『AIR偽小説第二百七弾』

懲りずに第二百七弾です。
最近読んでる小説は、涼宮ハルヒの憂鬱シリーズだったりします。
時間の流れやイベントがやや冗長なのですが、
それを余りあって補うほどのモノローグの表現バリエーションが豊富です。
いやまぁ、冗長にしてるのはわざとなんでしょうね、場面説明とかが必要だし。
しっかしまぁ……よくぞ同じ人間および状況において、
あれだけもまぁ表現を書けるものだなぁとつくづく感心してしまいます。
私?…無理に決ってるじゃないですか(汗)見習うべきところではあるんですが…。


『4行小説』

★瑞佳
「サウンドタイトル企画。今回は、勝利のポーズだよ」
「…って、何に対しての勝利なんだろ」
「まあいっか。えーとだね、こういうポーズでやっぱり一番に思いつくのは…」
「ガッツポーズ。これかな」

名雪「ふぁいとっ、だよ」
瑞佳「いきなりどうしたの?」
名雪「勝利のポーズをキメる前にわたしがかける言葉といったらこれしかないよ」
瑞佳「あ、そうか。名雪の得意台詞だったよね」
名雪「そうだよ。瑞佳がばっちり勝利してくれたしね」
瑞佳「…何に?」
名雪「さっきガッツポーズしてたじゃない」
瑞佳「いや、あれはただの見本で」
名雪「ちがうよ。心の中でも何かに勝利してもらわないと、やっちゃいけないよ」
瑞佳「いけないってことはないと思うけど…」
名雪「しょうがないなぁ。わたしが四行でフォローしてあげるよ」
瑞佳「う、うん(もしかしてわたし、怒られてる?)」

★名雪
「一番に思いつくポーズ、って瑞佳がやってたけど」
「わたしもそれにならって他のポーズをやってみるよ」
「陸上で一位になったことを思い浮かべて…」
「いっちばーん!」

瑞佳「天に向かって人差し指を立てて…勝利のポーズ?」
名雪「うん」
瑞佳「わかるんだけど、陸上じゃなくてかけっことかで言わない?」
名雪「子供心を、という事を瑞佳は言いたいのかもしれないけど…」
瑞佳「けど?」
名雪「どんな競争でも、純粋にどうなりたいかっていう気持ちは大事なんだよ」
名雪「かけっこだとシンプルじゃない。一番になりたい、って」
名雪「そういう気持ちを呼び起こして、より足の速さを高めるんだよ」
瑞佳「へええ、わかったようなわからないような…」
名雪「純粋さって大事なんだよ。わたし、走るの大好きだしね」
瑞佳「うーん、なるほど」
名雪「じゃあ納得したところでお客さんを呼ぼうっ」
瑞佳「そうだね。いらっしゃーい、どうぞーっ」
美凪「…ガッツ」
瑞佳「遠野美凪さんだよ。えーと…それは、応援のポーズ?」
美凪「…ガッツ…ポーズ」
瑞佳「へ、へえ…」
名雪「あんまり勝利っぽく見えないんだけど」
美凪「えっへん」
名雪「うー、ほめてないよ」
美凪「がっへん」
瑞佳「がっへん?」
美凪「がっくりとえっへんの融合貴族です」
瑞佳「き、貴族?」
名雪「なんだろ、貴族って…」
美凪「では、四行…参ります」
瑞佳「う、うん…」

★美凪
「人にお料理を振舞って…」
「美味しい、とその一言」
「そこで、心のなかで…うっしゃー今日も元気満タンやったるでー!」
「と、ガッツポーズ」

瑞佳「今日も、って何か違わない?」
名雪「でも、わかるよその気持ち。自分が作ったお料理、美味しいって言ってもらえたら嬉しいもんね」
美凪「そのとおりです」
瑞佳「うん、それはね、いいんだけどね」
瑞佳「その、心の中の声、みたいなのが…」
名雪「たしかに。えーと…晴子さん? みたいだった」
美凪「神尾さんの心の声は、きっとこんな感じかと」
美凪「よって、今回の議題に挙げました」
瑞佳「議題って…」
名雪「うちのお母さんだったら…うふふ、が入るのかなあやっぱり。あと、ジャム…」
瑞佳「さあてと、次のお客さんどうぞーっ」
浩平「よう。元気やってるかな、諸君」
瑞佳「無駄な挨拶はしなくていいよ、浩平」
浩平「無駄ってなんだコラ」
瑞佳「でも、なんだか久しぶりな気がするね。住井君より長らく会って無いような」
美凪「不倫ですか」
浩平「ふり…って、違うっ!」
美凪「では…浮気?」
浩平「なんでそうなるっ!!」
名雪「だめだよ折原君。瑞佳っていう人がいながら」
瑞佳「ちょ、ちょちょ、名雪まで何を言ってるんだよっ!」
浩平「もういい、放っておく。相手してると多分エンドレスだ。俺は経験済みだからな」
美凪「エンドレスの不毛な争いに受けてたったのですね…ご愁傷様です」
浩平「いや、お前の口からそれを言われると腹が立つぞ」
美凪「…?」
浩平「“…?”じゃなくてだな」
瑞佳「なるほど、たしかに不毛っぽいね」
名雪「まんまとのせられちゃってるね、折原君」
浩平「ぐあ…と、とっととやるぞ!」
美凪「…がっつ」

