「最強一番前」

今回はあまり頭のいい感じのしないお話なので、だめだ
と思ったら、読み飛ばしてください。

これは友人M氏と友人I氏の会話を横で聞いていた時の
話です。場所は電車の中。まぁ、会社の帰り道でのお話。

突然M氏が「みんなに聞きたいことがあるんだ。」と
切り出してきました。なんだ、なんだあらたまって。
みたいな感じで、身を乗り出して聞きはじめました。

「会社のトイレのさ、ウォシュレットのことなんだけど。」
「何、何。真面目な話じゃないの?」
「嫌、こっちは本気だし、相当真面目。」
「何? どんな話なの?」

「いっつも、水流が一番強くて、一番前から出る設定に
されてるんだけど、みんなはそれでもいいの?」
「ほえ? 別に考えたことなかったけど..」と私。
「嫌、別にいいと思うけど。あれはあれで、
結構よかったりするし。」と、I氏が切り替えす。

「えぇ、強いと痛くないの? 困るんだよね、強いの。」M氏も負けない。
「そうかなぁ、慣れてくると、逆にあれじゃないと駄目になって
くるんだけどなぁ。そんなことない?」と、I氏は自信たっぷり。
「そうかぁ、そういうじゃぁ、しょうがないなぁ、相談だったのに。」
M氏は話が変わってきたという感じで、しぶしぶ引き上げた。

「それよりも、トイレですごいことがあるんだよ。」とI氏が始めた。
「いつも、トイレは16Fで入るんだけどね。」I氏の言う、16Fとは
私達のいるビルの16Fのこと。普段は使わない階なので、いつも静か。
そこなら、誰の邪魔も入らないのだそうなのですが。

「まだ2回しかないんだけど、怖いやつが入ってる感じなの。」
「怖いっていうのは、どういう感じなの?」
「電気も点けないで個室に入りっきりなのよ。」
「しかも、物音ひとつたてたりしないし。」

ちなみに、電気を点けて無ければ、当然個室なんて真っ暗だと
思うんだけど、電気も点けないでいるのは、どういうことなのかと。

さらにI氏が続ける「もともと、一度入ると長い方なんだけど
入る時には当然いて、出るときもまだいて、しかも音がしないの。」
確かにそれは怖いかも。さらにさらに、I氏は続ける。
「2回目の時は、先に出てトイレの外で待ってたのに、それでも
出てこないの。合計で20分以上経ってるのにさ。」

結局それ以降、その人には会ってないらしいのだけれども、
その人の素性は全くわからないまま。I氏としては、今度
会ったときには絶対に正体を明かしてやる、と息巻いてました。


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