『高級まぐろステーキ』

「高そう…」
名前発見開口一番進出言葉。俺のそれはこれだった。
つーかまぐろ自体ステーキに出来たのか?俺には初耳だ…。
こんな高いものは秋子さんに頼むのが一番なんだが…

「…で、なんでわたしに頼むの?」
俺は名雪と共に商店街へとやってきていた。
部活が休みなので一緒に学校帰りというわけなのだ。
「理由はさもありなん、そもさんせっぱだ」
「訳がわからないんだけど…」
「冗談だ。本を見れば俺が名雪に頼る理由がよくわかるぞ」
「本?説明書きってこと?」
いぶかしげな表情を浮かべる名雪に、元凶とも言うべき本を見せてやる。

『●高級まぐろステーキ
ステーキ然と焼き上げたマグロ
これに合う酒はなんでしょう?』

「…こんなの、お母さんに聞いてみないと」
「だから!それをやるとお酒を飲まされるだろ!?
今回はただでさえ酒の出現度が低いんだ。
こんなキーワード見せたら絶対に秋子さんは!!」
どんっとテーブルに酒を置き…“さあ遠慮無くどうぞ”
笑顔の圧力をかけてくることうけあいだ。
「でも、だからってわたしに頼ってもどうしようもないよ〜」
「お前知らないか?まぐろステーキを置いてある店とか」
「知らなくもないけど高級だよ?普通の食べても意味ないよ?
物凄く高いよ?多分5桁いくよ?そこらへんの事情、祐一わかってるの??」
「………」
ずずいっと名雪が迫る。
実際に体を寄せてるわけじゃなくて、言葉がそうなのだ。
たしかに…高級と名がついてる以上、外で食べようとするのは無謀というもの。
「ちくしょう…高級なんて肩書きさえ無ければ…」
「諦めてお母さんに頼ろう?ね?」
「…ふっ、俺はまだ諦めんぞ。何の為に商店街に来たと思ってるんだ?」
「あゆちゃんなら今日は調子が悪いから家で寝てるって」
「………」
俺の頼りの元は名雪にしっかりとバレていた。
「ちょっと待て、いつあゆと連絡を取り合った?」
「朝。たまたま商店街に寄ったんだよ。
そしたら今日はもう商店街には来ないって言ってたから」
「………」
謎に避けられてるみたいだった。
あゆ、一体どうしたんだ…。
いつもみたいに元気良く食い逃げしてる姿を俺に見せてくれ…。
…俺を巻き込む食い逃げなんざ見たくねえな。
「帰るか…」
「そうだね」
結局何の収穫もないまま、俺達は家路につくことになった。

そして水瀬家。
夕飯として秋子さんは高級まぐろステーキをあっさりと了承してくれた。
「っつーか大丈夫なんですか?家計とか」
「了承」
「いや、でも、これ高級だし…」
「酒が飲ませられるんでしょう?家が火の車になろうと知った事じゃないですよ」
秋子さん、それはさすがにダメでしょ?家主として失格ですよ?
「冗談よ。心配しなくてもできる範囲の物で済ませますから」
笑って背を向ける。鼻歌を歌いながら準備に入る。
相当嬉しそうだ。俺に酒を飲ませて何が嬉しいのか非常に疑問だが…。
っていうか結局酒を飲むことに決定していた。
今後は説明書きにでも酒が出たときはすべてあきらめざるをえないのか…。
あっという間にできた高級まぐろステーキは、真琴も名雪も絶賛していた。
俺も絶賛だ。このほんわかな喉ごしがまた…匂いがいい…。
「いいですね、この酒…」
「以前飲ませてあげられなかったのをやっと手に入れたんですよ。
他にも種類があるんでどんどんいっちゃってください」
「はい!ゴチになりますです!」
いつの間にか俺は酒をしきりに味わっていた。
傍で真琴と名雪はずっと冷ややかな視線を浴びせていた。

