『幸せのカマ焼き』

「幸せ、か…」
こんな変な本が来た時点で既に俺は幸せじゃない。
などと愚痴るのは今度にしておこう。
ちなみに俺のすぐ近くには、簡単に幸せになれる奴が居る。
それは、今俺の目の前で…
「わたし、幸せ♪」
笑顔でイチゴサンデーを食している名雪だ。
学校帰り。百花屋にて俺が奢ってやったのだ。
たしか税別780円だっけ。この程度で幸せになれるとは…。
「名雪、俺はお前がうらやましいよ」
「うん、ありがとう祐一」
ほくほくの笑顔。今名雪の頭の中にはたくさんのイチゴサンデーが所狭しと駆け巡っているのだろう。
“あはは〜、待てイチゴサンデーA〜”
“捕まらないよ〜だ、イチゴサンデーB〜”
“うえーん、そんなに走らないでよイチゴサンデーC〜”
わしゃわしゃわしゃがしゃがしゃがしゃ
………。
恐い想像をしてしまった。
「名雪、お前の頭の中って一体どうなってるんだ…」
「え?何?」
「…いや、なんでもない」
「変な祐一」
一度首を傾げただけで名雪はすぐに食べに戻る。
そんなこんなで…

「ごちそうさま」
カラン、と鉄のスプーンがガラス容器で音を立てる。
合計三杯を名雪はたいらげていた。
まったくもって良く食べる奴だな…。
「じゃあ祐一、今度はわたしが奢る番だね」
すっと名雪が立ち上がる。自信満々だ。やけに清々しい。
…多分イチゴサンデーを食べたからだろうな。
「よし、頼んだぞ。じゃあ俺は勘定払ってくるから」
「うん」
先に名雪に店の外へ出てもらう。
そう、これは交換条件なのだ。
俺が名雪に、幸せの元“イチゴサンデー”を奢る。
そのお返しとして名雪が…

『●幸せのカマ焼き
マグロは本当に場所によって様々な
味わいがある
カマはまさに幸せの象徴』

…を、俺に奢る。
“幸せ”というキーワードが元となり、名雪はあっさりそれに応じてくれた。
本当言うとこっちの方が断然高そうなんだが…。
しかしチャラだろうな。イチゴサンデー3杯は結構な額だった…。

店の外。肝心の名雪の姿はなかった。
「…あのアマ、逃げやがった」
即座に俺は追跡を開始した。名雪が行きそうな店をしらみつぶしに廻る…。
一軒のおもちゃ屋。そこに名雪は居た。
「見つけたぞ名雪!」
「…ちっ、見つかっちゃったよ」
あっさりと吐き捨てて、名雪はくるりと後ろを向ける。
どどどどど
なにっ、店の奥に行っただと!?仕方ない、追いかける!!
店内に侵入。すると店主に行く手をはばまれた。
「ここを通りたければイチゴサンデーを出しな」
「くっ、さっき奢ったばかりなのに!!」

「…祐一祐一」
「おお、名雪」
「どうしたの?ボーっとして」
「いやなに、少し追跡をかけていたんだ」
「???」
これから先どんな幸せが待っているかと思うと、心の中はやけに踊る。
ついつい素敵な想像をしてしまうものだ。
…やけに殺伐としてた気がするのは気の所為か?
などとやっているうちに、カマとやらを売られている店に到着。
ただの魚屋だ。マグロの一部というからには、魚屋で聞くのが一番だろう。
「すみません、カマください」
名雪が店主に呼びかける。すると店主は草刈り用の鎌を持ってきた。
「これでいいのかい?」
って、なんでそんなもん魚屋に売ってるんだ。
「はいっ。ありがとうございます」
お金と引き換えに名雪がそれを受け取ろうとする。
「こらこらこら!そのカマじゃないだろう!?」
「うー、違うの?」
「違う!お前絶対わざとやってるだろ…」
「冗談だよ。おじさん、カマ焼きってのが欲しいんですけど…」
「ああ、そのカマか。ちょっと待ってな」
次に店主が取り出したのは、大きなお釜だった。
「ほら、これで焼くといい」
「ありがとうございます」
そして再び名雪はお金と引き換えに…
「って、こらー!!その釜じゃないー!!」

…結局、変なボケに散々振り回されながらも、俺はなんとかカマ焼きを口にする事が出来た。
ううん、不思議だ。ちっとも幸せ気分じゃないぞ。
などと思っていてはいけない。これは幸せのカマ焼きなんだ。
そうか!やっと手に入れられて幸せということだ!!
「…ふざけんな」
それでも、幸せに食べなきゃいけないので幸せに食した。
「祐一、幸せ?」
「多分な…」

