Jun. '01
6/ 3 下北沢 LaCana RIKKI & AKI LIVE featuring かんちゃん
6/ 9 日比谷野外音楽堂 Who Are The Brain Police?
6月 9日
下北沢 LaCana RIKKI & AKI LIVE with Special Guest かんちゃん。
えーと、築地俊造とのジョイント・ライブ以来だから、一ヶ月半ぶりですか、RIKKIのライブ。「ファイナル・ファンタジー](10)のテーマ」の発表以来、およそ半年が経って、それでもゲームと音楽CDの発売がまださらに一ヶ月半も先で、なんだか宙ぶらりんな感じのライブなのだ。ああそうか、春の定期公演て考えればいいのか。
今回のライブは60名限定ってぇことで、FF(ファイナル・ファンタジー)騒動から考えればパニックを防ぐための当然の措置なんだが、FFとはなんの関係も無いオレからすればやたらと急かされてるみたいでちょいと不満。でもまぁ、売れるってことは、それはそれでいいことなんだよな。
そうそう、前のライブのちょっと前に、NANKIN氏、川村恭子(注1)さんと一緒にLa Canaに飲みに来て、「こんど、RIKKIのライブがあるんだ」と言ったら、「リッキー & リボルバー(注2)?」と真顔で聞き返されたことがあった。どっちにって、川村さんにだよ。ザ・ブームの本を作った人にだよ。それが、ライブの翌週に川村さんとのメールのやり取りがあって、「La Cana行った」と書いたら、「RIKKIか?」との応えだったわけで、RIKKIの知名度の上昇率をオレも如実に知ることになったわけだ。
六時開場で、五時半から整理券を配るということだったから入り口の階段に並ぶと、なんとそのまま店内に。整理券もらって、ライブの時はテーブルなんかなくなるから「てんや」あたりで食ってこようと思ったんだけどな。
ビールを受け取って店内を見渡すと、RIKKI BBSの常連連中が一番前に陣取っている。あんまり前過ぎんのもどうかなあと思いつつ、彼らのすぐ後ろの椅子を確保。世間話などをしつつ、ウエノの宣伝をする(いいんちょ、エライでしょって読んでないか)。徐々に席は埋まっていくのだが、定員の60名よりもかなり多くの席が用意されていたのか、ぽつぽつと空席もある。RIKKIのHPにも、La CanaのHPにも「当日券あり」ってのはなかったはずなので、そこいら辺、営業努力に不足がなかったのか、ちょっと疑問だったりもする。
二杯目にウォッカの水割りを飲み終えたころにRIIKIとAKI(黒田亜樹)が登場。まずは、「のぼたんぬ花」から。
前回のLa Canaで感じられた出足の不安定さは、今回はなかったが、どうも声量に乏しい。まあ、「東崎」、「悲しくてやりきれない」と続くあたりで声を張り上げる必要なんかないんだけど。エアコンの風で楽譜が飛んで大変だった「燕」、「永良部の子守唄」と続いて、あっさり休憩に。なんか、肩すかし食った感じ。食い足りんなぁ。
ところが、さほど休憩する間もなく(こういう時は、人数限定はありがたいよね。無理矢理詰め込むと、休憩のたびに収拾がつかなくなる)ゲストのカンちゃん(perc.)も加えた三人で登場。いきなり「素敵だね(F.F. X のテーマ)」から。ほほう、なるほど。島唄ベースの他の曲と並列で並べると、この曲は絶対に浮くはずなので、アンコール曲になるのだろうと思っていたんだが、ここで来ますか。この部分に限らず、RIKKIのMCは長めで、全体的には「流れを中断させない」よりは、「それぞれの曲を画然と独立させる」ように構成されている感じ。うーん、待てよ、これってディナー・ショウ的なステージングって呼べないか?
なんかさぁ、オレ的には、いまいち食い足りんかったのよ、終わって。RIKKI BBSの常連であるびきびきさんがメモってくれた当日の曲目表を見て数えると、いち、に、さん…アンコールの「御月様〜ウティキサマ〜」まで数えても13曲。たしかにな〜、ラストの「ワイド節」も客のノリはそんなに良かったとは言えんが、それ以上になんだかあっさりし過ぎてるような気がして…。
まぁ確かに、オレが満足するまでっつったら、あと二時間は唄ってもらうことになるんで、それは酷すぎるんだけど…。
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日比谷野外音楽堂 Who Are The Brain Police?
