いよいよ出発の時。
涼は準備を整えてやる気満々だ。
「鳳凰の塔は町を3つ越えた所よ。さぁ行きましょう!!」
「はりきってるね、涼ちゃん・・・・」
こうして一行は鳳凰の塔へと向けて出発した・・・・
「よーし、着いたぁ。道楽町!」
一行は新たな町へと到着した。
かなり大きな町で活気もある。
「今日はここで休むんですね」
「ふふ・・・実はあたしここに来たら行ってみたいとこがあるんだぁ」
「え?」
涼はわくわくしながら「ある場所」へと向かった。
とある大きな屋敷で。
『阿修羅・・・お前には失望したぞ・・・』
『申し訳ありません皇鬼様・・・今度こそ必ず・・・』
『もういい!あてにした俺がおろかだった・・・失せろ』
『そんな・・・・』
「・・・・・皇鬼様、ひどいです・・・・」
失意のままお店に立つ女性・・・・阿修羅である。
「はぁ・・・あんな失敗さえなければこんなことには・・・・ん?」
その時阿修羅の目に映ったのは、
「・・・・げっ!あいつら、なんでここに!?」
自分を負かした敵、太助達だった!
「へへ。ここでいっぱい漫画売ってんの。人気あるんだよ」
「これって人間世界でいう、コミケ・・・・」
「それは言わない約束ですよ・・・・」
「ま、まずいわ・・・こんなとこ見られたら・・・とりあえず顔を隠して・・・・」
布やら眼鏡やらで変装する阿修羅。
しかし・・・・
「あれ・・・・あーっ!阿修羅!?」
「げげっ!なんでわかったの!?」
「わかるわ!腕が6本もあれば!!」
「なんで阿修羅がここに・・・・」
「そ、それは・・・・」
「阿修羅様例の稼ぎですか?」
「ぐっ!」
14号に指摘される阿修羅。
「なんだ?例の稼ぎって・・・」
「ああ、阿修羅様は・・・・」
「言うなーーーーーーー!!」
どごっ!
「おや?阿修羅さん組織の印がないですね」
「うっ!」
ヨウメイに突っ込まれる阿修羅。
「そういえば14号さんが組織をクビになった時も・・・ではあなたは・・・・」
「・・・・ええそうよ。あんた達に負けたせいで皇鬼様に捨てられたわよ!」
開き直った阿修羅。
「こうなったらここであんた達を・・・・」
「倒すとでも?1対3でも負けたのにこの人数相手に?」
余裕の台詞のヨウメイ。
「うっ・・・・・」
「あっはっは!おもしれー!!」
「ん・・・・あーっ!こらーっ!!」
いつの間にか太助は阿修羅の書いた漫画を読んでいた。
「勝手に読むな!!」
「これ阿修羅が書いたのか?へぇー、なかなか面白いじゃん」
「変でしょ・・・あたしがこんなの書いてたら・・・」
「別にいいんじゃないの?面白いし、俺は構わないけど?」
「・・・・そう?」
優しい言葉をかけられ、ちょっと驚く阿修羅。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「なんだっ!?」
突然外から悲鳴が聞こえてきた!
「邪灯団の奴が攻めてきたぞー!」
「何っ!?みんないくぞ!」
阿修羅との会話を中断して太助達は現場に急行した!
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
現れたのは一つ目入道であった。
2メートルを越す大きな体に鎖のついた鉄球をぶらさげている。
「ごっつい奴が現れよったなぁ・・・」
「敵は一人だ!全員で一気にやっつける!」
「おお!!」
「来々天陰!」
「陽天心召来!」
「万象大乱!」
連続で強力な攻撃をしかける!
「ぐ・・・ぐぉぉぉぉぉぉ!!」
ブンッ!
「わぁぁぁぁぁぁぁ!!」
入道は鉄球を振り回して攻撃してきた!
近くの建物に当たって壊しまくっている。
「くそっ!近付くのは危険だ!間合いを取るんだ!」
入道から離れようとしたその時
「ふんっ!」
入道が地面を勢い良く踏みつけ、辺りが地震のように揺れた!
「うわっ!」
たまらず転んでしまう太助。
「うがぁぁぁぁぁ!!」
そこに入道の鉄球が襲いかかる!
バキィィィィィン!
「えぇっ!?」
鉄球は太助に当たるより前に砕け散った。
「脆い鉄球ねぇ・・・・」
「阿修羅!」
鉄球は阿修羅のパンチでバラバラになったのだ。
「一つ目入道・・・・確か別の幹部の手下よね」
「ぐへへ・・・あんたのことは知ってるぜ。元幹部さんよ」
「くっ・・・元って言うなー!」
事実だけに余計悔しい。
「こいつらはいずれあたしが倒すの・・・あんたは邪魔なの!」
「ぐへへ・・・俺とやろーってのか?」
「あんたを倒すのに腕6本もいらないわ。1本で十分よ!」
そう言って5本の腕を後ろに組んで1本だけ構える。
「ぐへへ・・・丁度いい。ついでに倒して手柄を立ててやるぜ!」
入道が大きな手によるパンチを繰り出してきた!
「バカね・・・」
余裕の笑みを浮かべながら阿修羅もパンチを繰り出す。
バキッ!!
入道と阿修羅のパンチが正面からぶつかる!
