「看板娘」

最近、環境の変化などから肌が荒れ気味。もともと、
それほど肌が強くないため、好きじゃないけど医者に通ってる。

医療法(だっけ?)の改定などがおこなわれて、薬は
病院からでなく、薬局などで処方してもらうことになってる。

私が通ってる病院の道をはさんだ隣にある薬局が処方してくれる所。

その薬局は家族経営らしく、いつも夫婦(50前後)が
きりもりしている。そこの入り口にほど近い椅子に必ず
座っているのが、昔看板娘であったであろう、おばあちゃん(80過ぎ)。

本当にいい感じの、おばあちゃんらしい、おばあちゃん。
なんだかこじんまりしてて、ちょこんと置いてある感じ。

店に入ると必ず「いらっしゃい」と声を掛け、奥にある
椅子へ腰掛けるようすすめ、帰り際には「お待たせしました、
お大事に、さようなら」と声を掛けている。

わたしは、その「さようなら」を聞くたびにいろいろ考えてしまう。

一体、この人は何十年くらい、その席でこの言葉を掛けてきたのか。

人は絶対に老いて行く。少なくても、この先何百年かは、
この常識が変わることはないだろう。

別に親戚でもないし、家族でもない。ただ単に、時々
お世話になる薬局のおばちゃんでしかないのだ。

なのに、「さようなら」を聞くと、心がキュッとなる。
その言葉が本当の「さようなら」になるのではないか、と
余計な心配をしてしまうのだ。本当に余計な心配だけど。

だから、毎回行くたびに、いつも通りに座っているのか
どきどきしながら店にいき、いると、なぜか安心してしまう。

別に、本当になんでもないはずなのにね。変だよね。


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