「奇想天外妖怪道中」


「「ここから先は一歩も通さん!」」
次の部屋に待っていたのは双子の鬼、双鬼だった。
見た目はまったく同じでどっちがどっちかは区別がつかない。
「今度は二人組か・・・ここは手分けして戦おう!」
「おぅ!!」
メンバーも二組に別れて戦いに臨んだ!

「てぇぇい!!」
14号のキック!
「甘い!」
足を捕まれ投げ飛ばされる14号!
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「えぃ!からくり砲!!」
ドンッ!
「くっ!」
その隙をついて乎一郎の攻撃!
「よし!いいですよ乎一郎君!氷結の札!」
出雲が追い討ちをかける!
「動きの鈍ったところで・・・シャオ!とどめを!」
「北斗七星!!」
バコォォォォォォン!
「ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!」
苦戦したものの、双鬼を一人倒した!
「一人倒せばこっちのもんだ!あと一人もこの調子で・・・」

「誰を倒したって?」
「え!?」
なんと今倒したはずの双鬼が起きあがった!
「馬鹿な!今確かに倒したはず・・・」
「はぁっ!!」
双鬼の衝撃波で吹っ飛ばされる!
「我々二人は不死身なのだ・・・」
「なんだって!?」

一方もう一人の双鬼を相手にしている方は、
「いくでぇ!たかし!!」
「おぅ!染五郎!!」
二人の息の合った連続攻撃!
「二人ともいちいち熱血しないでください・・・」
「とにかく援護だ!万象大乱!」
「来たれ地震!!」
こちらも双鬼に対して激しい攻撃を加えている。
「とどめだ!」
翔子がくないを双鬼の胸に突き刺す!
「やったか・・・」
「くくく・・・」
「なにっ!?」
ぼかっ!
「ぐあっ!!」
「馬鹿な・・・生き返った!?」

戦局は少しずつ不利になり始めた。
双鬼は強いがけして勝てない相手ではない。
だが何度倒してもすぐに復活してしまうのだ。
少しずつ疲れの見え始めたメンバーは双鬼に押されつつあった。
「「ふっふっふ・・・我ら二人に弱点なし!覚悟!!」」
「くっそぉ・・・」

「そこまでよ!!」
突然阿修羅の声が響きわたった。
「あんた達の戦い見させてもらったわ・・・そしてわかったわ!
あんた達なんてあたしの敵じゃないってね!!」
「「なんだとぉ!我ら双鬼は不死身なんだぞ!!」」
「不死身・・・寝ぼけたこと言ってんじゃないわよ!
あんた達は二人で一人・・・・片方だけ倒しても意味ないのよ!
二人同時に倒さない限り何度でも生き返るわ!!」
「二人・・・同時に?」
考えもしなかった答えに驚くメンバー。
「「・・・・・ふふふ、よくぞみやぶった。確かにその通りだ。
しかしわかったところでどうするつもりだ!我ら二人を同時に倒すなど不可能だ!!」」
「それはどうかしら・・・私にはこれがあるのよ!」
阿修羅が不敵な笑みを浮かべる。
「三身の術!!」
バッ!
唐突に阿修羅が3人に増えた!
「なにっ!?」
「「「さぁ・・・覚悟はいいかしら!?」」」

ドカッ!
「「うぐっ!!」」
バキッ!
「「がはぁ!!」」
二人の阿修羅がまったく同じタイミングで双鬼を攻撃する。
元は一人なんだから当たり前なのだが。
「くそっ!!」
双鬼が一人間合いを取ろうと離れる。
「おっと。にがしゃしないわよ」
すかさず残りの阿修羅が妨害する。
「くっ!!」
「これで終わりよ!死になさい!!」
バキィッ!!
「「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
3人の阿修羅の見事なコンビネーション(?)で双鬼は倒された・・・

「すげぇな、阿修羅・・・」
「ふっ、今回はしてやられましたね」
素直に感心するメンバー達。
しかし当の阿修羅は、
「「「ふふふ・・・・皇鬼様、待ってて。必ずあなたをあたしのものに・・・うふふふふふふふふ」」」
3人揃って妄想にひたっていたりする・・・

「へっへっへ・・・・俺様に勝てると思うなよぉ・・・・」
次の部屋の敵、瞬鬼と向かい合うメンバー達。
「いくぞっ!」
シュッ!
ドンッ!バキッ!ベキッ!
「うわぁぁぁ!!」
ほんの一瞬で次々と叩きのめされるメンバー達。
「くっ・・・・今動きが見えなかった・・・」
「あいつとんでもなく速いぞ・・・」
「へっへっへ・・・・」
余裕の瞬鬼。

「スピードで戦えるのは・・・・翔子さんお願いします!」
「おっし、まかせな・・・」
「待って下さい!」
「愛原?」
「スピードならあたしだって負けません!あたしにやらせて!」
「でもなぁ・・・・」
翔子に比べ、いまいち頼りない花織。ここで彼女に任せるというのはどうも気が進まない。
「やめとけって、ここは山野辺に任せて・・・」
「イヤです!あたしだって戦えます!!」
「たー様・・・・やらせてやれば?」
「ルーアン先生・・・!」
「ふん、さっさとやられて情けない格好で戻ってきなさい」
「むっ・・・・・」

