小説「まもって守護月天!」(電話)


はじめに:『電話』とはとある劇の名前・・・実はオペラです。
作者はイタリア系の米人作家で、ジャン=カルロ・メノッティという方です。
それをモチーフに、と書いたつもりなんですけど・・・やっぱ難しいですね。


『こんな日に限って・・・』

今日こそは!!と、俺はついに決心した。
何を決心したかって?シャオへの想いを伝える事だよ!!
今までうじうじと悩んできたりもしたが・・・やっぱり!!
・・・まあ、こんな気持ちになったのも、山野辺やキリュウ、そして那奈姉のおかげかな、なんて。
幸いに今は家に二人っきり。ルーアンは日直で学校。
キリュウも那奈姉もどっか行っちまった。これはチャンスだ!!
というわけで大きく深呼吸。
「すー・・・。はー・・・。」
よし、ばっちりだ。たしかシャオは一階の自分の部屋にいるはずだったな。
というわけで一階へと下りて行く。そしてシャオの部屋をノック。
こんこん
「はーい、あら太助様。何ですか?」
扉が開いてシャオが顔を出す。だからそんなに顔を近づけなくっても・・・。
「え、えーと、シャオ・・・。」
「はい?」
「お、俺、シャオに言う事があるんだ。」
「私にですか?何でしょう?」
シャオが少しばかり首を傾げる。か、可愛いなあ、やっぱ間近で見ると・・・。
とと、そんな事考えている場合じゃない。
「シャオ、俺は・・・」

トゥルルルルル!!

言いかけた途端に電話が鳴り出した。たくう、誰だよ・・・。
「シャオ、後でな。」
「は、はい・・・。」
返事をしたものの、シャオは俺の後に付いてきた。
なるほど、シャオとしては俺が何を言おうとしてたか気になるんだ。
よーし、とっとと電話を終わらせて・・・。
「はい、七梨ですけど。」
「おおー、太助ー!!これから映画の鑑賞会をするんだ、俺の家へ来いよ。」
この元気な声は間違い無くたかしだ。相変わらず大きい声だな・・・。
それにしても映画の鑑賞会?なんだってこんな時に・・・。
「たかし、悪いけど俺用事あるから・・・。」
「なんだってー!?俺とお前の友情はそんなもんだったのかー!?」
「それって関係あるのかよ・・・。とりあえずさ、別の日にしてくんない?」
「なにー!?・・・分かったよ、じゃあな。」
不機嫌そうな声を残して電話は切れた。
たくう、たかしのやつ・・・。ま、早く終わった分ましかな。
「それじゃあシャオ、さっきの続きなんだけど。」
「はい。」
「実はずっと前から言おうと思ってたんだけど、俺は・・・」

トゥルルルルル!!

またもや電話が鳴り出した。どうしてこういう時に電話が鳴りやがるんだ。
さっきと同じくシャオを促して電話を取る。
「はい、七梨です。」
「あ、すみませーん、間違えましたー!!」
がちゃっ、つーつーつー・・・
「・・・・・・。」
間違い電話?ふざけんな、こんな時に!!
さてと、しきり直しだ。
「シャオ、俺は・・・」

トゥルルルルル!!

また電話!?
「はい、七梨です!」
「あれー?またあんた?おっかしいなあ、どうして?」
なんと、さっき間違い電話をかけてきたやつだった。
「知りませんよ!!ちゃんと番号見てかけてください!!」
「なに怒ってんの。そりゃあ間違い電話をかけた私が悪いんだけどさ。
あんたカルシウム足りないんじゃないの?もうちょっと落ち着いて・・・」
がちゃん!!
説教を始めたので、俺は途中で切った。荒荒しく息をする・・・。
「太助様、大丈夫ですか?」
「う、うん、なんとか・・・。」
確かに落ち着くべきだな、この程度で怒ってたんじゃあ告白なんて出来やしない。
軽く深呼吸。
すーはーすーはー・・・。
・・・よし、落ち着いてきたぞ。今度こそ言う!

