じけん』

ある休み時間、ゆかりんと花織が窓に腰掛けて話をしている。
それを遠くから見ていたヨウメイは、気付かれ無い様に近付いて行った。
実際、二人は窓の外に向いていたので気付く事も無かったのだが。
「それでねー、昨日熱美ちゃんたらねー。」
「ふんふん。」
二人は背後に忍び寄っているヨウメイに気付かない。
丁度ゆかりんの後ろに立った彼女は、とんっと軽くゆかりんを押した。
「う、うわっ!!」
ぐらりとかたむくゆかりんの身体。
手をぶんぶんと振り、がしっと柱につかまったゆかりんは事なきを得た。
「ふ、ふう、危うく落ちるとこだった。」
「楊ちゃん、なんて事するの!ゆかりんが落ちるところだったじゃない!」
ゆかりんを支えながら花織が怒鳴る。と、ヨウメイは涼しい顔でこう言った。
「ゆかりんを殺人未遂っ♪」
「・・・楊ちゃん!!」
花織の手を振り解いて、ばっとゆかりんはヨウメイに飛びかかった。
笑いながらそれから逃げるヨウメイだったが、あっという間に捕まる。
更には花織も加わり、わーわーやってるそれを熱美は椅子に座ったまま見ていた。
「元気だねえ。そんでもって平和だねえ。」
しみじみと呟く彼女に、近くに居た他の女子生徒がそれとなく肩を叩いたりして突っ込む。
それに熱美は“ふふっ”と笑って返したのだった。

<とんっ>


第百六十四ページ『水滴降らして』

日本の夏、それは暑いと同時に水不足になりやすい・・・。
「暑いな、ヨウメイ殿。」
「ええ、今は夏ですからね。」
キリュウとヨウメイは、買い物を頼まれて外に出ていた。
もっとも、キリュウ自身は普段の元気がほとんどないようだったが。
「しかも何日も雨が降っていない・・・。」
「そういえばそうですねえ。」
「水不足にならないかどうか心配だ。」
「雨を降らせて欲しいんですか?まさか雨が降ると涼しくなるとか考えてるんじゃ・・・。」
ドキッとしたキリュウだったが、それはなれたもので、顔色一つ変えずにそれに返した。
「何を言っているんだ。涼しくするなら冷気を呼んでもらった方がいいではないか。」
「それもそうですね。・・・じゃ、熱湯でも降らせましょうか。」
「な!?そ、そんな事をしたらますます暑く・・・」
「なんですか?」
「う、あ、いや、その・・・。」
結局は雨を降らせて涼しくという意図はヨウメイにばれてしまった様である。
にやりと笑う彼女に、キリュウはたじたじだ。
「じゃあいっきますよー。来れ、熱・・・」
「わー!!やめてくれー!!!」
慌てて叫ぶキリュウに、ヨウメイはあははと笑った。
「冗談ですよ。第一熱湯なんか降らせたら草木が大打撃を受けるでしょうが。」
「そ、そういえばそうだな・・・。」
「大地の精霊なんだからそれくらいは念頭においてください。」
「・・・済まない。」
「では・・・来れ降雨!」
ヨウメイが統天書を開けて叫ぶと、どざあああと勢いよく雨が降り出した。
それほど涼しくはならなかったものの、じりじりと照る太陽に比べればましなものである。
「・・・ところでヨウメイ殿。」
「なんですか?」
「せめて傘を用意した後に降らせてほしかったのだが・・・。」
「贅沢ですねえ。濡れて歩くくらいの覚悟はしないと。」
「あのな・・・。」
家に帰るまでに二人はずぶ濡れになってしまった。
幸い、買い物をする前だったので品物は無事に持って帰られたようだが。

