懲りずに第百六十二弾です。
★神奈
あゆ「それって…親の顔が見てみたい、って暗に言ってない?」
★あゆ
広海「何かしら?」
★美凪
広海「美凪…」
★広海
あゆ「うぐぅ、深そうだよ…」
★澪
広海「まあ…」
★友里
広海「似てませんか?」
<ゆったり気分で>
この人、人物語りに入れていいんかなあ…?
と結構疑問ながらも、とりあえずやってみました。
(一元さんの予定だったからなあ…)
まぁ、さすがにレギュラー化は無いでしょうけど。
改めて思うに、AIRって母親キャラが結構いますね…
…半分以上が故人となってますが。
(晴子、八百比丘尼、美凪の母、白穂、佳乃の母、往人の母(?))
『4行小説』
「人物語り、今回は遠野広海殿だ」
「なんと、美凪殿の母上だそうだ」
「しかも、実名かどうか疑わしいとのいわくつきであるぞ」
「丁重に迎えねばならぬの。余としては是非に見ておきたい人物であるしの」
神奈「無論だ。母という存在は大事であるぞ」
あゆ「ボクが言いたいのはそういう事じゃなくて…って、神奈ちゃんは悪い意味では使ってないんだね」
神奈「ん? 親を見たいと思うのは悪いことなのかの?」
あゆ「ううん…忘れて。さてと、その、美凪さんのお母さんは?」
神奈「心配せずとも既に呼んであるぞ」
美凪「おはこんばんちは…」
あゆ「うぐぅ、美凪さんだよぅ」
神奈「…美凪殿、母上殿はどうされたのだ?」
美凪「限定キャラを語ろうとは、神奈さんも偉くなりましたね…」
神奈「ええい、意味不明な事を呟かずに、はようつれてまいれ」
美凪「ご心配なく、既に連れてきています」
広海「こんにちは。ごめんなさいね、美凪が迷惑をかけたみたいで」
あゆ「う、ううん、そんな事ない、よ?」
美凪「月宮さん、どもってます」
あゆ「うぐぅ、緊張してるんだよ」
広海「あらあら、可愛いお嬢さんね」
あゆ「う、うぐぅ…」
広海「ところで、そちらの…とっても純和風なお嬢さんは?」
美凪「紹介したと思ったけど…」
広海「そうそう、この場でとっても人気者の神奈さんね。どうしてさっきから喋ってないのかしら?」
美凪「…神奈さん」
神奈「ん? あ、ああ、うむ、その…」
広海「あなたも緊張しているのかしら?」
神奈「う、うむ…。…そのようであるの…多分…」
美凪「…神奈さん」
神奈「うん? …いやいや美凪殿、余の事は神奈ちんと呼ぶのではなかったのか?」
美凪「今回だけは特別に見繕ってみます」
美凪「えっへん」
あゆ「見繕うって、意味が違うんじゃ…」
広海「うふふ。楽しいやりとりみたいね」
美凪「うん」
あゆ「…美凪さんが“うん”とかって言ってるの初めて聞いた気がする」
美凪「母娘ですから」
あゆ「…そうだね、そういうもんだね」
神奈「母娘だと口調が変わるものかの?」
広海「遠慮がなくなる、ともいうかもしれないわね」
神奈「ふむ…」
あゆ「えっと、とりあえず四行…かな?」
美凪「そうですね…。では月宮さん、私の母について四行をお願いします」
あゆ「う、うん…」
「とってもやさしそうなお母さんだよね」
「あと、とってもおっとりしてそうなのが…」
「やっぱり美凪さんのお母さんだなーって思うよ」
「でも、という事はやっぱり…」
あゆ「えっと、お米券…持ってます?」
美凪「…どうぞ」
すっ
あゆ「いや、美凪さんじゃなくて…」
美凪「月宮さんはお米券が欲しいのではないのですか」
美凪「私の母からやすやすともぎ取ろうなど、そうは問屋がおろしません」
美凪「まずは私のお米券を完全攻略なさった後にしてください」
あゆ「うぐぅ、持ってるかどうか知りたかっただけだよぅ」
広海「あらあら、それはもちろん…」
美凪「お母さん」
広海「…ナイショにしておきますね」
あゆ「うぐぅ…」