「ぐ・・・・ぐぁぁぁぁぁ!骨が砕けたぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴をあげたのは入道であった。
入道の大きな手のパンチは阿修羅の女らしい細い腕のパンチに敗れたのだ。
「力であたしに勝てると思ってんの?」
「うっ・・・」
入道の阿修羅を見る目が変わった。明らかに怯えている。
「帰ったらあんたの上司に伝えて。部下の教育し直せって・・・」
「ま、待ってくれ!」
「調子に乗るんじゃ・・・」
「俺が悪かったぁぁぁぁ!!」
「ないわよぉぉぉぉぉぉ!!」
バキーーーーーーッ!
入道の巨体は阿修羅のパンチで遙か彼方に飛んでいった・・・・
「ふぅ・・・全く、失礼な奴だったわね・・・」
「あ・・・阿修羅・・・」
「何!?」
「いやその・・・さっきはありがとう。助かったよ」
「ふん。あんな奴に手こずってるようじゃ皇鬼様になんて勝てないわよ」
そう言って阿修羅は太助の方を向き直った。
「皇鬼様の所に行くわよ!!」
「えぇっ!?」
「お前ついてくる気か!?」
「あんた達についていけばいずれ皇鬼様に会えるかもしれないからね。
その前に他の奴にやられちゃったら困るからそれまで味方してやる!!」
「おいおい・・・・」
「このあたしがついてきてやるって言ってんのよ、感謝なさい!!」
「なんでこんな偉そうなんだ・・・」
態度の大きい阿修羅に呆れる太助。
「あと・・・漫画面白いって言ってくれてありがと・・・・」
「え?」
「な、なんでもないわよ!!」
かくしてメンバーに阿修羅が加わり、ますますにぎやかになる一行であった。
「ようやく次の町に着きましたね」
「ここは山神村。小さいけどのどかな村よ」
鳳凰の塔を目指して旅をする太助達は山奥の村に到着していた。
「しかし・・・・それにしては人が少なすぎるような・・・・・」
少ないというか全くいない。村が無人になっているのだ。
不審に思ったその時。
「待っていたぞ。今日こそはお前達に引導渡してやる!!」
物陰から二人の妖怪が現れた!
「風神雷神!またお前らか!!」
「こりないなぁ・・・・これで3回目だぞ」
「うるさい!さぁいけカラス天狗!!」
大勢のカラス天狗が現れた!
「ふん。邪魔する気?だったらあたしが相手になるわ、かかってらっしゃい!!」
ドカッ!バキッ!
堂々と前に出る阿修羅に容赦ないカラス天狗の攻撃。
「いたたたたたたた!!」
「阿修羅・・・・お前って部下の人徳ないんだな・・・」
「うるさい!元上司に向かって・・・殺す!」
ドガッ!!バキッ!ボキッ!
怒った阿修羅はあっという間にカラス天狗を撃退した。
「やっぱ強いな阿修羅・・・・」
「ふふ・・・・」
風神雷神が目の前に降り立った。
「今回は今までのようにはいかんぞ!!」
「たのむぞ風神!」
「おうよ!」
雷神のかけ声とともに、風神が突風を呼び出した!
「いくぜ!電撃!!」
はげしい電気が太助達を襲った!
「ぐあっ!!」
「くそっ・・・パワーアップしてるな・・・」
「ちっ、これでもくらえ!」
翔子がくないを投げつける。
が!風神の風がそれを吹き飛ばしてしまった!
「あぁっ!!」
「この風神の風がある限り、どんな攻撃も通用せん!!」
「そう・・・つまり防御は完璧、あとはゆっくりお前らを倒すだけじゃい!」
「くそっ・・・・」
「まずいな・・・つまりいかなる攻撃もあの風のバリアで吹き飛ばされるということか」
「どうしましょう・・・・」
「たまにはあたしの出番じゃない?」
「涼さん!?」
「風に吹き飛ばされないくらい大きな力をぶつければいいのよ!」
「でもどうやって・・・・・・・ん?」
いきなり涼は甲羅の中に頭手足をひっこめてしまった。
「あたしを思いっきり投げつけるのよ!」
「ちょっとそれは危険じゃ・・・」
「平気よ、10万年の甲羅は丈夫だから」
「よぅし、やってやろうじゃないのよ」
阿修羅が涼を持ち上げた。阿修羅の怪力はすでに実証済みだ。
「てぇぇぇぇぇい!!!」
思いっきり風神に投げつけた!
「いっ!?」
どごぉぉぉぉぉぉん!!
涼の甲羅の重さに阿修羅の力が加わって、風のバリアを突き抜けた!
「はうぅぅぅ・・・」
甲羅がもろに命中した風神は思わずうずくまってしまった。
「こ、こら!風を止めるな!!」
慌てる雷神。そこへ
「てやぁぁぁ!!」
ドガッ!
14号のキック!