花織が一人瞬鬼に立ち向かう。
「へっへっへ・・・じょーちゃん一人で戦うってか?勇気あるねえ・・・・」
「あたしだって立派に戦えるとこ・・・・見せたいんだもん!」
爪を構えて戦闘態勢に入る花織。
「たぁぁぁぁぁぁぁ!!」
瞬鬼に向かって突っ込む花織!
「おおっと」
しかし簡単によけられる。
「なかなか速いけど・・・・駄目だね、それじゃ」
「うぅ・・・たぁぁぁぁ!!」
「ほれほれこっちこっち」
「このこのこの!!」
爪を振り回すがかすりもしない。
「駄目ね・・・あの小娘完全に焦ってる・・・せっかくのスピードも生かし切れてないじゃない」
ルーアンが冷静に語る。
「おおっと!」
「きゃっ!」
肩すかしをくらって転ぶ花織。
「ほれ!」
ずんっ!
「あぁっ!!」
うつぶせに倒れたところを背中を踏んづけられる花織。
「へっへっへ・・・じょーちゃんたいしたことないねえ・・・速いけど攻撃無茶苦茶だぜ」
「うぅ・・・・」
背中に圧力を受けて苦しむ花織。
「愛原もういい!山野辺に替われ!!」
「い・・・いやです・・・・」
「花織さん!このままじゃやられてしまいます!」
「あたしは・・・負けないもん・・・」
「ムキになんな!ここは諦めろって!」
「野村先輩にだけは言われたくありませんね・・・」
「くぉら小娘!あんたじゃ駄目だって言ってんのよ!さっさと降参しなさい!!」
「・・・・・なによえらそうにぃぃぃぃぃ!!」
ボンッ!!
「んあっ!?」
突然衝撃が走り吹っ飛ばされる瞬鬼。
「な・・・なんだぁ!?」
立ち上がる花織・・・なんだか様子がおかしい・・・
「フーーーーーー・・・・・・」
「お・・・おい・・・目つき変わってるぞ・・・」
随分凶悪になっている花織の目。いや雰囲気。
「フギーーーーーーー!!」
「もしかして・・・キレて中身まで猫になった!?」
ちょっと信じがたいが様子からして恐らく間違いない。
「ウニャーーーーーーー!!」
突撃する花織!しかし理性がぶっ飛んだせいか余計滅茶苦茶になっている。
「へっへっへ・・・・力だけあってもしょうがないぜ、肝心なのは速さだよ!」
「フーーーーー・・・・・・」
瞬鬼を睨み付ける花織。
「フギャーーーーーー!!」
再び突撃する花織!
「ほらよっと」
瞬鬼がよけた先は・・・・柱。
ゴーーーーーン
「ウニャ・・・・」
ぽてっ
柱に頭から激突して気を失った花織。
「へっへっへ・・・俺の勝ちぃ!へっへっへ・・・・・」
ぴしっ!
「へ?」
ガラカラガラ!
「なーーーーーーっ!!」

「あぶねぇとこだったなぁ・・・」
巨大な傘で瓦礫を防いだメンバー達。染五郎とたかしの傘をキリュウが大きくしたのである。
「ああ。傘がなきゃやばかった・・・柱を壊したせいで天井崩れるとはな・・・・」
「瞬鬼は・・・・今ので?」
「扉の封印解けてるってことは・・・うん」
「あ、あの・・・花織ちゃんは・・・・」
心配するヨウメイ。そこへ。
「ぷはっ!ああ痛かったぁ!」
瓦礫の下からひょっこり顔を出す花織。
「やりましたぁ!あたし一人で鬼をやっつけちゃいましたぁ!どう?すごいでしょ!?」
「すごいよ・・・ある意味・・・・」
「全く・・・・運のいい小娘だこと・・・・」

太助達はまた新たな部屋へと到達した。
「全くどいつもこいつもふがいない・・・・この斬鬼様が手を下すことになるとは・・・」
「お前がここの番人か?」
「そうとも。この先の扉は亡鬼様の間へ通じている。
最も一人として通ることは出来んがな・・・・」
「・・・みんな、こいつは俺がやる」
太助がすすんで前に出た。
「太助様・・・」
「大丈夫、勝つよ俺は」
不思議と余裕の見える太助。
「たいした自信だな・・・だがそれが命取りになるのだ・・・」
スラッ・・・
斬鬼はそう言って両手に刀を持った。
「剣を使うとは思ってたけど・・・二刀流か・・・」
冷静に斬鬼の能力を分析する太助。
「ふふふ・・・すぐに貴様をズタズタに切り裂いてくれる!!」
たんっ!
速攻で斬鬼が斬りかかる!
「はっ!とぉっ!てやっ!」
刀のぶつかる金属音が鳴り響く。
太助は斬鬼の攻撃を魔封刀で完璧に防御している。
「・・・やるな・・・俺の二刀流を完全に防御するとは・・・」
「当たり前だ、俺は阿修羅の6本腕攻撃だって防いだんだ」
「ならば・・・俺の必殺の剣を受けてみよ!!」
斬鬼が刀を前に構えた。
「真空斬り!!」
離れた所から刀を振る斬鬼。
するとその衝撃波がそのまま太助に向かってくる!
「くっ!」
ズバッ!
少しではあるが斬られて体に傷がつく太助。
「見たか!全てを切り裂く真空の刃!俺の刀に間合いはない!!」

