懲りずに第百五十弾です。
★神奈
あゆ「神奈ちゃんたらまたそんな初対面の人を語ろうとしてる…」
★あゆ
高槻「なんだこりゃ」
★由依
神奈「ふふん、どうだすごいであろう」
★高槻
裏葉「むんっ」
★留美
由依「さすがですねえ留美さん。ご名答です」
★裏葉
高槻「お前、俺を何かと勘違いしてないか?」
<まことに困ったかんきょうだ>
多分一番の要注意人物登場です。
番号がたまたま区切りいいのも何かの縁でしょう。
とはいえ、普通に出したものか縛りつけて出したものか…
ちょっと悩ましいところがあります。
『4行小説』
「人物語り、今回は高槻殿だ」
「…まだ一度もこの場に登場しておらぬがの」
「裏葉が“危険なのでおやめください”と申しておったが…」
「果てさて、一体どのような人物なのかの」
神奈「よいではないか。もう慣れたものであろ?」
あゆ「っていうよりもう諦めたよ。で?」
神奈「なんだ?」
あゆ「その高槻って人は危ない人なの?」
神奈「そうらしいの」
あゆ「佳乃さんみたいな感じ?」
神奈「うーん、そうではないらしいのだが…」
??「てめっ、このっ、離しやがれ!」
裏葉「それはできませぬ。離せば貴方はあっという間に神奈様をてごめにするに違いありませぬ」
??「こんなわけわかんねーとこにつれてこられてんな事に気がいくかよ!」
裏葉「何にせよ、駄目と言ったら駄目でござりまする」
神奈「裏葉!? …と、そこに縄で縛られておるのは…」
あゆ「うわ、恐そうなおじさんだぁ…この人が高槻さん?」
高槻「こんのぉ! 俺はおじさんなんて呼ばれる筋合いはねえぞ!」
あゆ「うわわっ、ごめんなさい!」
裏葉「神奈様、このように暴れん坊の危険人物にございまする。語るなどおやめくださいまし」
神奈「…いいや、それはならぬ、ならぬぞ」
神奈「人物語りは語れるだけ語ってこそ達成されるというもの。語りはやめぬ」
裏葉「そうでございますか…」
神奈「それに裏葉よ、高槻殿の拘束を解くがよい。これでは理不尽な語りにしかならぬ」
裏葉「いいえ、こればかりは神奈様の命令でも聞くわけにはまいりません」
神奈「余を悲しませるでない。裏葉よ、ここでは斯様な暴力沙汰はご法度なのだ」
裏葉「神奈様…。承知いたしました。ですが、この高槻様が狼藉を働きかけたら遠慮はしませぬゆえ」
神奈「うむ」
裏葉「では…」
ばらららっ
高槻「ふう…ったく、一体なんなんだ。いきなりこんなところまでつれてきやがって」
あゆ「え、えーと、ボクが説明していいのかな…」
高槻「あん? なんだお前は」
あゆ「えーとボクは月宮あゆ。えっとね、ここでは四行の語りをやるんだよ。高槻さんについて」
高槻「さっぱり意味がわかんねえな」
あゆ「うぐぅ、そうですよね…」
高槻「はあ〜あ、理不尽に拘束される。わけわかんねえとこにはつれてこられる。おまけに四行しろという」
高槻「お前ら、これ立派に犯罪じゃねえか?」
由依「あなたに言われたくありませんねえ」
高槻「おわっ! …お前は?」
由依「名倉由依です。今回は晴香さんの代理できました。多分晴香さんが今来ると修羅場になるから」
高槻「晴香? …ああ、もしかして巳間の妹、だっけか。そおか、あいつはたしかこの俺が…」
裏葉「むんっ!」
きゅいいい
高槻「ぐわわわわっ!? な、なんだ、頭が痛い!!」
裏葉「みだらな発言もこの裏葉が検閲しておりますゆえ、不快な言葉はもらさぬよう…」
裏葉「しかけた方術により、高槻様の頭に痛みが走るようになっておりまする」
高槻「わ、分かった分かった! 分かったからやめろー!」
裏葉「…ふっ」
高槻「はあ、はあ…とんでもないところだな…」
由依「なんだか孫悟空みたいですねえ。いい気味です」
高槻「てめえ…ちくしょう、拘束されてるほうがましだったぞ…」
あゆ「…ねえ、神奈ちゃん」
神奈「なんだあゆ殿」
あゆ「今回全然展開がわかんないんだけど…」
神奈「そうであるの。裏葉は独自に調べておったようだが…」
神奈「由依殿は勝手に現れるし、余にはさっぱりであるな」
