『AIR偽小説第百八十六弾』

懲りずに第百八十六弾です。
非常にどうでもいい話ですが、ファイル名について。
とっくに気付いてる人は気付いてるでしょうけど、うぐぅ殿、ですね。
で、これは別に、今神奈とあゆがシリーズやってるからって理由ではなくて、実は単なる偶然です。
私が単純にうぐぅ殿って呼び方を当時気に入ったからってだけですわ。


『4行小説』

★神奈
「人物語り。今回は深山雪見殿だ」
「同じ口調の輩には無礼な者が多い中、なかなかに礼儀正しいぞ」
「演劇とやらに非常に興味があるらしい」
「普段の発言もそれに関するものが多いそうだぞ」

雪見「のっけから微妙な紹介の仕方ね…」
あゆ「まぁまぁ。神奈ちゃんは思うままを言ってるだけなんだし」
雪見「でしょうけどね。とりあえず演劇については後々でいいとして…」
雪見「同じ口調の人たちの中で礼儀正しいってどういうこと?」
神奈「雪見殿に似た口調の者がおるであろ。その者達について考えてみよ」
雪見「は? えーっと、誰がいたっけ…」
あゆ「うぐぅ、香里さんとか?」
神奈「そうだ」
雪見「香里は無礼なの?」
神奈「来るごとに不機嫌な顔を撒き散らしておるのだ」
雪見「顔を撒き散らすってどんな表現よ…」
あゆ「ほかには、晴香さんとか友里さんとかかな」
神奈「うむうむ。…まぁ友里殿はそうでもないかもしれぬが、晴香殿は無礼なことこの上ない」
神奈「きんぐおぶ無礼とはあの者のことだ」
雪見「キングオブ無礼って…すごい表現するわね」
あゆ「うぐぅ、でもこれって結構失礼だよね」
神奈「あゆ殿! お主は晴香殿から受けた仕打ちをもう忘れたのか?」
あゆ「…当然忘れてないよ。でも、だからって陰口は…」
神奈「…あゆ殿はまこと優しき心の持ち主よの」
神奈「だが、それとこれとは話が別であるからの」
雪見「妙に譲らないのね…」
神奈「おほん。では次はあゆ殿であるぞ」
あゆ「あ、うん」

★あゆ
「演劇に目がないっていう事どうこうより…」
「雪見さんって凄いしっかり者だよね」
「というイメージがボクにはあるんだけど…」
「どうなのかな?」

雪見「それをわたしに聞くの?」
あゆ「うぐぅ、だめかな」
雪見「ダメとは言わないけど、なんだかねぇ…」
神奈「余が思うに、しっかりしていると思うぞ」
雪見「どういう根拠で?」
神奈「そうであるの…たとえば…」
あゆ「魔法がたしか使えるよね。それで色んな人を案内したり」
雪見「色んな人ってのは語弊があると思うけど、たしかに魔法が使えるわね」
雪見「だからって積極的に誰かを連れてくるなんてしないわよ、わたしは」
神奈「うむうむ。やはり雪見殿はしっかりしておる」
あゆ「うんうん。納得だね」
雪見「そんなんでしっかり者とかって言われてもねぇ…」
神奈「では次は雪見殿であるぞ」
雪見「へ? ああ、そっか。自分で自分を、ね」

★雪見
「思い返せば、演劇の材料というのはどこかしこに落ちているものね」
「今回のテーマでも、自分を語ろうとしてるわけなんだから…」
「そうそう、神奈の意外な表現も何かに使ってみるのも一種の新挑戦になるかも…」
「なんて、ほとんどそういう考えにいくと、演劇バカとか言われちゃうのかしらね」

神奈「む、雪見殿。自分で自分を馬鹿にしてはならぬぞ」
雪見「いや、してないわよ」
神奈「そうなのか?」
雪見「うーん…そういうとこ、見習うべきなのかしらねえ」
神奈「???」
あゆ「雪見さんって、やっぱり色んなことを頭の中で常に考えてるんだね」
雪見「色んなっていうほどでもないけどね。やっぱり演劇に生きてるのよ」
雪見「だからと言って、実力が伴ってるとかいう話になると困るけど」
あゆ「楽しいのがいいんじゃないのかな?」
雪見「そう。よくわかってるじゃない」
神奈「まとまったのかの?」
雪見「話に投げ出されたかしら? いいから次にいっちゃって頂戴」
神奈「う、うむ。では最初の客人よ、参るが良いぞ!」
舞「………」
神奈「川澄舞殿であるぞ」
雪見「無口ねぇ…。しかもその腰にさしてる剣がちょっと威圧感…」
舞「………」
あゆ「えっと、舞さん四行お願いするね」
舞「………(こくり)」
雪見「…大丈夫なの?」
神奈「大丈夫のはずであるのだが…」