<ぽつ、ぽつ・・・ざああ>


第百六十五ページ『ヨウメイクイズ(第六問)』

「宮内さん、クイズでーす。答えてくださーい。」
ふぁさぁ
「いいでしょう、受けて立ちましょう。」
「・・・見事正解したら、賞品を差し上げますよ。」
ふぁさぁ
「別にそんなものはいいですよ。さあ、出題してください。」
「・・・では問題です。これから、私は何回くらい宮内さんで遊ぶでしょう!?」
ヴァザァ
「ぐっ・・・も、もしかして無限大、でしょうか?」
「ぴんぽーん!!!さっすが宮内さん、正解ですー!!!
でもね、正確にはわからないんですよね。でもまあ、それくらいはいいだろうって事で。」
「よくありません!!」
「とりあえず今、髪を掻き揚げるのを崩せたし♪」
「あのね・・・。」
「ただ一つ問題がありまして、宮内さんは人間だから百年もすれば寿命が。
となるとあんまり遊べないんですよね〜。」
「ヨウメイさん、あなたって人は・・・。」

<終了です・・・>


第百六十六ページ『春遠し』

「あの、ヨウメイさん。ぼ、僕と・・・」
「お断りします。」
「えっ・・・。」
「私なんかよりもっといい方を見つけてください。
その方がきっとあなたにとって幸せになれるはずです。では。」
「あ、ああー・・・。」
手を伸ばす男子生徒に背を向けて、ヨウメイはすたすたとその場を去って行った。
ここは屋上。ヨウメイを好きになった彼が、告白しようと彼女を手紙で呼び出したのだが・・・。
「はあ、やっぱり手強いなあ。でも、僕はあきらめない!」
ヨウメイのかたくなな瞳を見た後でも、その決心は揺るぎ無いようで、
彼はヨウメイの後を追う形で屋上を後にした。
そして、二人が去った後にひょこっと姿を現す花織とゆかりんと熱美。
「ゆかりん先生、この恋は実るでしょうか?
「うーん、望みの薄い質問ですねえ花織博士。
あたしが思うに、十中八九は玉砕のまま終わるでしょう。」
「やはりですか・・・。楊ちゃんは何故にあそこまで固いのでしょう?」
「一度本人に尋ねてみる必要がありますねえ、うんうん。」
「なにやってんの二人とも・・・。」
妙に解説してる花織とゆかりんに熱美が突っ込む。
ヨウメイの恋が実るなんてことはまだまだ無いようだ。

<ぽっ>


第百六十七ページ『叫ぶ』

ここはキリュウとヨウメイの部屋。
キリュウは試練の計画にいそしみ、ヨウメイは統天書を読みふけっていた。
そんな折・・・。
「あ―――――!!」
「な、なんだ!?」
ヨウメイが突然叫び声を上げた。
ビックリしたキリュウが降り返ると、統天書を目の前に翳しているヨウメイが。
「い―――――!!」
「よ、ヨウメイ殿!?一体どうしたんだ!!」
必死にキリュウが呼びかけるが、ヨウメイはぴくりとも動かない
「う―――――!!」
「ヨウメイ殿!!」
再度の呼びかけ。しかし、やはりヨウメイはそのままである。
「え―――――!!」
「・・・ヨウメイ殿?」
あまりにも変化のないその様子に、キリュウは疑問を抱き始めた。
「お―――――!!」
「まさか・・・。」
疑わしい目つきでキリュウが見始めた頃、ヨウメイは片手を統天書から放して額を拭う。
「よし、あ行終わり!次はか行!」
「やはりか・・・。」
そう、ヨウメイは発声練習をしていたというわけである。
いや、ただてきとーに叫んでいただけかもしれないが。
「か―――――!!」
「五月蝿い!やめろヨウメイ殿!!」

<き―――――!!>


第百六十八ページ『最終戦争』

ズドーン!!!
敵からのミサイル攻撃を受けた楊ちゃん号が落ちて行く・・・。
「くっ、まさかこんなところでやられるなんて。」
「ふははは、私の勝ちだ!!」
「これで勝ったと思わない事ですね。大地ある所空あり!
私は必ず復活します!!」
「やってみせろ。其の時もまた同じ様に倒してみせる!!」
ドカーン!!
柳ちゃん号は楊ちゃん号が大破した事を確認した後に去って行った。

