無菌播種
ここでは、無菌播種の興味があり、チャレンジしようとする方の参考になればと思い、具体的に器具の集め方や、試薬の入手
方法について記載します。
無菌播種の方法は、田中先生のホームページに記載されていますので、参考にしてください。
中央学院高等学校の生物クラブのHPも参考になります。
(1)きっかけ
  平成10年より無菌播種に興味を持ち、色々なホームページを参照しながら、平成11年11月頃より始めました。
きっかけは、洋蘭の苗が私にとっては、高価であるからです。
普通の個体でも1,000円程します。
自分で無菌播種をすれば、材料は、寒天とハイポネックスが少々とバナナ無いときはジャガイモと、後少しのガス代だけです。
材料代は、非常に安いです。これで、500株以上取れます。(小さい苗は捨てますが)
趣味で行っていますので、人件費はタダです。やってみれば簡単です。みなさんも始めませんか。
私は業者でありませんので、余剰株や余剰フラスコがあれば材料費+電気代の程度の価格でお譲りします。
無菌播種に関しても、私の経験した範囲で、ノウハウ等隠さずにメールにて返答します。

(2)道具類・試薬
 無菌箱は、集成材をホームセンターで購入し、自作で作製しました。
フラスコは、学校に理科学材料を納入している業者より購入しています。      
小学校や中学校がある地域であれば、どこの地域にも、必ず業者があります。(フラスコが一番高価です
@¥約350)この業者を通じて、フラスコ、ピンセットやアルコールランプが購入できます。
フラスコの代わりにマヨネーズ瓶やワンカップの瓶が使用できます。(私はフラスコやマヨネーズ瓶を使用していますが、マヨネーズ瓶であれば
@¥80
培地の材料は、寒天、砂糖、ハイポネックス、ジャガイモ、リンゴ、キュウリ、バナナです。粉末ハイポネックスは肥料として一般の園芸店で入手可能で、寒天、砂糖、果実、野菜類はスーパーで購入可能です。入手困難な材料はありません。
滅菌するには、圧力釜でできます。ホームセンター等で購入可能です。私は近所にあるバッタ屋さんでフランス製のものを買いましたフラスコやスパーテル、ピンセット、ビーカー、試験管立、アルコールランプ、シャーレ、メス、薬品類、等の理化学機材を安く入手できるところを発見しました。通販可能かどうか判りませんが、興味のある方はメールで問い合わせいただければ、連絡いたします。
(3)作業場所
 ほこりの立たないところ、室内の空気の流れがないところ、人の出入りが少ないところ、等の条件で一般家庭で合致するところは、お風呂場です。
自宅は田舎風の建物で、お風呂は総タイル風呂で、3畳ほどの広さです。無菌播種するのにもってこいの場所です。

(4)フラスコ置き場
無菌播種の終わったフラスコは、ワーディアンケースに入れています。ワーディアンケースは、廊下の突き当たりに置いています。夏場は日中縁側の引き戸を開け出来るだけ風通しを良くし温度を下げるようにしています。
ワーディアンケース内には、電気ヒーターとサーモスタット、蛍光灯を設備しています。
芽の出たフラスコは、蛍光灯下30cm以内の所に置き、芽の出ていないフラスコは、薄暗い場所に置いています。
蛍光灯は、朝5:30に点灯し、夜11:00に消灯しています。
(オーディオタイマーを使用しています。写真では、上段の右側に置いています。写真ではフラスコに隠れ見えませんが)
ワーディアンケース内の温度は、約25℃です。夏場は、約25〜35℃になります。
夏場を如何に涼しく過ごさせるかが課題です。せめて蛍光灯の熱に影響されないように、フラスコの底面よりファンで空気の流れを作り冷やしています。
(ファンは写真に写っていませんが、下より2段目に置いています。)
通常であれば、温度変化無く空気が動かない環境下に置いて育成することにより、コンタミを防止されていますが、空調設備が無いので、コンタミより温度優先で管理しています。このような環境下でも、播種や継体後2週間異常なければ、その後は、コンタミしません
蛍光灯の光をなるべく無駄なく使用できるようにガラスにアルミ箔を貼ってます。
フラスコ内の成長の様子

(5)培地の作製
@寒天約8g+砂糖約30g+ハイポネックス約2g+ジャガイモ約50gを鍋に入れ、1リットルの水を加え、ガスで過熱しする。
A寒天培地の透明度が増すまで炊く。
Bこれをフラスコ8本に玉勺で約2.5杯をフラスコに入れて、ゴム栓をする。
  ゴム栓は、フラスコに栓をする前に水に浸けておくと栓がし易い

