小説「まもって守護月天!」(虎賁の大きくなろう大作戦)


『第3日目(午後)その1』

「それでは主殿、難易度4の説明をしよう。
内容は2とほとんど同じ。虎賁殿が伝授した取っておきの投げ方、残り3種類。
それぞれ10球ずつよけてもらう。それが終わると今度は2人同時に20球。そして難易度5だ。」
キリュウが淡々と説明する。でもなあ、あのカッコで言われてもピンとこないよなあ。
「さーて、まずは説明なしでいくぞ。みごと初球でよけてみせろ。」
不良ねーちゃんの肩に飛び乗ってぼうずに向かって叫ぶ。
「よーし、こい。」
「じゃいくぞ、第1球!」
おもいっきり腕を回転させて不良ねーちゃんが投げる。ぼうずは難なくそれをよけた。
「おい虎賁、これって普通のと何がちが・・・ぶっ!」
みごとぼうずの顔に命中。たく、油断してんじゃねーよ。
「い、今のってどういうこと?」
「雪球が宙返りしてましたよ。」
はいはい、おいらが解説してやろう。
「この投げ方は、玉が空中で1回円を描いていくようにするものなんだ。
本当は3回えがくはずなんだけど、教えたすぐだからまだそれはムリ。
とにかく1回よけたからといって安心していると今みたいになる。分かったか、ぼうず。」
「しかも、最初と回転したあとじゃ高度も位置も違うんだ。というわけでしっかりよけろよ七梨!」
不良ねーちゃんが次々と雪玉を投げる。この投げ方の長所は、なんといっても1人時間差が出来るっていう事。
もちろんコントロールが良くないと当たるわけもないから、このねーちゃんに投げてもらってるんだけど・・・。
「くっそー、うまくよけるなー。」
なんと最初の1球以降、全部よけている。こりゃ予想外だな。感心している間に10球終わってしまった。
「ふうー、こんなもんか。」
「なんでそんなにあっさりクリアできんだよ七梨。」
「そうだぜぼうず、おいらは結構自信があったのに。」
するとぼうずが余裕たっぷりに答える。
「だって投げてるのが山野辺1人だしな。2人同時のほうがはるかに難しいしさ、今の球は慣れると楽なもんだぜ。」
「慣れると・・・。」
あんな短時間で慣れられちゃどうしようもないな。まあいっか、気を取りなおして次行くぜ。
「それじゃ次。投げ方D!」
「よーし、いくぞ七梨。」
ぼうずがかまえる。不良ねーちゃんがふりかぶって投げる。
「今度は普通の直球か・・・え!?」
空中で雪玉が分解し、その破片がぼうずの体中に命中した。よしよし、とりあえず初球はきまったぞ。
「ちょっと待てって、あんな破片も当たりになるのか?」
「ぼうず、文句はよけてから言うんだな。ねーちゃん、もう1球だ。」
「よし、今度はうまくよけろよ。」
「う、うわー!」
ねーちゃんが投げると、ぼうずが地面に頭をかかえてしゃがみこんだ。ちっ、そのてがあったか。
破片がすべてぼうずの上を通り過ぎていった。あーあ、もうよけられちまった。
「すごーい。1度ばらばらになったと思ったら、また1つに戻るなんて。すごい投げ方知ってるのね、虎賁。」
意外にも月天様の声が聞こえてきた。しかも解説付だ。
「も、もとに戻った?それほんとか、シャオ。」
「ええ、とっても綺麗でしたよ。」
「というわけだぼうず。別にもとに戻る必要は無いんだけど、演出ってことでな。」
「なあ虎賁、演出なんてつける意味あんのか?」
「ねーちゃん、そこが普通のやつと球技の星神のちがいって訳だよ。」
「ふーん、そんなもんかねえ。まあ、あたしは投げるだけだ。頑張れよ、七梨。」
「がんばれったって・・・。」
再び雪玉を投げ始める。さすがにぼうずも、破片をすべてよけるのは難しいらしく、2球連続が精一杯だった。
「ちくしょー、ムリだってこんなの。」
早くもぼうずは弱気になってきている。へへっ、おもいしったか。
「情けねーぞ太助。まだ俺が投げる番が残ってるんだから、こんなとこであきらめんなよ。」
「だけどなあ、ああ、また。せめて1つぐらいはまけてくれよ。」
なんだと?そんなのはおいらが認めねーぞ。
「七梨、最初よけた要領だよ。ま、慣れるこったな。」
「最初の要領?」
こらこらねーちゃん、ヒントなんか出しちゃダメだって。でもこの程度ならいいか。
「分かったわたー様!キリュウのときみたく大きな雪玉が飛んでくるって思えばいいのよ。」
「そうか!破片は一定の範囲までしか飛んでないですよね。
ルーアン先生の言うとおりですよ。七梨先輩、頑張ってください!」
こらー、外野は黙ってろって!
