懲りずに第百六十八弾です。
★神奈
あゆ「うぐぅ、神奈ちゃん食通仲間とか言っておきながらそれはひどいよ」
★あゆ
神奈「ひゃ、百個とな?」
★みさき
神奈「話であるか。それならば余もとことんつき合うぞ」
★久瀬
みさき「もしかして褒められてるのかな?」
★高槻
みさき「私は食べることが大好きなんだよ」
★柳也
みさき「どうして?」
★茜
高槻「なるほど、寡黙っぽいな」
<そしてご馳走ぱくぱく、だね>
ところで、最近SUMMER特別編を見ました。
相変わらずのクオリティにオリジナル要素もいいように混ぜられてて、実に楽しめました。
っていうか、見たのが大画面であったのがこれまた……(笑)
余は非常に満足であるぞ。
……それについては、また後日、ですけどね。
『4行小説』
「人物語り、今回は川名みさき殿だ」
「余とは食通仲間としても名高い、よきらいばるであるぞ」
「そして、この場では忘れがちなのだが目が見えぬとか」
「その分よく喋るというわけなのだが、食べ物の話題になりがちなのはなんとかならぬものかの…」
みさき「そうだよ。あんまりにもひどいと、このあゆちゃんが神奈ちゃんを食べちゃうからね?」
あゆ「食べないよっ!」
神奈「と、冒頭から登場しておるみさき殿だ」
みさき「さてと、今回は私についてなんだね。早速神奈ちゃんの四行についてコメントいいかな?」
神奈「ああ、そうするがよいぞ」
あゆ「うぐぅ、ボクの最初のってつっこんでおしまいなの…」
みさき「さてと、食通仲間という点については後で存分に語るとして…」
あゆ「存分?」
みさき「目が見えない、という点についてだね」
神奈「そうだ。こうして面と向かって話しておると、微塵もそれを感じさせぬのだ」
みさき「それはこの場があまり視覚に頼ってないからじゃないかな」
あゆ「でも、神奈ちゃんの着物姿とか、ボクのダッフルコート姿とか。特徴的らしいよ」
みさき「らしいね。残念だよ。きっと食べちゃいたいくらいにかわいいんだろうね」
神奈「そこでどうして食べるという単語が出てくるのだ。余にはわからぬ」
みさき「それはお約束ってやつだよ」
神奈「やはりみさき殿が語ると食べ物の話題になるのだの…」
みさき「もしかしたら宿命かもね」
あゆ「うぐぅ、次ボクの四行いいかな」
みさき「あ、うん、任せたよ。楽しみにしてるね」
あゆ「うぐぅ…」
神奈「主導権をみさき殿に握られている気がするのだが…」
「みさきちゃんは食べ物に関して目が無いっていうけど…」
「それ以上に、食べすぎなんじゃないかな」
「たい焼き百個とか食べたって聞いたよ」
「うぐぅ、もうちょっと控えた方が…」
みさき「残念ながらあゆちゃんに神奈ちゃん、それは違うよ」
あゆ「あれっ、違うんだ?」
みさき「あゆちゃんが言ってるのは、以前秋子ちゃんの家にご馳走になりに行った事を言ってるんだよね」
あゆ「秋子…ちゃん…? うぐぅ、みさきちゃんならではだね、そういう呼び方するの」
神奈「裏葉のことも裏葉ちゃんと申しておった。独特の呼び方であるの」
みさき「で、そこでたい焼き百個を用意してもらったんだけど…」
みさき「一個は真琴ちゃんにあげたんだよ。“あぅーっ、肉まんと違って今度は残念だったわねぇ”って言われたよ」
みさき「そういうわけだから、たい焼き百個食べたってのは間違いだからね」
あゆ「あのぅ、それって99個だから百個じゃないって言いたいわけ?」
みさき「そうだよ。一個で三桁と二桁と違うからね。白寿とは違うんだよ」
あゆ「うぐぅ、何か違うものを持ち出されたよぅ…」
神奈「よくわからぬが、同じではないのか? たかだか一個であろ?」
