やつあたり雑記帳…お出かけ記録 '01.07

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Jul. '01

7/20 海の日スーパーライブ at 吉祥寺スターパインズ・カフェ

  7月20日

 海の日スーパーライブ at 吉祥寺スターパインズ・カフェ

 先月の頭脳警察 at 日比谷野音で「もうちょっとライブに行くべし」と思ったのも何のその、見事に一ヶ月以上、このページ上では空いてしまっている。
 実際は、ちびちびとえみコバーンのソロライブ、下北沢「ぐ」でのプリシラ・レーベル主催のリーディング・イベント、隔月(偶数月)恒例の「田中淳 & 奈良大介」ライブと行ってはいるんだが、なんかネタとして取り上げるに足るほどのインパクトがなかったんだな。
 いや、インパクトがないってのは「出演者の側に問題あり」と主張してるみたいだが、そうじゃなくて、こっちがピンぼけ状態なのだ。「馴れ」なのかね。

 そんなある日、田中氏からメールが届いた。「7/20に、吉祥寺でアフリカのバンドなどと共演します。今回は朝崎先生と一緒に出演します」だと。ふうん。まぁ、お付き合いですからな、参りますか。島旅直前での吉祥寺スターパインズ・カフェ(以下、SPCと略)は、懐具合的にはちと痛いんだが、早めに島旅気分に浸るのも悪かないだろう。それに、オレも僅かとはいえボーナスって奴を貰ったんだからね。

 そんで当日(今月はこれ一件だけだから長いよ)、いつもの如く慌てふためいて吉祥寺に着くと、とっくに開場時間を過ぎているのに階段に行列が出来ている。どうしたどうした、満員御礼か?
 列に並んで階段を見下ろす(SPCは、地下にある)と、十人ほど並んだ中の三人にひとりはデカいジャンベを抱えている。こりゃあ時間がかかるわ。
 階段途中に無理矢理造った受付では、予約券の引き換えをしている。短髪に毛糸のキャップ、耳にピアスで短い髭という現在の東京ではもっとも個性のない格好(注.1)をした若者が受付(他のイベントと勘違いしている可能性あり)をしているのだが、これがまた手際が悪いんだ。最近は、どこに行ってもこうなんだよな〜。資格もやる気も知能もないけど、業界人になりたいから雑用係になるんだが、やっぱり使えないっていう、ごみでも入れときゃまだしも役に立つが、そこらに落ちてると汚いだけっちゅうコンビに袋みたいな奴。こういう愛想もなければ機転も利かないのが入り口にいたら、そのうち来る客も来なくなるぞ。いや、音楽業界は平気かな?いつでも替わりはいるんだし。

 ビールを受け取って、フロアを見渡すと、開演十五分前なのにガラガラ。オールスタンディングの状態だから、なんだか淋しい感じ。客層も、イマドキ風の若者が主流。ホントに朝崎郁恵は出るんじゃろうか、と心配になってくる。
 とりあえず、端っこにあった丸椅子に座り、ビールをちびちびとやる。ちょっとずつフロアが埋まりつつあるなーとか思っていたら、開演時間過ぎにはだいたい埋まっていた。早めに来ていてよかった。つまんなかったら途中で帰るけど、ずっと立ち見じゃ辛いもんね。

 最初に出てきたのは、"東京ナンガデフ"。どっかで見たようなバンドだなーと記憶を探っていたら、四月の日比谷公園で見ていた。どっかで見たような人が真ん中でジャンベを叩いているなー、と目を凝らしたら、なんと奈良大介氏である。ありゃま、二つも掛け持ちですか、お忙しいこって。
 "東京ナンガデフ"は男性のジャンベ奏者が三(四、かな?)人、女性のダンサーが三(四、かな?)人という構成の、強烈なリズムのみで聴かせるグループ。全員日本人。っていうと、けッ日本人かよ、という態度を取る方が少なからずいるのだが、そういう人たちは勝手に拗ねていればいい。この日も、彼らは開場の温度を確実に上昇させるパフォーマンスを見せてくれた。ただ残念なのは、ビデオ上映のためにステージが使えなくて、ダンサーたちがフロアで踊っていたこと。腰を落とす姿勢が多いアフリカン・ダンスをスタンディングのフロアで女性がやったのでは、ちーとも見えなくなってしまうのだから。もしかして、当人たちは「観客との距離を詰める」ってぇ気持ちだったかもしんないけど、そいつはどうもいただけねぇなぁ。

 続いての登場は、"寿" from 沖縄。フロア後方(すなわちオレの目の前)に設えられた特設ミニ・ステージでのパフォーマンスだ。こいつらは、買いですね。ヴォーカルのおねぇちゃんが、「イケてないおねぇちゃん」独特の「思い込んだら命懸け」タイプだっちゅうのが、オレとしてはいささか不安なんだが、歌は上手い。十人中、六人は引きそうなMCを披露したりもするんだが、残りの四人は確実に持って行けるだろう。来年の今頃、単独でSPCをいっぱいにしていたとしても不思議はないな。
 特設ミニ・ステージという扱いが「不遇」とも見えたのだが、却って客との距離が縮まって、よかったんじゃないか?うん、オレは良かった。だって目の前だったし。
 とにかく、このヴォーカルのおねぇちゃん、彼女だけでも買いだよ。