<すっごく理不尽だ>


『至高のいちご煮』

「やったよ、いちごだよ。もう無いかと思って諦めてたんだけど万歳だよ〜」
朝一番。名雪は部屋に駆け込んできた。そしてばふっとベッドの上に座り飛び込んでくる。
最近思うのは、俺より早く本の中身を認識している周囲の面々が居る事だ。
だいたい、朝一番という要素からしてすでに…
「祐一起きてよ。今日はいちごだよ〜」
「…わかったわかった。わかったからどいてくれ」
「うー。いちごなのに…」
ベッドの上に乗っかってきた名雪がしぶしぶ移動する。
いちごと移動と何が関係あるんだか…。
眠たい目をこすりながら、俺は名雪の主張するいちご料理を確認した。

『●至高のいちご煮
ダシ用のウニと食用のウニを別個に
使った犯罪的な吸い物』

「…おい名雪」
「うーん、たしかにイチゴのだしでイチゴを煮たら犯罪的だよ」
んな面倒なこと誰がするってんだ。
それよりも…
「名雪、よく見ろ。これはイチゴ料理じゃないだろ?」
「でも至高って書いてあるよ」
「そういう問題じゃなくてだな。説明文をちゃんと読んだか?」
「祐一知らないの?イチゴの別名はウニって言うんだよ。学生の常識だよ?」
んな学校をなめた常識があってたまるか。
「さてと、また秋子さんに頼むしかないな…」
「あ、心配しなくてもわたしが頼んでおくよ」
言って名雪は駆け出そうとする。
慌てて俺はその腕をぐいっとつかんだ。
すぽん
「おわあっ!」
瞬間、名雪の腕がすっぽぬけた。
こ、これって空蝉の術ってやつか!?
「お母さ〜ん、今日はイチゴ煮だよ〜!」
俺が唖然としてる間に名雪はたたたと駆けてゆく。
「待て名雪!」
ひるまずに体を起こして追いかけようとするが…
ばさあっ!
「ぬをっ!?こ、これは投網!?」
網が上から覆い被さってきた。体に絡まり、身動きが取れなくなる。
じたばたしてる間に…名雪は悠々と階下へ降りていった。
「いつの間にこんなトラップを…」

数分後。感心と呆れが入り交じった複雑な心境で罠から抜け出す。
一階へ降りて食卓に顔を出すと、案の定というか机に突っ伏して名雪がふてくされていた。
多分秋子さんに説得されたんだろうな。
「うー、イチゴなのに…。至高なのに…。祐一から了承もらったのに…」
嘘を呟くな、嘘を…。
その横では、真琴があぅあぅ言いながら名雪を慰めようとしている。
朝から大変だな、お前も。…俺はもっと大変だったが。
「おはようございます、祐一さん」
「おはようございます。えっと、秋子さん…」
「ああ、名雪から聞いてますよ。今夜はいちご煮です。
ダシと食用と分けてウニを使うなんて確かに贅沢ですけどね…。
そこは心配しなくて大丈夫ですよ」
「お願いします」
すべてをわかっているようだった。さすがは秋子さんだ。
そして俺は、夜を心待ちにして名雪と共に登校する。
「うー、あんなの偽イチゴ煮だよ…」
「いいかげんにしろっての」
学校に居る間中、名雪はずっとふてくされていた。