★浩平
「ったく、何がガッツだ、余計に元気が出なくなる」
「さてと、たしかこの勝利のポーズって、俺と関わりがあったりする曲だったな」
「それはテストの結果だったり、朝の通学だったり…って、どちらかというと七瀬寄りか」
「じゃあいっぱつこれをやっておくかな。ばんざーい。ばんざーい」

瑞佳「浩平、もうちょっと真面目にやってよ」
浩平「俺はいつでも真面目だ」
瑞佳「そうだったね。真面目に馬鹿にしてるよね」
浩平「恐れ入ったか」
瑞佳「はぁ、まったくもう…」
美凪「折原さんは…何に勝利されたのでしょう?」
名雪「そういや万歳してたしね」
浩平「自分との戦いだ。いや、お前らにつられようとする自分を制する戦いだ」
美凪「どうやって勝利したのですか」
浩平「そりゃあお前、名無しビームだな」
浩平「これを浴びた者は、名前を奪われてしまう」
美凪「…それは恐ろしいですね」
浩平「だろ? 名前がなくなってしまったら存在意義も消えてしまうというものだ」
浩平「我思うゆえに我有り。我が名前有るゆえに我存在す、ってな」
美凪「なるほど…」
瑞佳「さあてと、次のお客さん呼ぶよっ」
名雪「瑞佳、つっこまなくていいの?」
瑞佳「わたしはそんなくたびれる行為はしないよ」
名雪「わ、開き直ってる」
瑞佳「というわけで、最後のお客さんどうぞーっ」
由依「こんにちはぁ」
瑞佳「名倉由依ちゃんだよっ。さあ、勝利のポーズについて語ってね」
由依「はいっ、任せてくださいっ!」
浩平「やたら元気だな。空元気ってやつか」
由依「ちょっとぉ、いきなり失礼な事言わないでくださいよ」
浩平「いやすまん。つい条件反射でな」
名雪「それは嫌な条件反射だよ」
美凪「こうして、また一つ折原さんの悪癖が明らかになったとさ、めでたしめでたし」
瑞佳「って、勝手に終わらないでよっ!」
浩平「しかも悪癖ってなんだ!」
由依「えっと、やっていいんですよね?」
名雪「うん、どうぞ〜」

★由依
「勝利のポーズはずばり勝利した者にだけ許されるものですね」
「しかし、負けた側もやっても構わないのです」
「なぜなら、試合には負けたが心では勝った! という事があるからです」
「そしてあたしが推奨するポーズはずばりコレです! 拳と振り上げて、うっしゃぁー!」

瑞佳「……」
由依「…あれ? ちょっとぉ、どうしてそう無反応なんですかぁ」
瑞佳「あ、うん、ちょっとね」
名雪「勝利のポーズっていうよりは、気合を入れてるっていう風に見えたしね」
浩平「俺は感心してたぞ。パンツ見せるくらいにスカートを翻して突きを繰り出すとはなんて勇気あるやつなんだと」
由依「ひゃあぁうっ!? ちょ、ちょっと、なんてとこを見てるんですかぁっ!」
浩平「なんだ、その手でスカートを押さえるのも勝利のポーズか?」
由依「これが何に勝利したポーズに見えるっていうんですかぁ!」
美凪「恥辱…」
美凪「肉体を露見した時に現る自身の精神を凌駕させるほどの躊躇」
名雪「難しそうな事言ってるようで日本語になってないよ?」
美凪「それは気のせいというものでしょう」
由依「うえーん、ちょっと瑞佳さぁん。彼氏のことはしっかり教育しといてくださいよぉ」
瑞佳「ちょ、ちょちょちょっと! なんでそんな事まで言われなくちゃならないんだよっ!」
名雪「奥さんは大変だね」
瑞佳「名雪までっ!」
浩平「お前も大変だな」
瑞佳「しかもなんで浩平は冷静に傍観してるんだよっ!」
浩平「コレが俺の生きる道」
瑞佳「もーう、今回はこれにておしまいにするよ!」

<ワー!>


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