神奈「結局裏がありそうな事になってしまうのだの。恐ろしきことだ」
美凪「…神奈さん、次はどなたの四行ですか」
神奈「えーとだな…いやいや、移ってよいのか?」
美凪「…そうでした。お母さん」
広海「なに?」
美凪「月宮さんの、“おっとり”発言に対してはどう思うの?」
広海「おっとり…そう言われたのは初めてかもしれないわね」
あゆ「普段はおっとりじゃないの?」
広海「今もおっとりに見えるのかしら?」
あゆ「うーん…うん」
広海「そう…。美凪と一緒だとつられちゃうからかしらね」
美凪「…そうかも」
美凪「それだけ、親子でシンクロしてる、のでしょう」
神奈「しんくろとはなんだ」
あゆ「えっと、同調とかそういう意味だね」
神奈「同調、であるか…」
美凪「さて神奈さん。お次の四行は…私でいいですか?」
神奈「ん? おお、そうであるの」
美凪「了解しました」
「お母さん…」
「夢と現と…」
「それは私も同じ…」
「今は、しっかり現在(いま)を見つめて生きています」
美凪「ここは…触れておかなければならないところだから…」
広海「そうなんだけどね…」
美凪「では神奈さん、お次の四行を」
神奈「ちょ、ちょっと待つのだ」
あゆ「うぐぅ、ボクたちがさっぱりわかんないよぅ」
神奈「ちゃんと説明するのだ」
美凪「…ちっ」
美凪「それではご説明いたしましょう」
あゆ「今舌打ちしなかった?」
美凪「…物言いを月宮さんが入れてしまったので、説明は中止にします」
あゆ「え、ええっ?」
神奈「あゆ殿…美凪殿の機嫌を損ねてはだめではないか」
あゆ「うぐぅ、そう言われても…」
広海「夢と現というのは…長い間、私も美凪も…」
広海「大切なものを忘れていて、大切なものをずっと探していた…そういう事ですよ」
美凪「お母さん…」
神奈「ふむ…?」
あゆ「大切なもの?」
広海「それについては伏せておきますけどね」
神奈「結局言いたくない内容であるということだの」
あゆ「そうみたいだね…」
神奈「仕方ないの。では仕切りなおしとして、次は広海殿であるぞ」
広海「私ですか?」
神奈「そうだ。自分で自分を語るのだぞ」
広海「ええと…」
美凪「ガッツ…お母さん」
広海「う、うん…」
「私は…何を語ればいいんでしょうね…」
「それだけ、私はたくさんの時間を失ってしまった気がします」
「今こうしている自分も随分と不思議で…」
「本当はどこにでもいる普通のお母さん、のはずなんですけどね」
神奈「先ほどの、美凪殿の四行と似通っておりそうだの」
広海「いえ、違いますよ」
美凪「いつの間にやら、私は大きく変わってしまった私になってしまった…」
美凪「…そのようなところかと」
あゆ「へ、へえええ…さすが親子だね…」
神奈「それより、いちいち通訳を必要とするのはどうにかならぬのか?」
広海「四行となると緊張してしまって…」
神奈「まだ慣れておらぬのでは仕方ないの」
あゆ「でもねぇ、神奈ちゃん。ふざけた内容じゃないからいいと思うよ」
あゆ「ボクらで遊ぶとか誘拐するとかからかうとか、そんなんじゃないから」
神奈「うむ。まことあゆ殿の言うとおりだの」
神奈「よって、広海殿。何も不審に思うことはないぞ」
広海「は、はあ…?」
美凪「少々話が摩り替わっているようで…」
神奈「こほん。さて、それでは客人を呼ぶぞ! さあまいるがよい!」
澪『こんにちは』
(うんっ、うんっ)
神奈「上月澪殿であるぞ」
広海「まぁ、可愛らしいお嬢さんね。初めまして、美凪の母で遠野広海です」
澪『よろしくお願いします、なの』
広海「えーと、そのスケッチブックは何かしら?」
澪(あせあせっ)
澪『え、えーと、なの』
あゆ「うぐぅ、そういう言葉づまりまで書かなくても…」
美凪「上月さんは、喋る事ができないの。だから、スケッチブックで文字を書いて会話をしているの」