<こんなんまず食べられない>


『舌平目の果実ソース』

『●舌平目の果実ソース
身の締まった舌ビラメを蒸して
上質のオレンジで作ったソースを
添えた一品』

「だそうだ。頼んだあゆ」
「うぐぅ、こんなのボクには無理だよぅ…」
商店街にて、俺はあゆに願懸けをしていた。
今度こそ高校に受かりますように…って俺は高校生だろうが。
尻すごみするあゆに、俺は“はあ”と溜息を吐きながらさとしてやる。
「なああゆ。何故俺がお前を頼りにしているかわかるか?」
「うぐぅ、どうしてなの?」
「…あゆ、お前は食べ物の中で何が好きだ?」
「たい焼き」
「そうだ。たいとはなんだ?」
「お魚」
「そうだ。だから魚つながりで頼んでるんだ」
「うぐぅ、そんなつながり酷すぎるよぉ」
たしかに、我ながらも無茶苦茶な案だと思う。
だが、これで上手くいけばしめたものである。
「残念だけどボクが協力できる事なんて一つもないよ」
「諦めるなあゆ。お前はあゆだろう?だから大丈夫だ」
「うぐぅ、言ってる事が無茶苦茶だよ…」
結局は沈み込んでしまったあゆ。駄目か…。
さすがに諦めかけたその時だった。
「こんにちは」
天の助けか!?新たな声に振り向くと、それは栞だった。
「こんな所で何をしてるんですか?」
「うぐぅ、栞ちゃん〜…」
存在を確認した途端に、あゆは栞に泣き付いた。
いきなりの事に戸惑っていた栞だが、ゆっくりとあゆから事情を聞き出す。そして…。
「ヒドイです祐一さん」
俺に非難の声を投げかけた。
「好物で繋がってるなんて…あんまりです」
「い、いや、たしかにムシがよすぎたなとは思うけど…」
「名前の方が手っ取り早いのに。どうしてそっちで考えなかったんですか?」
「………」
言われてみれば、鮎という魚が居たな。
…負けた。
「う、うぐぅ、栞ちゃんまでそんな事言うなんて…」
「あっ、じょ、冗談ですから」
信じていた人に裏切られた。そんな目をあゆはしていた。
当然だろうな。あゆの状況におかれたら俺でもそうなるぞ。
「…栞、こうなったらお前に頼む」
「え?そんな、いくら私の名前が“し”で始まってるからって…」
「「………」」
あゆと二人で沈黙し、考えてみる。
なるほど、たしかに“し”で始まる繋がりじゃないか。
「って栞、そういう事じゃなくてだな…」
「済みません。祐一さんの思考を深読みしすぎました」
嫌な深読みをするな…。
「要らない冗談であゆを不安にさせただろう?だからそれで頼もうと思うんだ」
「…わかりました。頑張って作りますね」
「うわっ、栞ちゃん俄然やる気になってる」
ぱっと立ち直った栞(何から立ち直ったかは気分次第だが)に連れられる…。
案内されたのは栞の家だった。さすがやる気になってるだけのことはあるな。
一緒に付いてきた二人で中にお邪魔する。
自慢の腕をふるった栞により、俺とあゆはめでたく舌平目の果実ソースを…
「うぐぅ、なんだかこれ甘いよ」
「栞、味付けに何入れたんだ?」
「アイスです。溶けちゃってますけど」
オレンジ色のそれは、オレンジアイスという事だ。
なるほど、アイスが好きな栞らしい味付けだな…
「って、アイスなんか使わずに普通の果実を使えって!」
「特売日にたくさん買ったんですよ。だからサービスです」
「そんなサービスは要らない!!」
「うぐぅ、甘い〜…」
アイス自体に使われている糖分がやけに口に響いた。そんな料理だった。
つーかアイスじゃなくて上質のオレンジじゃないといけなかった様な…。

<妥協、です>


『舌平目ワインソース』

朝、清々しい朝。
その日の始まりを認識させてくれる、輝かしい時間。
優雅にコーヒーカップを傾けていると、非常に落ち着いた気分になるというものだ。
「祐一さん、ご機嫌ですね」
笑顔で秋子さんが告げてくる。
そう、何故かは知らないが俺はご機嫌だった。
いや、これは余裕というものだ。
毎日食物に振り回されているが、たまにはこういうものを見せてやろう。
…誰に対して見せているかはよくわからないが。
「さあて、それじゃあ今日の料理でも確認してやるかあ」
トーストをかじり、コーヒーを一口流し込む。
かたんと食器を置いて、俺はぱらっと本を開けた。

『●舌平目ワインソース
………

ばたん!
料理名を確認するなり俺は本を閉じた。
「どうしたんですか?」
大きな音を立てた俺に、秋子さんは疑問の視線を投げかける。
俺は慌てて平静を装った。
「いえ、なんでもないですよ」
「でも慌てて本を閉じてましたし」
「“そうだ、今日は学校で見よう”なんて思っただけですよ」
「…私に見せてくださいませんか?」
弁解も空しく、秋子さんはこちらに迫ってきた。
やばい、これは…この料理名は見せてはならない。
見せたが最後、俺は…
「なるほど。お酒絡みですね」
ぎくっ
「な、何を言ってるんですか。普通の料理ですよ」
「だったらためらいなく見せてください。腕によりをかけて作りますよ」
「い、いや、あの…」
どんっ
「おはよう、祐一ぃ〜っ!」
「ぐあっ!」
不意に背中を強烈にどつかれる。
朝っぱらからの元気な声の主は、真琴だった。攻撃された背中が痛い…。
「こらっ、いきなり何をする!」
「あれぇ?祐一の朝の挨拶は“こらっ”なの?」
………。
「おはよう真琴」
「よくできました〜」
「…じゃなくてだな、朝から攻撃をかますなっ!」
「別にいいでしょ。真琴の特権よぅ」
そんな特権ふざけんなだ。…ん?
「あ、あれっ、俺の本は?」
抱えていたそれは、既に俺の手元に無かった。
きょろきょろと見回すと…。
「わっ、秋子さん!」
問題のブツは既に秋子さんの手元にあった。
おそらく、真琴の攻撃で飛んでしまったのだろう。

『●舌平目ワインソース
身の締まった舌ビラメを蒸して
上質のワインで作ったソースを
添えた一品』

秋子さんは、ふむふむと眺めた後に本をパタンと閉じた。
「祐一さん」
「は、はい」
「今夜はたっぷり味わってくださいね」
「どわあああ!!」
やる気満々の秋子さんがそこにいた。
もはや何を言っても無駄だろう。例え逃げても連れ戻されるだろう。
そして食べる事も飲む事も確実に間違い無いだろう…。
俺は朝っぱらからがっくりと肩を落とし、憂鬱気分を味わう事となった。