トゥルルルルル!!

「またかよ・・・。」
「太助様、今度は私が出ますわ。」
疲れたように伸ばした俺の手を押さえ、シャオが受話器を取った。
「はい、七梨です。」
『おっ、シャオ!どうだ、元気か?』
「翔子さん!どうしたんですか?」
何?山野辺?
『いや、ちょっといい事を教えようと思ってこうして電話したんだ。
丁度いいや、良く聞けよ。あのな・・・。』
「・・・はい、はい・・・。」
何やらシャオが真剣な顔で頷いている。
どうせまた要らないお節介なんだろう・・・。
けれど山野辺、それももう終わりにして良いぜ。なんたって今日、俺は・・・
「あはははは!!」
びくっ!!いきなり笑い出したシャオに俺は思わず後ずさりした。
「翔子さん、それほんとですか?」
『ああ、本当だよ。でさ・・・。』
「まあ・・・。それで・・・うふふふ・・・。」
けらけらと笑いながらシャオが話に没頭し始めた。
何だ?いつもの嘘とかじゃないのか?
そんな事より、随分と長電話のような・・・。
で、約三十分後。
「それじゃあ翔子さん、また。」
『ああ、またな・・・ってシャオ、七梨は居ないのか?』
「あ、太助様なら傍にいますけど。」
『そうだったんだ。じゃあちょっと代わってくれ。』
「はい、分かりましたわ。」
いよいよ終わりかけたと思ったら、シャオが受話器を手渡してきた。
「俺?」
「そうです、翔子さんが代わってくれって。」
「なんだろ・・・。」
疑問に思いながら受話器を手に取る。
「なんだよ、山野辺。」
「なんだよじゃないだろ。お前、いつになったシャオに告白するんだよ。」
「・・・それを言いたかったのか?」
「当たり前だろ、いつまでもうじうじしやがって。だいたいお前はな・・・。」
長々と続く山野辺のお説教。それを聞いているうちになんだか腹が立ってきた。
「その告白を今さっきやろうとしてたんだよ!!」
「だからいつまでも・・・って、マジ!?」
「マジ。」
「・・・そっか、そりゃ悪い事したな。頑張れよ!!」
「あ、ああ・・・。」
「シャオによろしく言っといてくれ。じゃあな。」
「あ、おい!」
がちゃっ
あっさり山野辺は受話器を置いたようだ。やれやれ、なんてこった・・・。
まあいい、山野辺もがんばれといってくれたんだ。ここはいっちょ気合入れて!
「シャオ!・・・あれ?シャオ?」
いつのまにかシャオは居なくなっていた。山野辺がいろいろ言ってくるからだぞ・・・。
ため息をつきながらもきょろきょろとしていると、お盆にジュースとお菓子を持ってシャオがやって来た。
「ちょっとおやつを、と思いまして。」
「そ、そうか。さんきゅうシャオ。」
ついでに椅子も用意していたようで、電話の横にそのお盆を置いて、椅子に座っておやつを食べる。
しっかしなんでこんな所で食べてんだ?リビングで食べれば良いのに。
・・・なんて考えてる場合じゃない!
「シャオ、俺の話を聞いてくれ。」
「は、はい。」
「俺は・・・」

トゥルルルルル!!

また・・・。しかし俺は!!
「シャオ、俺は・・・」
「あの、太助様。電話取らなくてよろしいんですか?」
「・・・分かった。取るよ。」
シャオのぽけっとした瞳に負けた俺は、力無く受話器を取る。
「はい、七梨ですけど・・・。」
「おや太助君、シャオさんはいらっしゃ・・・」
がちゃん!!
声の主がわかると同時に、俺はそっこーで電話を切った。
「太助様?」
「いやあ、ただの間違い電話だったよ。はははは・・・」

トゥルルルルル!!

