『AIR偽小説第百九十弾』

懲りずに第百九十弾です。
ひとさまの作品を読んでてよく思うのですが…
しっかりしたもの書かれてる方は、後書きなどの通常の文もまた違いますね。
貫禄っつーかもの遊びっつーか、いいセンスをそこにも感じます。
私もそれくらいになりたいものだなぁ…無理だけど(苦笑)
それにしても、最近は朝の通勤時間に創作意欲が沸いて…
帰ってくる頃にはすっかり萎んでる、そんな毎日です…ダメじゃん。 (とりあえず書きたいのいっぱいあるのに<泣)


『4行小説』

★神奈
「さて、こたびは人物語り…柳也殿だ」
「余の忠臣であり、大切な家族だぞ」
「この場では何かと無礼な行為も多いが、余はいつも感謝しておるのだ」
「だから柳也殿、これからも余の言う事をしっかりと聞くがよいぞ」

柳也「なんか複雑な言い回しだな…」
神奈「柳也殿、早速余のために美味い飯を用意いたせ」
柳也「………」
ぽかっ
神奈「あいたっ! ぬぬぬ、いきなり余に逆らうとは無礼千万!」
あゆ「うぐぅ、神奈ちゃん余計なことしてると始まらないよ」
柳也「お前もいつも大変だな…」
あゆ「いつもの事だから慣れてますよ、大丈夫です」
柳也「ふむふむ、よく出来た補佐役だ」
神奈「ええい、あゆ殿も柳也殿も何を余を馬鹿にしておるか!」
柳也「馬鹿にしていない、これはただの噂だ」
柳也「75日経てば無くなる。だから気にするな」
神奈「……やはり余は馬鹿にされておる気がするぞ」
あゆ「えっと、いつまでやってると本当に始まらないから、とりあえずボクが四行やるね」
柳也「……結構淡々としてるやつだな」
神奈「結局余は無駄に流されてしまうのだな……」

★あゆ
「多分立場的にはボクにとっての祐一君……」
「そういう意味からくる事なんだけど、普段はいつもからかってるけど……」
「からかい過ぎ……うぐぅ、からかってる、け、ど……」
「……柳也さん、神奈ちゃんをからかい過ぎは控えた方がいいよ?」

柳也「……俺への忠告?」
あゆ「あっ、す、すいません」
神奈「あゆ殿、謝ることなどないぞ。これは事実だ」
神奈「事実からくる忠言、あゆ殿は立派だぞ」
柳也「どう立派な四行なんだ……」
柳也「やれやれ、これでは俺の立場がまるでないな」
あゆ「うぐぅ、だからすいません。ボクの四行は気にしないでください」
神奈「なっ!? あゆ殿、それでは余の立場が危ういではないか! 柳也殿に加担すると申すか!?」
あゆ「加担、って大げさだよ」
神奈「ぬぬぬ……」
柳也「あー、もう次いくぞ。いつまでやっても終わらんしな」
あゆ「あ、はいどうぞ」

★柳也
「自分で言うのもなんだが、俺は割りとしっかりしている方だ」
「だから、振り回されぬように努めてきたはずなのだが……」
「結果はどうだ。中心から遠く離れた位置において、かつ振り回され……」
「まぁ、剣の腕だけは保証しよう」

あゆ「……半分愚痴みたいですね」
神奈「柳也殿は何が不満なのだ」
柳也「いや、こういう事を語るはずではなかったんだが……」
柳也「どうも、周囲にのせられているようだな、いかんいかん」
柳也「というわけで仕切りなおしだ。剣の話をしてくれ」
あゆ「剣……」
神奈「柳也殿、それは物騒な話題であるぞ」
柳也「む、そうか……」
神奈「……ふふ、実はそれについていけるよう客人を呼んでおいたのだ。さあ参るがよい!」
柳也「なにっ?」
舞「…………」
神奈「寡黙な剣士、川澄舞殿だ」
神奈「腰にさげているえくすかりばーとやらで敵を光のかなたへ葬り去るそうであるぞ」
舞「違う……」
あゆ「舞さんはそういうんじゃないよ」
柳也「おお、お前か。丁度いい、今ここで手合わせ願おう」
舞「……その前に」
神奈「そうであるぞ、その前に四行だ」
あゆ「うぐぅ、神奈ちゃんさっきのトンデモナイ表現に対しては?」
神奈「何のことだ?」
舞「……なかったことにされた」
柳也「最近とぼけるのが多くなったな…」

★舞
「柳也……強そう」
「腕もそうだけど、精神(こころ)も……」
「だから、今回は目で語っておしまい」
「争う競うものじゃないから」

柳也「ふうむ、そうか……」
舞「…………」
柳也「だがな、剣を交えてこそ分かるものもあるんだぞ?」
舞「でも、遠慮する」
柳也「なら仕方ないな」
舞「…………(こくり)」
あゆ「こころが強そう、ってかっこいいね」
神奈「思えば、たしかに柳也殿は強かったの」
神奈「逆境にも負けず、余の事をしっかり考え……」
神奈「あの姿こそまことの忠臣よの」
柳也「いつごろの話だ?」
神奈「……柳也殿は覚えておらぬと申すか?」
柳也「いや、抽象的な事言われてもわかるわけないだろ」
神奈「まことに頭が味噌な忠臣よの。そのようなことで余の家臣が務まるのか?」
柳也「味噌……お前な……」
あゆ「神奈ちゃんにしては珍しくきつい一言だね」
神奈「ふふん、どんなものであるか」
舞「……威張るところじゃない」
柳也「そうだ、胸を張るなんて間違っているぞ。まったく、神奈はどんどんヒネてゆくな」
神奈「なんだと? おぬしのそういうところが無礼だというのだ!」
舞「無礼は、お互い様」
柳也「そうだぞ。無礼はお互い……俺も無礼か?」
舞「…………(こくり)」
柳也「そうか……」
あゆ「舞さんが言うと随分あっさり納得するんだね」
神奈「まったく柳也殿は……。ええい、次の客人参るがよいぞ!」
晴香「来てあげたわよ。じゃあね」
あゆ「ああっ、ちょ、ちょっと!」
神奈「ええい待たぬか!」
晴香「何よ。折角来てあげたのに」
柳也「いきなり帰ろうとするなよ……」
晴香「来るとは言ったけど、ずっと居るとは言ってないわよ」
あゆ「うぐぅ、屁理屈だよぅ」
舞「仕方ない」
晴香「……何が仕方ないのよあなた」
舞「語りたくない?」
晴香「うーん……まぁ、いいわ。語ってあげるから」
舞「……うん」
柳也「なんか勝手に話が流れられてるぞ」
神奈「むむぅ、これでは余の立場が……」

