走ってみた pt.4

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奄美大島地図

 ざっと一回り pt.4

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 ヤドリ浜へは、瀬戸内町役場の前(または裏)を通って、「→ホノホシ海岸」という標識に従って進みます。清水、嘉鉄と通過しますが、道幅が狭いのでオーバースピードには要注意です。四月から十月頃にかけては道路わきに「でいご」の花が咲き乱れています。花を愛でながら、歌でもうたいながらのんびり行きましょう。
 嘉鉄を抜けた後、突然、道幅の広い、走り屋向けのワインディングが現れます。正直に白状しますが、いつもここでは全力疾走です。上りの直線部分では、法定速度×2+αほど出してしまいます。非力な250トレールですから、今のところ転倒などもなく無事に来れてますが、いつまでも若いわけではないので、要反省です。

中央のテントが私のテント('99夏まで使用)。
'95/ 8/ 2
ヤドリ浜キャンプ場。
休憩所からの眺め。
奥の建物がマリン・ステーション。
撮影者:quickone

 ワインディングを下りきると、蘇刈の集落です。キャンプ派ライダーのたしなみとして、「キャンプ地を決めるときは、ビールの買い出し場所も決めておく」というのは常識としてお持ちだと思います。ですから、古仁屋を後にしてからここまで、ずっと自動販売機を片目で探しながら走ってきたのですが、どこにも見当たりません。それどころか、ビールを売っていそうなお店すら沿道には見当たらないのです。暗い気持ちで、蘇刈を通過します。これから先、もう集落はありません。
 蘇刈集落を過ぎると、アスファルト舗装が終わって防波堤とワンセットのコンクリート舗装になります。狭いブラインドコーナーが続きますから、ここもスピード注意です。ヤドリ浜は、奄美でも指折りのビーチとして知られていますから、地理的条件を考えれば意外なほど通行量が多いのです。
 ヤドリ浜の手前を左に折れると、ホノホシ海岸です。小ぢんまりとした駐車場の奥に、広々とした実に心地良さそうな芝生が広がっています。ここでキャンプもいいかなぁ、と思いますが、残念ながら海岸の休憩所以外にはトイレしかありません。休憩所まで歩いて見下ろすと、人の頭ほどの楕円形の石の浜に太平洋の波が打ち寄せています。波が寄せるたび、引くたびに波の音に混じってがらがらと石と石がぶつかり合う音が響きます。ここまで優しさや柔らかさばかりを感じさせてくれた奄美の自然にも荒々しい、生な姿があったことを思い知らされます。

 ヤドリ浜近辺の内湾はダイバーの楽園ですが、「海では釣りじゃ」という方にはあまりお勧めできません。小魚が多い上にダイバーに餌付けされていて、なんだか釣りをしてるんだか集団虐殺をしているんだか判らなくなるほど掛かるのです。
 腕も装備も万全という方は、このホノホシ海岸が良いようです。私のような軟弱者にはとても手が出せませんが、イシダイだのクロダイだのという話も聞こえてくるポイントだそうです。

 ホノホシ海岸からヤドリ浜まではわずかな距離です。いかにも取って付けたような坂を上ると、木立の向こうにキャンプ場が見下ろせます。こちらも芝生の緑に覆われ、適度に植えられた立ち木がアクセントになり、居心地が良さそうです。
 坂を下った駐車場は、入り口ででいごの花がお出迎え。ホノホシ海岸の二倍ほどの大きさですが、夏休みは、お昼過ぎには一杯になります。駐車場の奥にあるのは、レストラン「いそしぎ」。ここでキャンプしない方でも、時間に余裕があれば、テラスで生ビールを一杯というのも良いでしょう。
 キャンプ場内には、トイレ・シャワー棟(昼間は管理人さんが詰めておられます)、休憩所、炊事棟、炊事棟の横にあるバラックみたいな建物は夏休み期間だけ営業の売店でしたが、最近はやっていません。オーナー(古仁屋市街の土産物屋「伊藤商店」のオヤジさん)によれば「もうトシだから」とのこと。泳ぎ疲れてちょっと小腹が空いたときなどには、フランクフルトなど買えたのですが、残念です。

