Jun. '05
6/26 第六回 サーモン&ガーリックの夜ネヤ 島ンチュ リスペクチュ!! at ASIVI
案の定というか予想通りというか、前回の内容を不快に思われている方がいるようだ。「一所懸命やってるのにモンクをつけるなんて、人間性を疑う」ということらしい。
昔々、俳優志望の若い子に演技について教えながら言ったことがある。「べつに一所懸命なんてやらなくていいんだよ。でも、ちゃんとやってくれよ。ほとんどのお客さんは、キミが一所懸命やってる姿じゃなくて、舞台上の作品を見に来てんだから。交通費と、使った時間と、入場料に見合うだけのものを最低でも見てもらわなきゃ申し訳ないだろ。プロって、そういうモンなんだ」。
困ったことに、いちばんそれができなかったのがオレだ。で、こうしてケチをつけるのに専念してるワケだ。ここんとこ、もうちっと頑張れば、もっといいモノができるぜってな。
さあて、いつも通り、メジャーに厳しくマイナーにそれなりな「やつあたり雑記帳」の今回のイケニエネタは、これで第六回を数えるという、前回が2003年の奄美パーク@笠利町なのでざっと二年ぶりという「サーモン&ガーリックの夜ネヤ 島ンチュ リスペクチュ!」であります。ちなみにサモガリ公式サイトに「なお、第六回夜ネヤ・・・の模様は、近々このHPにUPしますので、来た人も来れなかったもお楽しみに!」とあるが、第五回(2003/4/13)も「近々・・・」だぜ、イヤイヤ、もっとうわ手もいるけどさ…。
で、当日である。早いだろ、暑いからな。
常連のカツオちゃんに頼まれていたオリジナル名刺(ベータ版)を「かずみ」に届けると、モリジュンがいる。
モリジュン 「なになに、なんかあるのぉ?」 オレ 「ASIVIで、サモガリ」 和美姉 「和美姉も出るのよ、(前山)真吾の囃子で。純ちゃんもおいで」 モリジュン 「他にはぁ?」 オレ 「なんか、窪島善幸みたいな漫談も出るらしいよ」 モリジュン 「ふぅん。いいや、おれ」 和美姉 「じゃ、和美姉もう行くからね、純ちゃん、おとなしく留守番してるんだよ、すぐ帰るからね」 モリジュン 「はぁい」
和美姉は、新調の作務衣に着替えに自宅へ。おれは、まっすぐチャリ(名古屋の皆様、けったのことです)でASIVIへ。
慌てて来たおかげか、意外と空いてるASIVIである。ステージほぼ正面のテーブル(椅子が10人ぶんくらい)が、まるまる空いているのでステージからいちばん遠い端に陣取る。
見知った顔は真吾だけだな〜とか思っていると、トシちゃんが、ビデオカメラを抱えた数名と一緒にボックス席にいる。そういえば、ほぼこのメンバー(注1)が、八月に椿山荘で行われるイベントに出演するんだっけ。
手早くビールを片付けると、それほど勿体を付けることもなくサモガリ登場。とりあえず一曲(ナニかは忘れた)やって、そのまんまステージの端で座談会みたいに喋りはじめた。
話は、奄美パークでの「夜ネヤ特別編」の思い出話からはじまるが、その内容は2003年の年末に放送された、鹿児島ローカル局でのドキュメント番組そのまんまであった。おそらく、ちょっとくらいは打ち合わせがしてあったのだろう、話はそのまま新たに創設されたNPO法人「ディ!」へと移っていく。
当然ながら「サーモン&ガーリックの夜ネヤ 島ンチュ リスペクチュ!」は、NPO法人の出資説明会ではないからして、話す方も「経緯と展望を詳細に」つー感じじゃないし、聞くほうも既に一杯気分である。よって、
・NPO発足記念として第一弾CD「サーモン&ガーリックの”でぃ!”」を発売する。
・コミュニティFM放送を開始する、つーか、もう開始してる。
・秋口(?)には第二弾CDを発売すると言おうとしたら妙なギャグでうやむやになる。
といった意味のことが語られたようなそうじゃないような…。おっと、忘れちゃいかん。ステージ上には、「夜ネヤ特別編」の実行委員長ミネコウジ(漢字が判んなくてよ)の代役としてBassの松田”アニョ”巧が所在なげに同席していたのだが、終始無言で、なおかつ話も振られることなくそのまま去っていった。これもまたサモガリ流のギャグであろう。いや、べつに悪いとは思わん。しかし、理解に時間と手間のかかるギャグではある。
サモガリと入れ替わりに出てきたのが”ただ今売り出し中”前山真吾である。
「囃子は、孝介兄に頼もうかいち思ったけど、トリだから悪いかやぁち思ってお願いした」西 和美を伴っての出演である。むちゃくちゃといえばむちゃくちゃではある。