「太助様!来・・・」
「いや・・・やめておけシャオ」
「翔子さん!?」
「よく見ろ・・・あいつ随分落ち着いてるぜ?」

「・・・見切った」
「何?」
「見切ったって言ったんだよ」
「なんだとぉ!おのれ許さん!!バラバラにしてくれる!」
激怒する斬鬼は再び刀を構える。
「真空斬り!」
シュッ!
「おっと!」
斬鬼の放った真空の刃を軽々とよける太助。
「おのれぇぇぇぇ!!」
怒りに任せて無茶苦茶斬りまくる斬鬼。
しかし方向が定まらず、かえって切れ味が悪くなる。

ズバッ!
「ぐあっ・・・・・!」
素早く近付いた太助の一太刀によって斬鬼は一刀両断された・・・
「太刀筋を見ればどこに飛んでくるかはわかるんだよ」
「そんなっ・・・・」
「はっきり言う。お前なんかよりドクロ将軍のほうがよっぽど強かったぞ・・・」
「無念・・・・」
ばたっ
「剣とは力だけの勝負ではない・・・ドクロ将軍のセリフだけどな」

「太助様!!」
「大丈夫だよ。ほら」
「でも少し傷が・・・来々長沙!」
治療の星神で回復させるシャオ。
「ありがとう・・・シャオ」
「けどたー様。随分余裕の勝利だったわね」
「旅始まって長いからな・・・強くならないほうがおかしいって」
太助だけではない。この妖怪世界の旅でみんな見違えるように強くなっていた。

『ふふふ・・・・いよいよ来るか・・・』

「次の扉が見えてきたぞ」

『この時をどれだけ待ち望んだか・・・』

「確か次は亡鬼だったよな・・・」

『貴様達には地獄に堕ちてもらうぞ・・・・』

「謎の幹部亡鬼・・・・怖がってもしょうがない!ていっ!!」

バタンッ!
思いっきりドアを開ける太助!
その瞬間、信じられないといった表情に変わった。
「待っていたぞ・・・お前達」

「お・・・・お前は・・・・」
亡鬼の姿を見て驚愕につつまれる太助。
そしてそれはシャオ、ルーアン、キリュウも同様であった。
「そ・・・そんな!」
「ど・・・どういうこと!?」
「なぜ・・・ここにいるのだ・・・」

「シリウス!!」

「覚えていてくれたか・・・」
「なんでお前がここに!!知らない人は超外伝2を読んでね!」
セリフが少し変なのは気にしないで。
「お前達を倒すため・・・地獄の底から蘇った!今の私は文字通り復讐の鬼ってわけだ・・・・」
「・・・・皇鬼の仕業だな・・・・なんつーことを・・・・」
「皇鬼のたくらみなんぞ知ったことじゃない!
私の目的はただ一つ!お前達に死を!!」
シリウス、いや亡鬼は太助達を睨み付けた!
「あ、あの・・・どういうことですか?我々はさっぱりわからないのですが・・・」
出雲達は亡鬼の因縁を知らない。
「説明してる暇はないがとにかく強いからなこいつは!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「くるぞ!」
亡鬼は手に大きなエネルギーを溜めた。
「はぁっ!!」
ビーーーーーーーーーーーーッ!!!
そして一気に放出した!それはとんでもなく強力なビームになる!
ドッカーーーン!!
「ひぇぇぇぇ!!」
「こんなもんまともにくらったら死ぬぞおい!!」
シリウスだった頃の強さは健在だ。むしろ鬼に転生したことでよけい強くなってるかもしれない。
「こりゃ速攻でかたつけないとやばいな・・・・」
「そうね・・・たー様あたし達に任せて!!シャオリン、キリュウいくわよ!」
「はい!」
「うむ!」
シリウスと戦った経験のある3精霊が立ち向かう。
「北斗七星!」
「陽天心召来!」
「万象大乱!」
ドォォォォォォン!
「やったか!?」

