〜サフィズムの舷窓〜


あらすじ

  ポーラスター学園は男が一人も居ない、女100%の女子校である。何故なら、使用人から教師まですべて女、そして学校は豪華巨大客船の上にあるのだった。世界で名だたる大富豪の娘達と、その生徒数を上回る使用人達で作られた綺羅の園は、今日も世界中の海を航海していた。ところがある日、男が存在しない筈の学園内で連続レイプ事件が発生する。色めきたつ教師陣が犯人として目星を付けたのが、主人公・杏里=アンリエット。日本人とフランス人のハーフである彼女は、驚くほどの美貌と、スラリと伸びた長身で、生徒達からも大人気。更にその上、何と本人も年下美少女大好きのレズビアンなものだから、何人もの女の子達(杏里曰く・ボクの子猫ちゃん達)と関係を持ち、別名『レズの王子様』と呼ばれていた。『ボクが犯人ですって? 何を根拠にそんな!』『では真犯人を自分で挙げなさい。でないと次の寄港地で強制下船させますよ』『よーっし、是が非でも犯人を見つけて見せるぞ! おおっと、そんな寂しそうな顔しないでおくれ、可愛い子猫ちゃん! 君の杏里は愛を貫くため、必ずや勝利を収めるよ!』。


  『犯人を見つける』という目的通り、この作品はミステリー仕立てのアドベンチャー。主人公の杏里を操り、学園内、つまり船内に転がっている犯人のヒントを集めるのがゲームスタイルです。と言っても杏里ちゃんがする事は、彼女の恋人達であるところの『可愛い子猫ちゃん』達に協力を仰ぎ回ると言った方が無難でしょう。無論協力の要請はあれやこれやの体を使った技(?)でお願いするワケですが。それでゲットしたヒントを、杏里ちゃん唯一の友達・花京院鼎(ドリルとコーヒー好き)に持ち込み、推理して貰うという塩梅なんですが、何だよ杏里ちゃん何もしてないじゃん! とお思いの方、その通り。杏里ちゃん唯一のアドバンテージは『女をオトす誠意と執念』のみですので、過度な期待は禁物です。とは言え、余りにもおもしろいキャラ・杏里ちゃんがそれらすべてをご愛敬で済ませられるので気にもなりません。何せ口調はすべて『ああ、愛は時に淫らにもなろうさ……』等芝居がかったオーバーアクション。ざっくりと短く切った黒髪に、軍服めいた制服と少年のようなハスキーボイスで、その上愛(沢山ありますが)の為なら危険も顧みない一途な情熱家。こりゃ実際女子校に居たらモテるんじゃないかと肯けるセクシーな主人公です。またHシーンではくまなく画面に花が飛び散る仕様という、宝塚チックな雰囲気がかように全編に渡り漂っており、コレが倒錯? コレが耽美? と馴染みの薄いめくるめくユリ世界がキラキラしく大展開。普段見慣れた野郎同士のエロシーンでは滅多にお目にかかれないこれら効果を見るに付けても、女同士の世界もなかなか大変そうだと思いを馳せたりなんか出来ますがきっと私の大いなる勘違いでしょう。
 また、ライアーさんお馴染みの個性的なキャラクター達とのテンポ良い会話が楽しくて仕方なく、ついつい捜査も忘れて女の子達と遊んでしまいがちになるほどです。数多い魅力的な子猫ちゃんたちの中でも、個人的には風紀委員のロシア出身・ヘレナ嬢がお気に入りです(ちなみに本家ライアーのHPで行われたカップリング投票では杏里×ヘレナが一位でした! ブラボー!)。ヘレナちゃんは一応堅物ぶっているのですが、奔放で情熱的な杏里にいつも振り回され、最後は嫌と言いながらも相手の我が侭を受け入れてしまう所が、実に健気&不器用で可愛い限り。あと図書室の主、ギリシャ出身・クローエ嬢(得意技・かかと落し)の『杏里、あなたは私達に飼われているのよ。快感だけが私達をつないでいるの』というクールさも格好良いです。他にもギャンブル大好きイタリアマフィアの娘、年中ラリってるコロンビアの麻薬王の娘等、杏里ちゃん、幾ら美少女とは言え何もそんなのまで手を出さなくても、と言いたくなるような個性のトガったお嬢さん達がストーリーを楽しく引っ張ります。
 最終的にまだ杏里ちゃんのお手つきになっていないという、オトすヒロイン候補が3人居てまして、ゲーム序盤彼女達の内誰を選ぶかでシナリオも別れており、これがまた全部犯人が違うという周到なおもしろさ。ラストはどんなクライマックスが待っているかと、全シナリオ読破に挑戦したくなること請け合いです。
 ムサ苦しい男なんか御免だわ! 隅々までみーんな可愛い美少女まみれの世界があったらなあ〜、という願望を実現した麗しい耽美の世界へと、ポーラスター号に乗りいざ船出しましょう!