小説「まもって守護月天!」(おいしくたべよう)


『むしゃむしゃぱくぱく』

「…ん」
 深い深い意識の底から、あたしは舞い戻った。
 薄ぼんやりと目に映るのは自室の天井。つまりは、眠りから目が覚めたってわけ。
 自然に目が覚め…自然に起き上がる…こんな朝が一番よね。毎日こうだったらサイコーなのに…。いつもいつも疲れがたまってて…眠いけど無理矢理に起きなきゃいけないってのが大半なのよねー。
 ま、それはそれとして、今日の朝食は何かしら〜♪嫌な事はさっさと忘れて前向きにいくのがいいのよ。なんて思いながら何気なく時計を目にやったら…
「あら?もうお昼じゃないの!」
 短針は既に十二の文字を差している。まごう事なき、これはお昼というべき時間…。
「大変、大遅刻だわ!あーもう、またスーツの奴にガミガミガミガミ…っていうかなんで皆起こしてくれないのよ!ルーアンをほったらかして学校行っちゃうなんて酷いわ、酷すぎるわ!」
 がばっと跳ね起き、ばばばっとそれはもう華麗なるスピードで着替え、仕度…をしている最中に、これまた何気なく目に入ったのはカレンダー。
「…あら?」
 今日に限ってだかなんだか知らないけど、あたしは今日の日付を思い出していた。
 よくよく見れば…赤くなってる日付が今日よねえ…。
「なーんだ、休日だったのね、あははは」
 …寝ぼけてたのかしら、よくない目覚めだわ。折角の休日になんで慌てなきゃいけないわけよ。休日ってのは、のんびりとぐーたらしてるためにあるのに!ああ、毎日こうだったらサイアクだわ…。
「…あーもう、慌てたのがあほらしいわ」
 やってらんない!ってほどに学校用のスーツをとっとと脱いで、普段着へと着替えなおす。
 まったくもって不愉快…不愉快だわ。こうなったら朝食で憂さ晴らしよ!
「って、こんな時間だから朝食なんてとっくに終わっちゃってるわね…。たくぅ、なんでシャオリン起こしてくれないのよ…」
ぶつぶつぶつぶつ…ぶちぶちぶちぶち…
 愚痴がこぼれこぼれて愚痴をこぼしてこぼしながら…
どすどすどすどす…
 廊下を階段を、思い切り不機嫌に歩く。ぎしぎしと軋む音も一緒に聞こえてくるけどそんなの無視!
 一階に降り立った丁度その時、何かを炒めているじゅじゅーっていう音と、ささやかな香辛料の匂いが、あたしの耳と鼻とをくすぐってきた。
「…昼食の準備中ってわけね。ふふん、踏み込むには絶好のタイミングだわ」
 ますますあたしは足音を大きくしながら、キッチンへの扉に手をかけた。
バタン!
「シャオリン!」
「あっ、ルーアンさん。今起きられたんですね?お早うございます」
 思ったとおりというか、シャオリンはエプロン姿でキッチンの中を忙しそうに動きまわっていた。フライパンを持つ手、野菜を洗うその手、どれもこれも大した動きをしてるわね、さすがあたしも認める名料理人。
 …って、見惚れてる場合じゃないわよ!