…夜。今日のお料理と共に、たくさんのワインボトルが並んでいた。
量的に申し分ない。今日のメニューはワインだ!
「…って秋子さん!!」
「心配しなくても、舌平目ワインソースはそこにありますよ」
ちんまりと俺の目の前にそれは置かれていた。
ワインの量に圧倒されて、申し訳程度のものにしか見えない。
他の奴の皿は全然大きいというのに…。
「どっちがメインだかわかりゃしない」
ぶつぶつと呟く。すると…
「別にいいんじゃないの。どうせ祐一はいっつも喜んで飲んでるじゃない」
「そうだよね、真琴。文句言ってるけど祐一は酒に溺れてるよね」
真琴と名雪の二人が聞き捨てならないことをほざきやがった。
だいたい真琴、今日の酒づくしはお前の所為なんだぞ?
「さあ祐一さん。まずはこちらの赤ワイン集団からお試しください」
「は、はあ…」
集団という時点でロクなものじゃなかった。
肝心のメインディッシュは…一応美味しかったが…。

<べろんべろん>


『地鶏串焼き』

「串…」
「串と言えば、串イッキ」
呟いた途端に隣から声が聞こえてきた。
振り向けばそこに栞が居た。実に嬉しそうに笑みを浮かべている。
「楽しみです。また見られるなんて」
ちなみにここは俺のクラス。昼休みだ。
栞も堂々と二年の教室に来る様になったな…。
「俺はやらないぞ」
「そんな事言う祐一さんには串は食べさせません」
「………」
笑顔だった。しかし明らかに脅迫だった。
ここで更に逆らえば、あの手この手で俺の食事を邪魔しに来るに違いない。
「栞、いざとなったらあたしを頼るのよ」
「わたしも応援するよ」
「相沢に串イッキをさせるため、オレ達も手伝うからな」
余計な事に、タカり隊のメンバーが栞に付いた。
やけに頼もしい奴等だ、なんてのを通り越して呆れてしまう。
俺一人によってたかって…。
…しかし、俺には密かに勝算があった。
「さあて、昼飯を食いに行くかな…」
わざと呟いて席を立つ。すると、案の定栞はぐいっと腕を掴んだ。
「祐一さん、串イッキ」
「…心配しなくても夜にやってやる。だから離せ」
「そうですか…」
ぱっ、と離される手。
立ったままの栞の横を摺り抜け、俺は教室を出てゆく。
「…祐一、今晩串料理だったっけ?」
「…じゃあな」
ダッ
誤魔化しを破る名雪の発言をもろともせずに走り出す。
後ろからわーわーと声が聞こえてきたが、気にしない。

やがて…
俺は無事に屋上手前の踊り場に到着した。もちろん単独で。
「やっ」
「あっ、祐一さんだーっ」
「………」
いつもの二人、舞と佐祐理さんがいた。
そして食べているのは…串料理だ。
実は朝、佐祐理さん達に偶然会って、今日の弁当を聞いておいたのだ。
すると幸運にも…

『●地鶏串焼き
良質の地鶏の肉を
炭火でじっくりと串焼きにした物』

だと教えてくれた。
一緒に焼く道具も持ってきていたらしい。…ツワモノだ。
「細かい事は気にしてはだめですよーっ」
「…美味しい」
特に気にせずに二人は弁当を食べている。串焼きを食べている。
煙が辺りに立ち込めているんだが…。
「えっと、戴いていいかな?」
「ええどうぞっ」
佐祐理さんに勧められるままに腰を下ろす。
そして串を一本頂戴する。
…ふっ、俺は勝った!
「…祐一、串イッキ」
「え…」
上機嫌でかぶりつこうとした所へ、舞がつっこむ。
と、同時に、佐祐理さんが思い出したように両手をぱんと合わせた。
「そうでした。祐一さん、串イッキして食べてください。
実は栞さんから聞いてたんです。祐一さんの串イッキは見物だって。
だから舞と二人で楽しみにしてたんですよーっ」
「そ、そう…」
やられた…。栞の魔の手は既にこの二人にまでまわっていたのか…。
何が勝利だ、思い切り敗北じゃないか…。
「…祐一、串イッキ」
舞が隣から急かす。そして更に串を四本握らせてきた。
合計俺の手には五本の串が…。
「おい、いくらなんでもこんなには無理だって」
「…気合」
「気合って…」
「頑張ってくださいねーっ」
「…祐一、頑張れ」
「………」
腹をくくるしかなさそうだった。
覚悟を決めて…ばくっ!と食べる。
見ていた二人は、拍手とか賞賛の言葉をくれたが…
俺はなんだか空しくなっていた。

<また…イッキ…>


『しなびたサラダ』

またナメた料理が出てきやがった。
何がしなびただ。そんなもん食わすな!
「けど、食わなきゃならないんだよな…」
自分がしなければ成らない事を思うと心底がっくりくる。
食す事は避けられない。しかし、果たしてそれをそのまま受け入れていいのだろうか?
否!俺だけで100%の思いをするよりは、誰かとそれを分かち合おう!!