「なるほど。こい、山野辺!」
「・・・へいへい。
たく、七梨にだしおしみヒントを与えながら投げるのが楽しみだったのに・・・。」
まったくだ。あっさり答えを教えちまうと試練になんねーだろうが。
すっかりコツを覚えたぼうずは、10球余裕でよけきった。ちくしょー、残りは後1種類。
まだお昼過ぎたばかりなのに、これじゃおいらの面目丸つぶれじゃねーか。
キリュウをチラッと見たが、別に怒っている様子はない。
というよりは目だけしか見えないから、そんな事分かるはずもない。
やれやれ、怒ってなきゃいいけど。
「おーい野村、交替だ。」
「よし、お前のかたきは俺がとってやるよ。」
なんか勘違いしてるような気がするけど、まあいいや。
「それじゃ次いくぞ。これがおいらが伝授した最後の球だ。」
「実はこれすっげーカッコ悪いんだよな。
だから山野辺は嫌がって、結局俺しか投げられない。まったく・・・。」
「文句言ってないで早くこーい。」
「ああ、そんじゃいくぜ。」
野村たかしは両腕大回転の状態で体を回転させながら円形に走り、ちょうど1周した時点で投げる。
雪球はぼうずの周りをぐるぐると回りながら中心へと向かう。
「う、うわっ!」
まずはぼうずに命中。この投げ方の長所は、ノーコンが投げてもだいたいは目標物に向かって行く事。
しかし投げるのに結構体力を使う。だから不良ねーちゃんは覚えるのをやめたわけだが。
「すげーな、これはよけるのが難しそうだ。」
「ははは、どうだ太助。俺が本気になればこんなもんよ。」
今まで本気じゃなかったってか?それも許せねーが、そもそもこの投げ方を伝授したのはおいらだぞ。
「さて、どんどんいくぞ。くらえー!」
「お、おう!」
次々と雪球を投げるが、すべてぼうずに命中している。しかも投げているうちにコツをつかんだのか、
投げるペースも早くなってきた。こりゃ大変だぞ。
「うわ、ちくしょー。まだ1球もよけられないなんて悔しいな。」
「はあ、はあ、どうした太助。そんな事じゃ巨人の星に成れないぞ。」
なに訳のわかんねーこと言ってやがるんだこいつは。息が切れてるわりには余裕たっぷりだな。
「ふむ、少し心配したがさすがは虎賁殿だな。主殿、落ち着いてよけられよ。」
「落ち着いてったって・・・う、うわっ!」
またもや命中。これで20球目だ。
「ちょっと野村君!少しは手加減しなさいよ。たー様がカッコよく見えないじゃないの!」
「そうですよ野村先輩。一度あさっての方向へ投げて、七梨先輩にヒントをあげるとかしてくださいよ。」
だああ、外野は黙ってろー!