「あんたねえ、朝食は!?」
「はいっ、ルーアンさんの分は今作ってますよ」
 すがすがしい笑顔で答えてきた。
「今作ってますですってぇ〜?何言ってんのよ!今作ってるのは昼ごはんでしょうが!」
「はい。ですから、ルーアンさんが言ってらした通り休みん時は昼ごはんが朝ごはんなのよー≠チて」
「へ?」
 シャオリンの口から飛び出した言葉に、今まさにとびかからん格好で、あたしはぴたっと止まった。
 朝ごはんが昼ごはん…あー、そういえばそういう事言ってたような気がするわねー…っていうか絶対言ったわよねー…休みはのんびり寝てたいもんねー…起こすなー、って強く言ったわよねぇ…あ、あはははは…。
「…あの、もしかして夜ごはんが朝ごはん、の間違いでしたか?」
「違うわよ。…って、そんな間違いは絶対しないで頂戴」
 夜ごはんが朝ごはんって…夜まで起きられないって事になっちゃうじゃないの。
「では合ってるんですね?よかったですわ」
 ほっとしたのかシャオリンは胸をなでおろす。
 …さて、それじゃあ話もまとまったことだし、おとなしく席について御飯ができるのを待ちましょうかしらね。
「…ちょっと待って、たー様は?」
 ふと気が付けばたー様の気配がしない。御飯時になると、大抵リビング辺りでくつろいで待ってるはずなのに…。
「太助様なら、たかしさんの家で映画鑑賞会だそうですわ。朝から晩まで12時間耐久レースだそうです」
「レース?」
「ええ。何を走らせるのかはよくわからないんですけど…」
「走るわけじゃないでしょ…」
「そうですよねぇ…」
 何を素直に納得してんだか…どういう事なのかわかってるのかしら。
 それにしても12時間ねぇ…野村君もよくやるもんだわ。それに付き合ってるたー様もたー様だけど。
「あと、おねー様は?」
「那奈さんは翔子さんのうちだそうですわ」
「…なるほどね」
 またなんだかんだと作戦でも立ててるって寸法かしら。あの二人に組まれるとルーアンでも参っちゃうから困っちゃうわ…。
「で、キリュウは?」
「キリュウさんならそちらに座ってらっしゃいますわ」
「へ?…ああっ!き、キリュウ、いつの間に!」
 シャオリンに言われてテーブルに目をやると、たしかにキリュウがそこに居た。ちょこんと座って、シャオリンの料理が出来上がるのを待っているかのごとく…っていうか待ってるんだろうけどね。
 微塵も気配を感じなかったあたしは、思わず指で彼女を指してしまったほど。
「最初から私はいたが…」
「嘘!?…ますます忍者じみてきたわねぇ」
「それはどういう意味だ?」
 どういう意味も何もそういう意味なんだけど…。
 しっかし、ということは今家にいるのってあたし達三人ってわけね、なるほど。
「あ、ところでシャオリン。今日のメニューは何かしら?」
「今日はですねぇ…」
「ルーアン殿、忍者じみてきたというのは一体…」
 あーもう、キリュウの言葉なんて無視、無視。
 ということで、とっとと椅子に座って、あたしはシャオリンの言葉を待った。
「あ、まずは前菜という事でスープをどうぞ」
「前菜?でもってスープ?」
「はいっ。コンソメスープです」
 名前を告げながら、何かを炒めているフライパンとは別の鍋からスープをひとすくい。二つのカップにそれを注ぎ込んで、あたしとキリュウそれぞれの前にことりと置いた。
「どうぞ。まずはこちらから召し上がってください」
「へえ…なんか本格的なコースものって感じねえ…」
「…いい匂いだな」
 立ち昇ってくる香りについうっとりさせられる。これってバジルってやつだったかしら…。
 キリュウもキリュウで、さっきあたしにつっかかってきた事はもうわすれちゃってるみたい。
 さすがシャオリンの作るものって、魅力のほどが違うのかしらね。
「いただきまーす」
「…いただきます」
「はいっ、どうぞ」
 ずず…と一口すすり…。
 さらりとした舌触りが、喉越しに伝わるあっさり感が、あたしの中を満たしてゆく…。
「…うん、美味いわね」
「うむ…」
「よかったですわ♪」
 あたしとキリュウの素直な反応に、シャオリンも笑顔。まぁ実際美味いからねえ。わざわざひねくれて不味いなんて言っても何の得にならないってもんよ。もっとも…あたしは現状ではまだまだ不満だけどね。だってこれだけじゃ空腹感は満たされるわけないもの。
「ねぇ〜シャオリン。メインディッシュはまだぁ〜?」
「あ、ちょ、ちょっと待ってくださいね。もう少しすれば出来上がりますから」
 お腹が空いて空いて空いてたあたしとしては、前菜がスープだとかそんなのより、やっぱりメインを、おいしくおいしくぱくぱくむしゃむしゃと食べたいってものね。そんなわけで急かしたわけなんだけど…。
「…はいっ、お待たせしました」
 さっすがシャオリン、といったとこかしら。
 がしゃがしゃと超瞬速(って表現していいと思うわ)で、数分の後にはテーブルにでっかい皿が二枚。でっかい皿って事がさすがシャオリンあんた事情分かってるわねぇ、と感心するポイントね。で、その皿に乗ってたのが…。
「これはパスタ?」
「そうです。オリーブオイルで炒めてみました♪」
「…要はオリーブオイルパスタってわけね」
「えーっと…あ、そうですね。さすがルーアンさんですぅ」
「あのね…」
 当たり前の事をそう驚かれてもねぇ…。
 ま、ただオリーブオイルだけじゃなくって、ちゃんと野菜なんかの具が…って、またバジルがあるの?どうせなら鷹の爪とか混ぜてペペロンチーノにするとか…あ、キリュウがいるんだっけ。あたしはむっちゃ辛いのが好きなのにー…でも食べちゃうけど。
「…ルーアン殿」
「何よ」
「ぱすたとは何だ?」
「ねえシャオリン、辛くとかしなかったわけ?」
「キリュウさんも食べられますし…」
 やっぱり、予想通りの答えを返してきたわね。ま、だからシャオリンなんだけど。
「ルーアン殿ぉ…」
 キリュウの質問なんて無視よ無視。だいたい、今までアンタもパスタくらい食ってきたでしょうに。
「あたしよりなんでシャオリンに聞かないのよ」
「実は、既にシャオ殿からは既にめにゅうを聞いてて…二度尋ねるのは申し訳なくてな…」
 あーはいはい、そうですか。
「っちゅーか、パスタが何かなんてメニュー聞かされた時に尋ねておきなさいよ」
「…ああそういえばそうだったな。シャオ殿ぉ〜…」
 …呆れた。聞いてなかったわけ?