みさき「絶対違うよ」
神奈「そ、そうなのか…」
みさき「そうだよ」
あゆ「うぐぅ…」
神奈「…あ、あー、では、みさき殿の四行であるぞ」
みさき「うん、分かったよ」
「私はね、食べることが好きなんだよ」
「それからね、色んな人と沢山話をするのも好き」
「私は目が見えないから…お話をする事によって相手のことが分かるからだよ」
「もっともっといっぱいお話したいよ」
みさき「ありがとう、神奈ちゃん」
あゆ「ボクも喜んで。これからもよろしくね」
みさき「ありがとう、あゆちゃん」
みさき「改めて結束が固まったところで、美味しいものを食べに行こうよ」
神奈「さ、さて、客人を呼ぶぞ! さあ一人目、参るがよい!」
久瀬「随分苦労してそうですね…」
神奈「根は生真面目らしいそうだ。久瀬殿であるぞ」
みさき「ダメだよ神奈ちゃん。話が途中だったよ」
久瀬「まあまあ川名さん。ここは僕に免じて話を切り替えてもらえませんか」
みさき「…しょうがないね。その代わり後で学食に案内してほしいな」
久瀬「学食…ですか?」
みさき「そう。名雪ちゃんからAランチがお勧めだって聞いたんだよ」
久瀬「たしか彼女はイチゴ好きでした…そういえば、Aランチはデザートにイチゴのムースがついてましたね」
みさき「あ、そういう理由なんだ?」
あゆ「名雪さんらしいね」
神奈「いちごのむーすとはなんだ」
あゆ「えーと、むーすっていうのは…ふんわりした感じの料理だよ」
神奈「ふむ? ふんわりとな?」
みさき「一度食べればわかるよ。というわけで久瀬ちゃん。後で案内お願いするね」
久瀬「く、久瀬ちゃん?」
みさき「あれっ? 名前間違えたかな」
久瀬「い、いえ、間違えてはいませんが…それにしても久瀬ちゃんですか…」
みさき「ちゃん付けはかわいいよね」
久瀬「そういう問題では…って、もしかして倉田さんに対しても?」
みさき「えっ? 佐祐理ちゃんのこと?」
久瀬「…なるほど、倉田さんに対してだと可愛くきこえますね」
あゆ「ねえねえ、ボクは?」
神奈「余も忘れるでないぞ」
久瀬「あなた達は普段から呼ばれてるのでは?」
あゆ「言われてみればそうだね…」
神奈「そうであったな…。おほん、では久瀬殿。みさき殿について四行であるぞ」
「彼女は随分積極的ですね」
「生まれついてのものなのか、境遇がそうさせたのか…」
「いずれにせよ、この場ではこういう嫌らしくない積極性は重要ですね」
「こういう方が増えれば、さぞかし賑やかになることでしょう」
久瀬「もしかしなくてもそのつもりですが」
みさき「嬉しいよ、ありがとう」
久瀬「いえいえ」
みさき「ありがとうついでに、学食でも何食かご馳走してほしいよ」
久瀬「何故そういう発想に…」
あゆ「えーっと、久瀬さん。ここは疑問に思っちゃだめだよ」
あゆ「そのまま流れるままになってもダメだけど…」
神奈「というわけで、流れを変えるために客人の登場であるぞ。さあ参るがよい!」
高槻「よぉ」
神奈「というわけで、以前酷い目におうた高槻殿だ」
高槻「まったくだ。あんな奴にひっぱられてきたがために…だが今回は…」
ぎらん
柳也「妙なマネはするなよ」
神奈「…柳也殿。刀をしまうのだ」
柳也「いくら神奈の命といえどこればかりは聞くわけにはいかないな」
高槻「はあーあ。結局俺はこんな扱いか」
神奈「おほん。改めて、柳也殿と高槻殿だ。要注意人物という事で柳也殿がにらみをきかせておる」
あゆ「うぐぅ、すごい人たち呼んだね…」
久瀬「危なくないですか」
みさき「柳也ちゃんは会ったけど、もう一人はもしかして初顔合わせの人かな? 初めまして、高槻ちゃん」