<そして二日酔い>


『仔ウサギのリゾット』

「ウサギ…」
こんなものまで要求してくるとはどうかしてるんじゃないのか?
まあ初耳過ぎるのが出まくるのは今に始まった事じゃない。
さあて、商店街でも物色してみるかな…
「あっ、祐一く〜ん!」
思った傍から声が聞こえて来た。
商店街に潜む魔物、あゆの登場だ。
「うぐぅ、ボク魔物じゃないよぅ…」
声に出していたらしい。はたまた読心術か?
いや、それよりはあっという間に俺の目の前にやってきた素早さに驚くべきだろう。
「料理の探し物?」
「そうだ。今日のはなかなか手強いぞ」
「どんなに手強いの?」
「それはだな、あゆに頼らなければならないくらいだ」
「うぐぅ、そうなの?ボク頑張るよ!」
頼りにされてると聞いて腕まくりをする。
コートの袖はすぐに元に戻ったので、結果的に腕まくりにはなってない。
だからあゆは何度も何度も腕まくりを試みる。
…って、無理に腕まくりするなっての。
「余計なアクションはいい。早速本題に入るぞ」
「うぐぅ、ごめんね…」
何謝ってんだよ…。
「腕まくりをしなければならない事なんて気にするな。俺にとってはどうでもいい」
「でも…」
「それよりあゆに望みをかけた理由がある」
「望み?」
「そうだ。たしかあゆは飼育委員一号だったな?」
「…うぐぅ、何それ」
何それだと?
「おい、ピョンタやモコモコはどうした!」
「うぐぅ、そうすごまれても…」
おろおろしてるあゆ。どうやら嘘はついていないようだ。
「あれ?あゆじゃなかったか?飼育委員」
「そんないかがわしい知識どこから仕入れてきたの…」
「異世界からの通信だ」
「………」
呆れ顔。半目なあゆも珍しい。
茶柱みたいに幸運をもたらしてくれそうにはないが…。
「ところであゆ…」
「…見つけた!」
話を続けようとしたところ、別方向から声がした。
二人で振り向くと、そこには厳しい目つきの舞が立っていた。
剣ではない、長い定規を右手に構えている。…学生かばんはどうしたんだ?
「あれっ?たしかあれ、舞さんだよね?」
「しまった、昼間に因縁をつけられてたのを忘れてた…」
「うぐぅ、祐一君一体どんな酷い事したの…」
「何もしてないぞ、ただ本を見せただけだ」
「本ってあの本?」
「そうだ。思えばそれが俺の行動の間違いの始まり…」
びゅんっ!
「どわあっ!」
定規の一撃が頬をかすめる。
長さがそんなに無い分結構かわせる。
今のが剣だったら危なかったぞ…。
「…覚悟、祐一!」
ぶんっ!
「わ、わっ、祐一くん!」
ひゅっ!
「お、落ち着け舞!」
ぱしっ!
「くっ…!」
体をひねり反転させ、一撃一撃をしのぎ…なんとか白刃取りに成功した。
ぎりぎりと込められる力、そして前かがみになっている舞の体重を支えて定規がしなる。
たかだかプラスチックのそれが折れてしまえば、膠着状態が解けて再戦となる。
地面に尻をついた状態の俺は、不利な体勢ながらもきわどくそれを支えていた。
話をするなら今しかない!
「ま、舞、落ち着け。そりゃああんなものを佐祐理さんに頼った俺が悪かった」
「…許さない」
「けど仕方ないだろ?今朝から秋子さんが…」
「ウサギさんは私が護る!!」
ヤバイ、聞く耳持たない状態だ。このままでは…。
「…ねえ、とりこみ中のところ悪いけど、ウサギさんの料理なの?」
横からあゆが話し掛けてくる。このくそ忙しい時に…。
「…そう。だから私は、祐一の魔の手からウサギさんを護る!」
「えっと…どんな料理か見てもいいかな?」
こんな状態のくせに何言ってるんだこいつは。
「今それどころじゃない!」
「でも本が落ちてるし…」
あゆが指差した方向を目だけ動かして見やると、たしかに本が地面に落ちていた。
舞の攻撃をかわしている間に落としてしまったのだろう。
「勝手に見ろ!」
「う、うん、ありがと。えっと…」

『●仔ウサギのリゾット
炒めたお米に
多めのスープと仔うさぎの肉を加え
煮込んで作った食べ物』

「へえ〜、なるほどねえ。だからウサギさんを捕まえようとしたんだ」
うんうんと頷くあゆ。と、舞の目がキラリあゆを睨む。
「…あゆも祐一の手先?」
「えっ?い、いや、じゃなくって…」
突然の視線に動揺するあゆだが、一瞬定規に込められた力が弱まる。今だ!
どかっ!
「うっ!」
やりたくはなかったが、舞の脇腹に蹴りを入れた。
体勢がぐらついたところをすかさず背中に一撃。
ばしっ!
「くっ…えい!」
ばしっ!!
「いでっ!!」
定規によるカウンターが来た。
お互いが逆方向に飛ぶ。どちらも体を反らしたため、ダメージは少なかった。
「すまん舞…だが、お前相手に手加減はできないからな!」
「…祐一、手強くなった」
距離をおいて、再び膠着状態。
一歩踏み出せばまた再戦だ。さあ、どうする…!!
「あ、あのう…」
一連の動作を見ていたあゆがまだいた。
もう無視だ。あゆの相手をしたほうがやられる。それはさっきの事で立証済みだ。
「無理にウサギなんて捕まえなくても、ボクそういう料理屋知ってるんだけど…」
「なにっ!?」
さすがにこれは無視できなかった。とっさに俺はあゆに顔を向ける。
ひゅんっ
空気が動いた。
気が付いたその時には、身をかがめ素早く迫った舞が目の前にいた。
ばしいいいっ!
強烈な一撃が顔の真ん中に走る。
…ふっ、負けたぜ舞…。
どさり
ゆっくりと俺はその場に崩れ落ちた。
「ゆ、祐一くん!祐一くん!!」
「…次はあゆ」
「う、うぐぅ!?ボ、ボクは関係ないよ!!」
「ウサギさんを食べようとした」
「うぐぅ……。ゴメンね祐一君!!」
だっ
…逃げたなあゆ。
「あとで必ず迎えに来るから!!」
「…逃がさない」
だっ
舞も後を追っていったようだ…。
俺は…冷たい雪の上に寝っ転がったまま…。
料理一つ食べるのも大変だな…ちくしょう…。