「ムリだな。」
「え!?」
「なんなんですか?山野辺先輩。」
不良ねーちゃんの一言に外野の2人が振り返る。
「ムリなんだよ、あれをよけんのは。あたしは虎賁が投げたのを見てたけど、
よほど素早いやつじゃないとあれをよけるのはムリだ。七梨ならそのうち1球ぐらいよけるかもしんねーけど。」
ぼうずだってムリだろう。なんせおいらのとっておきだからな。
でもそろそろよけてくんねーと試練がおわんねーな。せいぜい頑張ってもらわねーと。
「よーし太助、30球目いくぞー!」
もう30球目か。元気だな、こいつも。(ちなみにおいらは不良ねーちゃんの肩の上で見物中。)
今度はぼうずの右2メートル辺りに飛んでいったが、素早く旋回してぼうずめがけて飛んで行く。
「そうか!」
ぼうずは叫ぶと、素早く左1メートルぎりぎりにねっころがった。
ぼうずの上を雪玉が通り過ぎる。さらに1回円を描いたあたりでぼうずが起き上がった。
おお、やるじゃねーか。自分でよける方法を見つけ出したな。
雪玉は円の中心らしき点に向かって渦巻きの運動をし、中心に来るとぽとりと落ちた。
「うわー、きれーい。でも少し目が回りそうね。」
(ほんとでし。離珠が乗らなくてよかったでし。)
「そうね、離珠。よかったわね。」
月天様が声をあげた。離珠も何かしゃべってたようだ。おっと、おいらが解説を入れてやらないとな。
「ぼうず、見てのとおりの球だ。説明は以上。じゃ、頑張れよ。」
「虎賁、説明になってねーぞ、それ。」
うるせーな。だったら投げてる自分が解説してくれ。
「それじゃどんどんいくぞ太助。まぐれでよけたからっていい気になってるんじゃねーぞ。」
「まぐれ!?何言ってんですか野村先輩!七梨先輩が野村先輩をやぶったんですよ。
野村先輩はさっさと10球よけられて泣きを見てください。」
「そうよ、たー様が・・・ってあんた相変わらずきっついわねえ。
へなちょこ球しか投げてなかった野村君がせっかく頑張ってるんだから、
少しは慰めてあげないと可哀相でしょ。どうせたー様に負けるんだし。」
どっちもどっちだな。というか外野は黙ってろって。
その2人の言葉に自信を無くしたかどうかはしらないが、結局あのあとすぐに10球連続で、ぼうずによけられた。
やれやれ、とうとう終わっちまったか。
「なるほど、落ち着いて対処すればそんなに難しくないな。サンキュー、キリュウ。」
「私はただ励ましただけだ。それより次の20球も頑張られよ。」
「そうそう、次は2人同時だったよな。七梨、手加減なしだかんな。」
不良ねーちゃんも投げ位置に立った。
「ぼうず、とりあえずおいらの出番はこれが基本的に最後。頑張れよ!」
「おーし、2人ともこい!」
2人が気合の入った球を投げる。
頑張れと言ったものの、これを20球連続でよけるなんてほとんど不可能に近いようなもんだ。
渦巻き球をよけようとねっころがった途端、不良ねーちゃんにねらいうちにされる。
回転球に気を取られている隙に、分裂球に当てられる。かわすのは、1球か2球が関の山のようだった。
「ふむ、時間がかかりそうだな。虎賁殿、少し一緒に来てくれないか?」
キリュウがすっと立ち上がった。なんだ、一体?
「じゃ2人とも。もうおいらがいなくたって十分投げられるだろ。ちょっと席を外すぜ。」
「ああ、行ってこいよ。」
「コツさえつかめば投げるのは簡単だしな。」
2人から離れて、キリュウの肩へと移動する。
「それではシャオ殿、ここにいて、終わったら知らせに来てくれ。私と虎賁殿は家の裏の方でいるから。」
「分かりましたわ、ごゆっくり。」
家の裏側に向かってキリュウが歩き出した。
「どうしたんだキリュウ。なんかおいらに相談か?」
「それもあるがもう1つ。」
「もう1つ?」
しばらくして勝手口の前に到着した。
「もう1つって一体なんなんだ?」
「こういう事だ。万象大乱!」
すると塀がみるみるうちに小さくなり、人が現れた。宮内出雲だ!
