『AIR偽小説第二百十六弾』

懲りずに第二百十六弾です。
最近どんどん遅筆というか、何も書かなくなってきました。
っていうか、こういうふざけた話ならともかく、
中編小説なんて書けるのやらどうやら、という気分です。
(最近書いてるのってとにかく描写を必要としないしねぇ)
いずれは普通(?)の小説は更新できなくなるかもしれません。
という事態は避けたいものであるがなぁ……。


『4行小説』

★佳乃
「さあて、今回も特別ゲストさんを招くよぉ〜」
「でもってアシスタントは、柳也くんに裏葉ちんだよぉ」
「テーマは岩!」
「ちなみにかのりんは岩は苦手だよぉ。大きくて固いしね」

柳也「どういうお題だ、ったく……」
裏葉「お題どうこうより、佳乃さまの四行に問題があるのでは」
佳乃「どこが問題かなぁ? あたしは感想を述べただけだよぉ」
柳也「大きくて固いのは当たり前だろ、岩なんだから」
柳也「それがどう苦手に繋がるんだ」
佳乃「一人でもてないから得意にはできないよぉ」
柳也「もういい。で、次は俺の四行か?」
佳乃「違うよぉ。先にゲストさんの登場だよぉ」
柳也「じゃあ早く招け。んでさっさと終われ」
裏葉「柳也さま、随分と荒れておられますね」
柳也「荒れもする」
佳乃「もぉ、機嫌よくしないとゲストさんに失礼だよぉ? それではどうぞいらっしゃいませだよぉ」
カルラ「カルラといいますわ」
トウカ「某の名はトウカ。以後よろしく願いたい」
佳乃「いきなり礼儀正しく名乗ってくれたこの二人だよぉ。よろしくね」
柳也「礼儀というより余裕を感じるな……。俺は柳也だ」
裏葉「裏葉と申します」
カルラ「ええ、よろしくお願いしますわ」
柳也「む……」
カルラ「どうなさいましたの?」
柳也「……知ってて尋ねているのか?」
カルラ「何のことかしら」
裏葉「柳也さま?」
柳也「いや、その、だな……くっ、以前相対した二人もそうだったが……」
柳也「今回の二人もまた格別の気を持っているな……」
佳乃「気って、野菜の人じゃあるまいし」
トウカ「野菜?」
トウカ「しかし、柳也殿は鋭い方であるな。某は特に警戒をしていないというのに」
カルラ「ふふ、気配の察知は長けておられるようですわね」
柳也「ふう、まったく。これでは神奈の護衛として立つ瀬がないではないか」
裏葉「なるほど。柳也さまをもしのぐ武人としてあらせられるのですね、このお二方は」
裏葉「女の御身でありながら、大したお方にございまする」
佳乃「まったくびっくりだよぉ」
カルラ「貴女に言われても説得力ありませんわ」
トウカ「そうだ。某達をこのような場所に瞬時に連れてくる……只者ではあるまい」
佳乃「かのりんは普通の女子高生だよぉ」
トウカ「じょしこーせい?」
柳也「そんな俗世間めいた事を言ってもわからんだろ」
カルラ「けれど、なにやら楽しそうな響きですわね」
裏葉「あらあら、察しがおよろしいことで」
カルラ「それほどでもありませんわ」
裏葉「うふふふ」
佳乃「さあってと、和んだところで四行に移るとするよぉ」
佳乃「まずは柳也くん、お手本を見せてあげてねぇ」
柳也「手本はいいが、ちゃんと説明はしてあるんだろうな?」
トウカ「ええとたしか、言葉を四つ繋げればいいのだろう?」
カルラ「そうそう、トウカ。試しに最初にやってごらんなさいな」
トウカ「なっ!? いやしかし、柳也殿が手本を……」
カルラ「エヴェンクルガとして、手本無しで見事達成するのも大事ですわよ」
トウカ「それは関係あるのか?」
裏葉「あらあら。トウカさまにお譲りなさいませ、柳也さま」
柳也「いや……まぁ、いいか。じゃあやってみろ」
カルラ「言われるまでもありませんわ」
トウカ「何故カルラが答えているんだ……」

