パソコン実習室
GRUB によるトリプルブートの実験
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W.Linux ES3 のインストール


W.1.MBR の編集 その 2

 Linux ES3 をインストールする前に再度 MBR (パーティション テーブル) の編集を行う。

 Windows XP (パーティション 1) 該当の パーティション タイプと、Windows 2000 server (パーティション 2) 該当のアクティブ フラグを以下のように変更する。
項目変更前変更後適用
パーティション 1 の
パーティション タイプ
0x830x070x83 : Linux 基本 (ext2)、 0x07 : Windows
パーティション 2 の
アクティブ フラグ
0x800x00
0x80 : 起動可能、 0x00 : 起動不可

この値に変更する理由は次の通り。
  • パーティション 1 のパーティション タイプ
     パーティション タイプを 0x07 に戻すことで、ハードディスクには Windows XP もインストール済みであることを Linux のインストーラに認識させる。
     そうすることで、grub の設定ファイル (grub.conf) に Windows の情報を盛り込むことができる。
  • パーティション 2 のアクティブ フラグ
     ブート シーケンスにおいて grub に無視されるアクティブ フラグの変更は不要であるが、ここでは念のため Windows 2000 server のアクティブフラグを 0x00 (起動不可) に変更する。
▼ これらの変更は Linux ES3 のインストールに絶対に必要というわけではない。
   念のために行っているので、grub.conf 編集で対応可能ならば MBR 編集は割愛しても構わない。

 それでは、MBR (パーティション テーブル) の編集を行う。


W.1.1.dskprobe の起動

 下記要領で Windows 2000 server の dskprobe を起動し、ハードディスクの編集を可能にする。
  1. Windows 2000 server を起動する。
  2. dskprobe を起動する。
  3. [Drives] - [Physical Drive...] を選択。
    [Open Physical Drive] が開く。
  4. [Available Physical Drives] 欄の [PhysicalDrive0] をダブルクリック。
    [Handle 0] が PhysicalDrive0 に、[Open Mode] が OPEN_READONLY になる。

  5. [Read Only] のチェックを外す。
    [Open Mode] が OPEN_READWRITE に変わる。
  6. [Set Active] をクリック。
  7. [OK] をクリック。


W.1.2.パーティション テーブルの書き換え

  1. [Sectors] - [Read] を選択。
    [Read Sectors] が開く。
  2. デフォルトで [Starting Sector] に "0"、[Number of Sectors] に "1" が入っているので、そのまま [Read] をクリック。
    Starting Sector : 読み出し開始セクタ。 "0" はハードディスク先頭のセクタ (MBR) を指している。
    Number of Sectors : 読み出しセクタ数。
  3. 下図は読み出した MBR (セクタ 0) の様子。

    赤枠の範囲がパーティション テーブル。
    黄色を背景とした パーティション テーブル 2 (Windows 2000 server) のアクティブ フラグが 0x80 で、パーティション タイプが 0x07 になっているのが判る。
  4. カーソルを移動し、パーティション テーブル 1 のパーティション タイプを 0x07 に戻し、パーティション テーブル 2 のアクティブ フラグを 0x00 に変更する。
  5. 下図は変更後の様子。

    次項の操作で、変更したデータを MBR に書き戻す。
  6. [Sectors] - [Write] を選択。
    [Write Sector] が開く。
  7. デフォルトで [Starting Sector to write data] に "0" が入っているので、そのまま [Write it] をクリック。
  8. ハードディスク データの上書き操作なので、注意喚起のメッセージが出る。
    [はい] をクリックすると MBR (パーティション テーブル) が書き変わる。
  9. dskprobe を終了する。

▼ アクティブ フラグが起動可能な状態のパーティションは無いので、MBR に記録されている Boot Strap Loader
   による Windows XP, 2000 server の起動は不可能。
▼ パーティション タイプは両方とも 0x07 (Windows) なので、grub (FD) で起動すればどちらの Windows も C ドラ
   イブとして起動可能。
   この時、他方のパーティションは、ドライブ (例えば E ドライブ) として認識される。