「ふん・・・痛くもかゆくもないぞ!」
「げ!?」
3人の攻撃は全く通じていない!
「無駄だ、私にお前達の攻撃は効かない!!」
「なんだって・・・・」
亡鬼の余裕の発言に焦る太助。
「そんなわけあるかぁ!てぇぇぇぇぇぇえい!!」
ガッ!
「うわっ!」
「たかし!」
突撃したたかしもあっけなくはじき飛ばされる。
「えぇい!からくり砲!!」
「衝撃の札!」
ガキィン!
「無駄だ!」
「そんな・・・」
「傷一つついてませんね・・・」
乎一郎と出雲の攻撃にもびくともしない亡鬼。
「今度はこっちからいくぞ!」
ぶんっ!
光の弾を投げつけてくる亡鬼!
ボォン!
「ひえっ!」
「なんちゅー威力・・・・」
「ほぉれ、どんどんいくぞ!!」
ボォン!ボォン!
「わぁぁぁぁぁ!!」
連続で投げられる光の弾をとにかくよけるメンバー達。
「きゃっ!」
「シャオ!」
うっかり転んでしまったシャオに光の弾が!
「させるかぁぁぁ!!」
カァン!
なんと魔封刀で光の弾を打ち返した!
光の弾(球)を魔封刀(バット)で打ったのである。
打ち返された弾はそのまま亡鬼のもとへ・・・
「ふんっ!」
バシッ!
負けじと亡鬼も打ち返してきた!
「くそっ!」
カァン!
再び打ち返す太助。
バシッ!
さらに打ち返す亡鬼!
「すごい・・・まるでテニスのラリーのようだ・・・・」
「でもこれって打ち損じたら大ダメージじゃ・・・・」

バシィィィィィッ!!
「ぐおぁっ!?」
一瞬打ち返すタイミングのずれた亡鬼が光の弾の直撃を受けた!
「やったか!?」
しかしその時亡鬼が立ち上がった!
まだまだ余裕は見えるが、とりあえずダメージは与えたようだ。
「おのれぇ・・・調子にのるなよ!!」
ブンッ!
再び光の弾を打ち出す亡鬼!
「くそっ・・・しぶとい・・・」
カァン!

「我々の攻撃が通じない以上、あいつの攻撃力を利用するしかありませんね」
「つまりあの弾をはじき返すしかないってこと・・・」
「でもこれはすごく危険です・・・まさしく死のラリーですよ・・・・」
「決着は・・・どっちかが死ぬまで!?」
こうして太助と亡鬼の耐久ラリー対決が始まった・・・

「はぁっ!」
「ふんっ!」
太助と亡鬼のラリーが続いていた。
当たったら大ダメージの危険なラリーだ。
バシィッ!
「うわぁぁぁぁぁあ!!」
今太助のタイミングが少し遅れて光の弾が直撃した。
「くそっ・・・」
「ほぉ・・・なかなかしぶといな・・・」
「こんなところで死ねるかよ・・・」

「太助様・・・」
「これはもう根気と反射神経の勝負ですね・・・気を抜いたら負けですよ・・・」

バシィッ!!
「ぐぉぉぉぉぉぉ!!」
今度タイミングがずれたのは亡鬼だった。
自らの攻撃を受け、ひるむ亡鬼。
「ぐっ・・・おのれ・・・・」
しかしまだ余力を残している。
さすがに簡単にはくたばらない。
「しぶといのはお互い様じゃねーか・・・」

ラリーが始まってけっこうな時間が経った。
すでにお互い何度か弾の直撃をくらっている。
一発の威力が大きいだけに、両者ともかなり体力を消耗しているはず。
もはや気力の勝負といってもいいかもしれない。

「くそっ・・・この私がここまで手こずるとは・・・」
しぶとい抵抗を見せる太助を相手に少し焦り始めた亡鬼。
「さすがは一度私を倒した者というわけか・・・・だが!」
今までにない大きな力を集中する亡鬼!
「これで終わりにしてやる!!」
ブンッ!
「げ!?」
なんと光の弾を5,6発同時に放ってきた!
「いくらなんでもこんなに同時には防御できまい!」

「くっ・・・・」
複数の光弾を目の前にする太助。
「そうは・・・・」
その時魔封刀の力が発揮された!
「いくかよっ!!」
カンッ!
なんと魔封刀から広範囲に衝撃波を発して全ての光弾を跳ね返した!
「なにぃっ!?」
当然それらは亡鬼に向かって飛んでいく。
「しまった!逆に私が・・・」
バシィッ!!
「ぐぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
全ての光弾の直撃をくらった。
亡鬼は自ら墓穴を掘ったのである。
「がはっ・・・」
どたっ・・・
ついに限界の訪れた亡鬼はその場に倒れ込んだ。
「勝った・・・のかな?」
その時!
「あれは!?」
亡鬼の周りの空間が歪み始めた!
「これはっ・・・」
『もういい・・・亡鬼』
「その声は皇鬼!」
『お前の出番は終わりだ・・・冥土の彼方へ去るんだな・・・』
「そ・・・そんなぁぁぁぁぁあ!!」
一瞬亡鬼の叫びが聞こえたかと思うと空間の歪みは消えて無くなった。
ついでに亡鬼も消えていた・・・

