〜痕〜


あらすじ

 生前ほとんど交流のなかった父が事故で死んだ。特に感慨もなかったのだが、俺を気遣って従兄弟の4姉妹が、夏休みを利用して田舎に遊びに来るよう誘ってくれた。断るのも申し訳なく、俺は彼女達の住む町を訪れたのだが、そこで俺を待っていたのは、凄惨な連続殺人事件と行方不明事件だった。もっとも、俺にはニュースで伝えられるそれら事件を傍観など出来なかった。何故なら、報道される現場や状況そのものを、事件の起こった夜、俺は夢の中で生々しく見ていたのだ。怪物に変身した自分が、罪もない人々を切り裂き、陵辱する夢を……。


 リーフサウンドノベル第2段は、今も尚『18禁アドベンチャーの傑作』と名高いサスペンスホラー物です。美人4姉妹に囲まれてウハウハとなるはずだった夏休みが、一転ミステリアスでスリル溢れる夏を過ごすハメになった主人公。4姉妹達とのエンディングを迎えるだけでは到底解明しきれない、謎と秘密の数々が埋め込まれたシナリオは、膨大な分岐がありながら、根本で一筋の物語に集約されているという誠に秀逸な小説になっています。自分の中に眠っているらしい残忍な怪物の血。そしてその謎を4姉妹達が掴んでいる……その事に気付いた時、笑顔を浮かべていた彼女達が、その下で壮絶な運命に翻弄されている事も、解明されていきます。そんなこんなで、シナリオを一つクリアする度に明らかになっていく、柏木家の秘密と壮大な歴史に、どうにも止められないプレイヤーを多数輩出しました。
 私も無論、初プレイ時連続30回プレイをしてヘトヘトになったものです。何せ1回ストーリーをクリアするごとに新しい分岐が次々生まれるので、なかなか止められず、気が付けばまた最初から、また最初からと繰り返しているエンドレス地獄に陥ってしまった為です。更に、この繰り返しプレイの秘訣がもう一つあり、私はサウンドノベルというものが余り好きではなく、理由は『かまいたちの夜(SF板)』をプレイしていた時、ゲームを終えて最初へ戻り、別の分岐点で攻めようとすれば延々そこまで早送りボタンを押さなければならず、その面倒さからサウンドノベルを毛嫌いしていたのですが、このゲームは『選択していない分岐点まで早送り』機能がある為、ボタンひとつで行きたい分岐点へひとっ飛びしてくれるというユーザーフレンドリーな仕様が嬉しい限りなのです。『何だよ、エロゲーのほうがゲーマーに優しいじゃねえか』と、エロゲーの底深さを思い知るひとつのエピソードだったと言えるでしょう。また先述しましたがシナリオの組み立て方も上手で、そうやって少しずつ事実を明らかにする事により、宇宙人ネタまで出てくる実は結構トンでもない方向へ飛躍する結末を、壮大かつ分かりやすくしてくれます。
 さて、実はこのゲーム、結構婦女子にも人気が高いのです。理由はこのような骨太なシナリオは勿論なのですが、裏シナリオなるものがありまして、何とそこに『ハードやおい』ストーリーが隠されていたモンですからさあ大変。あらすじは、隣に住む美形大学生(♂)に惹かれていく美形刑事(♂)。いつしか二人の間には隣同士異常、もとい以上の愛(?)が芽生えて行く。しかし美形大学生(♂)の部屋には何故か媚薬(…)やら革手錠(……)やらがゴロゴロと。何と美形大学生(♂)はヤクザ(♂)にエロ目的で飼われていたのだった! ある日部屋へ行くと美形大学生(しつこいようですが♂)がヤクザ(くどいようですが♂)にガコガコ犯られている真っ最中! その時、美形刑事(もう良いんですが♂)は?? ……と、コメディタッチに書いてしまいましたがシナリオ自体はハードもハード、どシリアスです。ま、私はこりゃ驚いた〜、で済みましたが、男性諸氏の皆さんは、苦労して多数のシナリオをクリアした挙げ句こんな話を見せられたら、それどころではなかったでしょうなあ……。