『AIR偽小説第二百四弾』

懲りずに第二百四弾です。
久々に●●●…を覗いたら、364ですって。
むぅ、約1.5倍か…。果たして追いつけるのか?乞うご期待!
いや、無理な気がするんだよなぁ。多分その数字に到達するのは2年以上先で、更に…。
ちなみに、知ってると言葉と間違い言葉はそれに追いつこうとしてます。
あれくらいのペースで書ければあるいは…(それが無理)


『4行小説』

★瑞佳
「サウンドタイトル企画。今回は、潮騒の午後だよ」
「騒々しいほどの波の満ち干を聞きながら…」
「淑女はパラソルの下でトロピカルジュースに舌鼓を打つのでした」
「なんてとこかなあ?」

名雪「どこのお嬢様?」
瑞佳「いや、これはただの想像だから」
名雪「一瞬瑞佳がそんな暮らしを所望してるのかと思ったよ」
瑞佳「まさか…」
名雪「だよねぇ」
瑞佳「…そんなことより、わたしの四行について他にないの?」
名雪「ないよ」
瑞佳「がくっ…」
名雪「嘘だよっ。思うに、優雅すぎて何か違うんじゃないの?」
瑞佳「何かって…何が?」
名雪「思い至らないんなら言ってもしょうがないからもう言わないよ」
瑞佳「ええっ? うー、名雪意地悪だよ」
名雪「瑞佳、それいかにもわたしが言いそうな台詞だよ」
瑞佳「それは自意識過剰ってやつじゃないかな?」
名雪「うー…」
瑞佳「さ、次は名雪だよ」
名雪「う、うん」

★名雪
「潮騒だから海…うーん、原作では残念ながらわたしは縁がないんだよね」
「けれども、想像できるのは…」
「波を聞きながら静養に来ている夫婦とか」
「または、構想を沸きたてるために来ている芸術家さんとか」

瑞佳「はあはあ、なるほど」
名雪「瑞佳、息荒立ててどうしたの?」
瑞佳「違うよっ! ったく、なんて発言してるんだよ」
名雪「冗談だよ」
瑞佳「もう…。でね、多分名雪が言いたいのって、民宿じゃないかな」
名雪「あ、そうそう、そんな感じ。ホテルでもいいけどね。海沿いの、海が眺めるところ」
瑞佳「昼間のんびりと、縁側に腰掛けて、水平線を眺めてるんだよね」
名雪「そうなんだよー。もうあこがれちゃうよね」
名雪「普段から時間に追われる学生にとってみれば、至福の時だよね」
瑞佳「…なんか話すりかわってない?」
名雪「というわけで、わたしは芸術家を目指すよ」
瑞佳「はあ、そうなの」
名雪「うー、そこで納得しないでよ。冗談なのに」
瑞佳「って言われてもねぇ…」
名雪「うー」
瑞佳「さあて、お客さんを呼ぶよっ。一人目、どうぞー!」
雪見「わたしの出番、ってわけね」
瑞佳「演劇部部長さんの深山雪見さんだよ。そして、多分この曲は深山先輩のテーマ曲なんだよ」
名雪「多分、ってどういうこと?」
雪見「初登場時に流れるわけよ、この曲が。だからかしらね」
名雪「なるほど…。あれ、そういえば香里のそういうのってあったのかな…」
瑞佳「名雪、今は深山先輩の話なんだから」
名雪「あ、そうだね。うんうん」
雪見「さあてと、それじゃあ四行やるとするわね」

★雪見
「この言葉から連想するのは、ずばり男女の恋愛沙汰よ」
「初めて二人が出会ったのは、こんな波しぶきがいくつも打ち寄せる海岸だった」
「時間を重ねるうちに、いつしかお互いに惹かれあい、そして…」
「けれども、時間は残酷なもの。飽くのにそう長くはかからなかった。やがて…」