それなりにキンチョーしてんのか、「朝花節」は、かなりカタい。しかし、徐々にほぐれてきたか、「よいすら節」「長雨切りゃがり節」、ピンポンズのテバを加えた「はいすり節」と続くうちに声に艶が出てくる。
ところで、この「はいすり節」なんだけど、わりとアップテンポで唄の感じも明るいせいか、客席から自然に手拍子が出てくる。出てくるのはいいんだが、いつの間にかズレる。
前回もちょっと触れたんだけど、もともと奄美の島唄は、リズムの解釈が個人にゆだねられ、唄い手の気分で伸ばそうが縮めようが勝手なので、所謂オモテとウラが平気で入れ替わる。前山真吾の「はいすり節」も、師匠の石原久子直系の所謂オールドスタイルなので、
一節目
(手拍子)ぱち ぱち ぱち
( 唄 )はぁーーれぇーーいー
と、はじまり、どこかで延びて
二節目
(手拍子)ぱち ぱち ぱち
( 唄 ) はぁーーれぇーーいー
にズレてしまう。
これは仕方がないのか、どうしようもないのか、「仕様です」のヒトコトで納得するしかないのか、さすがに不安になったオレが、後日、和美姉に聞いてみると、「うん、やっぱりアレは直さんといかんね」。コトはすでに「手癖」の領域に達していると思われるので、修正・治癒には時間が掛かると思うが、保田大介同様、ギター小僧から島唄に向かった真吾であるから、そのうちリニューアルされるであろうと思う。
歌い終えた真吾と和美姉がステージを下がろうとすると、司会のサモガリが登場。真吾の肩をぐいっと掴んでインタビューをはじめる。しかしこれ、写真で見たら堂々たるカツアゲじゃんか(笑)。オモシロイからついでに幾らか取ってやれ、と思うオレである。
サーモン 「今日は、浦上の共同作業の日だったのに、なんでヤーは来んかったワケ?」 真吾 「すいません、仕事でした」
仕方がないとばかりに不承不承、真吾を解放するサーモン。もうすこしまともなやりとりもあったけど、そんなの忘れたオレである。
続いて登場は、「うなり神」from 徳之島。さぁて、どんなオソロシイのが出てくるかと思ったら、今いくよ・くるよの年齢を3で割ったみたいな二人組である。
片ッぽは、身体おおきめ、体つき丸め、クラスいちばんのしっかり者、生徒会副会長が似合いそうなお嬢さんで、三味線と唄を担当。もう片ッぽは、身体ちいさめ、体つき細め、いくぶん拗ねたような受け口、モーニング娘。のどれかとチビのミィを足して2で割ったみたいなお嬢さんで、ちょっとだけ三味線、だいたい唄を担当。
唄のほうは、もろ徳之島という感じの土の香りが香ばしく、技術的にはだいたい及第点という感じなのを補って余りある。てエラそうに言うオレだが、実はそれほど判っているわけがないので、これ以上はツッコまないように。
中村瑞希、吉原まりか、皆吉恵理子、山田葉月、ちょっと年齢下って米田みのり、とアイドルには事欠かなくなった奄美大島ではあるが、徳之島ではこれからこの「うなり神」が島唄の底辺拡大の役割を担って行くんじゃないだろうか。
ええっと、順番わかんなくなっちゃったんだけど、たぶんその次は「をくひょういきとその兄貴」。
誰だそりゃ、というアナタ。それは正当な疑問です。もう、名前からしてサモガリ流の理解に時間と手間のかかるギャグです。まずは「兄貴」のほうから正体をバラすと、盛島貴男さんである。貴島康男じゃないぞ。で、兄貴とくれば舎弟になるのであろう「をくひょういき」は、柳屋クィンテットの初代メンバーで、2tone-Truckのマスター”おく しょういち”。こんなネタばらしして、ナニが面白いんだろう、オレ…。
まぁ、ともかく出てきた二人、おそろいの里 国隆風サングラスでステージ中央にどっかと陣取り、兄貴は奄美琴、舎弟はアコーディオンを構える。兄貴の唄は、声質こそ違えど、そのまんま里 国隆。カッコいい(ため息)。で、舎弟はというとアコーディオンの蛇腹を伸ばしたり縮めたりしながらぼそっと「おれ、弾けないんだよね、これ」。たまに兄貴が歌ってる最中に「ぷー」とか音が出て、慌てふためくのが微妙に笑える…。
もちろん、兄貴の奄美琴は阿世知先生の流麗な音色とはまったく趣を異にするし、唄と琴の旋律が相関関係ゼロになる時もあるのだが、その唯我独尊の泥臭さと曲間のやりとりがナントモ言えず、呆然と(好意的な)苦笑いを行ったり来たりするオレではあった。
残念ながら兄貴は体調がすぐれなかったらしく(二日酔いか?)、「ゴメン」と言って唐突に切り上げてしまった。いやしかし、これもサモガリ流のギャグなんじゃねぇか、実は。
順番イマイチ自信ないんだけど、次は奄美博物館学芸員の高梨 修さんだったと思うけど…?
まずはコピーが配られる。A4用紙表裏に情報が詰め込まれている。むむっ、来たな…!