「太助様・・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫・・・って言いたいけど、さすがにきつかったかな・・・」
何度か光弾の直撃をくらっている太助はかなりボロボロであった。
はっきりいってよく生きていたものである。
「全く・・・君のタフさ加減には呆れますよ」
シャオの星神と出雲の札で回復している。
次はいよいよ皇鬼、ボス戦前の回復は常識だ。
「しかし・・・亡鬼をあんな風にしちまう・・・ってことは」
「皇鬼はさらに強い・・・ってことだよな」
一同、しばしの沈黙。
「ここまで来たんだ。やるしかないさ」
立ち上がる太助。
メンバーの準備は整った。
「いくぞみんな!」


阿修羅と皇鬼様(はあと)

あたし阿修羅!
夜叉族出身の女の子!
今年で180歳。
趣味は漫画を描くこと。
身長は164p。
体重は秘密。
スリーサイズは・・・

「おいおい。自分の紹介はもういいから他のメンバーも・・・」

あっ、そうね。あたし好きな人がいるの。
名前は皇鬼!とってもかっこよくて強くて男らしいの!
一目会った瞬間からあたし、皇鬼様のことしか考えられないようになっちゃった。
皇鬼様はあたしにとって雲の上の人だけど、
いつか必ず振り向かせてみせるわ!!

「こらこら。敵キャラ紹介してどうする。メンバー紹介だってば」

んもう、めんどくさいわね。
太助、シャオ、ルーアン、キリュウ、ヨウメイ、離珠、出雲、たかし、乎一郎、花織、翔子、涼、14号、染五郎。
はい。紹介したわよ。

「そんないい加減な紹介があるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

そして彼女はのたもうた 五
『阿修羅の楽しみ』

あたしが皇鬼様の次に好きなもの。
それは漫画。
昔から好きだったけど
自分で描くようになってからは
ますます好きになったわね。

描き始めてからわかったんだけど
あたしの体って漫画描くのに
結構有利なのよね。
なにしろ腕が6本あるんだもん。
うまく使えば早く書き上げることが出来るのよ。

三身の術を覚えてからは
ますます早くなったわね。
一人で3人分の力が出るんですもの。
元手もかからないし便利なのよ、すごく。

ただ一つ困っちゃうことも。
あたし力強いから
時々ペンとか折っちゃうのよ。
他にも消しゴムかけてたら原稿破っちゃたり。
机壊しちゃったこともあったっけ。
力加減がこれからの課題ね。

そうして出来上がった同人誌は
道楽町の漫画市で売るの。
人間世界ではコミケって言われてるらしいけど。
これでも結構売れてるのよ。

そうして儲かったお金でお買い物。
あたしだって女の子だもん。
いろいろおしゃれをしたいのよ。
ただ腕が6本あるせいで
合う服がなかなか見つからないのが困りものだけどね。


バタンッ!
「来てやったぞ皇鬼!涼ちゃんを返してもらうぞ!」
ドアを勢い良く開けて、太助達は部屋へと突入した。
ここは鬼神城、最上階の皇鬼の間。
ここの玉座に皇鬼が座り、その傍らには涼を閉じこめた小さな玉がある。
「よく来る気になったな・・・・てっきり見捨てるかとも思ったが」
「そんなわけにいきません!涼さんは私達の大切な仲間ですわ!」
はっきりと言い放つシャオ。
その気持ちは全員同じだ。
「皇鬼様ぁー!会いたかったですわぁ!!」
訂正。一人そうじゃないのがいた。
もはや説明はいらないだろうがあえて言おう。
阿修羅である。
「天神の鎧もなしにここまで来るとはな・・・」
「この阿修羅、皇鬼様に会うために戻って参りましたわ!!」
「その勇気は称賛に値するな・・・」
「長く苦しい生活も・・・皇鬼様のためと日々辛抱して参りました・・・」
「だが無謀でもあるな。勝ち目のない戦いに自ら飛び込んでくるとは・・・」
「その苦しい日々も今日で終わり・・・皇鬼様!どうかあたしを」
「えーい、うるさい!!」
バシッ!!
皇鬼の光弾であっさり気を失う阿修羅。
「あー・・・阿修羅が・・・」
「いや、このさい好都合でしょ。彼女が出てくると話がややこしくなりますから」
結構冷たい面々。
「だが俺は手加減などしない。お前達が俺の邪魔になる以上、
俺は全力を持ってお前達を殺す!!」
皇鬼は玉座から立ち上がり、戦闘態勢に入った!
「来るぞ!わかってると思うけど涼ちゃんの救出が最優先だ!」
「おお!!」