広海「そうだったの…。なんだかごめんなさいね、興味本位で聞いてしまったみたいで」
澪『別に構わないの』
広海「そう、よかった」
神奈「では澪殿。広海殿について四行であるぞ」
澪『がんばるの』
『一見すると普通のお母さんなの』
『でも…何か秘密をもってそうなの』
『と見せかけて、やっぱりなんでもない人のように見えるの』
『それに何より…とってもあったかい気がするの』
美凪「お母さん、あったかい?」
広海「嬉しい…言葉ね…」
美凪「秘密は…持ってる?」
広海「それについては…多分、もう四行で語ったわね」
美凪「…うん」
あゆ「うぐぅ、二人でまとまっちゃってるよ」
神奈「やはり通じ合って者同士がよい…ということかの…」
あゆ「神奈ちゃん?」
神奈「まったくもって…羨ましい限りであるの…」
澪『秘密は、多分無類好きのお米好きじゃないかと思うの』
美凪「…ちっちっち」
広海「娘の方がお米大好きなんですよ」
美凪「そういう事です。でも…」
広海「やっぱり私もお米は好きですね」
美凪「日本人は…お米族…」
広海「そういう事です」
澪『…よくわかったの』
(うんっ、うんっ)
あゆ「うぐぅ、やっぱり二人の世界…」
美凪「そんな事はありませんよ」
あゆ「でも、基本的に通じ合ってるよね?」
美凪「…当然です」
美凪「えっへん」
神奈「なにやら威張っておるが…ええい、次の客人を呼ぶぞ! さあ来るが良い!」
友里「なんでいっつもそんな偉そうに…あんたこそ威張ってない?」
神奈「そうそうに無礼であるの…。名倉友里殿だ」
広海「初めまして、遠野広海です。随分とスタイルがよろしいんですね」
友里「あ、はい、初めまして。そんな、スタイルがいいだなんて…」
美凪「…大きいですね」
友里「あんたどこ見て言ってんのよ…」
美凪「上月さん、大きいと思いませんか」
澪『ふられても困るの…』
(ふるふる)
美凪「月宮さんはどう思われますか」
あゆ「うぐぅ、そう言われても…」
美凪「では神奈さ…いえ、聞くまでもありませんね」
神奈「美凪殿! 今物凄く無礼な事を申さなかったか!?」
友里「何やってんだか…」
広海「それでは、四行をお願いしますね」
友里「あ、はい」
「結構マイペースに見えるわね」
「何かに吹っ切れた…のかしら?」
「とはいえ…この子にしてこの親あり、って見えなくもないけど…」
「似てるのはぱっと見の印象くらいで、中身は結構違うように見えるけどね」
友里「行動パターンからして、内側はそう似てないと解釈したわ」
広海「そうですか…。けど、似てるところもありますよね?」
友里「そうですね…。具体的にどうってのは、挙げるとキリはないと思うけど…」
友里「印象的には、似てるって思ったわ」
広海「そうですか…ありがとうございます」
澪『似てる…の?』
友里「あくまで印象よ。細かく見ればやっぱり違うわけで…」
あゆ「親子は大体似るものなんだよね…」
神奈「という事は余の母上も…」
美凪「…神奈さん」
神奈「な、なんだ?」
美凪「終わりにいたしましょう」
神奈「そ、そうであるの」
広海「ありがとう。色々語ってくれて楽しかったわ」
神奈「い、いや、なんの…」
澪『照れてるの』
神奈「て、照れてなどおらぬ!」
あゆ「神奈ちゃん、こういう時くらい素直になろうよ」
神奈「あゆ殿まで…」
友里「無理してつっぱねてても可愛くないわよ」
神奈「む、むむう…」
美凪「いつか…神奈さんも…」
神奈「ん?」
広海「お母さんに、会えるといいですね。この場で」
神奈「うむ…そうであるな…」
神奈「では! これにてしまいとする!」
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