「ぐっ!」
「よっしゃ頂き!!」
すかさず染五郎が傘で雷神を回す。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
ふらふらになった雷神、ダウン・・・・
「強いなー・・・妖怪勢・・・・」
「我々人間も負けていられませんね」
太助達はただ感心するばかりであった・・・・
「やっと着いたわね。ここが海神町よ」
「すごーい!海が見えるぅ!!」
太助達は海神町に到着した。この町は海に面しており、潮の香りが流れてくる。
「ここまで来れば海神岬はもうすぐですね」
「とりあえず今日はここで泊まりましょ。あたしはちょっと泳いでくるわ」
涼はそう言って海の中に入っていった。
やっぱり亀だから水の中が気持ちいい。
「じゃあ我々も自由行動ということで・・・・」
その時
「ちょっと待て!お前達!!」
いきなり町の役人に呼び止められたメンバー達。
「?なんですか?」
「こいつだ!捕らえろ!!」
「へ!?」
「ちょっとーーーー!!どういうことなんすか!?」
いきなり牢屋にぶち込まれた太助。
「とぼけるな!ここ最近この町で盗みを働いているのはお前だってわかってるんだ!!」
「なにーぃ!?そんなバカな!!」
「そうです!私達今日この町に着いたばかりなんですよ!」
「ふん・・・ならばその証拠はあるか?」
「ないけど・・・太助様は無実です!」
「それならこの町のはずれの山に真実の地蔵がある。
そいつにさわると全てを教えてくれるという・・・
お前達が無実というならそこへ行ってみろ」
「わかりました・・・太助様!すぐ出してあげますからね!!」
そう言ってメンバーは真実の地蔵を探しに行った・・・
「この山の頂上にその真実の地蔵とやらがあるんだな?」
「しかしこの山・・・・なんか不気味だなぁ・・・・お化けとか出そう・・・」
「山ほど妖怪見ながら何を今更・・・・・」
そうして山の中を進むこと約30分・・・・
「あった!あれじゃない!?」
一体の地蔵が立っている。
「お願いします!太助様の無実を証明してください!」
すると。
『よかろう・・・・私に勝てたらな!!』
突然地蔵が巨大化した!!
「んなーっ!?」
『とぅっ!!』
地蔵はジャンプして踏みつぶしにかかってきた!
踏まれたら間違いなくペチャンコだ。
「なんで地蔵が襲ってくるの!?」
「わかんないけど戦わなきゃやられる!!」
「来々軍南門!!」
巨大地蔵と組み合う軍南門!
パワーは互角だ!
「太助君・・・・何があったの?」
「あっ、涼ちゃん・・・」
泳ぎ終わった涼が太助の入れられている牢の前にやってきた。
「実はかくかくしかじか・・・・」
太助は事情を説明した。日本語って便利だ。
すると
「じゃ、あたしがちゃんと話してあげる」
「へ?」
そこへ役人がやってきた。
「おい、あんた何をして・・・・あなたは!!」
「あっ、ちょうどよかった。この人は無実だよ。ここまでずっと一緒に旅をしてきたんだから」
「そうでございましたか・・・・それは失礼しました・・・・」
すぐに太助は解放された。
「涼ちゃんってもしかして・・・すごい人!?こんな簡単に信用してくれるなんて・・・・」
「でも気になるわね。その盗みの犯人が・・・・」
「うん、一体だれが・・・・・まさか!!」
すぐに駆け出す太助!
「どこへ行くの!?」
「シャオ達のところだ!!」
「待ってよ。あたし亀だから早くは走れない・・・」
「ええぃそれなら!!」
ひょぃっ
「いっ!?」
太助は涼を甲羅ごともちあげて走り出した。
「うぉぉぉぉぉぉ!!待ってろよシャオぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「頑張って軍南門!!」
地蔵と組み合う軍南門。しかしなかなか決着がつかない・・・
「我々も加勢したほうがよさそうですね。爆炎の札!!」
出雲の符術が地蔵を襲う!
「よぅし!花火爆弾!!」
「来たれ雷鳴!!」
それぞれが得意の攻撃を繰り出す。
じりじりと地蔵が押されていく。
『く・・・くそっ・・・』
「だいぶ弱ってきたわね!今だわ陽天心召来!!」
ルーアンのとどめ!!
バッコーーーーン!!!
『ぐぉぉぉぉぉぉ!!』
地蔵は粉々に砕け散った・・・
「やったわ・・・・」
その時
「おーーーーい」
「太助様!?」
「疑いが晴れて牢から出られたんだ。みんなありがとう」
「いえ、無事でよかったですわ」
「あ、そうだ。町でうまそうな饅頭見つけたんだ。食べないか?」
「あ、頂きまーす・・・・・」
ルーアンが近付いたその時!
ゴーーーーン!!
「おぶっ!?」
太助の後頭部を何か硬いものが襲った。
「みんな騙されるな!!」
「た、たー様!?」
もう1人太助が現れた。
ちなみにさっきのは太助が涼を投げて甲羅が当たったのである。
涼の甲羅はものすごく硬いので当たると痛いでは済まない。
しかし涼を担いでここまで走ってくるとはなんという体力。
「これは罠だ!!真実の地蔵なんて初めからなかったんだ!!」
「く・・・一体何を・・・・」
「もう正体わかってんだよ。狸!!」
「くそっ・・・・」
ボンッ!
「ばれたか・・・・」
それはいつかの化け狸であった。
「町の役人にも化けていたな。町の泥棒もお前だろ」
「ふっ・・・その通り!あの地蔵もうちの組織の妖怪さ!!
結構強いと思ってたんだがやられちまったな・・・・
それでこの毒饅頭で弱らせた所を倒そうと思っていたんだが・・・」
「げ。危なかった・・・」
びびるルーアン。
「こうなったら直接やってやる!出番っすよ皆さん!!」
「おおぅ!!」
すると影から傘お化けとぬりかべと一反木綿が現れた!!
「ちっ、新手の妖怪か!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
ぬりかべが突進してきた!
ドガッ!
「うあっ!!」
ぬりかべの大きな体に体当たりされてはかなりのダメージだ!