裏葉「さあ神奈様。人物語りの続きをなさいませ」
由依「そうですよぉ。この人が大人しい間に!」
高槻「なんだとお、この…」
神奈「…と、いうわけであゆ殿」
あゆ「う、うん…」
「なんか釈然としないけど…とにかく高槻さんについてだね」
「一目見た時の態度で思ったけど…恐そうな人だね」
「今まで会った人と目つきが違うっていうか…」
「どんな仕事してるのかなあ?」
神奈「おほん。これが四行であるぞ」
高槻「…この場は、こんなもんするために存在してるのか?」
神奈「何か文句でもありそうな目であるの」
高槻「いんや、バカな連中だと思ってな」
裏葉「むんっ」
きゅいいい
高槻「いてててて!!」
裏葉「神奈様にバカなどと無礼千万」
高槻「分かった、謝る、謝るからやめてくれええ!」
裏葉「…ふっ」
高槻「くそっ、絶対ぶっ殺してやる…」
裏葉「むんっ」
きゅいいい
高槻「んぎゃああああ! じょ、冗談、冗談だから! 頼むからやめてくれええ!」
裏葉「…ふっ」
高槻「ふう、ふう…てめえら、俺を拷問しにつれてきたのか?」
あゆ「違うはずですけど…」
由依「いいえ、合ってますよ。晴香さんの敵討ちです!」
あゆ「晴香さんって亡くなってないでしょ?」
由依「でも、そりゃあ酷い目に遭わされたんですよお、この高槻って人から」
由依「事情を聞いたあたしはもう…すっごい吐き気がしたんですから!」
あゆ「へ、へえ…」
神奈「斯様なことはまた別の機会にせぬのか…。今回は高槻殿について語るがゆえ…」
神奈「さて、話が途中になっておったの。高槻殿の仕事とはなんだ?」
高槻「なんだいきなり」
神奈「いきなりではない。あゆ殿が四行の中で尋ねておったではないか」
高槻「俺の仕事か…。俺はな、ある施設の研究員だ」
あゆ「薬?」
高槻「どういう結びつきだ。そうだな、たとえるなら…」
由依「では次はあたしですねえ」
高槻「おいこらお前、遮ってんじゃねえよ」
由依「ここでは犯罪者に自由な発言権は無いです!」
高槻「犯罪者だとぉ?」
神奈「ええい進行役を差し置いて勝手に話を進めるではないわ!」
神奈「由依殿、今はあゆ殿と高槻殿の会話であるぞ? 切ってはならぬ」
由依「…ごめんなさぁい」
高槻「はーん。ここじゃあ進行役とやらが一番偉いのか?」
神奈「そのはずなのだが…」
高槻「なんだ、違うのか?」
神奈「進行役などほったらかしで進まれることがしょっちゅうであるからの…」
高槻「遠い目すんなよ…」
あゆ「えーっと、ボクの質問について、続きいいかな?」
高槻「あー…報復が恐そうだからまた今度にしてくれ」
あゆ「…神奈ちゃん、断られちゃったよ」
神奈「高槻殿、もくひけんはここにはないぞ」
裏葉「ああ、神奈様がまたそのようなヒネた言葉を…」
由依「ヒネてはないと思いますけど…」
高槻「迂闊なこと喋ると頭痛めつけられるしな。制限解いてくれたら喋れなくは無いぞ」
神奈「ううむ、ならば…」
留美「騙されちゃ駄目よ」
あゆ「あっ、留美ちゃん」
留美「なんだかんだ理由つけて、自分の拘束解くつもりなのよ。それで暴れるんだわ」
由依「うわっ、やっぱり」
裏葉「安心なさってくださいませ。最後の縛りは絶対に解くつもりはございません」
高槻「俺ってそこまで信用されてねえのかよ…」
神奈「それより留美殿。進行役に断りなく入ってくるのはいただけぬぞ」
留美「いいじゃない今回くらい」
神奈「…ええい、もう次の人物へゆくぞ! さあ由依殿、早く語るが良い」
由依「あっ、そうしますねえ」
「高槻さんはねえ…」
「とっにかく、嫌な人なんです!」
「もうなんでこんな場にいるんですかってくらい!」
「よく語る気になりましたねえ…」
あゆ「っていうより、そういう順番で語る人の名前が台本に並んでるからでしょ」
由依「台本? いいかげんですねえ…」
神奈「うっ…あゆ殿、余計な事を言うでない!」
由依「でもそういうことなら納得がいきます」
留美「そんな台本作ったの誰よ」
