『AIR偽小説第百九十八弾』

懲りずに第百九十八弾です。
つい最近、ONEの公式小説を読みまして…。
色々なキャラのフルネームがわかる反面、
呼称の違いに結構唸ってたりします(あたし、ってのはやっぱ盲点なんだよぉ)
とりあえずはまぁ、広瀬の裏話が結構好きです。
(元々あんまりいいイメージなかったからなぁ)


『4行小説』

★神奈
「人物語り。今回は、七瀬留美殿だ」
「乙女を目指していく数年。その想いは限りない」
「理由はよくわからぬが、その一途な姿は実に痛々しいそうだ」
「また、乙女らしからぬ怪力を所持しておるそうだぞ」

留美「だぁれが怪力ですって!? 痛々しいですって!?」
あゆ「わあっ、留美ちゃん落ち着いて。…ちょっと神奈ちゃん、もっと真面目に語りをしなきゃ!」
神奈「う、うむ? 余は聞いたことをまとめて申しただけなのだが…」
留美「誰から聞いたのよ。まさか折原じゃないでしょうね?」
神奈「おおそうであった。留美殿の語りに入る前に、浩平殿がやってきてな、色々まえ知識を教えてくれたのだ」
神奈「いつも無礼な態度をとっておるが、ああも親身になっておると聞かぬわけにはいくまい」
留美「あいつっ、絶対許さないんだからー!!」
あゆ「うわっ、わっ、留美ちゃん落ち着いてってば!」
留美「キシャーッ!!」
神奈「き、きしゃー?」
あゆ「わっ、わっ、そんな奇声上げてたらますます乙女から遠ざかっちゃうよっ」
留美「はっ…そうね、そうよね。ありがとうあゆ、目がさめたわ」
あゆ「そ、そう、よかったよ」
留美「名誉挽回よ。貴方がちゃんとした四行をやってちょうだい」
あゆ「う、うん」
神奈「むむ、語られる輩に進行役をとられてしまったぞ」

★あゆ
「いつも騒がしい留美ちゃんだけど」
「本当はとても大人しいんだよね」
「表向き、怪力乙女とか言われてるけど」
「やっぱりか弱いんだよね」

留美「…複雑な心境だわ」
あゆ「えっ、ど、どうして?」
留美「あゆの思ってることはわかるけど…」
留美「騒がしいとか怪力とかって単語を出さないでよ!」
あゆ「うぐぅ、そうだね。ごめん」
神奈「しかし事実からくるものもあるゆえ…」
留美「事実じゃないっつってんでしょ!?」
あゆ「あ、でも騒がしいのは事実かもしれないね」
留美「なんですって…。あゆ、あんたもあたしを裏切るのね?」
あゆ「うぐぅ、裏切るとかって言われても…」
留美「最後の最後まで順番を後回しにされてこんなんじゃ納得がいかないわ!」
あゆ「うぐぅ、やっぱり騒がしいと思うんだけど…」
神奈「おほん。構わぬから、次は留美殿であるぞ」
留美「何が構わないってのよ、ったく…」

★留美
「あたしってね、多分、健気って言葉が似合うと思うのよ」
「乙女を目指すけど、なかなか報われないところとか」
「あらぬ疑いをかけられていい扱いをされないところとか」
「きっと、儚い運命を持っているのね…」

美汐「ご冗談を」
留美「いきなり何!?」
美汐「ご挨拶が遅れました。私、天野美汐と申します」
留美「あ、これはご丁寧に…って、紹介しなくても知ってるわよ」
神奈「しかも余に断り無く勝手に…」
あゆ「すっかり主導権握ってるね」
留美「で、何が冗談ですって?」
美汐「七瀬さんは儚い運命を持っているというところです」
美汐「へそで茶をわかす、とはこのことです」
留美「な、なんですって!?」
美汐「あ、私としたことが、七瀬さんらしい言葉を使ってしまいました」
美汐「以後気をつけます」
留美「ちょっと! あたしらしい言葉ってどういうことよ!?」
美汐「言葉どおりですよ」
留美「ぐ、ぬぬぬ…相変わらずあんたは遠慮って言葉を知らないようね」
美汐「七瀬さんが自意識過剰なだけですよ」
留美「神奈の紹介より先に飛び込んできておきながらよくそういう台詞はけるわね?」
美汐「む…痛いところをつきますね。さすが揚げ足取りが得意な七瀬さんです」
留美「悪いところを悪いと言って何が悪いの? 見て見ぬ振りは乙女道に反するわ」
美汐「やむにやまれぬ事情も察知してしかるべきだと思いますが」
留美「糾弾のために出てきた事情なんて知りたくもないわね」
あゆ「うぐぅ、このままじゃずっと言い合ってるよ」
神奈「うおっほん! あーあー美汐殿。おぬしの四行であるからな、はよういたせ」
美汐「心得ていますとも。七瀬さんに妨害をされていただけですよ」
留美「なんですってぇ!」

★美汐
「先に私が“冗談”と言った内容」
「それは、儚い運命という点にあります」
「奇跡の一瞬を生きるあの子達に比べれば…七瀬さんは頑丈だと思います」
「それこそ、こんくり詰めにしてくっしゃろ湖に沈めても、平気ではいずりあがってくるかと」

