「残心」

会社説明会に出たときの話。あ、もちろん、説明する側として
出たっていうことね。決して転職を考えていて、違う会社の
説明会を聞きに行ったというわけではありませんので…念の為。

私は会場の前にある説明者用の席に座り、学生たちと向かい合う
形だったんだけど、ちょうど私の目の前に座っている男の子3人が
気になった。何がって、3人はどうやら同じ学校の友達同士みたい
なんだけど、まるで遊びに来ているみたいに楽しそうなのだ。

試験の前にあるアンケートを答える時も、互いに見せ合いっこして
「お前、こんなこと書くなよぉ」とか「お前、なんて書いた?」
なんてやりとりをしている。まぁ、学生たちからすれば、1つ1つの
会社説明会なんて、長い就職活動の中でみれば小さなイベントなのかもしれない。

んで、そのアンケート中に「どんな事を目指すか」みたいなことが
あるみたいなんだけど(アンケートの項目はチェックしてなかった
ので、あやふや)、「お前、なんて書く?」なんて例の話を始めた。

Aクン:「俺、ザンシンなものを目指すって書くよ」

といって何かを書き始めた…んだけど、ふとペンがとまった…。

Aクン:「なぁ、ザンシンって、どう書くっけ?」

(おいおい…)
すると、隣の子が言う。

Bクン:「あぁ、これじゃない?」

それを見てAクン一言。

Aクン:「えぇ? 残るに心で「残心(ザンシン)」だっけぇ?」
Bクン:「うん、確かこうだったような…」

すると、おもむろにCクンが携帯で日本語変換をして調べはじめた。

Aクン:「どう? わかった?」
Cクン:「候補が多過ぎてわかんないや…」
(おいおいおいおい…)

結局、Aクンは違う言葉を選択することで、「ザンシン」から
逃げ延びたみたいだけど…そういう問題じゃないような気がするなぁ。


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