(培地の成分割合は、私が行っている割合です。ベストであるかどうか判りませんが、パフィオはよく発芽し成長します。継体に用いる培地は、柔らかい
ほど作業がし易いので、寒天を6g程度としジャガイモを加えればよいと思いますよ。)

培地作製に使用しているかんてんクックです。4gごとに1袋になっていますので、8g使用の場合2袋であり
計量の必要がありません。
1リットルの容器です。既に砂糖と寒天を入れています。後はハイポネックスと写真のジャガイモをおろし器で
こすり、約30g〜50gを容器に入れガスで炊く。
ガスで透明度が上がるまで炊いています

(6)培地の滅菌
@培地の入ったフラスコを圧力釜に入れる。圧力釜には予め水を入れておくこと。
 フラスコが少し水に浸かっていても問題ない。
Aこの圧力釜をガスに掛け、炊く。
Bしばらくすると圧力釜より蒸気が出てくるので、火力を緩める。
Cこの状態を約15〜20分維持した後、ガスを止める。
Dその後約30〜40分放置し自然冷却した後、ゆっくり圧力釜を開けフラスコを取り出す。
 フラスコはまだ熱いので、布巾等で掴み取り出す。取り出したフラスコは、水平の所に培地が固まるまで放置する。
 これでハイポネックス培地の出来上がりです。
 
(私が実際に行っている方法です。他によい方法があるかもしれませんが)

炊いた培地を玉勺2.5杯を各フラスコに入れゴム栓をする。
1Lの寒天培地で8本のフラスコに注入しています。
1本の量としては少し多いです。10本は作れると思います。
圧力釜に6本のフラスコを入れ約20分ほどガスに掛け滅菌する。
フラスコの栓に黒ゴムと白ゴム(シリコンゴム)を使用していますが、
シリコンゴムはすべりが良すぎて使いにくいです。値段も高い。
黒ゴム栓を消耗品として考え使用するのがよい。

(7)播種
播種する種は、交配から1年ほど経過した完熟した種を播いています。子房の先が黒くなり破裂前の種です。
交配から10ヶ月経過した株の子房を毎日観察し、播種のタイミングを計ります。子房内は無菌ですので、子房の外側だけを無菌にすればよいことになり、種を無菌にするための薬品処理は不要ですので、簡単に播種できます。即ち子房をカッターで半分に切り、2つのフラスコに播けば終わりです。播いた後、培地表面に種が均一に馴染む少し振ります。
この状態で2ヶ月もすれば芽が出てきます。
(8)継体(移植)
フラスコ内の苗の状態が、双葉が出て5mm程度で根が長く伸びていない状態の時に、継体をしています。根が伸びると培地と他の苗とが固まりとなって付いてくるので、非常に作業がやりにくくなる。根があまり伸びていないときであれば、1本1本の継体が出来る。
業者であれば継体を3〜4回程度行うようであるが、継体を行うたびにコンタミにあう機会が多くなるので、継体はなるべく1回にしている。多くても2回です。
そのため継体用のフラスコの培地は、多めにし植え付ける苗も12〜15苗ぐらいとしている。
(9)フラスコ出し
フラスコから出す時期は、株が大きく育ったときで、培地の一部が減ってきているときに行っています。この時まだ苗が小さいときは、マヨネーズ瓶(取り出し口がフラスコより大きい)を使用した培地に、更に継体をして苗を大きくしてから瓶出しをします。
できるだけフラスコ内で大きく育てます。趣味家であるのでできることかもしれません。CP苗にしなくとも単鉢にすぐ植え付け可能です。私はそれでも一度はCP苗で植え付けます。
フラスコ出しは、みなさんが一般的に行っている方法、即ちフラスコに水を入れ、金槌で底を割って取り出しています。
詳細は、他のホームページで写真付きで記載されていますので、そちらをご覧下さい。
マヨネーズ瓶の時は、ピンセットで苗を取り出しています。
フラスコ出し後のCP苗の育成で、セラトンを使用した例としては、「パフィオ鑑賞」を参考にして下さい。

私は、アサヒビール製のオーキッドベースを使用しています。

(10)種育成
夏の高温を出来るだけ避けるために、棚下で育成中です。
(11)種育成中の様子
子房がかなり膨らんでくる
wolterianum sukhakulii venustum fairieanum
交配後2ヶ月 交配後1ヶ月 交配後4ヶ月 交配後5ヶ月
wardii malipoense villosum gratrixianum
交配後4ヶ月 交配後3ヶ月 交配後5ヶ月 交配後6ヶ月
(12)無菌播種参考LINK先
1)無菌播種:中央学院高等学校の生物クラブ
2)無菌播種:田中先生
3)理化学機材:科学共栄社
4)寒天:伊那食品工業株式会社