 駐車場の反対側にそびえ立つのが、ダイバー向けホテル「マリンステーション」です。こちらも一階の半分ほどがレストランになっていて、定食・生ビールなどがあります。また土産物コーナーもあり、オリジナル絵葉書やオリジナルTシャツなどを売っています。
 マリンステーションの裏手に、従業員宿舎があり、以前はそこで缶ビールが買えましたが、今は自動販売機がなくなっているようです。350ml で 350円、500ml が 500円という値段でしたが、背に腹は代えられない!という時は重宝していただけに残念です。まあ、「いそしぎ」が遅くまでやっているので、お酒はこちらにしましょうか。

 ヤドリ浜で気になるのは、やはりマリンステーションとレストラン「いそしぎ」の存在でしょうか。
 キャンプ場で出会ったなん人かに聞いてみたところ、マリンステーションに対しては「なんだか見下ろされているみたいで落ち着かない」という意見が多くあります。もっとも、それでもキャンプする人たちばかりに聞いているので、「気にしなきゃいい」という結論のようです。一方では、「台風なんか来たら、逃げ込める」と積極利用派の意見もあります。

モデルは、秘密です。
'94/ 5/ 2
ヤドリ浜キャンプ場。
左側に草が生い茂っているのは沼地でしたが、今はありません。
撮影者:quickone

 「いそしぎ」に関しては、「料理しなくていいから助かる」、「いつでも酒が飲める」と歓迎派が多い一方、マスターがノッてくるとライブがはじまってしまうので、「早く寝たいのに…」という健康派の意見や「どうせなら島唄を」という意見も少数ながらあるようです。

 いずれにせよ、ヤドリ浜キャンプ場は、「食事の支度や片付けは、アウトドアの大切な要素」と考える人よりも、「せっかくここまで来たんだから遊ばにゃ損々」という人たちのためにあるようなキャンプ場といって良いでしょう。もちろん、炊事棟がありますから自分でも料理できますし、古仁屋の「Aコープ」の鮮魚売り場には獲れたて新鮮な魚が並び、中には南西諸島以外では見られそうもない珍しい魚もいますから、煮たり焼いたり揚げたりして、食の面からも南方気分を味わうことも出来ます。
 また、古仁屋の肉屋さんには「山羊肉あります」の張り紙が貼ってあります。骨付き肉で1キロ800円くらいだったかな?これを買ってきて「山羊汁」を作るのも、旅の思い出になるかもしれません。Aコープ近くの肉屋さんでは1キロ単位でビニール袋に入れて売ってました。
 「味付けは塩だけ。必ず水から煮込んで。冬瓜(とうがん)か大根と一緒に煮込むんだよ」と教えられましたが、「冬瓜てなんですか?」(恥ずかしながら、33歳になるまで知りませんでした)と聞いたら、おまけで一個付けてくれました。
 勢いで2キロ買いまして、5人くらいで分けたのですが、他のおかずが充実していたのと、やはり味が単調なのとでつらくなり、最後の1/3は他のキャンパーが連れていた犬の朝食になりました。

 さて、ここまで四箇所のキャンプ場というかキャンプが可能なポイントを紹介してきましたが、どちらがお気に召しましたでしょうか。私が最初に奄美大島を訪れたときは、このヤドリ浜で力尽きてキャンプすることにしました。以来、奄美ツーリングは約十回、合計で四十泊ほどしていますが、そのうち七割をこのキャンプ場で過ごしています。まさかこんなことになるとは思ってもみなかったのですが、新しい土地での最初のキャンプ地選びというのは、大切のものなのだと今さらにして思い知らされます。

 さて、ざっと一周するつもりで走り出しました。現実のツーリングであれば、走行距離は300キロに近くなり、時刻も午後というよりは夕方に近づくはずですが、パソコン上には日没は関係ありません。一度、古仁屋に戻り、名瀬に向かいましょう(下のNEXTをクリックしてください)。




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