「カデンマック」

これはとある店で昼食を食べていたときの話。
空席だった隣の2人掛けのテーブルに
20代後半とおぼしきカップルがやってきた。

2人は座るなりお互いの食べたいものを口にだし、
店員は慌てて覚えて戻っていった。

しばし無言のあと、おもむろに男の方が口を開いた。
「ところでさぁ、カデンマック、どう?」
「あ、元気だよ。」

私は話が見えなかった。カデンマック? なんだろう。
物の名前かなぁ。カデンマック、口に出してもピンとこない。

「でもすごいよね、台所だもん。」
「炊飯器の隣だもんね。」
「ガス台のそばで食卓の上。これ以上の置き場所ないよね。」

んー、カデンマックの具体的な説明が出てこない。
まるでこっちが聞いているのを見透かすような遠回しのヒント。

「でも、あそこで使ってんの? ちゃんと。」
「使ってるよ。料理の時とか。レシピにいいらしいよ。」

料理でレシピ? 何だろう、ますます気になってきた。
なんかもう、自分の食事なんかどうでもよくなってきた。

「とりあえずさ、あれだけの条件で動けるなら、あとは風呂場だけだね。」
「それは無理でしょ、いくらカデンマックでもさ。」
「まぁねぇ、一応パソコンだしね。」

パ・ソ・コ・ン!! マックはMacなのか!!
そうか、そうか、わかったぞ。これですべての謎は解けた!
じっちゃんの名に掛けて!!

カデンマック、正式名称は家電Mac。すなわち、読んで字の如し。
台所において、炊飯器、ガス台と肩を並べ、食卓に陣取り、
まるで自分が家電であるかのように振る舞っているMacintosh。

そうなのか、まさにこのカップル内用語。にしてもすごいかもー。
なんでそんな場所でパソコンなのか。しかもMacだし。

「他、移せないの? どうしても?」
「邪魔だからね、しょうがないのよ。」

って、そんな理由かい!!


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