Sep. '01
9/ 1 マウント・フジ・エイド2001
9/24 Rhythm&Song Cation <出演>元ちとせ 他
9月24日マウント・フジ・エイド2001
とりあえず、マウント・フジ・エイドについて簡単に説明しておこう。いつもだと、ここでつまらんギャグを飛ばして諸兄の顰蹙を買うのがオレの得意とするところだが、今日は、どうもギャグが思いつかないので簡単に済ませる。
何をエイド(義援金、支援、救援)するかっちゅうと、近ごろ荒廃のはげしい富士山と富士山を中心とした自然だそうである。
ただし、そんなことはいっさい気にしないで音楽を楽しんでよ、という主催者側の配慮だろう、チラシにはそういう趣旨はちんまりとしか記載されていないし、当日のライブにおいても特にアナウンスはなかったように記憶している。会場の隅っこに、富士山の自然保護を訴えたコーナーがひっそりと設けられていたが、あんまりひっそりしていたんで、実をいうとオレはそこに近寄ってもいない。
前日、関東地方は朝方まで激しい雨に降られて、オレは現地までの交通手段としてJRを選択するつもりでいた。たまには電車もいいではないか、さきいかをつまみにビールを飲みながらライブを見に行くなんてのも悪くない。片道二時間、たっぷり飲める。ところが、昼前からウソのように晴れてきた。「RIKKI雨女」説を強力に主張する某氏も「おれ、バイクで行くよ」と言い出すに至ってオレの気持ちも揺らぎはじめた。
当日の天気は、どピーかんの晴れ。「やはりオレは、日頃の行いがいい」と納得したオレは、単車で行くことにした。
ところが、中央高速を西に向かうにつれて、じんわり確実に天気は悪くなってくる。会場に着いた頃には、「オレの人徳が勝つか、RIKKIのジンクスが勝つか」状態になっていた。
んで、その会場というのは、山梨県は河口湖町にある、河口湖ステラ・シアターという大理石っぽく見せ掛けたコンクリートの野外劇場である。ローマのコロッセオを二つに割ったような、いや、コロッセオのルーツであるギリシャの野外劇場を近代的にしたみたいな、もっとわかりやすく言うと、すり鉢を二つに割って、なくなった部分に壁と舞台をしつらえたみたいな建物である。わかったかな?わからん?ええわ、わからんでも。
会場に入っての第一印象は、おそろしく傾斜がきついうえに階段状になった客席もすべてコンクリート製なんで「こりゃコケて落ちたら痛いだろうなぁ」。とはいえ、いったん座るとその傾斜角が役立って、ライブ会場でかならずある「おっさん、わしゃあんたの後頭部を見に金を払ってるわけやないんやで」状態からちょっとだけ開放されるというメリットがある。ちなみに、完全には開放されません。たいていの場合、人生は完璧とは無縁なのです。
さて、マウント・フジ・エイド2001の出演者だが、RIKKI、知名定男、GONTITI、スアール・アグンという、二人と二組というか、二人と二人組みと大勢というか、まぁ、そういう組み合わせだ。
最初の出演は、RIKKI。およよ、である。早いっすね、である。
いや、確かに知名「Godfather of ねーねーず」定男、「元祖癒し系おじさんズ」GONTITI、「バリ島最強のガムラン軍団」スアール・アグンと来れば、「ファイナル・ファンタジーX(テン)」のRIKKIではちょっと肩身が狭いかもしれん。「日本民謡大賞最年少受賞記録保持者」というのも不足か。やはりここは、「オレが選んだ、もっとも美しい声のシンガー」という肩書きではどうだろうか。これならイケると思うけどな。
ま、とにかく、この日のテーマは、「満月(月齢13.2)の下、”御月様(ウティキサマ)”を聴く」のつもりだったが、どんよりと重く垂れ込めた雨雲は、まだ地平線のかなり下にいる満月を隠すどころかすぐそこにある富士山すら見せない状態で、おれはちょっとした敗北感を噛み締めていた。