日も暮れた頃。
なんとかダメージから回復して起き上がった俺は、あゆと再会した。
日頃の食い逃げで訓練されていたあゆはなんとか舞から逃げ切り、俺を迎えにきたのだ。
…っていうか、あゆが迎えにくるまで誰にも助けられなかった俺は不運すぎる。
だが、肝心の料理はあゆの案内で事無きを得たのだ。
ウサギ料理を出してる店…こんなものがあったとは…。
「で、これ商店街の飲食店のみで使える割引券。
袖の中に入れちゃってたからね、取るのに苦労したよ」
「なるほど…」
袖まくりしてたのはそういうわけだったのか。
だったら最初っから言えって気もするが…。
なにはともあれ、無事に仔ウサギのリゾットを食すことはできた。
あゆのおかげだ。だから俺の奢りだ。割引券のおかげで安くついたしな。
…なんでそんなものあゆが持ってたか謎だが。
しかしこの後…俺達が店から出るところを舞が待ち構えていたということを、
俺とあゆは知るよしもなかった。

<成敗!>


『極楽ドリア』

こんな料理が出るようじゃ世も末だ…。
などと嘆いてはいけない。こんな挑戦は是非受けてたとう。
しかし俺一人の力ではおそらく歯が立つまい。ここは強力な助っ人に頼らなければ!

「嫌よ」
強力な助っ人は料理名を聞いただけで即答した。
さすが強力なだけのことはある、判断が早い。
「頼むよ香里、知恵を貸してくれ」
「面倒ごとは嫌いよ」
「そう言わずに。せめて説明書きを読んでヒントぐらいくれよ」
「ったく、しょうがないわね…」
しぶしぶながらも、香里は本を見やった。

『●極楽ドリア
調和の美しさは存在する物の真理
食も曲も文も舞も電子遊戯も』

「…何よこれ」
「極楽ドリアだ」
「そんなの分かってるわよ。こんな説明で何が出来るって言うのよ」
「それがわからないから香里に頼っているんだ」
「………」
黙り込んでしまった。それでも何かを考えている様だ。
さすが香里だ。ばっちりいい案を出してくれ。
「閃いたわ」
「おおっ!早いな!」
「今思い付いたやつだけどね。5つあるでしょ?キーワードが」
「キーワード?」
聞き返すと、香里は“ほらこれよ”と言葉を指差す。
「食、曲、文、舞、電子遊戯。これらを使えばいいんじゃないかしら」
「食?曲?文?舞?電子遊戯?…なるほど!」
あっさりと俺も閃いた。香里のおかげだ。
「さんきゅうな、香里!」
「どういたしまして…って、どうするつもり?」
「ふっ、まずは食…名雪!!」
ばっと後ろを振り向く。机に突っ伏していた名雪がのそりと顔を上げた。
「…うにゅ?」
「お前、イチゴに関しては食!だな」
「うにゅ…」
「よしっ、一人目確保!次は曲だ!!」
まだ寝ぼけている名雪の手を掴んで駆け出す。
教室を出る時に香里の声が聞こえてきた。
「…呆れた」
もちろんそれは無視したのだった。

学校に備え付けの電話へとやってくる。そして家に電話。
何が目的かというと、それはもちろん真琴を呼び出す事だ。
トゥルルルル
ガチャッ
おっ、出たな。
「あぅーっ、水瀬です」
「…真琴、お前もうちょっと普通に出ろよ」
「祐一?どうしたの?」
「今すぐ学校まで来い」
「ええっ?なんでよ」
「肉まんがお前を待ってるかもだぞ」
「えええっ!?行く行く!すぐに行く!!」
ガチャッ、ツーツーツー…
………。
俺はなんだか情けなくなってきたぞ。
「…ねえ祐一」
「なんだ名雪、今はとりこみ中だ」
「一体何がどうしたの?」
「それはいずれ分かる」
「もう放課後なのに真琴を学校に呼んだし…」
「真琴は曲がった奴だから曲!だ」
「意味が分かんないんだけど…」
「気にするな」
「それにわたしが“食”ってどういう…」
「さあて、次の人物を確保するぞ!」
?マークをいっぱい頭に浮かべている名雪を引っ張り、
俺は一年生の教室へと向かった。