「キリュウさん、それはオリーブオイルパスタですわ」
 って、あんたも人の話を聞いてなさいよ。
「いや、その、だから…ぱすたとは何だ?」
「パスタですか?えっと…スパゲッティです」
「うーむ…」
 あーもう、なんつう答え返してんのよ…。こうなったらやっぱりあたしの出番の様ね。
「スパゲッティってのは麺類よ!ラーメンとかと一緒よ!詳しい事は後で調べなさい!」
「しかしだな…」
「えーい、食事中に何を細かいこと気にしてんのよ!で、シャオリン、もう一皿は何かしら?」
「あ、はい。もう一皿は鳥さんです」
 直に告げながら、シャオリンはどうぞと掌でそれを指し示した。
 鳥ねえ…。たしかに足とか無いから言われなきゃわからないかもしれないけど、単純に“鳥さん”とかって告げるのもどうかと思うわよ、シャオリンさん。
 まあそこはそれってことで、心の広いところを見せておきましょ(怒っちゃったばかりだけど)。
「へえ〜、なるほど。このでっかいのがメインディッシュってわけね?」
「はいっ、そうです。えーと、たしか、秋田産若鶏の…」
 秋田産なんてのがわざわざいるのかしら…。まぁ、美味しいだろうからシャオリンが選んだんだろうけど。
「…油炒めです」
「………」
 あんたねぇ、てきとーにもほどがあるわよ?いくらあたしでも我慢がならないわよ?オリーブオイルパスタと鶏肉の油炒めって…そのまんまじゃないの!
「もうちっと他の名前は無いわけ?」
「それが…名前を忘れてしまいまして…」
 言いながら、“エヘ”と可愛らしく舌を出した。
 …やるわね。あんたのそんな仕草、たー様が見たらもうイチコロでしょうねぇ…。
 でもね、今はたー様がいないのよ、残念だったわね。
 …そうよね、たー様いないのよねぇ。だのになんでシャオリンったらこんな料理作ったのかしら?