 んで、メインステージに登場したのは、"ダブ・センス・マニア(Dub Sense Mania)"。レゲエをちょっと齧っている皆様には、これがなかなか微妙なバンド名だということがよくお分かりだと思う。レゲエを巡る様々な物事の中には"ガンジャ"という言葉がある。大麻草、カンナビスのことだ。そのカンナビスの中でももっとも珍重されているのが"センシミーリャ"と呼ばれる品種だ。このことがあったために、オレは、

× ダブ・センス・マニア
○ ダブ・センシミーリャ
と、思い込んでしまったのだ。思い込むだけならまだしも、某Mailing Listに「SPCのチラシには、"ダブ・センス・マニア"などというセンスのない名前で載っけられ」なんつーライブ・レポートを送ってしまったのだ。こういう間違いはこれがはじめてではないが、今後もまだまだあると思うので、形ばかりの反省で済ませておこうと思う。
 やっぱねー、DUB はいいですよ。あのぼよよ〜ん、ぶでど〜んという音は、実に暑苦しくって夏だーちゅう感じで、オレは最高に好きなのだ。
 ところで、このバンドには、"PJ"と呼ばれるメンバーがいるのだが、この人って、あの"PJ"なの?教えて、誰か、エラい人。

 再び特設ミニ・ステージに戻って、ついに現れた、朝崎郁恵、田中淳、奈良大介。
 ちょっと待て。三人、こうして名前を並べるだけっちゅうのは芸が無さ過ぎるよな。だいいち長ったらしくて不便だ。Emarson,Lake & Palmer をELPにしたみたいに、Asazaki,Nara & Tanaka でANTなんてどうじゃろか。八十年代の半ばごろに一、二曲ヒットを出して終わった Adam & The Ants みたいで嫌かな。あるいは、純日本風に「朝田奈」ではどうだ?小料理屋か料亭みてぇで、ちょいと粋だよな。なぁ、旦那。
 田中淳、奈良大介(さっきまでは上半身はだか)は普段着姿。朝崎郁恵は、服装こそ着物姿だが、爆発したヘア・スタイルはほとんど"モーニング娘。"。ステージに上がった途端に客席から「朝崎先生ェ〜」、「かわい〜」と声が掛かる。なんだなんだ、ナニがおきたんだ?! もっと恐いのは、朝崎郁恵、まったく動じず「こんばんわ。奄美大島の民謡を歌わせていただきます、朝崎郁恵と申します。よろしくお願いいたします」と正式な訪問みたいなご挨拶を返しているではないか。…シュールだ。めちゃめちゃシュールだ。
 ステージは、形式どおり、「朝花節」からはじまる。

 にも書いたんで、「ええ加減しつこい奴じゃ」と思われる方もいるだろうが、最初の一、二曲目の唄はどうにかならんもんか。いろんな人が、「ほとんどの奄美の唄者は極上のアマチュアの域を出ていない」と言っているが、全面的に頷けてしまう。まぁ、たしかに、唄で生活できるだけの金を貰ったことなんてないだろうし、あちこちでの盛り上がりぶりにいちばんびっくりしているのは当人たちかもしれない。ちょっとばかり有名になったからと言ってペースを変えない、というのも正しいんだろうけど、当人たちの意識とは別に、金を取ってるんだからちゃんとやれよな、ということは地道に主張してみたい。

 朝崎郁恵は、誰が相手だろうが気にせず唄うだけですよって感じ。田中、奈良の二人は、朝崎抜きのライブで培ったコンビネーションで破綻のない演奏だが、客席の騒ぎ方に「なんだかなぁ」と引き気味に見える。それとも、「俺たちは黒子に徹するよ」という姿勢なのか。
 ライブの構成は、朝花に続けてウォーミング・アップの"よいすら節"、"いとぅ"で盛り上げて、"おぼくり〜ええうみ"、"千鳥浜"(どちらもギターで演奏)、"行きゅんにゃ加那節"を聴かせ、「最後に」と言って"一切朝花節"、おまけで(はないと思うが)"六調"。この六調での盛り上がり方も尋常ではない。奄美の唄者とは仮の姿、実はポップ・シンガーだったのか、朝崎郁恵。
 しかし、ホント、驚きましたよ。

 さて、メインステージでトリを務めるのは、今回のイベントの首謀者"Ya−Hoo"バンドだ。
 こいつらは、イイ!とてもイイ!去年の収穫は"800ランプ"だったけど、今年の収穫はYa−Hooだ。それは断言できる。
 彼らもダブ。ダブという音楽は、別にフォーマットが決まっているわけではないが、いろんなイクイップメントを非常に積極的に使う音楽であるために、かえってインストゥルメントとしてはバンドの個性が出難くなる音楽だという感じが、オレにはあるんだが、こいつらはコテコテ、強烈。にもかかわらず、やっぱしダブ。まずは音楽があり、個人は二の次。いいわー、こういうの大好きだわー。
 途中からどっかで見たような人が、遅刻してきたメンバーみたいな顔でバンドに加わっていたが、よく見たら奈良大介氏だった。後で確かめると、正式メンバーらしい。よくわからん人だ。
 会場でライブ・アルバムも売っていたんだが、島旅直前財政引締め政策のため、また今度。
 でも、今度っていつだい?。


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(注1)ホント、そこらじゅうにいるんだもん。渋谷なんか行けば、三人おきにいるから、クローン人間かと思っちゃう。オレが若い頃もそうだったけど、若者にとっては「個性」なんてどうだっていいんじゃないのか?「カッコいい」と思ったら、それに同化しようとすること。「個性」よりもそっちが大事みたいだ。


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