留美「ちょっと! なんつうたとえよそれ!」
美汐「くっしゃろ湖がお分かりになりませんか」
留美「違うわよ! あたしはそこまで頑丈じゃないわよ!」
美汐「そうですか…では、オーソドックスな東京湾に置き換えます」
留美「おなじよ!」
あゆ「うぐぅ、何この不毛な言い争い…」
神奈「この二人は斯様に因縁が強かったのかの?」
あゆ「って、ボクに聞かれても困るよ」
神奈「ううむ、それもそうだの。しかし…美汐殿、こんくり詰めとはなんだ?」
美汐「それはですね、神奈さん。七瀬さんにしか砕くことのできない試練ですよ」
留美「砕けてたまるかっ!」
神奈「ふうむ?」
美汐「他の方々は砕けません。一般人ですから」
留美「あたしだって一般人よっ!」
神奈「よくわからぬが、なにやら固いものであるな?」
美汐「ええそうですね。七瀬さんはそんなものを目の前にびくともしないのですから凄いのです」
留美「びくともしないわけあるかっ!」
あゆ「うぐぅ…。えっと、次のお客さんどうぞー」
広瀬「ふふふ、苦戦してるみたいね、七瀬」
留美「あっ、真希!」
あゆ「えっと、そういわけで留美ちゃんのクラスメート、広瀬真希さんだよ」
神奈「おっ、おおすまぬなあゆ殿。進行役がそっちのけになっておった」
あゆ「いいよ。これもアシスタントの役目だしね」
美汐「貴方ですか。七瀬さんにたぶらかされていらっしゃるというのは」
広瀬「…どういう設定?」
美汐「風の噂で聞きました。あなたは七瀬さんから私のことを…」
広瀬「ふっ、婆と言っている、と言いたいのかしら?」
美汐「! …よくおわかりですね」
広瀬「当然よ。七瀬と私は繋がってるからね」
留美「繋がってる?」
広瀬「あ、いやまぁただの誇張表現だから」
広瀬「でもねぇ、さっきの、婆がどうたらってのはあくまで噂なのよねぇ」
留美「噂…まさか折原絡み?」
広瀬「それは後でするとして、先に四行やっちゃうわね」
留美「あ、うんお願い」
あゆ「ボクたちすっかり蚊帳の外だね」
神奈「そうであるの…」

★広瀬
「さて、七瀬についてね」
「最初は本当にムカつく存在だったわ。だからたっぷり洗礼してやったんだけど…」
「今となっては、いい間柄よ。私としては、あのさばさばしてる性格が気に入ってるわ」
「乙女になるためにはまだまだ知識と経験が足りないと思うけど…」

留美「あっさり言うわね…」
美汐「事実ですし」
留美「あんたが言うなっ!」
広瀬「だいたい七瀬、あんた乙女がどういうもんかってどこまで確信づけてるのよ」
留美「へ? うーん…やっぱりおしとやかで、華麗で健気で…」
広瀬「ストップ、もういいわ。それについては別の機会にしましょ」
広瀬「今回は乙女についてじゃなくて、七瀬についてなんだから」
留美「あ、う、うん…」
あゆ「…なんだか広瀬さん、すっごく真面目だね」
神奈「そうであるな。前評判が嘘のようであるぞ」
広瀬「いつまでも棘棘しててもしょうがないでしょ。それに、私自身どうせあんまり出番ないでしょうし」
美汐「それは自覚というものでしょうか」
広瀬「そう、かもね…。そうそう、噂がどうこうについて言っておかなきゃいけないわね」
留美「あっ、美汐婆話ね。もういいじゃない、事実でしょ?」
美汐「…本気で怒りますよ?」
留美「わかった、訂正するわ。美汐中年説ね」
美汐「七瀬さん…後でたっぷり灸をすえて差し上げます」
広瀬「まあまあ落ち着きなさいって。七瀬、あんたも少しは遠慮しなさいっての」
広瀬「で、肝心の噂だけど…まぁ、私は耳にしただけだしね」
広瀬「七瀬が婆呼ばわりしてるなんて、素直に信じられないわ」
留美「でしょでしょ?」
美汐「どうしてそういいきれるのですか」
広瀬「だって、七瀬だったら影で言わずに堂々と言うでしょ?」
美汐「…ごもっとも。分別の無い方ですから」
留美「なんですって…」
広瀬「ま、そんなわけだからそう気にしなさんな」
美汐「そうですね…。乙女気取りのお嬢様に振り回されるのはごめんです」
留美「あんたねえ! くうう、別の噂ばらまいてやろうかしら…」
あゆ「えっと…話、まとまった?」
神奈「そろそろ終わりにいたす。留美殿、今後も乙女とやらを目指して頑張るがよいぞ」
留美「えっ、あ、うん、ありがと」
神奈「美汐殿、少しは遠慮するように」
美汐「…善処します」
神奈「真希殿。此度はなかなか悦に入ったまとめであったぞ。今後もそのようにすればよい」
真希「はあ、まあありがと」
神奈「というわけであゆ殿、終わりにいたそうぞ」
あゆ「って、ばっちりまとめたね?」
神奈「というより、さっぱり余たちの出番がなかったではないか。最後くらいまとめねば気がすまぬ」
あゆ「あ、そういうこと…」
神奈「では、これにておしまいとする!」

<おとめっと>


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