★トウカ
「岩、石、口、国。……これでいいな?」

カルラ「お上手お上手」
トウカ「いちいちはやし立てるな」
柳也「いや、違うだろ……」
トウカ「違う?」
裏葉「四行とは、四つの言葉ではありますが、文字通り四行なくてはいけませぬ」
裏葉「四つの区切りで語ればよろしゅうございます」
カルラ「あらら、そうでしたの。じゃあトウカのそれは誤りですわね」
トウカ「某としたことが……って、カルラも同意していただろう」
カルラ「誰にだって間違いはありますわ。さ、今度こそ一花咲かせてごらんあそばせ」
佳乃「というわけで、もう一回お願いするよぉ」
トウカ「よ、よしっ……!」
柳也「っていうか、こいつら間違えるのを分かっててけしかけたんじゃないだろうな……」

★トウカ
「岩とは障害物」
「クンネカムンとの戦においては随分と役に立った」
「が、しかし……奴らの前ではそれすらも……」
「圧倒的力の差には、巨大な障害物もかほども効かないものだな」

カルラ「……イマイチですわ」
トウカ「なっ……」
カルラ「ひねりが無い上に、支離滅裂ですもの」
柳也「たしかに。だがまぁ、岩を戦で用いたのはよくわかったぞ」
裏葉「岩を敵の前に配置して障害としたというわけでございますね」
柳也「しかし敵のくんねかむんとやらはそれを軽く凌いだ、と」
柳也「……ちょっと待て、どんな奴らだ? それは」
佳乃「そこは企業秘密だよぉ」
カルラ「そういう事ですわ」
トウカ「何故二人が答える……」
カルラ「今語るべき内容ではありませんもの」
佳乃「そうそう。また別の機会にね」
柳也「実は口裏合わせてるのか?」
佳乃「まさかぁ。あっちゃんのノリがいいんだよぉ」
カルラ「うふふふ」
トウカ「あっちゃん?」
カルラ「私の事ですわね」
トウカ「ちょっと待て、どうしてカルラがあっちゃんになる」
カルラ「どうしてかしらね〜♪」
佳乃「さあさあ、次こそは柳也くんだよぉ」
柳也「やれやれ……」
裏葉「柳也さま、疑問を持たなくてよろしいので?」
柳也「聞いたところで答えは返ってこないだろうからな」
裏葉「なるほど……」

★柳也
「たしか、社殿から逃げる時に岩を使った覚えがある」
「神奈の着物を川に落として、岩を落として……」
「しかし不思議なものだ、岩とは」
「自然の力で当たり前にできるという所が奥ゆかしくないだろうか」

カルラ「あなたは自然を愛してるのですわね」
柳也「いやそこまでは……いや、そうかもな」
裏葉「どっちなのですか、柳也さま」
柳也「多分後者……しかし、どうもカルラに言われると調子が狂うな」
カルラ「ふふ、それは口説いてらっしゃるのかしら?」
柳也「い、いや、そんなことは」
佳乃「十分戸惑ってるよぉ、柳也くん」
柳也「む……。なんだろうな、こう、気品というものが……」
カルラ「ま、そこまでを受け取っておきますわ」
裏葉「あながち間違いではないかもしれませぬ。気品というのも……」
裏葉「どこかの高貴な血を引くお方では?」
カルラ「そんなこと、微塵もありませんわ。それを言うならばトウカの方ですわね」
トウカ「某こそそんなことないぞ」
佳乃「さあてと、それじゃあ次は裏葉ちんだよぉ」
裏葉「ふう。詮索はここまでにいたしますか」
柳也「裏葉も裏葉で余裕の二文字が消えていそうだな」
裏葉「ええ、手ごわいお方にございまする」

★裏葉
「さて、岩でございましたね」
「方術にて結界を張る際、岩は強力な布陣の一つとなりまする」
「貼られた札により、多大なる力を持ち……」
「ついには、人型となって動き出すのでございまする」