「よし!エンディングはこんなもんかな。」
「何書いてるの、楊ちゃん。」
休み時間、隣でごそごそしているヨウメイの傍に寄る熱美。
「小説書いてるの。それもSF小説!!」
「へえ、どれどれ・・・。」
「これはすごいよ!広大な世界を舞台にしたものだからね。
「・・・なんなのよ、柳ちゃん号って。」
「船の名前。あと、花ちゃん号とゆかちゃん号と熱ちゃん号とあるから。」
「・・・・・・。」
「いつかは起こる最終戦争。その結果は・・・」
「書くのやめたら。」
「えー?なんでよ〜。」
「なんか頭痛くなってきたから・・・。」
顔に手を当てながら、疲れた様に熱美は席に戻った。
「大丈夫?まあ、完成したら一番に読ませてあげるから。」
「いらないってば!」
その後、ゆかりんと花織の猛反発が追加。
ヨウメイは、泣く泣くその作品を統天書内のみに収めることにした。

<いよいよっ>


第百六十九ページ『漫才再び!(小休止)』

キリュウとヨウメイの漫才に耐え切れず、リビングから席を外したたかし。
慌てて電話をかけに向かう。もちろんかける先は七梨家だ。
トゥルルルルル
「早く出ろ、早く出ろ。」
トゥルルルルル
なかなか相手が出ない事に焦るたかし。
こんな電話してる現場を二人に見つかれば何が起こるやらわからないからだ。
ガチャッ
「おおっ!やっと出た!!」
ツーツーツーツー
「あ、あれ?」
「もしもし、七梨ですけど。」
「お、おおっ太助!!」
ツーツーツーツー
「たかしか、どうしたんだ?」
「それが大変なんだ・・・って、後ろでツーツーいってるのはなんだ?」
「気にするな。で、何が大変なんだって?」
ツーツーツーツー
「キリュウちゃんとヨウメイちゃんが、うちに来て漫才やってんだ!!」
「へええ、そりゃラッキーじゃん。面白いものが見れてさ。楽しめてるだろ?」
「お前何言ってんだよ!この前自分で寒いとか言ってただろ!?」
ツーツーツーツー
「寒い?そんな馬鹿な。俺は照れ屋だからな、わざとそう言ったんだよ。」
「なにとち狂った事言ってるんだ!俺はもう限界なんだよ!!」
「・・・もう、心配しなくてもすぐにおかしくてたまらなくなりますってば。」
「へ?」
突然太助の声が変わった。今だ受話器の向こうでツーツーいってる状態だが・・・。
「お、おい太助?ひょ、ひょっとして・・・。」
恐る恐るたかしが振り返ると、そこにはにこにこ顔のヨウメイと、キリュウが立っていた。
「う、うわあっ!!!」
ドスン!!
慌てて尻餅をつくたかし。手から離れた受話器をキリュウが拾い上げ、静かに置いた。
「見事だまされていたようだな、野村殿。」
「へ?」
「どうせこんな事だろうと思ってちょっと後を付けたんです。そしたら案の定・・・。
で、電話をかけてしばらくした後にキリュウさんが電話を切り、私が主様の声真似をしたんですよ。」
「凄いだろう。電話が切れた事にも気付かないほど上手いそれは、まさしく名人芸!!
さあ野村殿、存分に喜ばれよ。」
「は、はは・・・。」
たかし自身は引きつった笑いを浮かべるくらいしか出来なかった。
電話が切れた事くらいに気付かなかったのはよほど気が動転していた所為だろう。
だが、同時に、たしかに凄いものを見せられて、えらく心の中で驚いていた。
「それじゃあ野村さん、漫才の続きやりますから。」
「早く立たれよ。でないと、バケツを持たせるぞ?」
「は?」
さっきの事で少しばかり期待が持て、素直に立ちあがろうとしたたかしだったが、
ここでかくんと動きが止まる。
「いっそのことやかんなんてどうでしょう?」
「鍋をかぶるのも良いな。」
「だめですよ、そうすると私達の漫才が見えなくなるでしょう?」
「おおそれもそうだったな。ではフライパンなんてどうだ?」
「「あははははは!!」」
「・・・・・・・。」
油断したスキに二人の攻撃!たかしは五ポイントの精神ダメージを受けた!!
しかし、今回のヨウメイのモノマネで百ポイント回復。
なんとか続きをできそうである。
「あ、あのさあ、折角モノマネが出来るんだから他にも・・・。」
「そうですか?では漫才は一旦休憩して・・・楊ちゃんのモノマネコーナー!!」
「しっかりと私が突っ込むからな。」
「よろしくお願いしますね。」
なぜかしら和気藹々となった!たかしはこれにより、四十ポイントの回復!
そして、三人はリビングへと戻って行ったのだった。

