「そんなのアリっすか?」

会社の帰り、いつもは歩いている所をその日は
遅かったというのもあって地下鉄を使ったんです。

駅のホームで並んで待っていたら、隣に若い女の子が
並んだんですよ。まぁ、いまどき風に携帯メールを
打ちながら並んでるわけです。見た目はちょっと地味目。

電車が到着しても、その子はそのまま打ちながら乗車。
車椅子用のスペースに行くと壁に寄りかかって、そのまま
打ち続けてる。これもまた、最近ではよくあるパターン。

ここからが本題。

向かいの座席に座っていた外人イワン(仮名)が急に
立ち上がるとその子に話し掛けたんですよ。

「ナゼチカテツナノニメールヲウツノデスカ?」

おぉ、そういう疑問かぁ。確かに諸外国に比べて日本人の
携帯メールの利用料は目を見張るものがあるらしいし、
とても珍しい行為に見えるというのはきいたことがあった。

「えっと、ここで打っておけば地上に出たときに
すぐに送信できるから、とっても便利なんですよ」

おぉ、それそれ、それはいえてるかもしれない。
以下、2人のやり取りを列挙していきます。

「ソウデスカ。エェ、ワタシハ「イワン」トイイマス」
「は、はい」
「アナタノナマエハ、ナンデスカ?」
「私は「あい(仮名)」といいます」
「ハイ、アイサン。ドウゾヨロシク」

ここでイワンは手を差し出して握手を求める。
あいさんも手を差し出して握手に応じる。
イワンは握手した手を離すことなく続けた。

「アイサンハ、ナニヲシテイルノデスカ?」
「アルバイトです」
「アルバイトデスカ。イエハヒトリグラシデスカ?」
(いきなり、そういう話題なのか?)

「はい、そうです。一人暮らしをしています」
「ジョセイノヒトリグラシハキケンデス。アメリカ
デハ、ジョセイハカゾクトドウキョガオオイデス。」
「あぁ、でも一人暮らししたかったので」
「ドコニスンデイルノデスカ?」
「私は梅田で降ります」
(ちょっとビックリしたのか答えをズラし気味?)

「カレシハイマ、イマスカ?」
「いえ、今はいません」
「ソウデスカ。デハ、アシタアイマショウ」
(って、おい〜。いきなりそっちへ行くのか?)

ここまでがたったの数分の出来事。いくら外国人が
フレンドリーだからって、こういう展開が許される
ことなのだろうか? これが普通な国ってあるのか?
それとも外国人という立場をつかった新手のナンパか?

「あ、あの、明日はアルバイトがあるので無理です」
「オォ〜、ソウナノデスカ。ザンネンデス、ガックリデス。」
「…」
(そりゃ、返事に困るっつの)

「ジャ、イツナラアエマスカ?」
「急にそんなこと言われても困ります」
「コマル? ナゼコマリマスカ? ワタシガキライデスカ?」
(そうじゃないっつの。イキナリそういう展開がだっつの)

「オォ、アイサン、トテモキレイデカワイイヨ」
「あ、ど、どうも…」
「ナントカアエマセンカ? ワタシハアイタイヨ」
「…」

ここで梅田駅に到着。

「アイサン、ケイタイノバンゴウ、オシエテクダサイ。」
「す、スミマセン。駅についたので」
「ソウデスカ。マタアイマショウ。キヲツケテ。」
(会えるわけないっつの、っていうか、お前が危ないよ)

「イワンさんも気をつけて」
(人がいいなぁ…)

で、あいさんはホームを走っていってしまいました。

っていうかね、外国の人全部がどうこうと言うつもりは
ないんだけど、やっぱり「イエローキャブ」なんていう
本が出てたけど、そういうイメージを持っている外国の
人もいるのかなぁ…っていうか、いるんだろうね。

今日の展開はすごく驚いたし新鮮でした。だって、たったの
2駅の間に名前聞いて暮らし状況聞いて翌日会う約束を
いきなり取ろうとしたわけでしょ。これが成功するんだと
したら、世の中のナンパ手法がすべてきりかわってしまうよ(笑)

そしたら、梅田の阪急駅前とか心斎橋の戎橋の茶パツな
おにいちゃんたちの仕事も一変しちゃうんだろうね(苦笑)

というわけで、ビックリした新しいナンパでした。

あ! せっかくイワンっていう名前を仮でつけたのに
使えなかったフレーズが…。っていうかどこで使うのか。

「イワンのバカ」

…トホホ。


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