「…で、なんでオレの所に来る」
「北川、俺達はなんだ?」
「クラスメート」
「違う!親友だ!熱きライバルだ!苦しみは半分こ、楽しさは二倍に!」
「お前な…」
俺の熱弁を聞き、北川は呆れ半分に溜息を吐いた。
「相沢、お前はオレに何をしてくれた?」
なんてふてぶてしい野郎だ。
「あれだけ奢らせてまだ足りないとでも言うのか?」
「ああ、足りないね」
「このやろう…」
「ついでに言うが、奢りの見返りを期待するのは間違ってるぜ。
奢りってのはな、そういうの無しだから奢りなんだ。
見返りを求めるのは、貸し、っていうんだ。よく覚えておけ」
「なるほど…」
言われてみれば納得だ。北川の論理は筋が通っている。
そうか、“いつも奢ってるから…”なんて言葉は通用しないのだ。
「…仕方ない、諦めるよ」
「まあ待て。これからも奢ってくれることを約束するなら協力してやらないでもないぞ?」
立ち去ろうとする俺の袖を北川が掴む。
なに矛盾したこといってるんだこいつは。
「お前、さっき奢りの見返りは無いって言ってなかったか?」
「ちっちっち、甘いな相沢。
奢り自身に見返り効果はないが、奢りの行為そのものには見返りがある。
とまあそういうことだ」
にやにやにやと北川が笑う。
言われたすぐは俺自身わからなかったが、しばらくして一つの筋が出来上がった。
あちらこちらの横道がすべて消え失せ、結論にまっすぐ行き当たる…。
「なるほど!北川、お前頭いいな!」
「ふっ、そうだろそうだろ」
「よし、早速北川の奢りでサラダゲットだ!」
「おう!…っておい待て、俺の話を本当に理解したのか?」
意気揚々と出発しようとしたところで北川が立ち止まる。
頭には疑問符いっぱいだろう。
「嫌なのか?だったら俺が奢りで食わせてやる」
「いや、そういうことじゃなくてだな…」
「どちらにしろお前は俺とともにしなびたサラダを食うんだよ」
「どこがどうしてそういう結論に行き着くんだ…」
「ん?俺の奢りはいらんのか?」
「いや、欲しいが…」
「だったら迷わずにゴーだ!!」
強引に北川を引っ張っていく。
そして学食の裏の裏の裏。
秘密裏な場所を物色して問題のブツを見つけた。

『●しなびたサラダ
ちょっと!?
これって、いつの…?』

「ふむ、本当にこれいつのものなんだろな…」
ばりばり
サラダの一部を食う。
「ほい北川」
「…だからなんで俺が食わなきゃならん」
「嫌なら奢りは無しだな」
「くっ…」
ばりばり
悩んだ末に北川も食う。
「そして俺の奢りも終わりだ。じゃあな」
食べおわったので立ち上がる。
「おいちょっと待て!何が奢りだ!」
「しなびたサラダを奢っただろ」
「んな奢りは期待してない!」
「何を奢るかは俺の勝手だ。じゃあな」
「そんなんで納得いくかー!」
結局、二人で喧喧諤諤の言い争い…。
最終的には痛み分けと結論づけて幕を閉じた。

「ところで相沢、あの場所どうやって見つけたんだ?」
「こんなこともあろうかと事前調査をしておいたんだ」
「やっぱお前って変な奴だな…」
「それ以前にあんな場所がある事自体変だとは思わないのかよ…」

<どこやねん>


『シャトーラトゥール』

『●シャトーラトゥール
頂点の一角を担うワイン
美味いらしいが、飲んだことが無い
のでコメントは差し控えたい』

なんのことはない。一体何の料理だと思っていたら結局は酒だったわけだ。
つーか、なんで飲んだ事無いものを俺に飲ませようとするわけ?
絶対許せん、この本の作者…。
「…やっぱり秋子さんに頼むしかないのかな」
高そう、どころじゃない、この酒は。
説明書きから予想するに、おそらく世界に数本というレベルの品だろう。
そんなとんでもない酒が果たしてこの家にあるのだろうか?
いいや、あるだろう。俺は秋子さんを信じるぞ。
それにどうせ他所で手に入るような品じゃなさそうだしな…。
意を決して秋子さんの元へ…。