くそ、やっぱりあっさりと引き下がる奴じゃないって事か・・・。
あきらめたように俺は受話器を取った。
「はい、七梨です。」
「太助君、さっきはどうしたんですか。いきなり電話を切ったりして。」
「間違い電話かと思ってね。」
「それはわざとでしょう・・・?まあ良いです、シャオさんはいらっしゃいますか?」
チラッとシャオを見ると、俺は別の方を向いた。
「いや、留守だよ。」
「それは残念。では言付けをお願いできますかね?」
「ああいいよ。」
「太助様、お茶がぬるくなったので入れ替えてきますね。」
シャ、シャオ・・・。
「太助君、今シャオさんの声がしませんでしたか!?」
「い、いや。空耳だよ、空耳。」
「空耳にしてははっきりと聞こえたような・・・。」
「そんな事無いって。気の所為気の所為・・・」
「太助様、他にお菓子はいりませ・・・むぐっ。」
近くに居たシャオの口を俺は慌てて手で塞いでしまった。
「太助君!絶対に今のはシャオさんの声です!」
「だから違うって!!そう、猫だよ猫。」
「猫が太助様なんて言うわけないでしょう!!」
「ま、間違えたよ。だからその・・・とにかく気の所為だ!!」
「んんー、んんんー・・・。」
「となりでんんーとか言っているのは誰なんですか。」
「そ、それは・・・ま、またな!!」
がちゃん
適当にごまかして(全然誤魔化せてないけど)ようやく電話を切ることが出来た。
そこでほっと一息つく。
「ふう、それでシャオ・・・わわっ、ごめん!!」
シャオの口を塞いだままの手を、俺は慌てて離した。
「ぷはぁ・・・。どうしたんですか?太助様。」
「い、いや、つい・・・。」
「つい・・・ですか?」
「そ、そう、つい・・・。」
「はあ、そうですかあ。ついなら仕方ないですねえ。」
「はは・・・。」
“つい”なんて理由で納得する所がシャオらしい・・・。
って、和んでる場合じゃない!!邪魔が入らないうちにさっさと言うぞ!!
「シャオ!」

トゥルルルルル!!

「あの、太助様・・・。」
「電話なんていいから!!俺は・・・」
「駄目ですよ、電話はちゃんと出ないといけませんわ!」
「分かったよ・・・。」
たく、なんだって今日はこんなに電話がかかってきやがるんだ。
「はい、七梨です。」
「あ〜らたー様〜!ルーアン超感激ぃ〜。」
「る、ルーアン・・・。」
「そうだ、感激なんてしていられないんだわ。たー様、名残惜しいけどシャオリンに代わって頂戴。」
「はいはい。ほら、シャオ・・・。」
「ルーアンさんですか?」
「そうだよ。」
シャオに受話器を手渡す。そして俺は椅子に腰を下ろすのだった。
「もしもし、ルーアンさん?」
『ああシャオリン?今夜の御飯、ビーフシチューが食べたいんだけど。』
「分かりましたわ。それで何時ごろお帰りになられるんですか?」
『六時くらいにはそっちにつくと思うわ。そのころまでに作っておいてね。』
「はい、わかりました。」
『それじゃあよろしく頼むわね。』
「はい、任せてください。」
がちゃん
「太助様、電話終わりました。」
「あ、ああ・・・。」
よーし、今度こそ・・・!!
「シャオ、俺はシャオの事が・・・」

トゥルルルルル!!