にしたって、会場はまだ落ち着いていない状態で、よく見りゃRIKKIのバック・バンドもはじめて見る顔ばかりで、これでどんな歌を唄えと言うんだろう。
案の定、RIKKIの声はいい状態ではない。つーか、ここんとこ、ずっと良くない状態が続いているのだ。先月の下北沢 LaCanaでも唄わないのか、唄えないのか、MCばかり目立つステージで、じつはこの日もどうしようか直前まで悩んだのだ。最終的にチケットを入手したのはライブまであと5日という時点だったし。
「ファイナル・ファンタジー X」絡みのプロモーションと、ニュー・アルバムのレコーディング、事務所の移籍など忙しいのだろうなとは思うのだが、シンガーにとって声は商売道具以上のモノのはず。次は良くなるだろう、と見に来たのだが…。
きわめてあっさりと、六曲でおしまい。客席下のエントランス・ホールで、別な席で見ていたヤマトンチュ氏としばしの会話。「大橋さん(RIKKIのマネージャーさん、きれい、かわいい、ファンです。LOVE!)が三線のチューニングしてたね」「RIKKI、三線、上手くなったんじゃない?」「次は誰だろうね」と、お互い、歌や声についての話題を持ち出す勇気はなかったようだ。
ところで、この翌月の吉祥寺スターパインズ・カフェで、RIKKIは素晴らしい歌を聴かせてくれた。そのぶんは、こっちで読んでちょうだい。
続いての登場は、知名定男。遠くからなので断言できないが、着流しみたいな和装で三線持ってひとりで登場。
マイクを前にするなり、寒い、寒いを連発していたが、オレも、開演前にがばがばと飲んだビールの酔いが醒めかけてちょっと寒さを感じていた。このおっさんも、盛り上がらなかったなー。いかに沖縄民謡界の重鎮とはいえ、三線一丁で、寄せ集め色の濃い観客を集中させるのは難しいのだな。あと、音楽として素晴らしいことは認めるのだが、この日の出演メンバーの中ではかなり異色なGONTITIの存在が、イベントの「焦点」を暈してしまったと見るのは、おれの考え方が意地悪すぎるのだろうか。
GONTITIの存在は、集客という点では(主催者の期待は下回っただろうが)ある程度の貢献はあっただろう。イベントの「ステータス」(いや、笑い事じゃないだろうよ、自治体が協賛してるんだから)という点では、非常にポイントが高いはずだ。しかし、この器(河口湖ステラシアター)に、この取り合わせというのは、悪天候という不運を割り引いても、一たす一は二にならないこの現実世界を図らずも露わにしてしまった。
そんで、そのGONTITIは、MC担当のチチ松村の軽妙な関西弁のおしゃべりで場内をなごませてくれたうえ、パーカッションを導入したパートで馴染みのない客(オレだぁ!)を驚かせたり、スペシャル・ゲストとしてRIKKIをヴォーカルに迎えて「イムジン河」を披露したりと、なかなかなエンターティナーぶりを発揮してくれた。でもさー、いくら額縁に意匠を凝らしても、水彩画は水彩画なんだよなー。水彩画として無類の輝きを放つGONTITIは、やはりオレはそれにふさわしい場所で、ふさわしい状態で聴きたいな、と再確認。
さて、トリのスアール・アグンは、バリ島のガムラン集団である。
オレの生噛りな知識では、ガムランというのは、金属製の鉦やら鈴やら鼓笛隊が使う鉄琴みたいのやらで絢爛豪華(きらきらという擬音が似合う音と結びつけてしまう短絡的なオレだったりする)なイメージが強いのだが、このスアール・アグンは、ジェゴグという竹の木琴(つーことは、竹琴か)を主力としたガムラン。それが20人近い人数で押し寄せてくる。はっきし言って、ド迫力。ただし、いい位置で聴いてたら、の話。スリ鉢のてっぺん近いところからでは、正直いって、おもしろくな〜い!