そして…栞を発見!
「よお栞」
「あれっ、祐一さん?それに名雪さんも…どうしたんですか?」
「それが、祐一が強引に…」
疑問人間に引き込もうとする名雪をずいっと後ろに下がらせる。
「栞、お前は絵を描くな?」
「えっ?は、はい…」
「絵を描くには筆を使うな?」
「はい、そうですけど」
「筆って文を書くのにも使うよな?」
「そうですね、習字とかありますし」
「よし!それでこそ栞、文!だ」
「???」
しまった、栞も疑問人間になってしまったみたいだ…。
しかしここで躊躇していても仕方ない。次なる人物の確保だ!!
「よし栞、名雪、行くぞ!」
「わっ、わっ、祐一さん!」
「祐一、そんなに強く引っ張らないでよ〜」
後ろのやじも関係無く、俺はダッシュした。

そして…三年生の教室。
いや、その途中で目的の人物に出会う事が出来た。
「よお舞!」
「………」
「舞、お前は文句無しに舞!だ」
「…?」
「やったな!さあ行くぞ!!」
「???」
強引に三人を引っ張る。
ちなみに今日は舞の傍に佐祐理さんはいなかった。
どうやらお休みだとか…ならばしょうがないか。

わたわたしながらもさせながらも、校門。
するとそこには、丁度真琴がやってきていた。
「祐一ぃーっ!」
「おお真琴!いつもいつもイタズラかます曲がった根性!だからお前は曲!だ」
「あぅーっ、何よそれえ!!」
ばこっ
パンチが飛んできた。
幸い急所は外れて居たので助かったが。
「そんなことより肉まんは?」
「ふっ、俺は“待ってるかも”と言ったんだ。確実にあるとは言ってないぞ?」
「ちょっと!そんなのズルイ!!」
「騙されて来たお前が悪いんだろが…。
しかしだ、それは俺が真琴に頼みがあったから呼んだんだ」
「えっ?真琴に頼み?」
「そうだ。さてと、次は商店街だぞ!」
「う、うん!」
頼みと聞いてころっと笑顔になった。
騙されたとはいえ、頼りにされると気分は悪くないというとこだろうか。
「あの、名雪さん。一体何がどうなってるんですか?」
「それがわたしにもわからないんだよ。“お前は食!”とか言って…」
「舞さんもそういうので連れられたんですよね?」
「………(こくり)」
「うーん、祐一さんには何の目的が…」
後ろでひそひそと交わされる会話。
残念ながら丸聞こえだぞ。心配するな、商店街ですべてを明かす!

…そして、五人でやってきた商店街。
俺の目的の人物はあっさりと見つかった。
クレープ屋の前でうろうろとしている。
「あっ、あそこのクレープ屋って美味しいんだよ」
「本当ですか?」
「うんっ。栞ちゃん、食べよう?」
「えっ、で、でも…」
「舞さんもどうかな?真琴も食べない?」
「…クレープ、嫌いじゃない」
「あぅーっ、食べたい食べたい!でもお金が…」
「大丈夫だよ、どうせ祐一の奢りだし」
「コラ!!」
勝手にわめいてる奴等を一喝する。
さて、話を進めなければ。
「おーい、あゆ!」
「ん?あ、祐一君!…と、大勢?」
名雪達は大勢でくくられてしまった。
それとはお構い無しにあゆはこちらへと駆けてきた。
「どうしたの、こんなところで集まって」
それについてはまた後にしよう。
「あゆ、お前はよく遊ばれてるな?」
「うぐぅ、それは祐一君が意地悪ばっかり言うからだよ」
「反論するな。あゆ、いつも遊ばれてるお前はまさに遊戯!」
「うぐぅ、違うよっ!」
「今はデジタルな時代だからな。だからあゆ、お前はまさに電子遊戯!だ」
「うぐぅ、言ってる事がさっぱりわからないんだけど…」
「ふっ、それはだな…」
と、俺は全員の顔を見やる。
そして説明を始めた。わざわざ5人を集めた理由を。
今日の料理を、名前を、説明書きを!