「北斗七星!」
「陽天心最大出力!」
「万象大乱フルパワー!」
「天変地異!」
精霊4人がそれぞれの力を発揮して皇鬼を押さえる。
いつかシリウスにやったのと同じ手法だ。
今回はそれにヨウメイも加わっている。
「今のうちに涼さんを・・・」
シャオがそう言いかけたその瞬間!
「ふんっ!」
ボンッ!
「きゃぁぁぁあ!!」
皇鬼から凄まじい力が発揮され、4精霊による拘束はあっさりと破られた。
「そ、そんな!」
「くだらん・・・こんな程度で俺の動きを止められるとでも?」
「うぅ・・・」
「はぁっ!!」
バリバリバリ!!
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
皇鬼の放った電磁ビームにあっさりとうちのめされる4精霊。
「くっ・・・山野辺!愛原!二人は涼ちゃんの救出を・・・皇鬼は俺達が食い止める!」
残ったメンバーで皇鬼に立ち向かう!
「全員で一気にいくぞ!」
「電撃の札!」
「いけ!小鉄!!」
「燃えろ俺の魂!!」
「気功烈破!」
「芸人の意地みせたらぁ!!」
しかし動じる様子のない皇鬼。
「ふんっ!」
唐突に光弾を放つ!
「危ないよけろ!」
慌てて光弾をよける面々。しかし、
バシッ!
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「直撃してないのにぃ!!」
光弾の衝撃で全員吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「くそっ・・・体が・・・」
「動かない・・・・」
しかも衝撃の影響で思うように動けない。

「涼!今助けてやる・・・」
さっ!
「!!」
「惜しい。ちょっと遅かったな・・・」
翔子が涼の閉じこめられた玉に手を伸ばした瞬間、玉は皇鬼の手に取られてしまった。
「残念だったな。男連中はたいした時間稼ぎにならなかったぞ」
「そんなっ・・・・」
涼救出を目前にして失敗してしまった。
「このぉっ!!」
花織が飛びかかるが、
「ふんっ!」
どすっ!
「あうっ・・・」
手刀をくらって倒れ込む。
「ちっくしょう!」
翔子も皇鬼に向かっていく!
どすっ!
「ん、これは変わり身・・・」
「たぁぁぁぁぁ!!」
がしっ
「!」
「そんなことだろうと思ったよ」
変わり身を使って皇鬼の後ろからくないで刺そうとしたが読まれていたらしい。
腕を捕まれ、動けない翔子。
「離せッ・・・」
「離してやるよ。ほらっ!」
ぶんっ!
「ぐあっ!」
翔子は床に叩きつけられてしまった。
「うぅ・・・・」

「そんな・・・強すぎるよ・・・これじゃ救出どころじゃ・・・」
「駄目だ・・・まだ諦めちゃ・・・」
「ん?」
太助が起きあがって魔封刀を構えていた。
「まだ・・・負けちゃいないぞ・・・」
「しぶといな・・・まだ生きているとは・・・」
「このタフさはもはや自慢さ」
「悪いが俺だって遊んでいるわけじゃない・・・一気にかたをつける!」
バチッ!バチバチ!
皇鬼は手に巨大な光弾を作り出した!
「まずい!あんなもん当たったらひとたまりもないぞ!」
「太助・・・様・・・」
倒れていたシャオが太助の名を呼んだが小さくて届かない。
「私は・・・守護月天・・・主を守るのが・・・役目・・・」

「これで終わりにしてやる!!」
フラフラで動けない太助に光弾が撃たれようとしている!
「駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
カッ!

「・・・・ん?」
朦朧としていた太助の意識が急にはっきりしてきた。
「これは・・・」
気付くと自分が見慣れない装備を身につけていることがわかった。
その時皇鬼の口から驚くべき言葉が出た。
「まさか・・・・天神の鎧!?」

「これが・・・天神の鎧?」
太助はいつの間にか装備している鎧を見て素直に驚いていた。
「一体何時の間に・・・」
『太助様!』
「あれ?シャオ?」
『太助様ぁ。ここですぅ』
「・・・・・・鎧がしゃべった!?」
『私です。シャオです。どうして私が鎧になってるんでしょうか・・・』
「俺に聞かれたって・・・なにがなんだか・・・」

そしてその様子を見ていた出雲、翔子、乎一郎
「あれが・・・」
「天神の・・・」
「鎧!」
カッ!

「私にも鎧が・・・!離珠さんあなたですか!」
『でし!』

「あたしにも・・・まさかキリュウ!?」
『そのようだな・・・・・』

「ルーアンせんせぇー!僕嬉しいです!!」
『まさかこうなるとはね・・・』

「おい!ちょっと待て!なんで俺だけ?」
何もなくて慌てるたかし。そして目に入ったのは、
「頼むよ花織ちゃん!」
「え?あたし!?」
カッ!
「よっしゃあ!」
『えぇぇぇぇぇぇ!?』
たかしにも鎧が装備される。

「馬鹿な!何故突然天神の鎧がここに!!」
慌てる皇鬼。当然ではあるが・・・
「よくわかんねぇけど・・・チャンスだ!」
皇鬼に飛びかかる太助!
「ていっ!」
どんっ!
「うおっ!」
急激な力で吹っ飛ばされる皇鬼。その時手に持っていた玉を落としてしまい・・・
「しまった!」
パリン!
ボンッ!
「涼ちゃん!」
「やっと出られた・・・・」
閉じこめられていた涼が戻ってきた。
「教えてくれ!シャオや他のみんなが天神の鎧ってどういうことなんだ!?」
「・・・『天神の鎧は見つけるものではない。自ら作り出すものなり』
・・・これが天神の鎧の言い伝えよ」
「天神の鎧は防具じゃなくて・・・術だったってわけ!?」
「そう、鎧に変身して仲間の力となる。それが天神の鎧の正体よ」
『私にそんな力が・・・・』
呆然とする一同。
『と、とにかく太助様!今がチャンスです!』
「そ、そうか!今なら皇鬼と戦える!」
皇鬼と向かい合う太助。
「くそっ・・・・形勢逆転ということか・・・だがただではやられん!」