W.2.Linux ES3 のインストール

 Linux のインストール時は、grub のインストール先を選択 (MBR or PBR) できるので、ここでは、grub によるトリプルブートのために MBR を選択する。
▼ grub のインストール先を MBR に指定すると、当然 Windowdows 2000 sever の Boot Strap Loader は上書き
   されて消滅する。
▼ しかし Linux のインストーラも、事前にインストール済みの Windows XP と Windows 2000 server に関するパー
   ティション テーブルは保護する。

 Windows XP, 2000 server をインストール済みのハードディスクに Linux ES3 をインストールする。
※ パーティション 1 および 2 には、それぞれ Windows XP と 2000 server が入っているので、Linux ES3 はパー
   ティション 3 以降にインストールされる。
   Linux のパーティションの使用状況は、インストール時の「ディスクの設定」に関わる。


W.2.1.インストール オプション

 Linux ES3 のインストールを開始すると、様々な設定・選択 (オプション) を迫られる。
各項目は適宜選択・設定して構わないが、以下の点には注意。

【 ブートローダの設定 】
  • [ GRUB ブートローダは、/dev/hda 上にインストールされます。] と表示されていれば、そのままで OK。
    そうでない場合は次のように設定する。
    • ブートローダには grub を選択する。
    • ブートローダをインストールする場所は、マスター ブート レコード (MBR) を選択する。
  • 起動 OS の選択リストに、Linux ES の外に、Windows XP, Windows 2000 server の 2 つが表示されていることを確認する。
    2 つの Windows がリストにない場合や、表示ラベルに不都合がある場合は、[ 追加 ] や [ 編集 ] でリストを修正する。 (Windows XP は [ DOS ] と表示されたりする)
    以下に2 つの Windows の例を示す。
  • ラベルデバイス
    Windows XP/dev/hda1
    Windows 2000 server/dev/hda2

【 その他の設定 】
  • インストール場所 (パーティション)
    未使用領域を選択する。
  • ネットワークの設定
    • DHCP は使わない方が賢明だろう (なにしろ実験環境だ) 。
      [ DHCP を使用して設定 ] のチェックを外す。
    • ネットワークアドレスは適宜。
      例えば、192.168.1.254/255.255.255.0 あるいは、10.2.3.234/255.255.255.0
    • [ 起動時にアクティブにする ] はそのまま (チェック)。
  • ファイアウォール
    外部に接続しない条件で、[ ファイアウォールなし ] を選択。
  • タイムゾーンの選択
    Windows との共存では、システムクロックに UTC を使えない。
    [ システムクロックで UTC を使う ] にチェックを入れない。 (デフォルト)
  • パッケージデフォルト
    [ 現在のパッケージリストを承諾 ] (デフォルト) のまま変更なし。
    必要なら後から追加できる。


W.2.2.Linux ES3 の grub.conf

 ブートローダを grub、インストール場所を MBR と指定したが、grub の実態は MBR にはインストールされない。

 grub 本体は Linux の /boot/grub ディレクトリに stage 2 としてインストールされ、MBR には Linux パーティションの /boot/grub/stage2 ファイルをロードする stage 1 (boot strap loader) がインストールされる。
この時、他 OS (他パーティション) の起動に関する情報を盛り込んだ、grub.conf も /boot/grub ディレクトリに作成される。

 Linux ES3 インストール直後の、起動設定ファイル grub.conf は概ね次のようになる。
# grub.conf generated by anaconda
#
# Note that you do not have to rerun grub after making changes to this file
# NOTICE: You have a /boot partition. This means that
# all kernel and initrd paths are relative to /boot/, eg.
#root (hd0,2)
#kernel /vmlinuz-version ro root=/dev/hda12
#initrd /initrd-version.img
#boot=/dev/hda
default=0
timeout=10
splashimage=(hd0,2)/grub/splash.xpm.gz
title Red Hat Enterprise Linux ES (2.4.21-4.EL)
root (hd0,2)
kernel /vmlinuz-2.4.21-4.EL ro root=LABEL=/
initrd /initrd-2.4.21-4.EL.img
title windows 2000 server
rootnoverify (hd0,1)
chainloader +1
title Windows XP
rootnoverify (hd0,0)
chainloader +1




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