高槻「た、高槻ちゃんー!?」
柳也「相変わらずお前そんな呼び方か…」
みさき「お前じゃないよ。名前はちゃんとあるんだからね」
柳也「う、これは失礼した、みさき」
みさき「うんうん」
高槻「ふうむ、なかなか肝が座ってる奴だな。この光景を目にしながら…」
みさき「あ、ごめんね。私目が見えないから」
高槻「は? 目が見えない…で、それだけ言ってのけてるのか?」
みさき「普通のことだと思うよ」
あゆ「神奈ちゃんが刀とも言ったし、高槻さんも要注意人物と言われたし…」
あゆ「そんな緊迫しそうな状況でもみさきちゃんはいつもどおりだから、高槻さんは感心してるんだと思うよ」
高槻「えらく代弁するな。まあそういうわけなんだが…おい、お前も同感だよな? インテリ」
久瀬「インテリ? …って、僕ですか?」
高槻「そうだ。お前以外に眼鏡かけてる奴はいねーだろ」
久瀬「眼鏡をかけてるだけでそういう風に呼ばれても…」
柳也「賛同するわけではないが、俺もやや同感だ。さすが神奈の食通仲間とやらだけのことはある」
神奈「どういう意味だ柳也どの」
柳也「深くは考えるな」
あゆ「えーっと、それでどうするの?」
みさき「二人同時に現れたけど、どっちがご馳走出してくれるのかな?」
高槻「なんだそりゃ」
みさき「この場での決まりだよ」
高槻「そんな決まりあったのか?」
柳也「ないない。ほら神奈、さっさと進行役を果たせ」
みさき「うー。柳也ちゃん意地悪だよ」
柳也「だからその呼び方やめろって…」
高槻「なんか気がぬけちまうな…」
久瀬「ちゃん付けにはこういう効果もあるんですね」
あゆ「ほら、神奈ちゃんてば」
神奈「お、おほん。ではまずは…登場順であるがゆえ、高槻殿であるぞ」
高槻「お、おお」
「いまどき珍しいやつかもな。俺をちゃん付けで呼ぶ奴は初めてだぞ」
「目が見えないという点である程度を構えられてるのかもしれないが…」
「将来大物になるんじゃないのか?」
「気になるのは、ご馳走って言葉が飛び出してきたことだが…」
高槻「ほーさよか」
みさき「だからその事実を知った高槻ちゃんは私にご馳走する義務があるんだよ」
高槻「あのなぁ、そんなもんあってたまるか」
みさき「久瀬ちゃんは何食かご馳走してくれるって約束してくれたよ」
久瀬「あれは約束なのでしょうか…」
高槻「なるほどな…。まあこれも何かの縁だ、何食か…いやちょっと待て」
みさき「やったね。また一人ご馳走提供者確保だよ」
神奈「やれやれ、みさき殿はこういう事に関しては上手いものだの」
みさき「好きなことのためには努力を惜しまないんだよ」
神奈「余も見習わねばな…」
高槻「おいコラ! 俺を無視すんな!」
柳也「自然の流れだ。諦めろ…」
高槻「くっ、刀を突きつけられてなかったらもっと言ってやるものを…!」
あゆ「えっと…ちなみに何て更に言いたいの?」
高槻「何食、ってのはどういう事だ! って聞きたかったんだが」
あゆ「そのまんまの意味だね」
高槻「はん?」
あゆ「つまりみさきちゃんは一人でカレー何皿も食べるくらい、食べるのが好きってことだよ」
高槻「…お前、それ好きの限度超えてるぞ」
あゆ「ボクに言われても…」
高槻「冗談じゃねえ。なんで俺がご馳走しなきゃいけねえんだ」
柳也「だから自然の流れだ。逃げようとしたら容赦なく斬るぞ」
高槻「お前何か目的変わってるぞ」
柳也「少なくともお前がご馳走する役目に回れば、俺はそれから逃げられるからな」
高槻「てめっ! きったね!」
神奈「あー、おほんおほん。次は柳也殿だ」