「ええ、ありますよ」
あっさりと秋子さんは言ってのけた。
しかし説明の為に見せた本を、心なしか震える手でぱたんと閉じた。
次に飛び出した言葉は…
「美味いらしいなんて…相当のモグリさんですね」
かなり挑戦的なものだった。
瞳が熱そうだ、何故かメラメラと燃えている。
ただ傍に居るだけの俺は、共鳴するかのごとく力を感じた。
…やる気だな、秋子さん。
「祐一さん」
「は、はいっ」
ゆっくりと告げるその言葉に、俺は緊張を走らせる。
ここまで気が篭っているのは初めてだ。俺もこたえなければならない。
目配せをする秋子さんに、俺はゆっくりと頷き、先を促せた。
「今夜は…徹夜で飲んでもらいますからね」
「はいっ!…へ?」
「こうなったら祐一さんにとことん飲ませます。そして作者を草葉の陰から悔しがらせます」
「………」
真剣だ、マジだ。そして妥協は絶対に許さなさそうだ。
しかも本の作者は勝手に殺されてしまったようだ。迷わず成仏しろよ…。
っていうか…徹夜!?
「あ、あの、秋子さん、徹夜って…」
「秘蔵のものを一気に出します。ええ、一日で飲みきれないほどにね」
「いや、俺はそんなに飲め…」
「うふふふ…」
「の、飲みますっ!徹夜だろうがなんだろうがとことん飲みますっ!!」
秋子さんの笑みに、俺は即座に反応した。
逆らっては明日が無い。いや、今日も無いかもしれない。
それどころか来世も前世も消えてしまうかもしれない。
あわよくば、俺の存在すら消されてしまうかもしれない。
それほどまでに、秋子さんから威圧感を感じた。
「…お願いしますね、祐一さん」
「は、はい…」
相変わらず、言い様の無い笑みを浮かべる秋子さんに、素直に従った。
その日の夜から翌日まで…俺は頂点を見た。
口に出すのも恐ろしい頂点を…。

<一角…これが…>


『ジャンバラヤ』

「頼んだあゆ」
「うぐぅ!?い、いきなり何!?」
相変わらずの商店街。道路にたくさんの人でにぎわう場所。
雑踏の中に立っているあゆに俺は声をかけた。
「ジャンバラヤだ」
「じゃんけん屋?」
言うと思った。
「あゆには“ユッケジャン”を“夕焼けジャンケン”だと言いふらした前科があるしな」
「うぐぅ、そんなこと言いふらしてないよぅ」
「ならばあの時夕焼けに叫んだたい焼きはなんだ?あの叫びは嘘だったのか?」
「うぐぅ…言ってることがさっぱりわかんないよぅ…」
途端に涙目になるあゆ。
む、いきなりこうくるとは大誤算だった。あゆに頼ったのは失敗か?
「料理が難しかったか?たしかに炭料理しか作れないあゆには無理も甚だしいが…」
「うぐぅ!ボク炭料理しか作れないことないもん!」
ぷいっと横を向く。完全に怒っているようだった。
「冗談だ、気にするな」
「すっごく気にするよ」
「その通りよ」
新たな声。振り返れば香里が居た。
珍しくも商店街に寄り道をしているらしい。
「こんにちは、あゆちゃん」
「うぐぅ、香里さん…」
姿を見るなりあゆはとたとたと駆け寄っていった。
そして彼女の胸にひしとすがる。
「うぐぅ、祐一くんが、祐一くんが…」
「よしよし、酷い目に遭ったわね。相沢君の馬鹿な発言なんて無視していいのよ」
悪かったな、馬鹿で。
「丁度いい、香里」
「よくないわ。相沢君、あなたはこれから一人で料理を作って自爆する運命にあるのよ」
キツい言葉が飛び出した。
自ら作ればたしかに自爆するので、あながち嘘ではないのだ。
「うぐぅ、ヒドイ運命だね祐一君…」
「そうね、あゆちゃん」
「でもボクは遠くから見守るしか出来ないよ」
「あたしもそうね。さ、一緒に帰りましょ」
「うん。ばいばい、祐一君」
「さようなら相沢君」
夕日の光の中に、二人の姿が消えてゆく…。
俺に反撃する暇も与えずに…。
あゆは喜んでいる事だろう。香里という思いがけない救い主が現れた事に…。
「…どうしよ?これ」
茫然自失の中、俺はぱらりと本を改めた。

