~『Silent Hill2』 ご紹介~
発売元:コナミ
PlayStation2用ソフト
2001/9/ 発売
~あらすじ~
主人公、ジェイムスは、3年前に最愛の妻を病気で亡くし、以来無気力で無為な毎日を送っていた。 『あいまいな眠りの中で 死人から手紙が届く筈はない、と思いながらも、ジェイムスは一縷の望みを託し、かつて2人で旅行に訪れた霧深い街、サイレントヒルへ向かった。そこで彼を待ち受けていたのは、怪物共が徘徊する狂気と悪夢の街に変貌していたサイレントヒルだった。 |
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~以下、椀器ちりかより~
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さて、2発目となる(芸のない…・笑)沈黙の艦隊inゲーム、な今回なんですが、このゲームは、かねてより『おもしろいホラーゲームってどれ?』と友人に聞かれれば、すかさず『サイレントヒル(以下『SH』)が最高!』と返答していた、大好きなシリーズです。何だかホラー系ばかり出していて、苦手な方には申し訳ないのですが、よろしければこの超~暗めの『沈黙の艦隊版:Silent
Hill』に、今暫くお付き合い下さいませ。
さて、何と言っても有名なホラー物は『バイオハザード』でしょうし、皆様も真っ先に思い浮かべられると思います。事実『SH』が発売されたのは『バイハ』より後でしたし、2番煎じが! と思ってる人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。しかし断言します! このゲームは『バイハ』より遙かに怖いのです!
まず圧倒的に恐怖を覚えるのが『視界の悪さ』。屋外は霧(更に夜になるともっと視界が不良になる…)、屋内は真っ暗という有様。その上舞台は『廃校』だの『廃病院』だの『廃刑務所』だの、夜お近づきになりたくない場所ばかり。この一寸先は分からない状況で、怪物が近付いてくるのをラジオの音だけで察知しなければなりませんから、徹底的に『見える』安堵感を削ぎ落とし、耳だけで辺りの動向を伺わなければならないプレッシャー。ご丁寧にも時々断末魔の悲鳴だの電話の音だのが突然入るので、耳を澄ませているこちらはマジで飛び上がります。BGMも悪戯に恐怖心をかき立てるおどろおどろしい物ばかりで、前の様子が全く分からない中、じりじりと歩いていく恐怖というのは、本当にたまりません。
更に、もうひとつこのゲームの怖い所は、主人公が激弱という所です。『バイハ』の主人公達は警察官だったり、また一般人でも銃の扱いに異様に慣れた手練ればかりだったりするのですが、『SH』は前作も今作も、そこいらへんに居るフツーのおじさんだったりするのがまた怖い所です。何せ銃の扱いは超ヘタクソで、狙っても当たらない、弾の装填に時間が掛かる(この間勿論怪物共にやられ放題…)、その上ちょっと走り続ければ息切れするしで、誠にヘタレ極まりない主人公が、しかし親しみを持てて微笑ましいです。また主人公の目的も『悪を暴く』とか『正義の為』とかじゃなくて、前作は娘を、今作は奥さんを捜すという即物的ですが分かりやすい理由の為、街で出会う他のキャラクター達を、時々見捨てたり、見殺しにしたりしてしまいます。しかしこんな所が、ストーリー的には不条理ですが、心情的には『大事な人にまだ会えてもいないのに、こんなおっかない街で、他人なんか守ってらんねえよ』とウッカリ理解が出来てしまう、血なまぐさいまでの人間臭さにもとことんこだわった名作中の名作であると断言します。
余談ですが、『SH』シリーズ中最も好きなシーンは前作『1』で主人公:ハリーが、世話になった看護婦:リサを見捨てるシーンです。何度も側に居てくれて励ましてくれた彼女も、とうとう化け物に変貌してしまう時が来たのですが、額から滴り落ちる血で、目を塞がれたまま『ハリー! 怖いの! 助けて、私の側に居て!』と手を伸ばす彼女を、この主人公のオッサンはビックリ仰天して、腰抜かして逃げ出してしまったんですよ! 挙げ句、慌てて彼女と居た部屋を飛び出して、まだ悲鳴の聞こえてくる扉を背に押しつけ、出て来ないようにしている始末。まあ、この腰抜け! と罵るのは簡単ですが、果たしてこんな状況下、何人が果敢に彼女の側に居てやれると言うのでしょう?
話がそれて申し訳有りません。実はゲーム的に言うと、今作『2』は前作に比べると、ちょっと怖さの具合がトーンダウンしたかなあ、というカンジで、ちょっと物足りなさを感じたぐらいなのですが、ストーリー的にはこの『2』の方がおもしろく仕上がっています。時折サイドから出てくる他のキャラクターも、妬みとか恨みの固まりみたいな奴ばかりで、より人間の狂気というか、横暴さとか自己中心な所とか、汚い所、弱い所、醜い所が随所に滲み出ていて、名作というよりは『怪作』の域にまで達していると思います。更にエンディングの殆どが、私みたいなホラー&暗い物大好き野郎にはこたえられん、救いようのないラストばかりですので、こういうのがお好きな方、是非プレイしてみて下さい!