頭脳警察である。六月九日、ロックの日である。もう、何も説明はいらんだろ。雨じゃねぇかとかなり心配しておったのだが、あに計らんや、お外でビールの旨い上天気である。前日に夜更かしして、耳の具合がよろしくないっちゅう以外は、万全、最高、文句無しのコンディションである。
当日の出演は、4バンド。パンクの「怒髪天」、もろパンクではないが、パンクの影響が濃そうな「In the Soup」、ちんどんロックの「ソウルフラワー・ユニオン」、そして「頭脳警察」だ。
今回の「頭脳警察再始動」は、幻のアルバムといわれていた「頭脳警察ファースト」の再発売と絡んでいて、短絡的には「商業主義!」だの「懐古主義者!」だの言われ易い構造になってる。けどさ、そもそもロック・バンドは商業主義と個人の衝動の折衷点を探るのがそのまんまエンターテインメントになってるモノだし、頭脳警察で懐古だったら、それはそれでひとつ面白いじゃねえかってモンでもある。
なにしろ、ソウル・フラワー・ユニオンとの共演である。若いコたちがずいぶん、見に来るだろう、彼らが頭脳警察と遭遇するのは、こりゃTVドラマなんかじゃ真似出来ないデキゴトであろう。べつに、その場にいた若者たちをいちいち掴まえて「どうじゃい、頭脳警察は?」なんてスゴむ必要はない。今日びの社会では、反応はインターネットに表れる。あるとき思いついたら、「頭脳警察」、「日比谷野音」で検索すればいいのだ。このページが出たりしてな。
しかし、ロックバンドの、それもこういう複数のバンドがでるフェス形式のライブというのは、オレが怠け者で出不精なのが原因なんだが、これまであまり縁がなかった。フジ・ロックだって行ってないしなー。今年は、恒例の島旅ともろに被っちゃっているから、ニール・ヤングが来るってのに行かないんだもん、駄目坊だよなー。あ、話がズレた。
上にある通りの並びで順番に出てくるのだが、やっぱしロックバンドって、ライブってリズムだわ。「怒髪天」も悪くなかった。パンクって、やっぱし好きよ。でも「In the Soup」が出てくると、こっちの方が魅力的だ。リズムがガシガシとキテたから。んで、「ソウル・フラワー・ユニオン」が出てくると、さらに骨太のリズムの上に今度はチンドン・パーカッションが乗っかって、グルーヴを生み出している。こいつら、カッコいいわ、うん。
周りの若人(わこうど)たちの反応を見ると、人気もこの順番らしい。リズムがしっかりしているから売れるのか、売れて、リハに割ける時間が増えてリズムが良くなるのか?どっちにしろ、いい傾向だよね。オレももうすこし、ライブに行かんとな。
で、頭脳警察。なんか、P.A.の方でもバンド毎に差別してるんだか、後になるにつれて音がデカくなっていたんだが、4バンドの中でも別格の音のデカさ。一曲目、「銃を取れ!」のイントロのベースの音「デュンデュンデュン、デ、デュンデュンデュンデュン」で、もはや尋常ではない。スネアを一発叩くたびに、空気の固まりがオレの体にぶち当たる感じだ。「マラブンタ・バレー」、「歴史から飛び出せ」と25年前に書かれた曲が続くのだが、ちーとも古さを感じさせない。言葉遣いこそ、すこしだけ時間の経過を感じさせてくれるのだが、言葉を生み出す哲学は色合いといい、手触りといい、現在そのものだ。
むしろ、タイトル未定の新曲だの「第二期頭脳警察」(1989〜1990)時代の「QUIET RIOT」、「BLOOD BLOOD BLOOD」の方が「十年」という歳月の流れを感じさせてくれる。いや、待てよ、そいつはどうかな?たんにオレがこの十年ちょっとに強い違和感を持ってるだけなのかもしんない…。
アンコールは、「コミック雑誌なんかいらない」、「悪たれ小僧」。
結局、PANTA本人も含めてほとんどM.C.もなく、したがって、再結成に関するなんのエクスキューズもなくライブは終わった。
それでいいと思う。
もうずいぶん昔のことになるが、雑誌「rocking on」に堀込真人というライターが、キング・クリムゾンのディスク・レビューにこんなタイトルを付けていた。
「音楽は、言葉の網から逃れ出す。うにょうにょと、まるでヘビのように」
再結成・ノスタルジー・売らんかな、どういう原因であれ、他の理由であれ、音楽そのものは空気の振動でしかない。場合によっては、ちょっと叩いて来るんだけど。
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