雪見「こんな感じでどうかしら?」
名雪「うわああ…」
瑞佳「いや、どうかしらって言われても…」
雪見「結構いい筋書きだと思うんだけどねぇ」
瑞佳「いや、あのですね、深山先輩」
雪見「何よ」
瑞佳「四行そのものは…」
雪見「これでいいと思わないの?」
瑞佳「…いいです」
雪見「よろしい」
名雪「ところで、もしかして最後の別れを言ったりしちゃうのも…」
雪見「何を言いたいかは察しがつくけど、別れを言うかどうかはまだわからないわよ?」
雪見「けど、それもありよね。ラストはやはり、日は違うけど、同じ場所、同じ時間の…」
瑞佳「さ、さーてと、次のお客さんどうぞー」
友里「私なのね」
瑞佳「えっと、名倉友里さんです」
雪見「あら、貴方がヒロイン役を?」
友里「ヒロイン役?」
名雪「うんうん、イメージぴったりだよ」
雪見「となると次登場するのはやっぱり…」
友里「さっきから何言ってるの?」
瑞佳「構わず四行やってください」

★友里
「潮騒というからには何かこう…広いとこがいいと思うのよ」
「もちろん断崖絶壁に打ち寄せる波とかも騒々しいけど…」
「潮騒…と聞くと、荒々しいんじゃなくて、もうちょっとゆるやかなね」
「字面とはかくもこう、素直にはいかないものよね」

雪見「決定よ。とりあえず貴方が女優やってね」
友里「いやいや、いきなり何?」
雪見「もう舞台は整ったわ。次は男優が揃えばいいのよ」
名雪「でも、二人だけですよ?」
雪見「二人だけでいいのよ。余分な取り巻きは不要だわ」
雪見「かんっぺきに二人にスポットを当てて、強調するのよ」
名雪「なるほど〜」
友里「あの、私の四行は無視?」
瑞佳「すいません。なんだか二人とも突っ走っちゃって、かくかくしかじか…」
友里「…ああ、そういうこと」
瑞佳「よかったですよ、四行。言葉の隙間を突いたいい話題ですね」
友里「ありがと。…なんか、もういいわ。次のゲスト呼んで終わりにしましょうよ」
瑞佳「そうですね…。そ、それじゃあ次のお客さんどうぞー!」
敬介「やあこんにちは」
瑞佳「橘敬介さんだよ」
名雪「やったぁ、男性だよ〜。ないすだよ瑞佳」
雪見「これでもう決まりね。男優として橘さんを起用!」
敬介「いきなり何の話だい?」
瑞佳「すいません、気にしないで四行やってください」
友里「なんだかね、潮騒の午後で恋愛ものやるらしいのよ」
敬介「へえ…」

★敬介
「潮騒…思い出すなぁ、あの時のことを」
「海は、観鈴の大好きな場所だ」
「そして、運命を大きく変えた場所でもあった」
「僕は、果たして彼女の父親になれなかったのかもしれないね…」

瑞佳「あ、あの、橘さん?」
友里「まさかこの人もどこかへ突っ走っちゃうんじゃ?」
敬介「いやぁ、ごめんごめん。つい想いにふけってしまったよ」
瑞佳「そ、そうですか。昔の、思い出ですか?」
敬介「思い出っていうかね…」
雪見「わかったわ! つまりは、不倫よ!」
名雪「ふ、不倫?」
雪見「そうよ。潮騒を聞きながら、二人は出会ってしまった。目と目が合った瞬間に一目ぼれ…」
雪見「これしかないわ! 早速台本作りましょ。というわけで、後で協力してよね!」
雪見「主役のお二人さん♪」
敬介「えっ、と…」
友里「帰るわ」
名雪「わああ、帰っちゃだめだよ〜。折角面白い劇が…」
友里「劇なの!?」
敬介「いやいや、劇にも色々あるからさ。君がどういうイメージを持っているか知らないけど…」
友里「っていうか! 私は劇なんてやらないから!」
雪見「なぁに言ってんの、ヒロインのくせに」
友里「それは! あんたが勝手に言ってるだけでしょうが!」
瑞佳「…終わりにするね。じゃあねー」

<勝手に潮騒>


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