「あれ、あんたなんでこんなところに?」
「や、やあキリュウさんに虎賁さん。散歩ですよ、散歩。」
「そなたもこりぬな。おおかたシャオ殿が1人で家にいるときを見計らって勝手口から入ろうとしたのだろう?」
「な、なんのことだかさっぱり・・・。」
じゃあその手に持ってる花束はなんなんだ。でも、
「なああんた。これを見てなんでキリュウって分かったんだ?」
「手に扇を持っているでしょう。それはキリュウさんのシンボルみたいなもんですからね。それに塀が小さくなったし。」
「なるほど。」
「さて、お喋りはこれぐらいにして、さあ、帰られよ。」
「そうだそうだ。昨日、家に立ち入り禁止って言ったじゃねーか。」
「だから立ち入らずにこうして道にいるじゃないですか。」
おおそうか、ってへ理屈に納得している場合じゃねー。
「ふむ、それもそうか。」
「でしょう?」
おいおい、キリュウまで納得してんじゃねーって。
「キリュウ、月天様蛾宮内出雲を見つけたら絶対に中へ入れちまうぜ。だからやっぱり帰ってもらわねーと。」
「ふむ、そうだな。帰られよ。」
「あ、あのねえキリュウさん。シャオさんが私を家に招き入れる事に何か不都合でもあるんですか?」
「試練の邪魔になるってキリュウが言ってただろ。さっさとおとなしく帰ってくれよ。」
「虎賁さん、それは横暴というものですよ。私はただ道を歩いているだけなんですからね。」
だー、こいつ絶対に帰る気はねーな。
「ふむ、仕方ないな。万象大乱!」
「おっと!」
キリュウが道端の雪を巨大化させたが、宮内出雲はそれをするりとよけた。
「無駄ですよキリュウさん。あなたの動きはもう見切らせてもらいました。私には通用しませんよ。」
雪を1回よけたからって威張ってんじゃねーよ。でも追い返すにはちょっと物が足りないなあ。
「虎賁殿、地面に降りてくれ。虎賁殿の雪球で追い返すとしよう。」
「へ?でもおいらみたいな小さいやつが投げたって効果ないぜ。」
それを聞いて宮内出雲がぽんと手をたたく。
「なるほど、太助君にやっている試練を私に与えようって訳ですね。
ですが私はすべて見切らせてもらいました。そんなものは通じませんよ。」
むかつくやつだなー、まったく。とりあえずおいらは地面に降りた。すると、
「出雲殿、私達をあまく見ないほうがいいぞ。万象大乱!」
そしてみるみるうちにおいらの体が大きくなり、キリュウと同じぐらいの大きさになった。
「さ、虎賁殿。思う存分投げられよ。ついでに私も試したい事があるのでここで試してみる。」
「・・・・・・。」
「どうした虎賁殿、さあ。」
おいらは感激で固まっていた。無理もない。こう大きくなるために試練を手伝ってきたんだから。
ああ、今おいらはぼうず達と同じ位の大きさなんだ。うおー!!