★舞
「雪見は…」
「多分幸せをたくさん持ってる」
「普段の平穏な幸せと…」
「非日常を楽しむ幸せと…」

雪見「なんか意味深ねぇ」
あゆ「幸せ…雪見さん幸せ?」
雪見「うーん、あんまり意識はしてないけど」
舞「多分、自分では気付いていない」
雪見「おっ…言ってくれるわね。…なるほど、そうかもね」
神奈「普段の平穏…そうであるな。雪見殿は特に問題も無くすごしてきたのであろうな」
雪見「魔法を無理矢理伝授させられたりしたけどね。まぁ、別に不自由はしてないわ」
あゆ「あと、誰かを語るとかいうので呼ばれたりしても、その場その場でちゃんと対応してるよね」
舞「自分のペースを崩さない」
雪見「あー、言われてみればそうかしら?」
神奈「なんと、これぞ行動の鏡、手本であるな」
神奈「余も心構えとして持っておきたいものだぞ」
雪見「持つ、ってのはなんか無理っぽいんじゃないかしら…」
雪見「でも…そうねぇ、意識せずにいたけど、こういう普通さとマイペースが幸せなのかもね」
舞「かも…じゃない。幸せ」
雪見「それを言うんなら舞もそうじゃないの?」
舞「…最近、佐祐理が観鈴にとられ気味」
舞「でも、お弁当同盟の仕事はしょうがない」
舞「その分、お弁当をたくさんご馳走になる」
雪見「…結局どっちなのかしら」
あゆ「幸せそうだよ。結局」
神奈「あゆ殿、傍から見ているだけでは駄目であるぞ。余達も同じようにならねば」
あゆ「ボク達の場合は司会とアシスタントっていう立場上難しいんじゃないかな」
あゆ「更に言えば、結構からかいの対象とかで狙われてるし…」
神奈「む、むむむむ…」
雪見「大変そうだけど…今回はわたしを語る会なんだからその話題はまた別にしてね」
舞「次のお客さん…」
雪見「そう、次を呼んでちょうだい」
あゆ「うぐぅ、リードされてるよ」
神奈「やはりまいぺーすのなせる技であるの…。では次の客人参るが良い!」
郁未「へぇ、私なんだ」
神奈「なにやら疑いのまなざしを向けておる天沢郁未殿だ」
郁未「疑ってなんかないわよ。もっと違う人呼んだら、って思ったのよ」
雪見「それまたどうして? 部長同盟の郁未」
郁未「そう、それよ。普段部長同盟とやらで会ってるのに、今更って気がしない?」
雪見「それもそうねえ」
郁未「ま、呼ばれたもんは仕方ないから語ってあげるけど」
あゆ「うぐぅ、なんだか偉そうだよ」
舞「郁未は勿体無いって思ってるから」
あゆ「ああ、勿体無い、か」

★郁未
「おほん。部長…そう、雪見って部長なのよね」
「部長というからには言動も行動もしっかりしていて…」
「彼女は十分それを兼ね備えていると思うわ」
「いつか司会やって演劇紹介でもやったらいいんじゃないかしら」

雪見「しっかりしてるとかってのは既に言われた気もするから置いておくとして…」
雪見「面白い企画じゃない、演劇紹介ですって?」
雪見「上月さんにアシスタント頼んでやってみようかしら」
郁未「ま、誰もが司会やりたがってたりするでしょうから気をつけなさいな」
雪見「気をつける…?」
舞「司会は…そんなにいない」
あゆ「えっと、気をつけるのは他の司会希望者との争いに巻き込まれないかってことで…」
あゆ「で、その司会希望者は…うん、ボクが知ってる限りではそんなに居ないと思うよ」
あゆ「だから舞さんもそう言ったんじゃないのかな」
舞「あゆ、凄い」
あゆ「うぐぅ、そんなことないよ」
神奈「あゆ殿はなんだかんだでよく見ておるの。ならばその分余にも助言をせぬか」
あゆ「神奈ちゃん、ボクにはもう言うことはないよ。だって一緒の立場だし」
神奈「なるほど、これは一本とられた、というやつであるの」
あゆ「うん。あははは」
神奈「ふふふふ」
雪見「…無理矢理和んでない?」
舞「次の客…」
郁未「そうよ、次の客居るんでしょ。とっとと呼びなさい」
神奈「…気分を壊さずともよいではないか。おほん、では客人よまいるがよいぞ」
留美「とうとうあたしの出番ってわけね。ええ、任せておいて!」
神奈「…よくわからぬが一人で盛り上がっておる七瀬留美殿だ」
郁未「ひどい言いようね…」
あゆ「えっと、なんでそんなに気合入ってるの?」
留美「深山先輩だったら乙女の演技とか分かってるんじゃないかって」
雪見「それが気合入れる理由になるの?」
留美「ええもちろんです。だから後で教えてください」
雪見「別に気合入れなくても普通に聞いてくれれば…」
舞「空回り…」
留美「う、うるさいわね!」

★留美
「で、その深山先輩はね…とっても人を説得するのが上手と聞いたわ」
「でもって、歌も上手いとか…」
「一曲歌ってもらえれば…あたし伴奏もやります!」
「そして、乙女の物語を演じてください」

雪見「歌が上手い? 誰から聞いたの?」
留美「え? えっと、折原に…」
雪見「それって嘘じゃないの?」
留美「しまった…。またあいつに騙された…!」
舞「気付かない?」
留美「ええ、気付かないのよ。あいつの口八丁には手も足も出ないわ」
雪見「あ、今のいい表現ね。いただいておくわ」
留美「え? え?」
郁未「さすがね…見てるとこは見てる」
あゆ「うぐぅ、いいなあ。ボクもそれくらい普通に居たいよ」
神奈「あゆ殿は普通にいつもいるのではないのか?」
あゆ「言っておくけど、多分神奈ちゃんよりボクは遊ばれてるんだよ?」
あゆ「うぐぅとか食い逃げとかうぐぅとか食い逃げとか…」
神奈「う、うむ…」
舞「神奈、困ってる」
雪見「っていう月宮さん、神奈に八つ当たりしないの」
あゆ「うぐぅ、八つ当たりなんてしてないよぅ」
留美「こうなったら先輩! 乙女の舞を!」
雪見「演技じゃなかったの?」
留美「あ、そうですね。演技を教えてください!」
雪見「…そんなわけだから、もう終わっていいかしら?」
神奈「そういえば留美殿が最後の客人であったな」
郁未「じゃあおしまいってことね」
舞「締めの言葉」
あゆ「神奈ちゃん」
神奈「うむ…。これにておしまいとする!」

<ああ、枯れた草原に佇む一厘の花よ!>


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