…その後。皆で水瀬家に帰ってきた俺達。
何故か俺は食卓の椅子に縛り付けられていた。
「おい!これほどけ!!」
「だめだよ祐一。調和を全部無理矢理試してもらうんだからね」
「もうすぐできるよ、たい焼きドリア」
「バニラアイスドリアももうすぐです」
「…牛丼&タコさんウインナードリア」
「肉まんドリア、ばっちりよぅ!」
調和。それを目指して各人の好物を含ませたドリアを考案しているのだ。
そして試食係はこの俺。吐く事は厳禁なのだ。その時点で俺は…
「うわーっ!助けてくれー!!」
「よーしっ、いちごドリアもあとちょっとだよ」
「あら、私のジャムドリアももうすぐね」
俺の叫びなどお構い無しだ。
更になんと、秋子さんも混じっているのだ。
…もしかして俺はとんでもない事をやらかしていたのかもしれない。
そう頭で思いながら食べた(食べさせられた)様々なドリアは…
ある真理を教えてくれた様な気がした。

<人の思い付きで実行しちゃ駄目よ>


『黒龍“石田屋”』

「これ一度飲まなかったっけ?」
そう、一冊目の時だ。
あの時はたしか水と偽られてそれをくいくいとやらされて…
「そして二日酔いになったっけ」
酒を飲むたびに味わって来た二日酔い。
ガンガンのズキズキのウィンウィンのキシャーキシャーは我慢できるものでもない。
だから酒は、飲むのを極力遠慮したいのだ。
しかし…それでも本は容赦無く酒を突き出してくる。
「なんにせよ秋子さんに相談するしかないんだよな…」
「はいどうぞ」
「うわあっ!!」
机に向かっている俺の脇からすっとコップが差し出される。
危うくひっくり返りそうになった俺だが、なんとか耐えた。
コップになみなみと入ってる液体もこぼれずに済んだ。
「祐一さん?どうしたんですか?」
「…秋子さん、突然ものを差し出さないでください」
「あらあら、ごめんなさいね。お酒となると舞い上がってしまったものですから」
お酒で舞い上がる…別の意味で舞い上がってるよな、絶対…。
「で、これってもしかして…」
「ええ、黒龍ですよ。瓶はさすがにきついでしょうから、コップ一杯にしました」
きついというかなんというか、本当なら堂々と飲んでいい立場ではないのだ俺は。
しかし秋子さんの了承を拒否するわけにもいかない。
というよりは、飲まなければいけないのだ、これを。
「…えっと、ではいただきます」
「ええ。さ、どうぞ」
コップを手に持つ。口へ運ぶ。
ちびっ
「…うーん、相変わらず酒、ですね…」
「そりゃあお酒ですから」
しまった、我ながらなんてつまらない感想を言ってしまったんだろう。
笑顔とはいえ、秋子さんの表情がなんともつらく見える。
「えーっと、えーっと…」
「無理に感想を述べようとしなくてもいいですよ。ほら、説明書きにも…」

『●黒龍“石田屋”
長期熟成純米大吟醸。極限の精米の
末に得た味はどう表すべきだろうか
値段も一級品』

「…ね?言葉ではなかなか言い表せないものなんですよ」
「なるほど…」
惑っている俺を察知してくれた秋子さんはさすがだ。
しかし説明を見て俺は気になることがあった。
“値段も一級品”
…いや、気にしてはいけないんだろうな。
更に気になると言えば…
秋子さんがいつ本の中身を知ったのかという事だが…。

<それは企業秘密です>


『ココナッツミルク』

料理名、説明文を見て、俺は決心した。
いつまでものうのうとしていられない。
自ら食材を求め、自らそれを料理し、目的のものを得る…。
そうだ、もともとそれがこの本の主旨だ。
今頃深く認識するなんてどうかしてるよな。

「そんなわけで名雪、俺は南の国へ旅立つ事にした」
「…嘘、だよね?」
名雪は信じられないといった顔で俺を見る。
震えてる瞳に少し心が痛んだ。
「じゃ」
「じゃ、じゃないよ〜」
腕を掴む名雪。往生際が悪いぞ。
「じゅ」
「じゅ、でもないよ〜」
力がぎゅっと強まる。いいかげん放してくれ。
「じょ」
「じょ、でもないよ〜」
更に更に力が強まった。このままじゃあ進めないだろうが。
「…詰まった」
「詰まった、じゃないよ〜」
観念して、進めようとする足を止める。
「そういう事じゃない。俺の手詰まりを考慮していたとはさすがだな」
「う〜、南の国になんて行かなくても…」
残念ながらこれは譲れない。
「名雪、これを見ろ」
「どれ…?」