トウカ「すまないが、それは一体何の話だ?」
柳也「というか、でたらめを言うな」
カルラ「出鱈目ですの?」
裏葉「出鱈目ではありませぬ。現代より少し昔には、斯様な術もございまする」
佳乃「誰から習ったのか知らないけど、あまり無茶はやっちゃだめだよぉ?」
裏葉「これは独学にございまする」
カルラ「ふぅむ……ほんの少し興味深いですわね」
トウカ「岩が動くなど……信じられないが」
カルラ「もしあったとしたら、相手にとって不足ありませんわ」
柳也「いやしかしだな、仮に本当だとして、岩を相手に戦いたくはないだろう」
カルラ「そうかもしれませんわね」
柳也「かも、って……」
佳乃「次にそんなあっちゃんの四行だよぉ」
トウカ「だから、何故カルラがあっちゃん……」
柳也「諦めろ、聞くだけ無駄だ」

★カルラ
「愛用の武器を試し切りさせてもらった時の事ですわ」
「庭に大きな岩がありましたの」
「軽々と一刀両断しても、刃こぼれなし」
「本当にいい仕事をしますわね」

柳也「ちょっと待て」
カルラ「何ですの?」
柳也「岩を一刀両断ってなんだ。しかも刃こぼれ無しだって? 一体どんな武器だ」
カルラ「これですわ」
ずずいっ
柳也「ぐおっ! こ、これは……」
裏葉「随分と巨大な武器にございますね」
トウカ「カルラと初めて相対した時、某も驚かされた。これを軽々と振り回すのだからな……」
柳也「まったくもって凄い奴だな……」
カルラ「奴、なんて失礼ですわね」
佳乃「凄い武人、とでも言ってあげないといけないよぉ」
柳也「……凄い武人だな」
カルラ「ふふ、許して差し上げますわ」
佳乃「よかったねぇ、柳也くん」
柳也「脅迫されてるのか? これは……」
佳乃「と、和んだところで最後のゲストさんをおよびするよぉ」
裏葉「和んだのでありましょうか……」
トウカ「げすととは?」
佳乃「折角女性の武人さんが集まってるから、この人の登場だよぉ」
柳也「まさか……」
舞「…………」
柳也「やっぱりお前か」
佳乃「剣士さんの、川澄舞ちゃんだよぉ。よろしくね」
舞「…………(こくり)」
カルラ「随分と寡黙な子ですわね」
トウカ「柳也殿とは違った剣気を感じるが……まさかその腰に据えた剣で試合をしろと?」
舞「四行しにきただけ」
佳乃「という事だよぉ」
裏葉「舞さまは人と戦うために剣をふるっているわけではありませぬものね」
トウカ「というと?」
舞「私は魔物を狩るものだから……」
トウカ「魔物……なにやら不穏な響きではあるな」
カルラ「いつかお手合わせ願いたいものですわね。もちろん柳也も」
柳也「勘弁してくれ……」
佳乃「さあて舞ちゃん、四行をお願いするよぉ。テーマは岩だからね」
舞「…………(こくり)」

★舞
「岩は、切るのが大変」
「一刀両断、凄い」
「コツを教えてほしい」
「祐一に伝授する」

柳也「伝授してどうする」
舞「アルバイト」
佳乃「アルバイトに使うのはさすがに難しいと思うよぉ」
カルラ「言ってることはよくわかりませんけど、コツは難しいと思いますわ」
裏葉「難しい尽くしにございますね。これは諦めろという事にございましょう」
舞「残念……」
トウカ「難……いや、そうだな、カルラの言うとおりだ」
柳也「その口ぶりだと、コツを知っているのか?」
トウカ「い、いや、そうではありませぬ。……くっ、某としたことが……」
カルラ「それにしても貴女、口調が一定してませんわよ」
トウカ「むぅ、それを申すな」
カルラ「ほんと、字面だけだと違う人みたいですわね」
佳乃「つっこみにくい箇所に平気でつっこむあっちゃんに一票! だよぉ」
カルラ「ふふ、光栄ですわ」
柳也「もう何がなんだか……」
舞「終わる」
裏葉「そうでございますね……。佳乃さま、ここで終わりにいたしましょう」
佳乃「そうだねぇ。ゲストさんも無事呼べたし。それじゃあおしまいっ!」

<某だけですわ>


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