『●ジャンバラヤ
スープで煮込んだ米と具を
さらにオーブンで温め
表面をパリッとさせた食べ物』

「自分で作るか?しかしなあ…」
悔しいが、香里の言う通り自爆するのがオチだ。
もはや俺にはどうしようもないのだろうか?
途方にくれてそのまま歩き始める…。
「あ、祐一」
「ん?…なんだ名雪か」
「なんだじゃないよ〜」
呆れながらも名雪は傍によってきた。部活帰りらしい。
「どうしたの?そんな落ち込んじゃって」
「別に…」
「料理絡みなの?だったらお母さんに相談すればいいのに」
それで済むならこんなとこに居ない。
「お前、今日秋子さんは夜いないだろ」
「あ、そうか。真琴とお出かけだったよね」
「そうだ」
「だったらわたしが作ってあげるよ、そのお料理」
何の料理かわからないのになんでそんな事が言えるんだ。
「ジャンバラヤ、知ってるか?」
「もちろんだよ」
「なにっ!?…じゃあ、頼んでいいか?」
驚きつつ尋ねてみると、名雪は“はあ”と溜息を吐いた。
「どうして最初に言ってこないの…。大丈夫だよ、わたしちゃんと作るから」
「お、おお…」
救い主だ。名雪の顔が…輝いて見える。
「さ、それじゃあ早速材料買って帰ろう?」
「ああ。…ありがとうな、名雪」
「ん?ううん、当然の事だよ」
「名雪…」
笑顔を見せる名雪に、俺の胸の内は喜びに満ち溢れる。
いい日だ…心底そう思った…。

<さらにあったか>


『シュウマイ』

「祐一さん、一つお願いしたい事が…」
朝一番。トーストをかじっていると秋子さんはこんな事を言ってきた。
しかもそれは今日の料理を見せた後。買い物だろう。そう思って俺は頷いた。
「では今晩、舞さんをうちに連れてきてください」
「舞?」
「ええ。夕飯にご招待しようと思うんです」
「それは構いませんけど…」
「お願いしますね」
にこりと笑ったその顔には、なんとも言えない楽しさが含まれていた。
何故舞なんだ?佐祐理さんじゃないんだ?
…気にしない事にするか。

そして学校、昼休み。
屋上手前の踊り場へ向かい、いつもの二人を訪ねた。
「…というわけで、今晩舞に来て欲しいんだ」
「どうして」
「さあなあ…。秋子さんの事だから何か考えがあるんだろうけど…いいか?」
「………」
こくり
特に疑問を感じるでもなく、舞は頷いた。
夕飯におよばれ、その時点で遠慮もあったのだろうが、
むげに断るのも失礼だと思ったのかもしれない。
「あのう、祐一さん。佐祐理も行っていいですか?」
「ああ、そりゃいいと思うよ。誰が来ても秋子さんは了承してくれるはずだ」
「よかったですーっ。…でも、何故舞を呼んだんでしょうかね?」
「さあ…」
「………」
三人で頭を捻る。
しかし、たとえ文殊並みの知恵になったとして、
秋子さんの考えには到底辿り着きそうにもなかった…。

夕刻。
朝に秋子さんから頼まれていた買い物を商店街で済ませる。
俺は舞と佐祐理さんと一緒に水瀬家を目指していた。
半分は他愛無い雑談を。もう半分は秋子さんの意図を考えながら…。
結局結論は出ないままに家に到着。
快く“了承”で迎えてくれた秋子さんに連れられて台所へ。
そこで秋子さんは、一着のエプロンを見せてきた。
兎のイラストがあちらこちらにプリントされた、なんとも可愛らしい…。
「はい、舞さん」
「…?」
「これを付けてね、一緒にシュウマイを作りましょう」
「…私が、作るの」
「そう。美味しいシュウマイ、たくさん作りましょうね」
「…わかった」
こくりと頷くと、舞はエプロンを装着した。
見た目にはわからないが、本人は非常に満足そうなのがわかる。
なるほど、一緒に料理がしたくて舞を呼んだってことか。
多分秋子さんはそれとなく舞好みのエプロンを用意してたんだろうな…。
…って、だからなんで舞なんだ?
「舞、可愛いよ」
「………」
「あはははーっ、照れてる照れてる」
「………」
ぽかっ
「あはははーっ」
和やかな会話がなされている。
舞と佐祐理さんのやりとりを横目で見ながら、俺は秋子さんに尋ねてみた。
「あの、秋子さん。どうして舞なんですか?」
「何がですか?ああ、そのことね。それはね…」
解説をしようと、舞と佐祐理さんを気付かせる。
例の本を開きながら、秋子さんは今回の意図を説明し始めた。