「・・・うおおおお!!!!」
「た、太助様!?」
「なんだってこんなに電話がかかってきやがるんだ〜!!」
「た、太助様、落ち着いてください!!」
暴れ狂う俺をなんとかシャオはなだめ、そして俺は受話器を取った。
「はい、七梨ですけど・・・。」
「おお、主殿か。私だ。」
「キリュウ?」
「そうだ。いや、なかなかに電話とはいい物だな。
たまには、と思ってこうして使ったわけなんだが。」
「・・・きりゅう〜、それでいいたいことはなんだよ〜。」
「なんだか様子が変だな。どうなされた?」
「いいから、用件を言え〜。」
「だからなんとなく使ってみただけなんだが。」
「・・・それだけ?」
「そうだが・・・。」
「・・・・・・。」
「主殿?」
「そんなくだらない用件でかけてくるんじゃな〜い!!」
「く、くだらないとはなんだ。私は試しにと思って初めて・・・。」
「・・・そうだよな、キリュウが電話をこうして外からかけてくるなんて初めてだもんな。」
「そ、そうだ・・・。ひょっとして私は何か邪魔をしてしまったのか?」
「まあ、な・・・。」
「そ、そうか、すまない・・・。とりあえず夕方には帰るから。」
「ああ。」
「では、シャオ殿にもよろしく。」
「ああ。」
がちゃん
荒れた心を落ち着けるように俺は受話器を置いた。
なんとかきれずに済んだ・・・。
「太助様・・・。」
「だ、大丈夫。シャオ、それじゃあ言うよ。俺は・・・」

トゥルルルルル!!