<今度こそ第四幕へ続く・・・>


第百七十ページ『すこーん』

ぽいっ!
カランカラン・・・。
道を歩いていた男性による空き缶のぽい捨て、それを目の当たりにした。
親友と一緒の、楽しい学校の帰り道に不愉快なものを見せつけられ、
ヨウメイは空き缶をそっと拾う。
「ちょっと楊ちゃん、怒りたいのも分かるけど乱暴はだめだよ。」
そう言ってたしなめているのは熱美。だが、ヨウメイの耳には入っていない。
「何言ってるの熱美ちゃん。ここはがつんと思い知らせてやるべきだよ!」
過激な発言をしているのはゆかりん。だが、それもヨウメイの耳には入っていない。
今にも何かをしそうなヨウメイ。
と、そんな彼女の手から花織がひょいっと空き缶を奪った。
「・・・花織ちゃん?」
「ちょっとやりたい事があるんだ。少し前に山野辺先輩から教えてもらったんだけどね・・・。」
適当に空き缶を捨てた男性のあとをつけていき、ごみ箱が見え出した辺りで立ち止まる。
そして、花織は足元に缶を置き、距離をとった。
「空き缶は・・・・」
「花織、もしかして・・・。」
ぴんときたのか、熱美が口を開くと同時に、花織はだだだっと缶に向かって走り出した。
「ゴミ箱でしょー!!!」
カーン!!
小気味良い缶を蹴る音が辺りに響く。そして蹴られた缶はまっすぐにゴミ箱へ飛んでいき・・・
スコーン!!
見事にゴミ箱へストライク。缶を捨てた男性は、
いきなり缶が飛んできた事に驚き、その衝撃で尻餅を憑いてしまった。
「へえっ!!凄いねえ、花織ちゃん。」
「へへーん、どんなもんだいっ!」
素直に感動して拍手を送るヨウメイに花織は胸を張って得意顔。
同じくゆかりんも花織の勇姿を褒め称えていたのだが、熱美がボソッと。
「でも今のだと、絶対前からスカートの中見えちゃったよね・・・。」
「「「・・・熱美ちゃん!!」」」
とんでもない水さしに怒鳴る三人であったが、彼女の言う事ももっともであった。
缶を蹴る際に、花織は相当高くまで足を上げていたのだから。
「そんな事言うなら、次からは熱美ちゃんがこれやってね。」
「やらないと天罰だからね。」
「花織以上に足を上げる事!当然制服でね。」
不機嫌そうに三人は告げると、すたすたと歩き出した。
ぽつんとそれに残された熱美はあたふたとそれについて行く。
「ちょ、ちょっとー!!冗談でしょー!!?ねえったらあ!!!」
後日、この缶蹴りが果たして本当に行われたかどうかは、花織達のみぞ知る。

<からんからん>