時間までまだ1時間ほどあるので、人はまばら。
とりあえず、良く見えそうな席を確保して座る。
あたりは暗く、カップルが多い。待っている人を
考えてか、音楽が鳴っている。それもちょっとロック系。
しばらくして、一番前の席におじさんがひとり座った。
4人がけの席の真ん中にひとり。おもむろにタバコに
火をつけ、吸いはじめる。それは別に問題無い。
すると、頭を小刻みに震わせはじめた。それも相当速く。
音楽は軽い16ビートくらい。でも、頭は32ビートくらい。
あれはノッてるのか? すごいスピードだ。うーむ。
ずっと同じペースで頭を振る。酔いそうなくらい振ってる。
問題はさらにこれから。
曲が変わった。結構、スローな感じのバラード。
おじさんの頭は?
そりゃあ、もう、速いです。むしろ、さっきよりも速いくらい。
音楽のテンポなんて、おかまいなし。あの人にはもっと
他の曲が聞こえているのかと思うくらい。速い、速い。
だんだん、体も揺れてきた。全身を使ってリズムを表現。
激しいラテンのリズムのようにも見える。
でも、かかってる曲はバラード調。いいの?それで。
体の揺れがおさまってきた。曲も一段落。しばらくの静寂。
そして、また曲がはじまる。おじさんは、頭をまた振る。
さらに、今度は手拍子が入った。すごい、一人の世界かも。
しばらくして、イベントがはじまった。おじさんは、急に
何もかもやめて、静かに見はじめた。それも普通に。
ん? これもまた落ちがつかない。困った。でも、おわり。