「うぉぉぉぉぉぉ!!」
皇鬼が自ら太助に突撃をかけてきた!
「うわっと!」
すかさずかわす太助。
「皇鬼の動きが・・・・見える!?」
『太助様!今なら星神の力をそのまま太助様に使うことが出来ます!』
「へ?それって・・・」
『天陰!お願い!』
「うおっ!?」
体に不思議な力がみなぎるのを感じる太助。
「よし・・・いくぞぉぉぉぉ!!」
ドカッ!
「うおっ!?」
太助のタックルで吹っ飛ぶ皇鬼。
「つまり・・・俺が星神の能力を使えるってわけ?」
『そうですぅ。今の体当たりは天陰のスピードを使いました』
「なるほど・・・よし!車騎!力を貸してくれ!」
すると太助の手に力が集中する。
「うおりゃぁっ!!」
ドンッ!
手先から車騎の砲撃に似た光弾が発射される!
「ぐあっ!」
そして見事に皇鬼にヒット!
「すげぇ!」
「くそっ・・・調子にのるな!」
素早く間合いに入り、太助に掴みかかる皇鬼!
「くっ・・・・」
皇鬼と組み合い、力比べになる。
「ぐ・・・軍南門!頼む!」
とたんに太助の力が強くなる!
ぶんっ!
「おわっ!?」
投げ飛ばされてしまう皇鬼。
「くっ・・・そんな・・・」
「皇鬼!てめぇもここまでだぜ!」
「なにっ!?」
今度はたかしが連続で傘の槍攻撃を繰り出す!
花織の素早さがたかしにプラスされているのだ!
「く・・・・」
ジャンプして距離をとる皇鬼。しかし
「甘いぜ!」
翔子が手裏剣を投げつける!しかも
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
どぐっ!
手裏剣が異様にでかい。翔子がキリュウの力で大きくしたのである。
たまらず地面に落下する皇鬼。
「くそっ・・・んなっ!?」
「陽天心花火爆弾!」
ドカーン!
「ぐおっ!?」
乎一郎の爆弾に陽天心がかけられている。
「陽天心からは逃げられませんよ!
では行きます!最強の爆弾を!
玉手箱爆弾!!」
ドッゴーーーーーン!!
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
強烈な爆弾をくらい倒れる皇鬼。
「う・・・うぅっ・・・」
「しぶといですね・・・ならば魔封の札!!」
ビシッ!
「ぐあっ!」
出雲の札もパワーアップしている。完全に皇鬼の動きを封じた!
離れて見ている妖怪勢はただ感心するばかり。
「すごい・・・これが天神の鎧の力!?すごすぎます!」
「あの皇鬼があんなに・・・もはや反則やで・・・」
「全ての道具が揃った今、皇鬼に勝ち目はないわ。
太助君!魔封刀でとどめを!!」
「そっか・・・こいつはそのためにあったのか!」
魔封刀を構える太助。皇鬼にとどめをさせるのはこの刀をおいて他にない。
出雲の札で皇鬼は動けない!
「よし・・・北斗七星!力を借りるぜ!」
魔封刀に北斗七星の力が宿る。
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ズバァッ!
「がっ・・・・」
がくっ・・・
「俺は・・・天神の鎧には勝てぬ運命だったか・・・」
どさっ・・・
皇鬼は倒れた・・・・

激しい戦いを終え、ついに皇鬼を倒したメンバー達。
その時!
ゴゴゴゴ・・・
「なんだっ!?」
「どうやら『消滅』が始まったわね・・・」
「どういうこと!?」
「この鬼神城は皇鬼が自らの魔力で作り出した城なの。
この城は皇鬼の魔力の塊・・・皇鬼の魔力が弱くなったんで城が消え始めたのね」
「ってことは・・・その中にいる俺達は?」
「うーん・・下手すりゃ巻き込まれて一緒に・・・」
「やばいじゃん!すぐに脱出しないと!」
「そこに倒れてる阿修羅は?」
「んー・・・一応連れていこう」

「なんだこりゃ・・・」
すぐに鬼神城出口へ向け移動を開始した面々の視界に
飛び込んできたのは「曲がっている」部屋であった。
「消滅の前兆が現れてるわね・・・」
「ボスが負けたらアジトが壊れるのはお約束だけど・・・こういうのはなぁ・・・」
「急ぐわよ!戻れなくなってもしらないわよ!」
「ひぃぃぃぃぃ!!」

