ほどけている
ほろほろ ほろほろ
あれは記憶のかけら
あのときの
あのひとの
あの思いの
ほろほろ ほろほろ
ほろほろ ほろほろ
熱が溶け
色が去り
形がなくなる
白くなり
淡くなり
すうっと浮く
浮いてはがれてほのかに昇ってゆく
手を差す彼方に光が差す
眩しくはない
寂しくはない
ただ 静かなのだ
ほどけ続ける灰がぼくの瞳に映る
ほどけ続ける灰が想い出の花びらのように舞い散る
数えきれない
感じきれない
ただ ほどけ続けるのだ
すべての指 すべての約束 すべての言葉
すべての糸 すべての束縛 すべての関係
それが
ぼくの愛しきもの
ぼくのすべてだったのに
ほろほろ ほろほろ
ぼくそのものだったのに
2005.11.27