「虎賁殿?」
「あ、ああ、すまねー。ちょっといきなりだったからさ。さーて覚悟しろよ、宮内出雲。」
「ふっ、あんなへなちょこ球はとっくに見切って・・・ぶっ!!」
余裕をかましてやがる宮内出雲の顔面に速攻ぶち当ててやった。まずは小手しらべっと。
「今のは油断してただけですよ。さあどんどん、ぶはっ、来な、ぐわっ、くっまだまだ、うげっ。」
次々とおいらはとっておきの投げ方で雪玉を投げる。ばかやろう、おいらが元祖なんだ。
あの2人と一緒にしてもらっちゃ困るぜ。それにしてもよくしゃべるにーちゃんだな。
「はあはあ、こんな事で私は参りませんよ。」
しりもちをつきながらも強がっている。あきらめのわるいやつだな。
「ふむ、そろそろ私が加わるとするか。さあ虎賁殿、次を投げてくれ。」
「OK。」
なるほど、とりあえず様子を見ていたわけね。
「さーていくぜー!」
おいらは分裂球を投げた。
「これをよけるのはこう・・・」
「万象大乱!」
破片に分かれると同時にキリュウが万象大乱を唱えると、それぞれの破片が直径1メートルぐらいの雪玉になった。
「う、うわー!!」
さすがの宮内出雲もよけきれるもんではない。(と言っても1球もよけてないけど。)
大きな雪山にやつは沈んだ。・・・合掌。
「なんだもう終わりか?まだ試したい事があったのに。」
「キリュウ、もうじゅうぶんだって。」
しばらくして雪山の中から宮内出雲が顔を出した。さすがに帰りたそうな顔になったな。よしよし。
「おお、出雲殿、もう少し付き合ってくれ。虎賁殿、第2球を。」
おいおいまだやる気かよ。それを聞くと宮内出雲は、
「か、帰ります!!今すぐ!!」
と雪山を飛び出し、あわてて逃げ帰っていった。はは、ざまーみろってんだ。
「やれやれ、主殿と違って出雲殿は軟弱だな。まだあれを試してないのに・・・。」
あれってなんだ?でもなあ、ぼうずと比べてもしょうがないと思うんだけど。
「では虎賁殿、元の大きさに戻すぞ。」
「えっ、もう?ま、いいか。試練が終わった後でまた大きくしてもらえるもんな。」
キリュウがおいらを、そして塀を元の大きさに戻した。
「それにしてもよく宮内出雲がいるって分かったな。」
「あれだけ家の前をうろついていたのでは、分かって当然だ。
しかし気付いたのはどうやら私だけのようだったが。」
みんな雪合戦に熱中してたもんな。でもこの格好でよく見つけられたもんだ。
「それで虎賁殿、相談があるのだが。」
「そういやそんな事言ってたっけな。なんだ?相談て。」
「実は難易度6をやろうと思うのだが。」
「えっ?6?」
こいつは驚きだ。まださらに試練を長くしようってんだから。
「難易度5は虎賁殿の投げ方で、かつ、私が万象大乱をかけるもので、
それに2人同時に投げてもらう、という事だったな。」
「ああ。で、6ってのは?」
「おそらく虎賁殿はまだすごい投げ方を知っているはずだ。それを2種類ぐらい。それと、
さっき私が出雲殿に試そうと思っていたのが、瞬時に2回、大きさと速さを変えるものだ。」
な、なにっ!
「2回!?そんな事できるのか!?」
「おそらくな。投げた瞬間に目に見えないぐらい小さくし、主殿のそばに来た途端大きくする。
または、投げる瞬間に極限まで遅くし、不意に極限まで早くする。まあこんなところだ。」
「でもさあ、それってすっごく難しいんじゃ・・・。」
「だから出雲殿に試すつもりでいたのに、まさか逃げるとは。」
最初っから帰られよとか言ってたのはどこの誰なんだよ。でもすげーこと考えるよな。
確かにおいらもまだ投げ方は知ってるけど、あれは一朝一夕でできるようなもんじゃない。
だからあの2人には教えなかった。
「あのさあキリュウ。とりあえず今日は難易度5までにしといてさ、6はまた別の日にすればいいじゃねーか。」
「ふむ、しかし・・・。正直言って主殿があんなに早くクリアするとは思わなかったのでな。
本当は夜まではやるつもりだったのだが。」
無理に夜までしなくてもなあ・・・。
「夕食までに終わったほうが区切りがいいしさ、そんなに頑張らなくても。
それにまだ難易度4も終わってないし・・・。」
キリュウはしばらく考え込んでいたが、
「それもそうだな。私だけで試練を与えているわけでもないし、今日は難易度5で終わるとしよう。」
どうやら納得したみたいだ。そのとき、
「キリュウさーん。太助様が難易度4を終了しましたー!」
月天様だ。そうか、もう難易度4を終わらせやがったか。こりゃ本当に夕食までに終わっちまうかもな。
「行こうか、主殿に最後の試練を与えねばな。」
「ああ、お互いがんばろーぜ!」
気合を入れて、キリュウの肩に飛び乗った。

『第3日目(午後)その2』に続く。

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