懲りずに第二百十二弾です。
★佳乃
柳也「無理に俺らが補佐役をしなくてもと思うのだが」
★柳也
ムント「姫にお仕えしているので?」
★ムント
佳乃「相当入れ込んでるねぇ」
★ウルトリィ
柳也「いい心構えだな。神奈にも聞かせてやりたいぞ」
★裏葉
ウルトリィ「その神奈様は、相当に貴いお方なのですね」
<うふふふふふふふ>
灼眼のシャナ、一旦世界に入ることができれば、
結構楽しい話ですね(ちょくちょく、くどく感じる事がありますが)
相当数のキャラが出てきてますが、不思議とそれぞれのキャラが立っている
というのが大きな特徴の一つ。
しかしこの作品で最も凄いのは、各所に散りばめられていた設定前提、
それらを非常に上手く組み合わせて、一つの巨大な魅力ある舞台を創り出す事。
この構成力ではないのかと思った次第であります。
銀と彩飄とが入り混じったあの辺りは最たるものではないかと個人的には思いますが。
『4行小説』
「さあて、今回も特別ゲストさんを招くよぉ〜」
「でもってアシスタントは、柳也くんに裏葉ちんだよぉ」
「そしてテーマは、姫」
「お姫様って一度はあこがれちゃうよねぇ。……一部のひとだけかな?」
佳乃「もぉ、素直じゃないなぁ。本当はやりたくてうずうずしてるくせにぃ」
裏葉「まぁ柳也さま、そうなのでございますか?」
柳也「絶対してない」
佳乃「そんな柳也くんを、ツンデレさん一号に任命しちゃうよっ」
柳也「するな。なんだその、北の地域を指しそうな名称は」
裏葉「柳也さま、つんどらではなくてつんでれにございます」
裏葉「よくにた言葉に、いやよいやよも好きのうち、という言葉がございます」
柳也「なんだそりゃ」
佳乃「っていうか裏葉ちんのそれもちょっと違うよぉ」
佳乃「まいっか。さっさとゲストさんを呼んじゃうねぇ」
佳乃「張り切ってどうぞ! ウルトリィさんことさあやさんとムントさんだよぉ」
ウルトリィ「お初にお目にかかります……」
ムント「姫様ぁ、このような妖しい場所に来られては……」
ウルトリィ「大丈夫ですよムント。何事も初めての経験から始まるものです」
ムント「しかしですな……」
柳也「のっけから怪しんでるな。さすが慎重な御仁だ」
裏葉「見てわかるのでございますか?」
柳也「見ればわかる。それに……羽も気になるしな」
佳乃「もぉ、怪しんだり品定めしてる場合じゃないよぉ」
佳乃「こんにちはっ。ようこそ、さあやさんにムントさん」
佳乃「こっちの二人は柳也くんに裏葉ちん。仲良くしてあげてねぇ」
ウルトリィ「さあや? それは私のことでございましょうか」
佳乃「うんっ」
ウルトリィ「何故私がそのような……」
柳也「そうだぞ、まったく脈略もない」
柳也「愛称で呼ぶならば……ウルト、か?」
ウルトリィ「まぁ、よくご存知で。はい、私のことはウルトとおよびくださいませ」
裏葉「あらあらまぁまぁ、女性に鈍き柳也さまがこのような……」
裏葉「神奈さまがやきもちを焼いてしまいまする」
柳也「誤解を招くような事を申すな」
ムント「オホン。して、ここはどのようなところかな?」
柳也「おっと失礼。あんたにもちゃんと挨拶をせねばな。よろしくな、ええと、ムント殿」
ムント「ええとは要りませぬぞ。先ほどの質問に……」
佳乃「ここは四行をやって皆で語り合うところだよぉ」
ウルトリィ「すなわち、座談会の席、と解釈すればよろしいですか?」
佳乃「うんうん、そうだねぇ。さすがさあやさんだよぉ」
ウルトリィ「あの、ですからその“さあや”というのは……」
裏葉「佳乃さまはお好きにおよびなさいますゆえ、あまり気になさらない方がよろしいかと」
ウルトリィ「はあ、そうなのですか」
裏葉「ええ、そうにございまする」
ウルトリィ「…………」
裏葉「…………」
柳也「なんだ、二人して笑顔のまま黙りこくって」
佳乃「うんうん、思い通りだよぉ」
柳也「何が思い通りなんだか」
ムント「柳也殿。何かをなさるというのなら早々に」
ムント「我らは無駄に滞在する気はありませぬゆえ」
柳也「……せっかちなじーさんだな。まぁ気持ちはわからんでもないが……」
柳也「というか、普通に会話ができる男性ってのを久しぶりに見た気がするぞ」
佳乃「今までも普通に会話はしてきたと思うけど?」
柳也「時代の毛色が違う、俺に完全には合わん。ま、ムント殿もあまり……」
ムント「なんですかな?」
柳也「い、いや、なんでもない。さてと、四行を見せるとしよう」
「お題は姫だっけか」
「姫……身近にいるな、一人」
「どこをどうとったら憧れの姫になるのかさっぱりだが……」
「ま、こんなんでも姫なんだぞ、といういい例ということで」
柳也「そういやそうだった。自分で言ってて思い出したぞ」