「くそっ・・・・」
「それそれぇ!!」
次は傘お化けが回転しながらの突進攻撃!
さらにはキックのおまけつき!
「いててててて!!」
「くそっ!何が傘お化けや!わいの傘回しの芸に勝てると思うな!!」
染五郎が傘お化けとの戦闘に入った。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「シャオ!?」
いつの間にかシャオが一反木綿に縛られていた!
「くそっ!シャオを離せ!!」
突撃する太助。
「うぉぉぉぉぉ!!」
それを妨害しようとするぬりかべ。そこへ
「おっと行かせはせんぞ!」
ぬりかべの相手をするキリュウ。
「ちっ!しぶといやっちゃな!」
傘お化けに苦戦する染五郎。そこへ
「加勢するぜ!」
たかしが乱入する。
「おらあっ!!」
たかしが傘お化けと戦うがなかなかダメージを与えられない・・・
「いでぇっ!!」
いきなり傘お化けが悲鳴を上げた!
「やったぁ!」
花織が傘お化けをひっかいて破いたのだ。
たかしはあらかじめ傘お化けをひきつける囮だったのだ。
「よっしゃあ!!」
そのままの勢いで追い討ちをかけるたかし!
ドガッ!
「ぐああっ!!」
一反木綿と戦う太助。シャオが縛られた状態のままなので戦いにくい。
「くそっ・・・・」
「ははは!どうしたどうした!!」
余裕の一反木綿。しかし!
「これでどうだ!!」
「んなっ!?」
太助は強引に一反木綿をつかみ取った!
「このまま・・・・それっ!!」
「あらぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・」
一反木綿を引っ張ると、シャオをくるくると回転させながら一反木綿が外れていく。
いわゆる「よいではないか」「あーれー」によく似ている。
「ふぇぇ・・・」
ちょっと目が回るシャオ。
「外れたらこっちのもんだ!くらえっ!!」
一反木綿を一刀両断!
「くそっ・・・・なんてタフなんだ・・・・」
ぬりかべに苦戦するキリュウ。相手は石の体を持つぬりかべ。攻撃がなかなか効かない。
「ぐふふふ・・・・これで終わりにしちゃる!」
再び突っ込んでくるぬりかべ!
「万象大乱!」
「んあっ!?」
バタァン!!
いきなりぬりかべが転んだ!
キリュウが足元の石を大きくしてつまづかせたのだ。
「ぬぉぉぉぉぉぉ!おきられん!!」
ぬりかべは転ぶと自分で起きられない・・・・
「あとはあたしが・・・」
阿修羅が腕をポキポキと鳴らす。
「せいやぁ!!」
パンチでぬりかべを破壊する!!
「はぁ・・・はぁ・・・なんとか倒したぞ・・・・」
「なかなか手強い3匹でしたね・・・・おいちょっと待て!」
ぎくっ!
「この狸・・・・逃げようたってそうはいかないぞ・・・・」
「ずいぶんいろいろやってくれたわね・・・・本当なら狸鍋にして食ってやるとこだけど・・・・」
ルーアン、さりげなく怖いことをいう。
「ひーん・・・・」
「そこでおとなしくしてなさい!」
狸は海神町の牢屋に入れられた・・・・
「まぁいろいろ大変だったけど・・・
これでようやく鳳凰の塔に行けるわね!」
精霊勢
シャオ「たくさんの星神を使えるの。効果も様々でいろんな場面で活躍出来そうね」
ルーアン「陽天心は攻撃が主になるわ。戦闘では役に立つわ」
キリュウ「この子も攻撃が主になるわ。一発の威力は大きいわよ」
ヨウメイ「攻撃の他に補助にも使える彼女の能力。侮れないわ」
離珠「戦闘力はないけど、彼女にしか出来ない重要な役割があるそうよ」
人間勢
太助「魔封刀は彼にしか使えないから戦闘においては重要な存在。攻撃力も高くて頼りになるわ」
たかし「傘は攻撃も防御も出来る優れ物。やる気も十分。役に立ちそうね」
乎一郎「彼のからくり技術は進歩しているわ。そのうちすごい武器を作ってくれるかも・・・」
出雲「符術は攻撃、補助、回復も出来て、戦闘ではとても頼りになるのよ」
翔子「動きが素早いのが特徴。遠距離の攻撃が得意ね」
花織「この子も素早いのが特徴だけど・・・こちらは近距離戦闘が得意みたい」
妖怪勢
涼「あたしは戦闘は出来ないけど・・・甲羅が武器代わりになるかしら?」
14号「今はまだ弱いけど、成長すればきっと強くなるはずよ」
染五郎「見た目よりもずっと強い彼。たかし君との協力攻撃は期待出来そう」
阿修羅「力なら彼女が一番。技も特殊で実力は十分よ」
そして彼女はのたもうた 三
『涼のちょっとした自慢』
あたしは亀の妖怪なの。
だからものすごく長寿。
普通の妖怪は1000年くらいだけど、
亀妖怪は100万年!1000倍も違うの。
だからあたしは必然的に最年長。
シャオちゃん達精霊よりも年上なの。
いつの間にやら「長老」なんて呼ばれるようになっちゃった。
言っておくけど歳が上ってだけで、
亀妖怪としてはまだまだ若いのよ。
見た目の年齢なら阿修羅よりも下よ。
このへん重要よ。
あたし、知識と経験ならそのへんの妖怪には
負けないって自信があるわ。そしてこの若い肉体!
