★仕組み解明

 最近の研究で、捻枝や
摘芯によりトマト茎葉に
エチレンが増加し、果実
の肥大促進や着色日数
の短縮に効果があること
がわかってきました。

 またエチレンは過繁茂
の防止や奇形果の減少
にも役立っています。
ほのちゃんの野菜畑 http://park12.wakwak.com/~tkt/

トマトプロジェクトその3 2002

連続摘芯栽培をやってみよう!

 連続摘芯栽培は千葉県で開発された比較的新しい整枝方法です。
 市販の本などでは、主にハウス栽培での栽培管理方法について
書かれていますが、このページでは露地栽培でのtktのつたない経験
に基づいてまとめてあります。
まだまだ改良の余地は多いと思いますが、参考にして下さいね(^_^)/

はじめに
 もともとトマトは自分自身で直立することができない野菜なので、放任
するとそのうち倒れて地面に沿って伸びていきます。これをほふく性と
いいます。そして地面に触れた茎からも根を出して生長していきます。
 しかし日本のように雨が多い地域では病害虫が発生しやすく、果実も
傷みやすいので加工用を除き無支柱栽培は行っていません。

 支柱などにより直立に仕立てる(1本仕立て)ことにより、通風が良くなり
葉によく日が当るため良質の果実を生産できます。しかしトマトには上に
伸びるにつれて着果や肥大が悪くなりやすいという欠点があるのです。
 いままでは品種改良や主に肥培管理技術の研究によってこの欠点を
カバーしてきましたが、専門に栽培している農家と違って家庭菜園では、
これら管理技術は難しいため「トマトをろくに収穫できない!」という悩み
がたいへん多いのです。

 連続摘芯栽培は1本仕立てより収穫個数を多くすることが可能な栽培
方法です。つぎにその特徴を1本仕立てと比較してお話します。


1 連続摘芯栽培の特徴
連続摘芯栽培 普通栽培(1本仕立て)



収穫個数
(果房あたり3個として)
果房数が11〜13段と多いので30〜40個に
なる。
支柱の長さの関係から、果房数が6〜8段
となるため20個前後となる。
実の大きさ 栄養が実にいきやすくなるため上段でも大
きくなる。
特に上段は栄養不足となり、果実は小さく
なりやすい。
着色日数 1本仕立てよりやや早まる。 夏季35〜45日 春・秋季45〜60日
裂果 捻枝するため、水分供給がゆっくりで裂果
が少ない。
雨が多いと果実に水分が供給されやすく裂
果が多い。




手間 生長点の摘芯と捻枝(ねんし)、葉かき、誘
引作業が追加される。(週1回でも可能)
わき芽とり、支柱誘引、追肥、防除、収穫
が主な作業
支柱 茎葉や実が重くなるので、丈夫に作らない
と倒れやすい。
通常は2cm径、1.8〜2.4mの支柱を利用す
ることが多い。
耐風性 茎葉が多くなるため弱い。また捻枝したとこ
ろが裂けやすい。
風向きにたいして垂直になるようにうねを作
ると抵抗が少ない。

*肥料は同じでよいですが、少し株間を広めにして栽培したほうが管理しやすくなります。


 このようにメリットは大きいのですが、作業時間がほぼ2倍かかって
しまうため、トマト専業農家ではよほど計画的に行わないと手が回ら
なくなってしまいます。
 しかし、場所が狭く栽培本数も少ない家庭菜園では例え手間が倍
かかっても取組むメリットのほうが大きいといえるでしょう。なんといっても
トマトがたくさん取れるのですから。
 それでは次に整枝方法について図と画像を使って説明します(^_^)。

2 整枝方法
 連続摘芯は次々と主枝を摘心するため、果房直下の太
いわき芽を残しておく(写真)。
 第1果房からではなく、第2果房直下から伸ばすと、捻枝
した枝先が下垂したとき地面に付かなくて良い(図)。
 
 主枝は3段果房まで開花したら、葉2枚を残して摘芯す
る(図)。
 第2段果房直下から伸ばした第1側枝は早めに支柱に
誘引する(写真)。
 枝分かれしている3cmくらい下の茎も支柱にしっかり誘
引しておくことがポイント。
 第3果房が着果したら主枝を捻枝する。
 捻枝場所は第1側枝のでている部分の3〜5cmくらい上
でおこなう(図)。
 捻枝する部分を指でつまみながら、「ねじるように水平
に」ヒネる。いきなり真横にすると「ボキッ」と折れることがあ
る。 
 角度は水平くらいがちょうど良い(写真)。
 作業は晴天日の午後に行うこと。
 果実が太ると重くなるため、自然に捻枝した枝は垂れ下
がる(写真)。
 第1側枝も2段目が開花したら葉2枚残して摘芯し、着果
を確認したら捻枝する。
 第1側枝の1段目のすぐ下の太いわき芽を伸ばして第2
側枝を確保する(図)。

 以後はこれの繰り返しとなる。
 さらに果実が太ると捻枝した枝はほとんど垂直に垂れ下
がる(図)。
 このころ葉が混みすぎてくるので、葉かきを行う(写真)。
 葉がかさなっているなと思ったところを葉かきする程度で
よい。ただし各果房前後の2枚は、その果房を収穫し終わ
るまで残すこと。
 最終的に高さ2mで11〜13段の果房を確保できる(図)。
 各果房の着果個数は3個を基本とするが、連続摘芯栽
培では根張りがよくなるため、着果負担による果実の小型
化の心配が少ない。
 草勢をみて着果個数を変えるとよい。