「ねえシャオリン」
「はい?」
「こんな豪華な料理、たー様がいる時にすればよかったんじゃないの?」
 ちょっと意地悪だったかもしれない質問を投げてみる。すると案の定、シャオリンってばしゅんとなった。それでも、すぐにぱっと顔を上げてあたふたと言い訳を始める。…強くなったわね。
「最初はそう思ってたんですけど、機会が無いままずっと来てしまいまして…。傷みすぎる前にと、思いまして」
「傷みすぎって…いつも、作る前に材料仕入れてたりしてなかったっけ?」
「えっと、これは翔子さんから戴いたものですから…」
 ああ、なるほどね。何か事情があって仕方なく譲り受けたってとこかしらね。でも…それならそれで非常に気になるわね。
「…傷みすぎた後だったら承知しないわよ?」
「大丈夫ですよ。おまじないしておきましたから」
「おまじない?」
「はいっ。ルーアンさんの陽天心召来って、ものに命を吹き込むじゃないですか。それで、それをかけるまねをして、活き活き、って」
「………」
 大丈夫かしらこの子…。
「それに、八穀にもちゃんと確認してもらいましたから、二重の意味で大丈夫ですよ」
「そう…」
 あたしはあんたが二重の意味で心配だわ。
「さすがシャオ殿だな。ちゃんと配慮してくれている」
 キリュウの目にはエライ人としてうつってるみたいね。
 ま、ぐちぐち言ってないで食べましょ。冷えちゃうわ。幸いにも、肉もパスタからも、まだ美味しそうな湯気が立ち昇っている。まだまだいけそうね…。
 そしておもむろに幾切れかを取りざらにとって一口…
ぱく
「あらっ」
ぱく
「ほう…」
 キリュウも一口。お互いに感嘆の声を漏らしたみたい。
ぱくぱくぱく
「あらあらあら」
「…美味しいな」
 再び感嘆の声をあげる。
 ただの油炒めだとかオリーブオイルパスタだとか言ってたけどとんでもない。一口食べるごとに芳醇な香りが口の中に広がり、まったりとしてそれでいてしつこくなく…とにかく美味しいのよ!余計な説明なんて要らないわ!考えたくないわ!批評なんてしてる暇があったら食べなきゃ損よ!相当な隠し味があるようね…これはほんといただきだわ!
ぱくぱくぱくぱくぱくぱく
「あらあらあらあらあらあら」
「…ルーアン殿、早く食べすぎではないか?」
がつがつがつがつがつがつ
「がつがつがつがつがつがつ」
「…食べるのに夢中だな」
 もう、いちいち五月蝿いわねえ。美味しいものは美味しく食べて、元気に食べるのが一番なのよ!って、思ってないで口に出して言ってあげないとね。
「キリュウ!」
「なんだ?」
「おいひいものはおいひくはべへへんひにはべふほがいひばんはほよ」
「…食べ終わってから喋ってくれないか?」
 何よ。折角答えてあげたってのに。
がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ
「よかったですわ。ルーアンさん美味しく召し上がっていただけているみたいですね」
「分かるのか?シャオ殿」
「いつものようにたくさん食べてらっしゃるじゃないですか。…えっと、キリュウさん、美味しいですか?」
「ああ、美味しいぞ。とってもな」
「ありがとうございます。…あ、サラダを用意するの忘れていましたわ」
 慌ててシャオリンは流しの方に駆け寄った。
 そういや何か洗ってたり切ったりしてたわねえ…サラダね、はいはい。
「シャオ殿、料理はそれで終わりだったな。」
「ええ、そうですけど」
「だったら用意はその辺にして、シャオ殿も一緒に食べられよ」
「はい、そうしますね」
「早くしないとルーアン殿にすべて食べつくされてしまう」
 なんですってー?
 これは聞き捨てならないわね、とあたしは食べる手を一瞬止めた。
「そう思うんだったらキリュウ、大きくしなさいよ」
「ルーアン殿。私の能力はそういう目的のためにあるのでは…」
「まあっ、ケチねぇ〜」
「ケチとかいう問題なのか?」
 ふーんだ。もういいわ。どっちみちあたしは食べるに専念するのみよ!
がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ
 ふう、それにしても食べるってほんっと楽しいわね〜。
「ルーアンさん、いつもどおり楽しそうですね」
 相変わらずにこにこしながら、シャオリンは最後の料理となるサラダをテーブルに置いた。生のトマト・キュウリ・レタスを切って盛り付け、ドレッシングをかけたシンプルなものね。当然ながらそれも一緒にいただきよ♪
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく
「ほんっと。いつもルーアンさんって食事の時間は嬉しそうっていうか活き活きしてますね」
「シャオ殿、そうのんきな事を言ってられないぞ…」
「はいっ。私も一緒に食べますから大丈夫ですよ」
「いや、そういう事ではなくてだな…」
 既にテーブル上の料理は、半分近くがあたしの胃袋に収まってたみたい。そんなところでようやくシャオリンが食事に加わったってところね。
 いや〜、これだけの料理を作るってほんっと大変よねぇ。あたしはごめんだわ〜。
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ
「では、いただきます」
「…シャオ殿は丁寧だな」
「はい。ちゃんと挨拶するのは礼儀ですからね」
 あいかわらずね〜シャオリン。