『●シュウマイ
豚肉やネギなどを刻み
小麦粉を練って作った皮で包んで
蒸した食べ物』

「私の名前の秋子の秋は、音読みでシュウと読みますよね。
それと舞さんのマイを合わせて、シュウマイです。だからです」
「「「………」」」
三人で沈黙。なるほど、そんな簡単な答えだったんだ。
これは一本取られたぜ、ははは…
「って、秋子さん…」
呆れて俺は呟いた。
「ごめんなさいね、祐一さんの専売特許を使っちゃって」
「………」
返す言葉もなかった。
そういや以前、海老シュウマイで舞に頼ろうとした事があったっけ。
しかしあの時はかなり咎められてしまったような…。
「舞さん、改めてお願いしていいかしら?」
「…頑張る」
「わ、舞やる気だねーっ。佐祐理楽しみに待ってるね」
俺の不安をよそに、三人はやけに盛り上がっていた。
何故だ?俺がやると非難バリバリだろうに、別の人がやるとこうも違うのか?
…まあいいか、俺があれこれ言うものでも無いし。
「お願いします」
中途になっていたが、俺も頭を下げておいた。
半端に腑に落ちない微妙な気分で待つ。
そして、出来上がったシュウマイを皆で食べる。
格別の味であった。いい料理だ…。
名雪も真琴も絶賛していた。
それとは別に、俺の中で、果たして俺が食っていいんだろうか?という気持ちも…
「…祐一、美味しい?」
「へ?あ、ああ、美味しいぞ」
「…良かった」
舞が少しばかりの笑みをもらす。
その笑みで…俺は救われた気分になった。
ありがとう、舞、秋子さん。

<作ってよかったですね>


『ショートケーキ』

………。
俺はあんまり甘い物は好きじゃない。というより苦手だ。
でも食べなきゃな…。
それはそれとして、これはどうしたものだろう?
正直に買ってもいいんだが…
「って、正直に買えよ俺」
こんな簡単な物に複雑要素を絡める必要も無い。
ただ買ってそれで終わりにしてやる。

…というわけで商店街。
菓子屋に寄ってショートケーキを一つ購入…。
「すいません、4つください」
気が付くと、俺は自然とそういう言葉を発していた。
もちろん自分で食べるわけじゃない。
いつも世話になっている名雪達に振る舞ってやるのだ。
「俺って実はいいやつ?」
一人うぬぼれてみる。
普段から頼りを自発的にかけている点でそんなにいいやつでもないけどな。

…帰宅。
「ただいま〜」
「お帰りなさい」
秋子さんが出迎えてくれる。
そして、俺の手にある見慣れない物体、箱に気が付いた。
「あら?祐一さん、それは…」
「ショートケーキです。今日の料理はこれだったもんですから」
「なるほど、それで買ってきたんですね」
「ええ。あ、皆の分もありますよ」
「そうなんですか?」
「日頃の感謝の印ってことでね」
笑顔で言って、早速食卓へ向かう。
秋子さんが入れてくれたコーヒーをお供に、俺は早速自分の取り分を食べた。
もちろん秋子さんも一緒に座って食べている。
普段からこういうのは遠慮しそうな秋子さんだが、
(“私の分はいいですから、名雪達と食べてください”とか言って)
珍しい俺の行動に、断るのは悪いと思ったのかもしれない。

『●ショートケーキ
カステラ台の上に
生クリームといちごをキレイに
トッピングして作ったデザート』

「…いちご、か」
「名雪が喜ぶでしょうね」
「さすがにいちごは今回メインじゃありませんけどね」
「そうですね」
のほほんと二人で会話する。
平和だ。いつになく平和だ…。
いつもの騒がしさからは想像も出来ないくらいに…
「「ただいまーっ」」
どたどたどた
いや、やっぱり騒がしいのか。そういうことか…。
苦笑しながら、音のする方を見やる。
「真琴がいっちばーん!」
「う〜、わたしがわずかに早かったよ〜」
忙しなく、真琴と名雪が現れた。
どうやら競争をしていたらしい。
「二人とも、あんまり家の中で騒いじゃ駄目よ」
秋子さんがきつめの声で諭す。
ただいまという二人の声に反応して立ち上がらなかったのは、
おそらく競争自体を読んでいてのことだろう。
「あぅ…あっ!ケーキ!!」
「ああっ、イチゴ、イチゴだよ〜!!」
泣いたカラスがもう笑ったな。
…いや、もともと泣いてないか。
「なかなかに美味かったぞ」
「あぅーっ、祐一ばっかりズルイ〜!」
「お母さんも〜!!」
味の感想を述べた途端にぶうぶうと文句が飛んでくる。
まったく食いしん坊な連中だな…。
「心配しなくても二人の分もあるわよ」
「「…ホント?」」
「ええ。これは祐一さんが買ってきたのよ。皆で食べようって」
「「ホント!?」」
二つのハモリは、同じ言葉だが前者と後者でまるで違った。
たしかに珍しいことだからな…。
「ほら、さっさと食えよ。俺が率先してこんなの買ってくるなんて滅多にないぞ?」
「うん、食べる食べる!」
「あ、でもその前に手を洗ってくるね。今度はわたしが一番だよ〜」
「ああっ、ずるい!」
どたどたどた
慌ただしく去っていった。そして慌ただしく戻ってくるんだろうな…。
そんな二人の様子を見て秋子さんが一言。
「賑やかでいいですね」
「はあ、そうですね…」
さっきは騒いじゃいけないとか怒ってなかったか?
まあどうでもいいことだ。皆の笑顔を見れた。これでよしとしよう。

<あまい〜>