『●ココナッツミルク
ココナッツミルクに牛乳と砂糖を
加えて作ったデザート
タピオカのアクセントが心地よい』

この説明文で、俺がああ言った理由がわかっただろう。
「ココナッツと言えば南の国だ。たまには自力で材料を集める。そうするべきだ」
「商店街に行けば手に入るよ」
………。
「…それもそうか」
「でも…祐一がそこまで決心したのならもう止めない事にするよ」
そう言って名雪は掴んでいた俺の手をするりと放した。
「なんだ、やけに素直だな…っていうか、いいのか?」
「うんっ、理由が分かれば止める必要も無いからね」
そういうもんだろうか…。
まあいい。男が決心したことを曲げてはいけない。
たとえ商店街で楽に手に入るものだろうと、妥協は許されないのだ。
「じゃあ今度こそ行ってくる」
「うんっ、行ってらっしゃい。さあて、わたしはおやつを食べようっと」
手を振った後名雪は踵を返す。
おやつ…初耳だ。
「おやつなんてあったのか?」
「うん。今朝お母さんが作ったココナッツミルクが冷蔵庫にあるんだよ。
でも二つしかなくてね。よかった、祐一が出かけるんだからわたしと真琴で食べちゃうね」
………。
なるほど、そういうオチだったか。
「って、そういう事は先に言え!!」
「うん、今度からそうするよ。じゃあね祐一、行ってらっしゃい」
にこやかに手を振る名雪。ここで引き下がるわけにはいかない。
「待て待て待て!家にあるなら俺はそれを食う!!」
「…それでこそ祐一だね♪」
名雪は唐突に今までとは違った笑顔になった。
「…どういうことだ?」
「自分の気分と都合で動いてる所♪」
………。
まんまと一杯食わされた気分だった。
そして俺は素直にココナッツミルクをいっぱい食わされた。

<あーしょーもな>


『心踊るテンダー』

「心踊るなら舞に任せましょうっ」
佐祐理さんに相談の結果、はじき出された答えはこれだった。
具体的料理の名前じゃなくて変な肩書きが付いた料理。
これは一体どういうことなのだろうか?
などと思いつつ聞いてみると…そう答えたのだ、佐祐理さんは。
「舞はダンスが上手いんですよ、実は」
舞踏会の時にはぎくしゃくとしていた気もするのだが…
という以前に何の関係があるんだ?
「ばっちり踊ってくれますよ」
…なんというか、理由は予想していたものであった。
「それに、舞、ですからね。もうぴったりこの上ないですよっ。あはははーっ」
…佐祐理さん、もしかして俺と似た思考をしてるのでは?
(以前舞にシュウマイを頼もうとして、俺は非難を浴びた)
「それでなくとも、舞が作る手料理ですから。
心踊らないはずが無いですっ」
本当言うと、そっちが本命だ。
舞が作った料理など、まず食べられる機会が無いしな。
しかし…。
「なあ佐祐理さん」
「はい?」
「今までに舞が作った料理で俺が食った物って何があったっけ…」
「えーと…まずいデザートがありますね」
…最悪だ。
本当に心躍らせていいのか?
不安の色が顔に濃く表わす。
と、佐祐理さんは首を少し横に振った。
「祐一さん」
「うん?」
「自ずとまずい料理を作れる人ってのはそうそういないんですよ」
「は、はあ…」
「だから本当に…大丈夫です」
「…そうだな。俺、舞を信じるよ」
「はいっ。じゃあ早速舞に伝えてきますね」
ぱたぱたと去ってゆく佐祐理さん。
いつもは昼休みに会おうとするから、少し時間をとらせてしまったかもしれない…。
なんにせよ、後の連絡を待とう。

…そして、夕刻。
佐祐理さんにお呼ばれして、俺は目的のものを食した。
大きな皿にまるまると乗っていたそれは、外見だけでも食欲をそそるものだったのだ。

『●心踊るテンダー
小躍りしたくなるほどの美味しさが
秘められたテンダーロインステーキ』

「祐一…美味しい?」
「ああ、美味いぞ。とっても」
「よかった」
エプロンを付けた舞、そして佐祐理さんが俺を見守っている。
食事中に視線を浴びると、こうも照れくさくなるものだろうか。
なるべく平然を装っていた俺だったが…
体の内では、跳ねて踊りたくなるのを必死にこらえていたのだった。