6月30日            
 平均で20個の着果がある。


3 栽培管理上の注意

(1)苗が老化すると根張りが悪くなるので、やや若苗を適期に定植し、
活着までの管理を上手に行いましょう(参考:基礎知識編)。

(2)基肥は普通栽培と同じでいいですが、追肥は草勢を見て行いましょう。
 具体的には開花している果房の2cm下の茎の太さが1cm以上で、すぐ
下の葉の長さが40cm以上あれば4〜5個つけることも可能です。
 逆に開花している果房の2cm下の茎の太さが5mm以下、すぐ下の
葉の長さが25cm以下であれば2個程度に摘果したほうが無難です。
 追肥は第3果房の開花ころから行いましょう。追肥量は化成肥料を
10株当り50g程度、うね間に散布するといいです。
 追肥のおおむねの間隔は7〜10日おきくらいがいいでしょう。

(3)風に弱いので早めに支柱に誘引してください。


4 よくある質問Q&A

Q1 捻枝のとき折れてしまいます(T▽T) 。

  折れやすい条件は以下のとおりですので注意してください(^-^)。

@枝が短い(伸び始め)と折れやすいので、その枝の2段目が着果し始めた頃
(だいたい40cm前後)になってから捻枝する。
A捻枝する部分をヒネるようにしながら枝が水平になるように捻枝する。
B窒素過剰で茎が太すぎると折れやすい。過剰に施肥しない。
C前日に降雨があると茎に水分が多くなるため折れやすい。2〜3日晴天が続い
たあとのほうが良い。
D午前より午後の方が折れにくい。
捻枝が早すぎて折れてしまった例 Ψ(>_<)Ψ
Q2 捻枝する枝には「2段づつ」しか果房をつけちゃ
   だめですか(。_゜)?

A  地面に近い枝に3段以上つけるとトマトの実が汚れたり、病害虫を受けや
すくなります(^-^)。 
 草勢が強い場合は3段くらいつけても肥大します。ただし込みすぎてしまうので、
枝を上手に配置する必要があります。
 4段以上つけると重くなるため捻枝した部分から折れてしまうこともありあまりお
勧めしません。

 捻枝した枝のわき芽を利用する長段どりという方法(20〜30果房/株)もありま
すが、整枝方法がとても難しいので、家庭菜園ではオススメできません。
Q3 主枝を捻枝せずに仕立てて、
   それぞれ果房のすぐ下からでるわき芽を捻枝したら(・・;)

A  次々と捻枝と摘芯を繰り返すことにより、それぞれの果房のトマトがよく太り
ます。一見無駄なような作業と思われますが、実は捻枝した枝では摘芯により葉
からの同化養分がみんな果房に流れ込むため、果房の肥大がよくなるのです。

 仮にご質問のように仕立てると、果房数は増加しますが小さいトマトばかりにな
ってしまいます。
 
Q4 トマトの木が1.2mで花は4段目が咲いています。
    今年はもう無理ですか(´ヘ`;) 

A   可能です(^-^)。
 具体的には、ご使用の支柱の長さまではいつでも可能ですが、お住まいの地域
により開花限界(つまり赤くならない)がありますので、注意してください。
 北陸では平地で9月上旬頃、山地で8月中下旬頃が限界となります。

 ご質問の生育状況の場合では、4段目の果房の下のわき芽を伸ばしてやれ
ば、ここから連続摘芯を行うことができます。最初から行うより果房数は少なくな
っちゃいますが、そのまま普通に仕立てるよりも増加します。

今年は練習ってことで、1本やってみては?
Q5 2本仕立ての方が簡単じゃないですか☆○(゜ο゜)o

A  トマト2本仕立ては1本仕立てより果房数が多くなりますが、株間を倍開け
なければならないことと、上段の果房のトマトが小さくなりやすいです(^-^)。

 また落果も多くなるので、後半の肥培管理が難しいです。しかし中玉やミニトマト
は2〜3本仕立てが可能です。
 
Q6 中玉やミニトマトでも可能ですか(^o^)

A  可能です。しかし手をかけなくてもたくさん着果してくれるので、大玉トマトほ
どのメリットは少ないでしょう。

 2〜3本仕立ての方が簡単です。
 



以上、とりとめもなくかきました。参考になれば嬉しいです♪
みなさんのトマトづくりがうまくいきますよう祈っています。
    
7月7日                7月29日
 連続摘芯栽培トマト初収穫。   3株で12個/日も収穫♪


連続摘芯トマトの着色の様子。
ビニール紐で作った輪はカラス除けの「ニセワナ」です。

7月22日

7月26日

7月27日

7月29日

7月22日

7月26日

7月27日

7月29日

8月11日
 次の枝も順次肥大中です
 ので秋も収穫できそうで
す。

8月11日
 最後の連続摘芯の様子。
これ以後は放任します。8月
末まで開花させます。

9月7日
 最盛期ほどは採れません
が、まだ収穫が続いていま
す。
(タバコガに食害されたものを
除き、現在32個/株。)
 9月19日で収穫終了!

 今年は13段の果房から、
34個/株の収穫をすること
ができました。タバコガに食
害されなければ、もう少し収
穫できただろうに残念。

果実の様子。
 尻腐果はほとんどありませ
んでした。
 裂果は8月後半からごく軽
く発生しました。




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