これって結構お得じゃない!?
へへ。あたしのちょっとした自慢。
長く生きてればそりゃいろいろとあるのよ。
友達もいっぱい出来たし。
友達の子供とまた友達になったり。
生まれてから死ぬまで面倒見た友達だっているしね。
世代ぐるみで友達?これもちょっとした自慢。
あたしは今年でちょうど10万歳。
いよいよ6桁に突入したのね・・・
年取ったわね。あたしも・・・
ってまだ90万年も残ってるんだけどさ。
誰か10万歳のお祝いで何かくれないかな?なんて。
海を一望出来る高台に鳳凰の塔が立っている。
「でっけぇ塔だなぁ・・・・」
「昔は灯台として使われていたんだけどね」
「へー、詳しいね、涼ちゃん」
「ここの最上階に鳳凰が封印されているわ。
でもその封印を解くには3人の番人を倒さなくちゃいけないの」
「3人の番人!?」
「そう・・・・ここで3組に別れましょう。そのほうが早く片づくわ」
「じゃあたしはたー様と・・・」
「ずるいです、あたしが七梨先輩と・・・・」
「俺シャオちゃんと・・・」
予想通り組分けでもめるメンバー達。
当然これでは3組なんか決まらない。
そこで涼が提案した。
「みんな落ち着いて!ここは一番年上の人に決めてもらったら?」
「ならば20歳の私ですね」
「なに言ってんの、あたしは180歳よ!」
「やーん、それなら1000年以上生きてるあたしが・・・」
「ちょっと待って、確か涼ちゃんは・・・」
「10万歳よ。てことは・・・あたしが決めるわね」
「図ったな、涼ちゃん・・・」
「つべこべ言わない、3組決めるわよ」
というわけで。
太助、シャオ、出雲、離珠、阿修羅、涼チーム。
たかし、花織、ルーアン、乎一郎、染五郎チーム。
翔子、キリュウ、ヨウメイ、14号チーム。
このように決まった。
いざ鳳凰の塔の内部へ。
扉が4つあるが一つは厳重な封印が施されていて入れない。
「残りの3つがそれぞれの番人のところへ通じているわけですね」
「そういうこと。番人を倒したらみんなこの部屋に戻ってきてね」
「じゃ行こうか!!」
3組はそれぞれの扉の奥へと入っていった。
こちらは太助チーム。
「そういえば番人ってどんな奴なんだ?」
太助が問う。
「九尾の狐と海坊主とオロチ。それが3人の番人よ」
「うわ・・・・強そうな妖怪ばっかり・・・・」
ちょっと不安になる太助。
「なんだか恐ろしいですね・・・・」
「大丈夫。私がついていますから」
しっかりシャオにいいとこを見せる出雲。
「さっさと番人なんか倒して皇鬼様のとこに行きましょ」
あくまで目的はそれな阿修羅。
「ん・・・・見えてきたわ」
「あれは・・・・」
奥にいたのは8本の首を持つ大蛇。
「ここはオロチのようね・・・・」
「でかい・・・・これがオロチ・・・・」
3メートルは軽く越える大きさの8本首の大蛇にちょっとひいてしまうメンバー。
「こんなのにびびってんじゃないわよ!!」
阿修羅は一人やる気十分だ。
その時オロチが阿修羅を睨み付けた。
ゴバァッ!!
「阿修羅危ない!」
オロチの8個の頭がそれぞれ光弾を吐いてきた!!
「ふん、こんなもんはじき飛ばしてやるわ!」
バシッ!
「まず一つ!」
阿修羅は腕で光弾をはじき飛ばす!
バシバシッ!!
「二つ!三つ!」
ビシッ!バシッ!ベシッ!
「四つ五つ六つ!!」
6本の腕を巧みに使い、次々と光弾を弾いていく。が。
ドンッ!ドガッ!
「あうっ!!」
残念。残り二つをくらってしまった。
「悔しい・・・腕があと2本あれば・・・」
「それ以上あってどうすんだ・・・」
「こりゃ相当きつそうだな・・・」
阿修羅の苦戦ぶりを見てますますオロチの強さを実感する。
「仕方在りません・・・・ここは私が!」
出雲が得意の符術を使う。
「煙幕の札!」
投げつけられた札はオロチの周りに煙を撒き散らす。
当然オロチの視界は遮られることになる。
「よし、いまだ!」
すかさず太助が斬りかかる!
ズバッ!
オロチにわずかだが傷を負わせた!
「よし!出雲また頼む!」
「えーと・・・・あれ?」
「どうした?」
「札が・・・・なくなりました・・・・」
「なにーっ!!」
その時オロチが襲いかかってきた!
「危ない!」
なんとかよけるがオロチは攻撃をゆるめようとはしない。
「どうしよう・・・・これじゃまともに近づけないぞ・・・・」
主戦力の出雲が札切れを起こし、ピンチになった太助達。
「たぁっ!」
「来々天陰!!」
バシッ!!
「うぁぁぁぁぁ!!」
何度か攻撃しようとするが逆に反撃されてしまう。
「まずいわね・・・・出雲さんのお札の援護がないと勝てないわ」
「でも札はなくなったんだよ!どうすんだよ!」
「しかたありません・・・・補充しましょう」
「へ?」
あっさりと言い放つ出雲。
「補充・・・できるのか?」
「ふっ・・・朱雀村で私だけが力をつけたわけではありません。離珠さんお願いします!」
(はいでし!)