掴みのギャグは、「自分は内地の人間ですが、うちの嫁は龍郷出身で…」親御さんに「お嬢さんをください」と言いに来たら「うちの娘は島外持出し禁止!」と一喝されて奄美に住むことになったんだと。
あ、忘れてたけど、この高梨さん、唄も漫談もやりません。言ってみればトークショー? 奄美大島の歴史(つーか、歴史の研究されなさ具合)についてレクチャーするっちゅうかなんちゅうか。
前山真吾&西 和美(あれ? すぐ帰るハズじゃなかったの?)で「豊年節」を唄い、それについて解説するっちゅうとこから入ったんだけど、真吾が間違えて…というのは関係ないか。
要はちゃんと構成してなかった、という一語に尽きるんだよね。「あ、これはオモシロイ」「ヨシ、それで行きましょう」つーノリでそのまんまステージに上げちゃったんだろうなぁ。
ライブとしてみればこれは面白いコーナーなんだけど、ナント言いますか空回りっぽく、「だからそこをもう一歩踏み込んでほしいのよ!」と拳を握ったり緩めたり、忙しいオレなんである。
パネラー然と同席したサモガリが、なんとか制御しようとするのだが、それがまた混乱を助長するようなギャグしか出せない。うーん、なんとかもう一度やってもらえないもんかなぁ。できればオレに構成・演出させてもらいたい。お笑いレベルが低くなるだろうと思うけど、ゼッタイ、エンターテイメントとして面白いモノを作る自信があるんだけどなぁ、三ヶ月くらい掛かるけど。
順番に不安を覚えつつ、「みつひこ兄」。
本名:東 三彦。徳之島の漫談者。動物占いはペガサスだそうで…。とりあえず、掴みのネタだけ紹介させてもらおう(方言・イントネーションなど、不正確だけど)。
今日、名瀬に着きましてね、商店街を歩いとったら「はげー」「はげー」ち聴こえるんです。そのたびに「誰か呼んだかい?」と振り向いて疲れます。ひと昔前の徳之島であんなに「はげはげ」言ってたら、血の雨が降るよ。今は公園の便器の破片が降るけど。♪てんてんてれれんててん♪(徳之島ちゅっきゃり節のフレーズ)
矢継ぎ早に二十数個のネタを披露。オレの近くにいた女の子7人のグループが「うなり神」目当てに来ていたことは判っていたが、この夜のASIVIは、客席の3分の1が徳之島ッチュであることが、このときに判った。
徳之島方言の、独特の言い回しが強いネタでは、3分の2の観客が反応できないでいる。残り3分の1は身悶えするほど笑っている…。
オレも最近は奄美の言葉に慣れてきて、自分で喋るのは不可能だが、かなりの率で聞き分けられるようになった。と、思ってた。それが奄美大島という狭い地域の言葉でしかないということ、そして奄美大島の人でも徳之島の方言が理解不能だということを思い知らされたのだ。恐るべし、徳之島。おそるべし、みつひこ兄(よく見たら、オレよか三週間くらい若いんでやんの!)。
ほとんど間をおかずに連発されるネタの数々について、◎「笑えた(=判った)」、△「主題は判った」、×「ナンノコトヤラ」の三段階に分けてメモを取る(が、そのメモをなくした…。見つけたらこの部分を改訂します)。◎が4割、△が2割、×が4割。イチローとオレ、どっちが上か。
んで、中 孝介。
囃子は、「早く帰るよ」と言ってた西 和美…。
オレなんかがこういうことを言うとクレームが来そうなんだが、思い切って言ってみよう。
最近、孝介の三味線て下手になってないか? あーあ、言っちゃった。
ソレハトモカク。
三味線持って島唄をいくつか唄った後、ステージは孝介ひとりになる。例によって流暢とはいえないMC(上達はしてるよ、ダイジョウブ、その調子だ)で、秋に「NPO法人ディ!」からJ−POPのCDを出すんだという。そのCDに入ってる曲だといって「家路」というのをエレピの弾き語りで演奏する。
ほほー、いいじゃないですか。途中、「あ、出ちゃった」という感じで一箇所だけ裏声になるところがあったが、ほとんど地声で歌い通す。もっと裏声を使ってもいいと思うんだけどな。営業戦略とか、ナニかあるのかな?
一、二度、孝介に会う機会があったんだが「羽毛田丈史さんにスゴクいい曲を作ってもらった」と喜んでいた。この曲のことかどうかは知らないが、曲の側でも歌い手に恵まれたんじゃなかろうか。売れる売れないは予測もつかんが、CDが出たら買う価値はありそうだ。
トリはやっぱりサモガリ(韻を踏んでみました)。正確には、サーモン&ガーリックwithアニョ。
いつも通り、マーコンやら古今亭もろきゅうやらの身内がナイスな野次を飛ばすのを切り返しながらのステージである。これはこれでヨシ。
サモガリは、あくまでローカル★スターであって、無駄に大それた存在になるべきではない。「NPO法人ディ!」がナニを目指しているのか知らんが、この身内ノリというのはローカル★スターにふさわしい、ボラ・ミルチノビッチ(なんとなく)。
〆の六調では、さすがに和美姉も帰っていた。
三味線は前山真吾。中 孝介は唄うだけ(<おい、サボるなゞ(^-^))。。
考えてたネタをいくつか端折ったので、すこしは短くなるかと思ったのに…。
このページの先頭へ