<うめ〜>


『こんにゃくゼリー』

これまたポピュラーなものが出たもんだ。
「こういうのを見るとホッとするなあ…」
休み時間に一人呟く。
なかなかどうして、休憩どころというものをそれなりに考えている本ではなかろうか。
…いやいや、そこで甘く見てはいけない。これは危険食物の予兆かもしれない!
なんて身構えるのはさておき、この食物は一時はやりにはやったものだと記憶している。
もちろん今も名前が良く知れた物であることには間違い無いだろう。
スーパーにでも行けば簡単に手に入る品だ。余裕で構えておくとしよう。
ちなみにこれは良くないニュースでも名前を聞いた事がある。
たしか…年寄りか誰かがほとんど噛まずに飲んでしまって、喉を詰まらせたとか。
「年寄り、か…」
ふと、頼るとすれば誰に頼ろうか案が頭の中を駆け巡る。
何気なく吐き出した言葉から、ある一人の人物が突き当たった。
だが…俺はすぐにその人物の画像を、頭を振ってその中から追い出した。
「いくらなんでも年寄りじゃないだろ。おばさんくさいところもたしかにあるが…」
「悪かったですね」
「へ?どわあっ!!」
唐突に横から言葉が返ってくる。
びっくりして危うく椅子から落ちそうになった俺であった。
「ふう、ふう…あ、天野?」
振り返ると、俺のすぐ横に天野美汐が立っていた。
その顔は非常に不機嫌そうだ。どんよりどよどよ、天気は曇りのち雨。
「どうせ私は年寄りですよ」
「いや、だから違うって…」
誰を想像していたかというのを完璧に読まれていたようだ。
いかん、天野の俺に対する印象がどんどん悪くなってしまう。
「おっちゃんなんて呼ばないでください。せめておばちゃんにしてください」
「おい…」
更に余計なクレームをつけられた。
「というか俺、天野の事おっちゃんなんて呼んだ事あったか?」
「予防策です」
要らない予防策だと思うんだが…。
「とにかく相沢さん、私に100円を入れてもこんにゃくゼリーは出てきませんからね」
「お前は自動販売機か」
「違います。だからそれを厳しく言いに来たんです」
余計な労力をまた…。
天野の将来が非常に心配になってきたぞ。
「それでは失礼します」
「………」
言いたい事を言い終えたのか、天野はそこでくるりと去っていった。
彼女が教室から出ていった後、クラス中から俺に視線が集まる。
もちろんその中には名雪や香里の視線も…。
「祐一、美汐ちゃんは自動販売機じゃないんだよ?」
「言われなくてもそんな事は百も承知だ」
「どうだか。更に女の子をおっちゃん呼ばわりするなんて、男の風上にもおけないわね」
「だから俺はそんな事言ってないって」
二人からあらぬ疑いをかけられる。というか俺の信用度はゼロだった。
突然やってきた天野の言葉をホイホイと信用している…。

『●こんにゃくゼリー
こんにゃくに果汁で味をつけ固めた
新食感のゼリー
プルプルとした強い弾力が魅力』

「くそっ、なんだかムカツク…!」
凝視を無視し、改めて本を見直すと俺はその説明文に憤りを覚えた。
穏やかな最初の気持ちはどこへやら。俺には腹立たしいことこの上なかった。
「よし!相沢のおごりだ!」
どごっ!!
「…いいパンチしてるぜ…」
どさっ
背後から叫んだ北川を一撃の元に葬り去る。
怒りが更に増したはずだが、今ので少し気分が軽くなった。
さすが北川だ、いい位置にいたもんだぜ。
普段は前の席から叫んでくるというのに、便利な奴だ

…結局。俺はおとなしくスーパーで目的の物を買って食したのであった。

<ぷにょんぷにょん>


『サーモンオムレツ』

「条件次第でたまにはわたしが作ってもいいよ」
寝起き一番。名雪ははっきりと俺に告げた。
目が寝ているくせにはっきりなんてのは矛盾している気もするが、この際無視だ。
作ってくれるというのなら喜んでそれに甘えよう。
おごりが絡んでくる条件じゃないかって?
たしかに普段からタカりはかけてくるが、名雪はそこまですさんじゃいない。
まあ、以前本を燃やされかけた事もあったが…。
家出とかしてまで逃げ出したくなるほどの酷い環境ではないのだ。
…微妙な位置だな、俺って。
さてと、名雪が出した肝心の条件というのは…。
「お客さん連れてきてよ。その人と一緒に作るから」
というものだ。
お客さんというからには、秋子さんであってはならない。真琴であってはならない。
あゆは間違いなく却下。香里もこの際遠慮しよう。
一番は料理が得意な佐祐理さんなんだが…。
一つひねりを入れるのもいいだろう。

「…で、私ですか?」
「そうだ天野。お前料理は得意だったよな」
「そういうわけでは…」
「何を謙遜してるんだ。以前ふるまってくれた鮭の踊り食いはなかなかだったぞ」
「そのような物を相沢さんにご馳走した覚えはありませんが…」
動揺している天野ではあったが、俺の誘いはOKしてくれた。
商店街で材料も買い揃え、水瀬家への帰路につく。
俺としては非常に楽しみだ。この二人は一体どんな料理を作ってくれるのか…
って、作る料理はすでに決まってるんだけどな。