曲がったり、つぶれたり、ちぎれたりしている部屋を大急ぎで駆け抜けていく。
「視覚的にやだなこんなの・・・」
異常な光景の中をひた走る。
その時!
「げげっ!行き止まり!?」
部屋の途中でちぎれた部屋の残骸で埋まって進めない!
「でぇいこんなもん!」
どかっ!
「あれぇ?」
たかしの攻撃でもびくともしない。
「玉手箱爆弾!」
どんっ!
「くそぉ!これでどうだ!」
ガッ!
乎一郎や翔子でもどうにもならない。
「ちくしょう!どうしたら・・・」
その時出雲が口を開いた。
「この城は皇鬼の魔力で出来てるんですよね。だとしたら・・・」
その言葉で太助ははっとした。
「そっか!よし!頼むぜ!!魔封刀!」
太助は魔封刀に力をこめる。
「阿修羅の砦を脱出する時に・・・ドクロ将軍・・・
あんたはこうして道を開いたよな!!」
ズバッ!
「おおっ!」
太助の魔封刀で道が開けた!
やはり皇鬼の魔力に対しては有効らしい。
「さすがね!さぁ急ぐわよ!」

「はぁ・・・はぁ・・・・」
「ここまでくりゃ・・・大丈夫だろ・・・」
鬼神城を脱出して、離れた所まで移動してやっと一息つく。
その時!
「消えるわよ!!」
「あぁっ!!」
カッ!

「あ・・・あああ・・・」
「マジかよ・・・・」
「本当に・・・・消えちゃった・・・・」
鬼神城のあった場所は荒々とした平野が広がるだけとなった・・・・

「終わった・・・・・」
消えた鬼神城の前に立ち、つぶやく太助。
「ほんと・・・ここまで大変だったなぁ・・・」
と、たかし。
「何度もピンチになって・・・ね」
これは乎一郎。
「しかしこれで・・・我々の目的は達成されましたね」
出雲の言葉。
「終わりよければ全てよし!だな」
翔子らしいセリフ。
「くすん・・・後半私出番なかった・・・」
とヨウメイ。

『これで・・・やっと家に帰れますね。太助様』
「ああ・・・」
まだ鎧のままのシャオと話す太助。
その言葉には安堵が感じられる。

「ほんとにすごかったっす!俺もうびっくりしましたよ!」
「なんかもう・・・ごっつすぎて言葉にならんわ、ほんま」
14号、そして染五郎。
「よく頑張ったわね・・・それから、まだ言ってなかったわね。
助けてくれてありがとう」
涼の感謝の言葉。

「んー・・・・どうなってんの?」
ハッ!!
忘れてた!阿修羅の存在を!
皇鬼のことどうやって説明しよう!
「皇鬼様は?どうなったの?」
「えーと・・・・それは・・・」

ズンッ!

「え?」
「今の音・・・何?」

バッコォォォォォン!!
地面を突き破って飛びだしたのは・・・
「げげっ!!」
「皇鬼!生きていたのか!!」
それは死んだとばかり思っていた皇鬼であった!

「あぁん!皇鬼様ぁん!!」
やっぱりな行動をとる阿修羅。しかし
バチッ!
「痛っ!なにこれ・・・すごい魔力!近づけない・・・・」
皇鬼は強大な力を溜めている!
「ぬぅぅぅぅ・・・・」
そしてその限界が来た。
「ぐああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

「・・・・・なにも起こらないぞ?」
皇鬼は確かに何か力を放出したが何の変化もない。
その時皇鬼がつぶやいた。
「俺は・・・けして後悔などしない・・・
俺は・・・俺が望むままに生きた・・・例えそれが・・・
邪悪であろうと!!」
ドサッ・・・
今度こそ皇鬼は死んだ・・・
恐らく最後の力を出し切ったのだろう・・・・

「お・・・・皇鬼さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
急いで駆け寄る阿修羅。
「しっかりなさって下さい!皇鬼様!目を覚ましてください!!」
しかし皇鬼の体は少しずつ消え始めていった。
「皇鬼様!!」
そして皇鬼は完全に消滅した・・・阿修羅の腕の中で・・・
「そんな・・・・そんな・・・・」

ゴゴゴゴ・・・
「え?」
「な、なに?」
突然あたりの地面が揺れ始めた!
「阿修羅!すぐに戻って!何か様子がおかしい!」
涼が大声で呼びかける。
「え?きゃぁっ!!」
阿修羅は何かに吹っ飛ばされて戻ってきた。
「いったーい・・・なんなの?」
「この力・・・まさか!!」
ボーン!!

「・・・・え?」
「ええ?」
「ええええええええええ!!!」
大声で驚く面々。ちょうど皇鬼がいたあたりから突然巨大(数10メートルはある)な妖怪が出現!!
体の装飾は少なく、シンプルな姿だ。
「皇鬼・・・・最後の力でこいつを呼ぶとはね・・・・」
「涼ちゃん知ってるのか!?」
「あたしも実際見るのは初めてよ・・・・あいつは恐らく・・・
『ヨミ』・・・・・『魔王ヨミ』!!」


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