佳乃「もぉ、そんなんじゃあ神奈ちゃんに怒られちゃうよぉ?」
柳也「どんとこいだ。神奈に怒られたところで俺の行動原理は崩れはしない」
佳乃「じゃあ八百比丘尼さんに怒ってもらうことにするねぇ」
柳也「う、そ、それはちょっと遠慮したいな……」
ムント「ふうむ、柳也殿はいささか配慮が欠ける様子」
ムント「自重されるがよろしいぞ」
柳也「自重……なるほどな、謙虚になるべきか……」
佳乃「さってと、もうムントさんはやり方わかったよね」
ムント「ん? まぁ、そうでありますな」
佳乃「じゃあ早速やってみて。裏葉ちんとさあやさんがトリップしちゃってるから」
ムント「なんと!? 姫様っ!」
ウルトリィ「あらあら……」
裏葉「まぁまぁ……」
柳也「なるほど、いい意味で二人の世界だな」
ムント「姫様ぁ……」
柳也「諦めて四行をさっさと終わらせるこったな」
「何の因果にございましょうか、これは……」
「姫、と申されましたか。ごらんの通り、私のお仕えする姫様は……」
「それはもう、見目も麗しき貴きお方にございます」
「我が末代まで、精一杯お仕えさせていただきますぞ」
柳也「その物言いはどうかと思うぞ。忠義の心に厚いと言え」
ムント「お察しいただき、ありがたきことにございます」
柳也「なあに。姫に仕える、という共通点から気が合うってことだろうな」
佳乃「さてと、それじゃあその姫さまであるさあやさんに四行をやってもらうよぉ」
ウルトリィ「まぁ、それでは貴方も?」
裏葉「ええ、そうなのでございます。ですから柳也さまが……」
ウルトリィ「それはそれは、大変だったでしょうね」
裏葉「それはもう。ですが、そこは神奈さまがいらっしゃいましたからこそ」
ウルトリィ「あらあら、うふふ」
佳乃「なんだか際どい会話をしているみたいだねぇ」
柳也「際どいっつーかなんつーか……おい裏葉。さっさと四行やって終わるぞー」
裏葉「柳也さま? あらあら、私としたことが」
ウルトリィ「裏葉様。貴重なお話、ありがとうございました」
裏葉「いえいえ、拙いばかりで本当にもう」
佳乃「それじゃあ、ウルトリィさん四行よろしくねぇ」
ムント「姫様、先ほどは何を話されてたので?」
ウルトリィ「ムント、それは企業秘密というものですよ」
ムント「ひ、姫様?」
ウルトリィ「うふふ、ではまいりましょうか」
柳也「……裏葉が余計なものを吹き込んだっぽいな」
「私は姫という立場でありますが……」
「それとは関係なく、やはり神巫としての責務をまっとういたします」
「誰でも、物事を為すために初めてはつきもの」
「そして、どのような仕事も、おろそかにしてはならないのです。たとえ姫であろうとも」
裏葉「あらあら、神奈さまはしっかり果たされておられるではありませんか」
柳也「そうか?」
裏葉「ええ。神奈さまは可愛らしゅうございます限り十分なのでございますよ」
柳也「おい……」
ムント「トゥスクルのヨモルとして参ると聞いた時は耳を疑いましたぞ」
ウルトリィ「まあ。ムントったらまだ気にしていたのですね」
ムント「姫君がヨモルなど、前代未聞にございます」
佳乃「ムントさんも心配性だねぇ」
ムント「僧正として当然にございまする。ただ……」
ウルトリィ「さあ、次は裏葉様ですよ」
裏葉「うふふ、こたびの客人は積極的にございますね」
裏葉「これでは補佐役の役目など無きに等しいもの」
柳也「それとこれとは話が別のような気もするが……まぁ、合ってるか」
佳乃「それじゃあ、最後は裏葉ちんでしめだよぉ」
「姫とわざわざお呼びすることもございませぬが……」
「私がお仕えする神奈さまは、そうとらえて差し支えはないのでございましょう」
「貫禄もさることながら、やはり上に立つ者としての心構えもあり……」
「是非、ウルトリィ様にもお会いしてみてほしいものにございまする」
裏葉「さすがウルトリィ様。鋭い洞察力にございます」
ウルトリィ「いえ、そんな」
柳也「洞察力っつーより、裏葉が単にべた褒めしまくってるだけなんじゃ……」
ムント「いくらムントが申し上げても聞きませぬ。おそらくはその神奈君も……」
佳乃「かんなぎみ、なんて呼ばなくても神奈ちゃんって呼んであげてね」
柳也「なんだいきなり」
佳乃「字面だけだと、かんなくん、って呼んでるように見えるからね。ちょっとした補足だよぉ」
柳也「蛇足っていうんじゃないのか、それは」
ウルトリィ「あらあら」
裏葉「まあまあ」
ムント「……その姫君より、姫様にはもう既に新たなご友人ができたようにございまするな」
柳也「まったくだ。喜ばしいのか頭痛の種なのかわからぬが……」
佳乃「それじゃあ今回はこの辺でおしまいだよぉ」
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