『AIR偽小説第二百三十四弾』

懲りずに第二百三十四弾です。
改めて考えると、順列の数字なんですね。
と言っても特に何もしないわけですが。
まぁ、人選が特殊ってことで(いつも特殊かもしれないですが)


『4行小説』

★白穂
「白穂にございます」
「此度、なんと進行役という大任を頂戴しました」
「さっそく自己紹介でございますが……」
「子を想う母、と申しておくにとどめさせてくださいませ」

一也「えっとその、僕なんかがアシスタントやってていいんでしょうか」
白穂「初めましてでございますね、一也さま」
一也「待って待って、さま付けなんて恥ずかしいです」
白穂「それは勘弁してくださいませ。私の呼び方はこうですので」
一也「う、うん……あ、いえ、はい」
白穂「うん、でよろしいのですよ?」
一也「あ、はい……い、いえ、うん」
白穂「うふふふ、なんともかわいらしゅうございますね」
一也「はぅぅ……」
白穂「まぁまぁ、そんなに顔を赤くなさらなくとも」
一也「は、早く特別ゲストさんを呼んでくださいっ」
白穂「承知いたしました。では、どうぞいらっしゃりませ」
白穂「仁科りえさま、杉坂さま、にございます」
仁科「こんにちは」
杉坂「よろしく……でいいのかな、お願いします」
白穂「ええ。こちらこそよろしくお願いいたしますね」
みさき「そして私たちもこんにちは、だよ」
茂美「うわぁ、知らない人ばっかり……」
白穂「あらあら、みさきさまに茂美さままで」
一也「司会が呼ぶより先に来てもよかったの?」
みさき「皆で一緒に自己紹介した方が話がわかりやすいんだよ」
茂美「だからって、私までいいのかな……」
みさき「茂美ちゃんは遠慮しすぎだよ。一度でも紹介されたら、堂々と来ていいんだからね」
茂美「と言っても、私は川名先輩に連れてこられただけなんですけど」
みさき「うんうん。だから、遠慮してちゃだめだよ」
茂美「はあ……」
仁科「楽しそうな方達ですね」
白穂「ええ。それはもう」
杉坂「楽しそうなのはいいんですけど、これから何をどうするんですか?」
一也「えっと、四行っていうのをやってお互いに話をするんです」
杉坂「それだけ?」
一也「はい、それだけです」
杉坂「ふうーん……」
白穂「何か不安がありましょうか」
杉坂「いや、まぁいいけどね」
仁科「唐突に連れてこられた事自体が不安だったけど……」
仁科「ただのお話っていうなら問題ないですね」
杉坂「りえちゃん、随分とあっけらかんとしてるね?」
仁科「そうかな?」
仁科「大丈夫だよ。こんな可愛い子が頑張って説明してるんだし」
一也「ぼ、僕のことですか?」
仁科「うんうん」
杉坂「まあね。同じ境遇の子もいるみたいだし」
茂美「私のこと?」
杉坂「うん。そもそも制服が違うってことは……」
みさき「私も違うんだよ」
杉坂「まぁ、それも見ればわかるから」
白穂「では、そろったところで四行に入ってくださいませ」
白穂「まずは、仁科さま」
仁科「はい」

★仁科
「仁科りえ、といいます」
「合唱部で部長を務めています」
「昔はバイオリンもしていたんですが、事故で手を傷めて以来やめてしまいました……」
「今は、歌で音楽の素晴らしさを伝えたいと思っています」

仁科「こんなものでしょうか?」
白穂「素晴らしゅうございます」
一也「というか、僕がお手本やるより先にやっちゃったんだけど……」
白穂「そうえばそうにございました。順応性の高い方なのでございますね」
茂美「というレベルをこえてる気がするんだけど」
杉坂「りえちゃん凄いね」
仁科「そんなことないよ」
みさき「音楽の素晴らしさか……とっても素敵な目標だね」
仁科「ありがとうございます」
みさき「バイオリンを続けられなくなったのは残念だったろうけど」
みさき「歌をやろうとしたきっかけは何かな」
仁科「同じ学校にいらっしゃった幸村先生という方に、素晴らしさを教えてもらったんです」
仁科「合唱部を作る際にも大変お世話になったんですよ」
茂美「つまりは恩師ってわけなんですね」
仁科「はい」
仁科「もちろん、杉坂さんにも凄くお世話になったんですよ」
杉坂「そ、そんな、私はそこまで……」
白穂「では、続けて杉坂さまお願いいたします」
白穂「一也さまはその次でよろしゅうございますか?」
一也「う、うん」

★杉坂
「杉坂、といいます」
「りえちゃんの夢を応援するために、合唱部のお手伝いをしています」
「もちろん、バイオリンについても応援していました」
「これからも、頑張っていこうと思っています」

白穂「志を同じくして……美しい想いにございますね」
茂美「いい友情ですね」
杉坂「えへへ、ありがとうございます」
みさき「うーん……」
一也「みさきさん、どうしたの?」
みさき「あのね、杉坂、っていう名前なの?」
杉坂「ごめんなさい、これ以上は聞かないでください……」
みさき「そっか、お約束とか企業秘密ってやつなんだね」
杉坂「そうなんですよ。りえちゃんには、りえ、って名前がちゃんとあるのに……」
仁科「まあまあ、杉坂さん」
白穂「さあ、一也さまの番でございますよ」
一也「あ、う、うん」