夕刻。エプロンを身につけて台所に立つ名雪と天野に本を見せた。

『●サーモンオムレツ
新鮮なサーモンの切り身を
たっぷりと加えて作ったオムレツ』

「…ふむふむ、これは作り応えがありそうだね」
「よろしくお願いします、水瀬さん」
「ん〜…なゆちゃんでいいよ」
「いえ、仮じゃなくとも先輩ですので…」
仮じゃなくともってどういうことなんだか…。
お互いに面識はあっただろうが、まだそう打ち解けてる訳でもなかったようだ。
「せめて名前で呼んでよ、美汐ちゃん」
「わかりました、名雪ちゃんと呼びます」
「わっ…」
「…いえ、冗談です」
なかなかな冗談をかますやつだな。
っていうか、肝心の料理の事をしっかり頭に入れてるんだろうか?
「さてと!それじゃあ美汐ちゃんは具の方をお願いするね」
「了解しました。名雪さんに外回りをお願いします」
「う〜、失敗したらゴメンね」
「私は気にしませんから、大丈夫です。私の方こそ失敗したらすいません」
「ううん、わたしも気にしないから心配しなくていいよ」
失敗したら…俺が非常に気にするぞ。
しかし作られる立場としては、あまりでしゃばった事は言えない。
「じゃあよろしく頼んだぞ、二人とも」
「うん、祐一はテレビでも見て待ってて」
「とびっきりのものをご馳走しますよ」
なんだかんだで、二人はいい調子に張り切っている。
大人しく任せるとして、俺はその場を後にした。

そのまま待つ事適時。
二人に呼ばれて台所に顔を出すと、食卓には見事料理が出来上がっていた。
見た目も匂いも申し分ない。そして一口味わってみた。
「…美味い!!さすがだぞ名雪、天野!!」
ごきげんの笑顔で二人に告げてやる。
ところが、その二人は不機嫌そうな顔で俺を睨んでいた。
「…どうした?」
「祐一、つまみ食いは駄目だよ」
「お行儀悪いです」
「す、すまん…」
俺とした事がついはしたない真似をしてしまった。
そこは非を認めて素直に謝る。
「それにね、祐一。わたしは作るとは言ったけどご馳走するとは言ってないからね」
「は?」
「これは真琴、秋子さん、名雪さん、そして私で食べるのです」
「え…」
「だから早くお母さんと真琴呼んできて。冷めちゃうから」
「おい…」
「相沢さん、ご愁傷様でした」
「ちょっと待てよ!そりゃないだろ!!?」
信じられない言葉を投げかけられた。
しばらく言い争うも二人はまったく取り合ってくれない。
しまいに呆然としていると…
「さすがに冗談だよ」
「ご心配なく、ちゃんと相沢さんの分がありますから」
と、笑いながら声をかけられた。
結局俺はからかわれていただけなのかよ…。
それでも、美味この上ないオムレツに、悪い気はしなかった。
それに、鮭と酒が繋がってこなかったし。

<次は誰と作ろうかな〜>


『三倍増醸酒』

「酒かよ…」
名前を見れば一発でわかるそれは以前も飲んだ記憶がある。
…同じ酒を既に飲んだ事がある時点で俺はヤバイぞ。
とにかくまずい酒だった。二日酔いの伴侶とか言ってたが…
同じ酒でもこうも違うのかと思うくらいに飲みたくない代物だった。
それを再び飲まなければならないとは…。
「祐一さん」
「ああ、秋子さん…キャーッ!!?」
気が付けば秋子さんの顔がそこにあった。
そして今の状況は…俺は風呂に入っている最中なのだ!
…しかし、叫び声をあげたものの、俺は既に湯船の中。
びっくりはしたものの、特に覗かれて困る位置でもなく…
「って、やっぱ覗かれるのは勘弁ですって!」
「覗きに来たんじゃないですよ。堂々といるじゃありませんか」
「はあ、たしかに…」
秋子さんの言う通りだ。覗くというのはこそこそと物陰から…
「じゃなくて!な、何か用ですか!?」
「祐一さん…」
慌てて尋ねると、秋子さんは自らの懐にゆっくりと手を入れた。
な!?ま、まさか一緒に入るとか言い出さないだろうな!!?
思わず身構える。すると、取り出された彼女の手には…
キラン
小さな瓶があった。
「…なんですか、それ」
「三倍増醸酒ですよ。こんな物を出すのは不本意ですが…。
本の内容がこれですので仕方ないですよね」
「は、はあ…」
「でも、せめて湯船に浸かりながらだと多少美味しくなるんじゃないかと思って」
「な、なるほど…」
今日の事をふと思い返してみる。
そういえば秋子さんは食事時にはまったく酒については触れなかった。
いや、単に俺が話してなかっただけなんだけどな。
…いつの間に料理名を知ったのかは考えてはいけない。
「さあどうぞ」

『●三倍増醸酒
良酒と悪酒の最大の違いは後味か
これは全ての酒に言える事だが』

いつのまにかお盆も用意されていた。
その上に小瓶が乗っかり、盆ごと湯船に浮かべられる…。
「…って、あのー」
「なんですか?」
「いくらなんでもこういう渡し方ってのは…」
非常識な気がするんですけど。
「…了承」
「………」
…何が了承なんですか、秋子さん。
心の中で密かに溜息を吐く。
用が済むと、秋子さんはそのまま出ていった。
ふに落ちなかった俺だが、大人しく酒を飲む。
………
「…まずい」
後味の悪さをふんだんに感じた。これは悪酒だ。
雰囲気で美味しくなるならたしかに苦労はないんだが…。

<また二日酔い>