「ラジオも半分こ」

いつもの帰りの電車の中の話。まぁ、会社帰りなので
座りたいときは、一本とか2本とか待って、座ってくる。

んで、その日は1本待って、座ってかえってきた。
その時、私の隣には70〜80くらいの老夫婦が座ってた。

おじいさんは、昔軍人だったかのような、背筋の良さで
背は小さいのに、なんだかおっきく見えた。逆に、おばあさんは
なんだかすっごく小さくて、丸くて、ちょこんって感じで
本当に本当にかわいい感じのおばあさん。いい感じ。

電車が発車して間もなく、おじいさんが小さな携帯型ラジオを
胸ポケットからとりだした。そして、付属のイヤホンを広げると
左を自分の右耳に、右をおばあさんの左耳に入れた。

そして、なにやら機械を操作して、ラジオを聞きはじめた。

まぁ、そこまでは、おじいさんおばあさんになっても、
こうやって、イヤホン半分ずつにして、聞くなんて
ほほえましくて、いいなぁ、と思ってみてた。

しばらくして、おばあさんが、おじいさんに何やら話かけた。
でも、お互いに近い方の耳にイヤホンが入っているので、
当然よくきこえない。おじいさんが、「はぁ?」という反応を
示すと、おばあさんは、口に手を添えて、大きな声で話す。

もう、横で見てて、もどかしくて。だって、耳にイヤホンが
入ってて、ラジオが聞こえてるんでしょ。ただでさえ、きっと
耳が遠くなりつつあるんだから、聞こえづらいの当たり前。

そのイヤホンですよ、聞こえない理由はね!って、いいたい。

それでも、おじいさんとおばあさんは、気にせず大きな声で
話し続ける。それがまた、ある意味ほほえましく見えたんですけど。


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