★一也
「倉田一也です」
「お姉ちゃんは佐祐理って言います」
「色んな人と交流のあるお姉ちゃんを見習って、かつ迷惑をかけないように」
「僕も頑張っていきたいと思います」

仁科「そんな頑張りやさんなところがまた可愛いです」
一也「え、ぁ、う、そのぅ……」
杉坂「りえちゃん、あんまり言ってると赤くなっちゃうよ」
仁科「もう赤くなっちゃってるから」
茂美「交流かあ……積極的にならないとなかなか難しいですね」
みさき「少なくとも同年代で遠慮してちゃだめだよ。茂美ちゃんにりえちゃんに杉坂ちゃん」
みさき「折角出会えた縁だから気軽に話をすればいいんじゃないかな」
白穂「そうでございますね。友人のように接するのはとてもよいことなのですから」
仁科「よい……?」
杉坂「杉坂ちゃんって……。ま、それもそっか」
杉坂「というわけで茂美ちゃん、これからもっとよろしくね」
茂美「えっ、あ、う、うん」
仁科「川名さんは何が好きなんですか?」
みさき「えっとね、それは最後の四行でね」
茂美「あれっ? 川名先輩の名字言ったっけ?」
仁科「さっき呼んでました」
杉坂「というか、今も呼んでるし」
茂美「あっ、そかそか」
白穂「では、茂美さまの四行が先でございますね」
茂美「は、はいっ」

★茂美
「川口茂美です」
「元々、神尾観鈴さんというクラスメートの方が居て……」
「その方の出席番号の一つ後、それが私です。それが縁でここにいるんですが……」
「初登場の時は随分戸惑ったなぁ……しかも私についての語りで……」

杉坂「なんだか遠い目なんだけど……」
茂美「ご、ごめんね。あの時を思い出してつい」
仁科「辛かったんですか? いえ、そんなわけないですよね」
茂美「びっくり、が強かったなぁ。他にクラスメートの遠野さんも交じったりして」
杉坂「そっかあ。やっぱり初はびっくりするもんなんだね」
仁科「私達もびっくりしてますしね」
白穂「すっかり打ち解けたようでございますね」
一也「共通の話題があるからかな」
白穂「それは話をしやすうございますね」
みさき「それじゃあ最後に私の四行だね」

★みさき
「川名みさきです」
「すぐ気付くかもしれないけど、目が見えないんだよ」
「その分、人とは沢山話をすることを心がけているんだよ。その人がよくわかるからね」
「それとね、食べることが大好きなんだよ」

一也「そういえば、お姉ちゃんのお弁当をよく食べてるって」
みさき「そうだよ一也ちゃん。佐祐理ちゃんのお弁当はいつもいつも絶品だね」
杉坂「目が見えなかったんですか……?」
仁科「分からなかったです……」
茂美「そういえばそっか。あんまり見えないってのを意識してない振る舞いだしね」
白穂「普通に接していても問題ない、というよりも、普通でよいのでございます」
白穂「それと、食べるのが大好きというのは、かなりの量にございます」
杉坂「量?」
仁科「たとえば、どのくらいの量を召し上がるのですか?」
みさき「昨日のお昼はカレー6杯でとめちゃったよ」
杉坂「6杯って……」
仁科「食べすぎじゃないんですか?」
茂美「しかも、止めた、って……」
みさき「いつもなら8杯は軽いよ」
杉坂「ええーっ」
仁科「という事は、体調が悪かったりしたんですか?」
みさき「ううん、浩平くんからパンをたくさんもらったんだよ。これからそのお店に行く予定なんだよ」
一也「そんなに美味しかったんだ?」
みさき「うん、まあまあかな。浩平くんは敬遠してたけど、私は凄く気に入ったんだよ」
みさき「店まで行くと多分食べ放題だからって話を聞いたからね」
一也「そういう気に入りの仕方だったんだ……」
白穂「それで此度はおとなしかったのでございますね」
みさき「何が?」
白穂「神奈さまよりよく聞いております。登場するたびにご馳走をねだってくると」
杉坂「ご馳走って……」
みさき「そんなことはないよ。そりゃあ、ご馳走してくれると嬉しいけどね」
みさき「よくおなかが空いてるから、頼んでみてるだけだよ」
茂美「頼んでみてる、ったってどれだけ食べるかわからないじゃないですか」
仁科「受けて立った人は大変そうですね……」
白穂「では、そろそろ終わりにいたしましょう」
白穂「つもる話はまた後ほどごゆるりと各人でなさってくださいませ」
仁科「……なるほど。そうやって、裏で親交が深まってゆく仕組みなんですね」
杉坂「はあ、といってもおいそれと来れ……るんでしょうね、多分」
茂美「あはは、そういう事、だね……」
一也「あの、迷惑だったら僕が伝えときますので言ってください」
杉坂「とんでもないっ」
仁科「そんな時は私達がちゃんと言うからね」
茂美「一也くんは、お姉ちゃんの面倒をちゃんとみてあげてね?」
一也「う、うん……」
みさき「すっかり仲良しだよね、うんよかったよ」
白穂「ではでは、皆様。ごきげんよろしゅう」

<これにてしまいにございます>


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