★晴香
「要するに、普通の力を持った普通の人でしょ」
「けれど、神奈が信頼するに足る、行動力と……そう、精神を持っていた」
「普段の言動とか仕事ぶりが気になるところね」
「多分、見た目とこの表面上の行動じゃあ分からないから」

あゆ「急に真面目になったよ」
晴香「文句あるの?」
あゆ「うぐぅ、そういうわけじゃないけど……」
神奈「何故にそう両極端なのだお主は」
晴香「ちょっとね」
舞「落ち着きがない」
晴香「……そうね、多分そわそわしてるんだわ」
晴香「なんかこう、嬉しい予感ってのがあるのかもしれない……」
柳也「それはなんだ、人物語りに関係があるのか?」
晴香「多分……」
神奈「……ふむ、ならば余はそれに心当たりがあるかもしれぬぞ」
晴香「まぁあんたの企画だからねぇ。で、どういう内容の?」
神奈「先のことはまだわからぬ」
晴香「あ、そ。ふう……」
神奈「ぼそぼそ(……だからかの、あゆ殿。今回晴香殿がおとなしいのは)」
あゆ「ぼそぼそ(みたいだね。何があるんだろ、この先……)」
柳也「お前達、二人で何こそこそやってるんだ」
神奈「べ、別になんでもないぞ」
あゆ「さてと、話が飛んでたけど、晴香さんの四行についてコメントしようよ」
舞「結局、よくわからない」
柳也「だろうな、おれ自身をよくわからないという事を晴香は言いたいんだろう」
柳也「だが、それはあえて見せるものでもない」
晴香「普段の仕事ぶりはどうなのよ。そこは見せられるでしょ?」
柳也「聞かせてもいいが多分つまらないぞ」
晴香「やっぱり」
柳也「ん?」
晴香「そうだろうなあとは思ってたのよ。普段も多分普通と言えるレベルの行動まで」
晴香「そうそうとっぴな事をしているはずもないものね」
柳也「ふうむ……」
あゆ「なんだか、よくわかってないと言って置きながら、よくわかってる風だね」
神奈「そこがまた余にはよくわからなくなってきたぞ」
舞「ちょっと……ややこしい」
晴香「そう思うなら次の話に移りなさいよ。大した内容でもないんだから」
神奈「う、うむ。では最後の客人であるぞ!」
雪見「こんにちは。さぁ、時代劇の資料人ってのを語るわよ」
神奈「……劇熱心な深山雪見殿だ」
晴香「ってか、何か勘違いしてない?」
雪見「勘違い?」
晴香「今回語るのは平安くらいの時代の人でしょ?」
雪見「いやいやいや、資料人だからね。要するには剣術が見られればいいのよ」
雪見「そしたらばほら! 剣を携えている人が二人も!」
舞「…………」
柳也「…………」
あゆ「うぐぅ、いきなりハッスルしてるね」
雪見「さてと、手早く語って取材しなきゃ」
晴香「舞い上がってるわね」
神奈「ううむ、雪見殿はかような御仁であったであろうか?」

★雪見
「多分に思うのは、普段は優男だけど……やる時はやるってタイプかしら」
「信頼っていうのはそこから生まれるものだし、何より目が違うのよ、目が」
「いくつもの修羅場……とは言い過ぎかもしれないけど……」
「そう、経験ね、経験」

柳也「多分修羅場であってると思うがな」
雪見「あらそうなの。じゃあ黒は柳也さん、と。で、川澄さんは?」
舞「……?」
雪見「その剣で何かを護ったりするんでしょ?」
舞「……(こくり)」
雪見「じゃあ川澄さんが白、と。これで二人の属性が整って、後は……」
あゆ「うぐぅ、四行を語った後で自分の世界に入っちゃった」
晴香「わざわざ解説しなくても……」
柳也「だが、まぁ、人の観察力はかなりある奴だな」
神奈「そうであるの。柳也殿の過去は……凄惨なものであった」
柳也「わざわざそういう表現を持ち出さなくていい」
舞「……でも、今は」
柳也「そう、今は今だ。昔は昔。見るべきは今だな」
晴香「ふーん……」
あゆ「そうだよね、今をしっかり見据えないとね、うんうん」
雪見「ようし! じゃあそういうわけだから……」
雪見「川澄さんと柳也さん、向かい合って決闘の儀式やって。儀式だけでいいから」
柳也「……どういうわけだ?」
舞「決闘……」
雪見「ほらほら、二人ともぼさっとしないで。時間は待ってくれないのよ? きびきび歩く!」
柳也「う、うーん……」
舞「…………」
晴香「……終わりにしたら。なんか違う方向いっちゃいそうだし」
あゆ「うぐぅ、そうだね……」
神奈「ではこれにておしまいとする!」

<でやあああ!>


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