ま、またか。さすがに俺も限界だ・・・。
「・・・悪いけどシャオが取ってくれない?俺、今度は無事に済ませる自信が無いよ。」
「は、はあ、分かりました・・・。」
なんだかこわばった顔のシャオ。うーん、さっき荒れちゃったもんなあ・・・。
「はい、七梨です。」
「シャオ?太助はどうしたんだ?」
この声は・・・那奈姉だ。受話器を取ってなくても聞こえてくるのは相変わらず。
「あ、いえ。なんだか太助様、電話をとるのを遠慮して・・・。」
「ふーん、そうか。もうすぐ帰るから、とまあそれだけなんだけどな。」
もうすぐ帰る?それだけ?その程度の用事で電話してくるなよな・・・。
「分かりましたわ、太助様にも伝えておきます。」
「ああ。そんじゃあ。」
がちゃん
あっさりと電話は切れた。ふう、今度こそ・・・。
疲れた表情ながらも俺は立ちあがった。
「太助様、言いたい事というのは何ですか?」
シャオの方から尋ねてくれた。嬉しいねえ、こういうのって。
「シャオ、俺はシャオの事が・・・。」
「はい・・・。」
うっ、ちょっと近付きすぎたか。こんなに目の前にシャオの顔が・・・。
いやいや、そんな事は気にしてられない。電話は那奈姉のを最後に収まったようだし。
ここで言わなければ!!
と、ついつい力んでしまった。置いてあった椅子につまずいて・・・。
「シャオ・・・おわあっ!」
「た、太助様っ!」
どんがらがっしゃーん!!
勢い良く音がして、俺はシャオを押し倒すような格好に・・・。
やばい、玄関の方から丸見えだ。誰か来る前に起きあがらないと。
「だ、大丈夫?シャオ。」
「え、ええ、なんとか。」
「よし、起きあがるよ・・・あれ?」
「どうしたんですか?」
「なんか、足が引っかかって・・・。」
「ええっ?」
シャオが確かめようと少し体を動かす。と、俺達のほうに寄りかかっていた家具が!
がしゃーん!
「・・・こ、これは・・・!!」
「た、太助様、大丈夫ですか?済みません、私が動いたばっかりに・・・。」
「い、いや、その・・・。」
あいまいな返事しか出来ない俺。
背中にものがおもいっきりのしかかっている所為も有る。
だが、一番の原因は・・・シャオの胸に顔をうずめるような格好になっていたから・・・。
「お、起き上がれん・・・。」
「椅子に加えて、お盆まで乗っかっちゃいましたもんね。」
「いや、それよりなんかこの椅子重いような・・・。」
「そうか、持ってくるとき結構苦労しましたし・・・。」
「・・・どうしたの、シャオ。」
「はあ、あ、いえ、なんだか、変な気分ですぅ・・・。」
「・・・・・・。」
こ、こんな体勢で居るからだ。早く何とかして・・・
「たっだいまー!!へへ〜、早かっただろう。さっきの電話から・・・おまえら何やってんだ?」
か、帰ってきたあ!?
無理矢理にも顔を起こそうと・・・する事は出来なくって、うつむいたまま。
ずかずかと那奈姉は歩み寄ってきた。
「なあシャオ、これは何をしてる所なんだ?」
「な、那奈さん、お帰りなさい。あ、あの、これは・・・。」
「太助、お前いつからこんな大胆な事するようになったんだ?」
「那奈姉、そ、そんな事より助けてくれよ・・・。」
「あ・・・。た、太助様・・・。」
「・・・とっととその顔どけろー!!」
次の瞬間、那奈姉は俺の上に乗っかっていた重い椅子二つを払いのけた。
その直後に俺はがしっとつかまれて廊下の端っこへと・・・
ドーン!!
「ぐわあ・・・。」
「た、太助様!」
「まったく、シャオに何てことしてやがったんだ。お前なあ、順番が違うだろうが!!」
「だ、だから、それは・・・。」
「問答無用!!シャオ、どいてろ。」
「ま、待ってください。太助様は私に言いたい事があるって!それで・・・。」
「何?それは本当か、太助?」
迫り寄ってくるのをぴたりと止めた那奈姉。
で、とりあえずリビングにてこれまでの出来事を話す事に成功した。
「ほほう、電話がねえ。そりゃあ運がなかったな、太助。」
「笑い事じゃないよ、人が一大決心をしたってときに・・・。」
「あの、それで太助様、私に何を言いたかったんですか?」
「そ、それは・・・。」
「じゃああたしは席をはずすから。太助、頑張れよ。シャオ、御飯の時間になったら呼んでくれ。」
「はい。」
ウインクしながら那奈姉は出ていった。なんだかなあ・・・。
ま、誤解も解けたし、後は俺の気持ちを伝えるだけだ!
「シャオ。」
「はい。」
「俺はシャオの事が・・・」
ぴんぽーん
「こんにちはー!!七梨先輩、遊びに来ました〜!!
「シャオさん、いらっしゃいますか〜!!」
「太助!!こうなったらお前んちで映画鑑賞会するぞ!!」
「ルーアン先生は日直で居ないのに・・・。」
玄関で威勢のいい声が・・・したと思ったら四人がどたどたと上がってきた。
「よっ、太助。」
「太助君、シャオさんはこうしているじゃないですか。嘘はいけませんよ。」
「七梨先輩、新しいゲーム見つけたんです。一緒にやりましょ〜。」
「みなさん、こんにちは。」
「はは・・・。なんだってこんな時に・・・。」
「僕、ルーアン先生が居る学校に行ってくるから、じゃあね。」
唯一乎一郎だけは来た途端に帰って行った。
後から下りてきた那奈姉が追い返そうとしたけど、それは失敗に終わる・・・。
さんざん騒いで、その日が終わる頃・・・。
結局シャオに告白できなかった俺は自分の部屋のベランダで那奈姉と居た。
「太助、まあ今日は運がなかったって事でさ。」
「なんだか疲れたよ。俺ってほんとついてないな・・・。」
「なあに、次があるさ。」
「そうだな、次が・・・」

トゥルルルルル!!

「おわあっ!!」
「ほとんど電話恐怖症だな・・・。おっ、シャオが取ったみたいだ。」
「・・・もう俺寝るよ。おやすみ。」
「ああ、おやすみ・・・。」




『まあ、翔子さん、どうしたんですか?』
『シャオ、七梨からの言葉は聞けなかったんだろ?那奈姉が言ってたよ。』
『そうなんです。太助様もなんだか疲れてらしたようで、残念ですわ・・・。』
『シャオ、今度また今日みたいな場面になったら、電話は無視しろ。』
『ええっ、でも・・・。』
『いいから!それで、まっすぐに七梨を見ろ。そして七梨の言葉を聞いてちゃんと返事する!』
『は、はい。それで・・・。』
『それで後はな、目を閉じてゆっくりと七梨に顔を近付けて・・・。』
『はい・・・。』

<おわり>