なにやら離珠は集中しはじめた。
(えいっ!でし)
ぽんっ
すると空中にいくつかの札が現れた。
「おおっ!離珠は札が作れるのか!」
「まだこれからです」
と、その時。
バシッ!!
「わぁっ!」
オロチが攻撃してきた。
「困りましたね、札を補充するには少し時間が必要なんですが・・・」
オロチがすんなり札を補充させてくれるわけがない。
「しょうがないわね・・・じゃ、あたしが時間稼ぐわ」
「阿修羅!?」
「さっさとやりなさい!」
「お、おぅ!!」
再びオロチの前に立つ阿修羅。
ゴバァッ!
再び8個の頭が光弾を吐く!
「ふっ・・・あたしが同じ失敗を二度もすると思って?
あたしとしたことがこの術があったの忘れてたわ。
奥義、三身の術!!」
ボンッ!
阿修羅がいきなり3人になった!
「3人になればあたしの腕は18本!8本は防御に使って・・・」
ビシッ!バシッ!
次々と光弾をはじき飛ばす阿修羅。
「残り10本があんたを攻撃する!」
ドカッ!バキッ!
すかさず反撃を加えることも忘れない。
離珠はおなじみの筆を取り出し、札に模様(っていうか絵)を書いた。
「これで札の完成です!」
「出雲・・・・そういうこと出来るんなら先に言えよ!!」
「とにかく行きますよ!」
出雲は出来立ての札を構えた。
「電撃の札!!」
バリバリバリ!!
オロチをはげしい電気ダメージが襲う!
「今なら動きが鈍っています!チャンスです!」
「よぅし!てゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
太助が魔封刀を持って斬りかかる!
ズバーーーーーッ!!!
ズゥーーーーン・・・・
これが致命傷となり、オロチは動かなくなった・・・・
「やった・・・・・」
「手強い相手でしたね・・・・他の番人のところに行ったみなさん大丈夫でしょうか・・・・」
ところかわってたかしチーム
「なんだか薄暗いな・・・・」
「それじゃ・・・からくりライト!」
バッ!
「おっ、懐中電灯か、用意がいいな、乎一郎」
「せっかくからくりを覚えたんだからね。活用しなきゃ」
さらに先を進むとなにやら大きな広間にでた。
「なんだこりゃ・・・・」
広間の中央に巨大な池があった。
広間のほとんどが池で埋まっている。
「来るで!!」
突然染五郎が叫んだ!!
ザバーーーーーッ!!
池の中から巨大な妖怪が現れた!
鳳凰の塔の番人、海坊主である。
「気色わりぃ・・・・」
でっかい丸に手がついただけの妖怪だが、カッと見開いた目と暗い体色が不気味に見せていた。
手には巨大な金棒を持っている。
ブンッ!
その時金棒を勢いよく振り下ろしてきた!!
「わぁぁぁぁぁぁ!!」
ドゴォン!
「あっぶねー・・・・・」
間一髪よけられた。海坊主はものすごい怪力。
当たったら洒落にならない。
「逃げるだけじゃ駄目よ。攻撃しなきゃ」
「よーし、俺に任せろ!染五郎見ててくれ!」
「な、なんや!?」
「はぁっ!!」
たかしは傘の先端からなんと炎の弾を打ち出した!
ボンッ!
海坊主にダメージを与える!
「傘から火の玉なんてどうやって・・・」
「俺の熱き魂の力さ!!」
関係あるんか。しかしけっこう役にたちそうなんでこのさい良しとする。
「よーし、あたしも!」
花織は猫又の素早さを生かして素早く海坊主に近づきひっかく!
「みんなやるやないか、わいもまけへんでぇ!」
今度は染五郎が傘を回して風を起こす!
「風の刃が敵を切り裂く!わいの新ネタやぁ!」
たかし、花織、染五郎の活躍で海坊主との戦いはややこちらのペースだった。
ただ、海坊主がものすごいタフなのでなかなか決着がつかない。
「いよいよこいつを使う時が来ましたね・・・・」
「遠藤君、さっきから何を組み立ててるの・・・・」
「出来ました!」
それは3メートル弱はある巨大なからくり人形であった。
「ルーアン先生!こいつに陽天心をかけてください!!」
「・・・・あっ、なるほどね。よぅし、陽天心召来!!」
からくり人形に命が宿った!
「陽天心からくり人形!名付けて『小鉄』です!!」
「別に名付けなくても・・・まぁいいわやっちゃいなさい!」
小鉄は海坊主に向かっていった。
気付いた海坊主は金棒を振り下ろす!
ガシッ!
小鉄は軽く金棒を受けとめた!
すかさず小鉄のパンチ!
『ぐぉぉぉぉぉ!』
海坊主にかなり効いているようだ。
さらに口から火炎放射!
おまけに指から花火爆弾の連続発射!
そして最後に!
「小鉄砲発射!」
胸が開いて強烈なビームが発射された!!
『ぐぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・』
ぶくぶくぶく・・・・
ビームを直撃した海坊主は池の中へと沈んでいった・・・・
「恐るべし乎一郎・・・・」
たかし達はそう思った・・・・
太助チーム、たかしチームともにクリア。
残るは翔子チームのみとなった。
「こいつがここの番人か・・・・」
翔子達の前に現れたのは最後の番人、九尾の狐である。
オロチ、海坊主同様でかい。
「先手必勝!くらえ!!」
くないを投げつける!
