「いくらでもいいから・・・」

ある日の帰り。私が駅の自転車置き場で自転車の鍵をはずして
いたら(もちろん自分の。盗ってないですよぉ)、突然見知らぬ
オジサンが近寄ってきた。夜も9時だから、まだそれほど遅く
ないけど、あんまりいい気分じゃない。でも、まだ鍵はずれないし。

私がやっと鍵をはずして行こうとした時、声を掛けてきた。

「あのぉ、すみみませんが・・・」

オジサンはパッと見で「住所不定者(なちゅらる・サヴァイヴァー)」
であるとわかる。年は50ちょっとぐらい。下は青のスラックスで
上は白いTシャツ。一応靴ははいてるけど古そう。手にしているのは
下のスラックスとセットと思われる青いジャケット。かなり年期が入ってる。

「これ、いくらでもいいんで、買ってもらえませんか?」

とっさに口を出たのが次の言葉。

「すみません、今、お金持ってないんで・・・」

そそくさとその場を立ち去った。振り返るのも嫌だったので
一目散に立ち去る。なんだか情けなくて、なんか怖くて・・・。

やっぱりモノを貰わずに幾らかでも恵んであげるべきだった
のでしょうか。この話を後日友人Sに話したら反対意見が出た。

「その人の雰囲気に寄るけど、可哀想なら恵んであげたなぁ」

・・・やっぱそうなのかなぁ。恵むという行為自体に抵抗がある
から、どうもやりづらい。別にそんなに自分が偉いと思わないし。

「いくらぐらい?」という質問に友人Sは間髪入れず
「1000円ぐらいじゃない」という答えが・・・。

ぐ、ぐむむ。1000円ねぇ。なんか大変なんだろうけど、そうやって
簡単にお金が手に入ると思われていいのだろうか、と思ってしまうし
基本的にケチだから300円とか考えてた自分がちょっと嫌になった。


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