柳也「ああ分かった」
高槻「おいこら! 話は終わっちゃいねーぞ!」
「まあなんというか…相変わらずだな」
「人に対する呼び方も、食べ物が絡むと俄然強気になるのも」
「その勢いで是非今後も頑張れ」
「…と、素直に応援できぬのが複雑なところだ」
柳也「お前…いや、みさきに影響されて神奈まで暴走されては困る」
神奈「何を申すか柳也殿。余はまだまだ健在であるぞ」
柳也「いや、だからな…」
久瀬「あのう、そろそろ終わりにしませんか」
高槻「おおそうしてくれ。そして解散だ」
あゆ「うぐぅ、まだゲストさんがいるのに…」
神奈「そうであるぞ。最後の客人を招いて後に此度は終わりとなる」
みさき「柳也ちゃんの四行に対するコメントはもう終わりなのかな?」
あゆ「何をコメントしようか?」
みさき「そうだね、強気ってとこかな。私は普通だよ?」
柳也「どうせそんな回答だと思ったが」
あゆ「えーっと…やっぱり神奈ちゃん、最後の人呼んで?」
久瀬「結局そういう流れになるんですね」
高槻「少しばかり、ここでの主旨ってのが見えてきた気がするな…」
神奈「では最後の客人であるぞ。さあ参るがよい!」
茜「叫ばなくても参りますよ」
神奈「寡黙な里村茜殿だ」
茜「早速四行しますね、神奈」
神奈「うむ」
高槻「…寡黙?」
久瀬「そこはつっこんではいけませんよ」
柳也「いや、気にするだろ」
みさき「あ、そうだ茜ちゃん」
茜「なんですか」
みさき「私の事はみさきちゃんって呼んでね」
茜「………」
「…みさきちゃん、は…」
「………」
「…非常に、積極的ですね」
「とてもではないですが、私では語りつくせません…」
柳也「戸惑ってただけじゃないのか」
みさき「もぅ、ダメだよ茜ちゃん。ちゃんと語ってくれないと」
茜「ですが…」
あゆ「茜さんの性格からだと、語りにくいのかもしれないね」
神奈「そのようであるの…」
久瀬「えーと、それではここらへんで区切りにしまして、お食事などどうですか」
久瀬「最初に川名さんが言ってた、我が校の学食へ案内しますよ」
みさき「わっ、やったよ。これを楽しみにしてたんだよ」
高槻「俺みたいなのが行っていいのか」
柳也「それは多分今更だろ」
高槻「それもそうか…」
茜「私は呼ばれたばかりなのですが…」
あゆ「ちょっと展開上こうなっちゃってね、ごめんね」
茜「いえ…」
みさき「そうだ、一つ思ったことがあったんだけど…神奈ちゃん」
神奈「なんだみさき殿」
みさき「今回って私と初顔合わせの人が大半だね?」
神奈「そうであろう。余は人選を懸命に考えたのだ」
みさき「そうだったんだ…。いろんな人と話がしたいってリクエストに応えててくれたんだね」
神奈「うむ、そういうことであるな」
あゆ「すごい…神奈ちゃんいつの間にそんな段取りしてたの…」
神奈「ふっふっふ、もっともっと褒めるがよいぞ」
茜「ほとんど話をしてない人物もいますが…」
高槻「だな。けど、顔合わせの人選ってだけでも大したもんだな」
柳也「素直にそう思うのか」
高槻「こんな非常識な場でそういうこと考える余裕があるだけでもすげーぞ」
柳也「普通に褒めるとは、随分と殊勝な心がけだな」
みさき「そうだ。高槻ちゃんからもちゃんとご馳走してもらうからね」
高槻「げっ、そういやそうだった…逃がしてくれ」
みさき「だめだよ。約束をやぶるとろくな大人にならないよ」
高槻「俺はもう大人だ…」
久瀬「では、終わってください神奈さん」
神奈「うむ。これにておしまいとする!」
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