ビシッ!
「あっ!」
しかし尻尾で簡単に弾かれてしまった。
さらにはそのまま尻尾を叩きつけてきた!
「ひえっ!!」
ドォン!
「こんなもんまともにくらったら洒落になんねえぞ・・・」
「敵は手強い。協力しなければ勝てないぞ」
「私にまかせてください。来たれ砂嵐!!」
ヨウメイが統天書から砂嵐を呼び寄せた!
ダメージにはならないが目くらましには充分!
「それっ!」
翔子がくないを投げつける!
「万象大乱!」
さらにキリュウがくないを巨大化させる!
「やったか!?」
砂嵐が止むのを待つ翔子達、すると・・・
「ちっ・・・やっぱ簡単にはくたばってくんないか・・・」
狐はくないで確かにダメージを受けているがまだ余力を残している。
さすがに番人なだけはある。
きぃぃぃぃぃん・・・
「なんかくるぞ!!」
その時狐の口から強力なビームが発射された!
「ひぇぇぇぇぇぇ!!」
どごぉぉぉぉぉぉん!!
「口からビームなんて・・・そんなのありかよ!?」
強敵九尾の狐に苦戦する翔子達。
尻尾攻撃も加わって事態は悪化する。よけるだけで精一杯だ。
「まずいですよ、これでは攻撃するチャンスがまわってこないじゃないですか!」
「落ち着けヨウメイ殿、必ず何か方法があるはず・・・・」
その時キリュウに向かって狐の尻尾が振り下ろされた!
「師匠危ないっす!!」
ドゴーーーン!!
「14号殿!?」
14号がキリュウを突き飛ばしたためキリュウは助かったが、14号はそのまま尻尾に叩きつぶされてしまった!
「14号殿!?」
「うぅ・・・・・・」
「よかった!まだ生きてる・・・・」
しかし今度は尻尾でつかまれてしまいそのまま地面や壁に何度も叩きつけられる!!
「あぐっ・・・・・」
「14号殿・・・おのれぇ!!」
助けようとするが残りの尻尾による攻撃で近づけない。
「キリュウさん落ち着いて・・・」
「これが落ち着いていられるか!このままでは14号殿が!!」
落ち着けと言ったのは本人なのだがこれもキリュウが優しいせいだろうか。
「ぐっ・・・・」
もうフラフラの14号に狐の口が向けられた。
「まさかあの状態でビームを!?」
尻尾につかまれ、動けない14号に狐のビームが放たれた!
「14号殿ーーーーーーーーーーー!!!」
「ち・・・・調子にのるんじゃないっすーーーーー!!」
14号は自力で尻尾を振り払った!
「ふんっ!!」
なんと14号は両手を前に突き出し、ビームを受けとめた!
「こんなところで・・・・くたばるもんかーーーー!!!」
しゅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・
見事にビームを防いだ14号!
「もう怒ったっすよーーーー!!」
14号は素早く狐の懐にもぐりこみ、連続でパンチやキックを入れる!
「黒羽手裏剣!」
14号は背中の羽をばたつかせ、羽を飛ばす。その一つ一つが狐にささる!
「さっきのお返しっす!はぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」
14号は手に気を集中した!
「気功烈破!!」
狐の使ったビームを真似て14号も強烈なビームを放った!
どぉぉぉぉぉぉぉぉん!!
ビームは見事に狐を倒した・・・・
「・・・すげぇな・・・・あいつどんどん強くなっていくぞ」
「ふふ・・・キリュウさん、師匠としての立場ないですね」
「ヨウメイ殿!何を言って・・・・」
その時14号が戻ってきた。
「師匠・・・・俺やったっす・・・」
バタッ
「お、おい!」
「大丈夫・・・・いっぺんにいろいろやったんで疲れただけみたいです」
「まったく・・・世話の焼ける・・・・もう少し鍛えてやらんといかんか・・・」
そう言うキリュウの表情は優しかった。
気絶したままの14号を背負ったキリュウが見えた。
ようやく翔子チームが戻ってきた。
最初の部屋にはすでに他のチームが戻ってきている。
「扉の封印が解けた・・・ってことは山野辺うまくやったな」
「14号かなり活躍してくれたぜ。もっともこの様子じゃしばらくお見せ出来ないけどな」
しばらく14号は目を覚まさないだろう。
「さぁ!番人は全て倒した!いよいよ鳳凰の待つ最後の扉に行くぞ!」
全員合流し、いよいよ再深部へ向かう。
長い階段を登り続けるメンバー達。
「この頂上に鳳凰が眠っているのよ」
「それより涼ちゃん・・・・この長い階段どうにかなんないの?疲れた・・・」
「まだ3分の1も登ってないわよ」
「うひぃ・・・・」
ほどなく広い廊下に出た。
「ここでちょっと休みましょ。先は長いわ」
「まったく・・・勘弁してくれよ・・・妖怪が出てこないからいいようなものの・・・・」
その時!
「ふはははは!!待っていたぞ!」
「今日こそお前達の最後にしてやる!!」
もはや聞き慣れたあの声。
「風神雷神!!・・・・ほんっと懲りないな」
「やかましい!今日こそお前達を倒す!!」
「なにがこようと負けないぜ!」
「ふん、いつまでそう言っていられるかな・・・いくぞ風神!」
「おう!!」
兄弟は一点を中心に回り始めたかと思うと・・・
カッ!