バリ島の民族衣装とアクセサリーをまとった踊り手のお嬢さんたちは、遠目から見ても夢のような美しさであったし、途中でジェームズ・ブラウンのマント・ショーみたいな演出もあってサービス満点だったのだけれど、されど、だが、しかし…。
終演後、夜空に上がった花火は、オレがこの夏に見た唯一の花火(そういやここ五、六年ばかり花火を見てないな)であったが、帰りの中央高速はひたすら寒くて、夏の終わりという現実まで突きつけられて、ちょっと困ったオレではあった。
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Rhythm&Song Cation <出演>元ちとせ 他 at 渋谷クラブ・クアトロ
えーと、まず、「Cation」なる単語はありません。チケットの半券が手元にあって、そのイベントのタイトルとして印刷されてるんだけど、どーゆー単語の間違いだったんだろう。こういうミス・プリント物は「なんでも鑑定団」で高値に鑑定されるから、捨てないで取っておこうかな。ちとせちゃん、宇多田くらい有名になってね。
事の発端は、9/19のおもろ掲示板にしぇんて氏が「元ちとせのライブ、こっちのウェブ・サイトで抽選でご招待ってやってるよ」と書き込んでくれたのを見て「葉書かメールでの申し込み限定だとぉ!完全招待制だぁ?当たるわきゃねーだべさぁ」と余裕ぶちかましつつ申し込んでみたところ、忘れた頃に「Rhythm&Song Cationライブにご招待!」(←ここでも間違ってんな)つーメールが届いたのだ。
申し込んだのは、インターネットでのチケット販売で最近ノシつつある「e+」(いー・ぷらす)。なんか、コマゴマと質問に応えなきゃなんなくて、途中でキレそうになったのだが、諦めなくて本当に良かったってーもんだ。
しかし、メールが届いてからがさぁたいへん。二名さまご招待ってーから「誰か行かないかい?」と掲示板やらメールやらで連絡しまくったんだが、反応は、なんにもなしのゼロの皆無。
ええわい、ひとりで行くわい、と思いかけたところに「RIKKI応援団々長(注1)」びきびき氏から「まだ募集中?」とメールが届き、ふたりで行くことに。団長、ありがとう。
宇田川町交番の前で待ち合わせて、会場であるクアトロに入ったのは、開演予定時刻の五分前。オール・スタンディングのクアトロは、すでに満パイ状態。事務所の威力と精力的なプロモーションで、元ちとせの知名度が赤丸付き急上昇中なのは知っていたが、まさかこんな事になっていようとは、若者向け音楽市場に疎いオッサン二名にはまさに驚天動地である。いやしかし、これは共演の石原千宝美、川本真琴の動員力かもしれない。はたまた、「一本の矢では簡単に折れるが、三本まとめれば容易には折れない」という毛利元就の教えかもしれない。
どうやら、FM東京の公開録音ついでのイベントらしく、若者に媚を売るのが得意そうな司会者の男女が、会場の端に設えられた特設ブースでなにやら喋っている。喋りが途切れると、当夜の出演者の曲が流される。川本真琴(だと思う)の曲だって。なんか、興味ない感じー。
そういや、オレの若い頃のアイドル歌手の歌って、なにか目的があるのかと思うくらい下手だったけど、最近の「J−POP」の女の子歌手の歌って、上手いねー。でも、聴き終えて、なんにも残らないという点では、見事なくらい一緒だよねー。違和感すら感じないもんねー。これって、なんでかねー。
とか、考えていると、ステージ上に元ちとせが登場。バックは、いつもの通り、パーカッションとギター。ギターのほうは、彼女のアルバムをプロデュースしている「間宮工」だったり、そうじゃない人だったりするが、この日は間宮工の日。どっちがどうか、なんて、ギターの弾けないオレに聞かないように。
驚いたのは、客席の反応。「ちーちゃ〜ん!」という女の子の声が、あちこちから飛んでる。ナニナニナント、いつの間にやら、元ちとせは、ロール・モデル(注2)になっていたのか。う〜む、古仁屋の飲んべ女子高生(情報提供は、Dave & Fats)が、こんなんなっちゃうんだねぇ。
さて、元ちとせのステージは、
コトノハ
深海魚
名前のない鳥
Birthday
精霊
三八月
つー、ミニ・アルバム「コトノハ」をメインにした選曲。先月の横浜HMVインストア・ライブ(あっ、書いてねぇや)から一ヶ月、一段と消化吸収が進みました、という唄いっぷり。このまま進化すると、一体どこに行ってしまうんだろう、と無意味な心配もしたくなってくる。
彼女が唄いおえて引っ込んだ途端、帰るわ帰るわ、ステージ前が空っぽになるんじゃないかと思うほどの人が帰って行く。
ステージ終了後、元ちとせはFM東京特設ブースに登場。なんか、入場時に配られたアンケートに応えると貰えるプレゼントの抽選をしたり、ちょっとしたインタビューにも応えるんだが、まぁ、あんましたいしたことは喋っていない。これは、司会者の質が低いのだが、同じ事務所の先輩歌手の話題ぐらいしか振れないんだったら、そこらのミーハーと変わらんだろうって言うんだが、実際、この程度なんだよな、タレント司会者なんて。
で、元ちとせが特設ブースから引っ込むと、またもや帰る帰るよ人の波現象。ブレークするって、こういうことなんだな、と実感。
さて、オレと団長は、次に出てきた石原千宝美(だと思う)を一曲だけ聴いて「じゅうぶんだね」と帰ることに。
クアトロのすぐ近くの沖縄飲み屋でちょこっと飲んで、沖縄そばを食べて(コーレーグースーの入れ過ぎに注意)バイバイ、と別れました。
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