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 でもそんなにのんびりしてる間にあたしが全部食べちゃうわよ〜。
「シャオ殿」
「なんですか?」
「その、早く食べないと料理が…」
 キリュウが案ずる通り、テーブルの上からはどんどん食物が消え失せていっていた。まぁ、あたしの食べる速さってば並じゃないものね〜。それに、話をするよりは食べるのに夢中だし〜。
「ふえ〜…そうですねえ…」
「シャオ殿、そうのんびりとルーアン殿を見ていても仕方ないと思うのだが」
「でも…ルーアンさんって本当に幸せそうに食べてらっしゃいますから」
 あらら、なかなかいいところ見てるじゃない。ただぼへーっと見てるだけじゃないみたいね。
 ならばあたしもそれに応えておくべきかしらね。
 …と、あたしはがつがつ食べる手を止めて、あらかた口の中を片付けてから口を開いた。
「だってね…」
「おやルーアン殿、終わりか?」
 茶々をはさまないの、キリュウ。まあいいわ、流してシャオリンに伝えてあげるとしましょ。
「こうしてめいっぱい食事できるっていうのは、あたしが生きてるっていう証拠じゃない」
「なるほど〜」
「ふむ、意志無きものに命を吹き込む陽天心召来を使うルーアン殿ならではの意見だな…」
 めいっぱい頷くシャオリン、そしてキリュウ。さっき口を挟んだ割には冷静な反応ね。
「そうそう。たまにはいいこと言うじゃないキリュウ。
 ああ、生きているっていいわ〜」
がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ
「分かりました。私も負けずにがつがつ食べますね♪」
「え…」
「シャオ殿、何もそうまですることは…」
「ルーアンさんに負けてられませんわ。それでは…」
がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ
 あらららら!?シャオリンったら結構いい食べっぷりじゃないのぉ!メインの鳥があっという間に減っていってるわ〜。
「…てぇ!あたしが食べる分が減っちゃうじゃないのぉ!」
「ルーアン殿、あれだけ食べてまだ食べるつもりなのか?」
「うるっさいわねぇ。う〜、負けてたまるもんですか!」
がつがつがつがつがつがつ
がつがつがつがつがつがつ
 ふっ、それにしてもシャオリン。あんたはやっぱりあたしのいいライバルだったわけね。
がつがつがつがつがつがつ
がつがつがつがつがつがつ
「…私はゆっくり食べる」
 あらあら、キリュウは最初っから戦線離脱かしら?ええそうして頂戴。ライバルは一人でも少ない方がいいわ。
がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ
がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ
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………
がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ
がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつ
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく
………
「…ルーアンさん」
「…何よ」
「元気に食べるって、楽しいですね♪」
「そうでしょそうでしょ」
 いい時間よねぇ。でもって、なかなかシャオリンいい顔してるわ。あたし達を見てるキリュウも、そこそこにいい顔してるみたいね。
 そのまま食事は続き…


 そうしてみんなで…みんなで食べたそれは…とっても美味しかったわ。
 たまにはこういうのもいいかもね。

< おしまい >


「あとがき」
谷山浩子さんの同タイトルの歌詞を元にして作った話です。
書いてる途中に…予定とは全然違う話になってきちゃったなあと思ってましたが…。
元々、そのまま書いてもあんまりな話になりそうだしなぁ…
とか考えてたので、これくらいがいいかな、とも。
(だったら題材に選ぶなって感じですが<爆)
さて、おいしくたべよう、という話についてですが、
珍しく七梨家内での三精霊のみの登場となっております。
でもってその食事風景、ってなるとまた珍しいかな、とか思いながら書いてました
(大抵太助君がいたりしますしね)
メニューの表現がいかがなものかと思いますが…凄腕の料理人だけれども
洋風料理は苦手なシャオリンさん、なんていう勝手な設定に仕立て上げたので勘弁してください。
単に私が料理名を思い出せなかったとも言いますが…。
そうそう、このメニューは実際にルーアン(ROUENという実在の料理店)にて食したメニューだったりします。
まったくもって、ちゃんと料理名を明記なりしておくべきだった…と結構後悔の嵐ですが。
 ちょっと粗い流れかなーとか、がつがつの文字が足りなかったかナー、
とか色々思うところはありますが、ただ食べるだけには終わらないでよかったかなーと。
(いや、大半は食べてるシーンですけど)
 気楽な気分で、食事を楽しむくらいの感覚で読んでいただけたなら幸いです。
(実は冊子にして渡したものであったため、WEBにあげるのすっかり忘れてました…<爆)
2004・11・17

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