「これぞ我ら兄弟の最終奥義!風雷神!!」
「合体した!?」
二人は合体して別の一人の妖怪に変身した!
「くらえ!台風召来!!」
強風と豪雨が太助達を襲う!
「主様大変です!」
「どうしたヨウメイ!?」
「台風なんか呼び出されては私の能力の立場がないです!」
「おいおい・・・・」
バカなこと言ってる間にも太助達はずぶぬれになっていく。
「くたばれ!」
ピシャーーーーーーーン!!
「うああああああああ!!」
「ヨウメイ!?」
雷の直撃をくらってヨウメイが倒れた!
体が雨で濡れているせいで余計に感電したのだ。
「うぅ・・・・」
なんとか生きているがかなりダメージは大きい。
「くっそぉ・・・・・」
強敵、風雷神の出現にとまどうメンバー達。
「風で自由を奪い、雨で体力を削り、雷でとどめをさす・・・敵ながら天晴れな戦術だな」
「キリュウ、冷静に分析してくれるのはいいけどどうすりゃ勝てるんだ?」
「それは・・・・・・・わからん」
「くそっ・・・」
はっきり言って戦況はかなり悪かった・・・
「一気にかたをつけてくれる!」
ビシャーーーン!!
「うわっ!」
「きゃぁっ!!」
一人、また一人と雷の直撃を受けていく。
このままでは全滅してしまう!
「こうなったら・・・シャオ!」
「はい!」
「そんな!危険です!」
「これしか方法がないんだ!急がないとみんなが!」
「・・・わかりました」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
太助が風雷神に向かって特攻した!
台風に逆らって走るとはものすごい奴。
「バカめ!雷の餌食だ!」
ビシャーーーーーーン!!
「来た!」
ガッ!
太助はしゃがんだかと思うと刀を床に突き刺した!
すると刀に雷が直撃した!ようするに避雷針になったのである。
そしてしゃがんだ太助の後ろから猛スピードで北斗七星が突っ込んできた!
立っている時は影になって見えなかったのである。
「何!?」
ドッゴーーーーン!!
「ぐぁ・・・・・」
風雷神は元の風神雷神に戻った。
同時に台風も収まった。
「正直賭けだったけど・・・うまくいったな」
刀を抜いて、ほっとする太助。
「太助様・・・」
「シャオ、俺は大丈夫だよ」
「もうこんな危険なことはやめてください・・・」
「・・・ゴメン」
と、その時
「お二人とも!けが人の治療が先ですよ!」
出雲が割って入る。
「治癒の札!」
出雲の札で回復していくメンバー達。
「へー。出雲の札って回復も出来るんだ」
「私はオールマイティーなんですよ(ふぁさっ)」
自慢げな出雲。だが彼の能力は役に立つ。
「くそぉ・・・今度こそ・・・」
風神雷神が動いたその時!
ドォォォォォォォン!!
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
バコォォォォォォン!!
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「なんだ!?」
風神雷神の悲鳴が聞こえた!
「これより先は通さぬ・・・・お前達に鳳凰はわたさん!!」
現れたのは謎の黒い天狗。その特徴である高い鼻も黒い。
「く・・・黒天狗!!」
「阿修羅知り合いか?」
「あたしやドクロ将軍と並ぶ邪灯団幹部よ!どうしてここに!?」
「部下達があまりにふがいないんでな。儂自ら出向いたわけよ」
「どいてよ。あたしはなにがなんでも皇鬼様の所へ行くんだからね!」
「ふん、『元』幹部がでかい口たたきよるわ」
「元っていうなー!」
早くも言い争う阿修羅と黒天狗。幹部同士って仲悪いのか?
「ふん、とにかく貴様らに鳳凰を渡すわけにはいかん。
この場で儂が始末してくれる!」
黒天狗、戦闘態勢に入る!
「暗黒の炎!!」
ぼわっ!!
唐突に真っ黒な炎が襲いかかってきた!
「うわっと!」
すかさずよけるが服のすそが少し焦げた。
「気を付けて。こいつかなりの妖術使いよ」
阿修羅の忠告が入る。
「なるほど、さすがに幹部だな」
「ここはあたしにやらせてくれ」
「翔子さん!?」
「ほほぉ・・・・やるか小娘!」
「いくぞ!」
翔子が素早く黒天狗に接近する!
「甘いわ!」
すかさずよけて反撃する!
「おっとぉ!!」
しかしそれもよけてまたしても翔子が反撃する!
「それっ!!」
ばばっ!
「えぇっ!?翔子さんが何人も・・・」
「あれはただの高速移動による残像よ、あたしみたいにほんとに増えてるわけじゃないの」
翔子の分身の術に阿修羅が解説を加える。
「ふん。こんな子供だまし・・・はっ!!」
刃物を一体の翔子に投げる!
グサッ!
刃物は見事に翔子の胸に刺さった!
「翔子さん!!」
「ふん、他愛もない・・・・」
グサッ!
「うぐっ!?」
突然黒天狗の背中にくないが刺される。
「そうかな?」
「ぬおっ!?」
いつの間にか翔子が黒天狗の後ろでくないを構えていた。
よく見ると刃物が刺さったのはただの切り株。
「すごい・・・変わり身の術だ」
「っていうかどこから切り株を・・・」
「おのれっ・・・調子にのるなよ!!」
翔子を振り払い、黒天狗は若干の怒りを現した。