神奈「今のは裏葉から貰ったものだが…そういえば裏葉は高槻殿を語るのに反対しておったの?」
高槻「てめえ、それならなんでつれてきやがった」
裏葉「神奈様がいかなる人物でも語ると申されるかどうか…うう、神奈様立派になられて…」
高槻「…お前何か誤魔化してないか?」
神奈「まあよい。ところで、高槻殿を飛ばしておった。さあ語るがよい」
高槻「あん? 何を語るんだ」
神奈「おぬしについて四行だ。はようするがよい」
「って、すでに始まってんのか。まったく理不尽な場だな」
「ま、理不尽についてはあまり俺が言えるもんでもないが…」
「だいたいここの主旨はなんだ。この四行に何の意味があるんだ」
「好きな事もできやしねえ、まったく不便だ」
きゅいいい
高槻「いててててて! や、やめろー!」
裏葉「神奈様が高槻様について四行と申し上げましたのに…なんたるていたらくでございますか」
高槻「わ、わ、悪かった、だからやめてくれー!」
裏葉「神奈様、このまま次の方へ移ってくださいませ」
神奈「い、いや裏葉、その辺で…」
裏葉「何か不都合でもおありですか?」
神奈「…ない」
あゆ「なんか裏葉さん、今回はいつもにもましてピリピリしてるね」
留美「そりゃ、要注意人物相手じゃあ無理もないでしょ」
由依「しかも神奈さんの貞操がかかってますからねえ、必死にもなります」
神奈「で、では留美殿。四行をするがよい」
高槻「ぐわあああ、助けてくれえええ!」
「なんか…すっごく哀れに思えてきたわ…」
「結局、力で抑えつけられてる側って、かわいそうよね」
「たとえこれが過去の代償だとしても…」
「でも、それだけのことをしてきた人物、ってことなのかしらね」
留美「どれだけひどいことしてきたの?」
由依「それはもう、ここでは語りつくせないくらい…」
高槻「ぐああああ…」
あゆ「あのう、裏葉さん。そろそろ止めてあげたら…」
神奈「裏葉よ、勘弁してやるがよい」
裏葉「…ふっ」
高槻「…ふう、ふう…くっそう、今日は厄日だ…」
裏葉「貴方様が登場するときは必ず厄日になるのでございますよ」
高槻「てめえ、そりゃどういう意味だ…」
裏葉「うふふふ、それでは私が四行まいりますね」
神奈「う、うむ…(うーむ、今回はかなり失敗であるの)」
「たしかに、このように拘束されておりますと不憫に見える高槻様」
「しかしながら、いざ自由になると…それはもう、とんでもないのでございます」
「本当ならば裏葉は柳也さまを更にお連れしておきとうございました」
「それほどに危険な力の持ち主なのでございます」
裏葉「しておりませぬ」
高槻「現に、俺は不可視の力だとかってのは何にも持ってないんだぞ?」
高槻「この神奈と一対一なら負けないとは思うが…今は多勢に無勢だろが」
裏葉「注意はしすぎるにこしたことはございませぬ」
由依「さっすが裏葉さんですねぇ」
高槻「けっ…」
神奈「うーむ…高槻殿」
高槻「なんだ」
神奈「次回来る時は普通にくるがよいぞ」
高槻「ほう、お前はそれなりにわかってるみたいだな」
留美「ちょっと、心を許しちゃだめだって」
神奈「しかし…」
裏葉「神奈様。油断なさりますと、とりかえしのつかない事になるのでございますよ?」
あゆ「心配していることはわからなくもないけど…」
裏葉「仮に佳乃様が連れてこようとすれば、あっという間に高槻さまに手篭めにされ…」
裏葉「その後、聖さまの手によって高槻さまは生きたまま解剖される…という筋書きが…」
高槻「お、おいちょっと待て! なんだ生きたまま解剖って!」
留美「…恐いわね」
由依「恐すぎですねぇ…」
あゆ「聖先生なら…たしかにありえそうだね…」
高槻「そいつの方がよほど危険人物じゃないのか?」
裏葉「先に手を出したのは高槻様ではございませんか」
高槻「だから俺は手を出さねえっての!」
神奈「あー、もうよいもうよい。ともかく高槻殿。命が惜しくば妙なマネはせぬことじゃ」
神奈「余には止められぬ…」
高槻「…分かった。って、何で初登場でこんな警告かけられにゃならん…」
留美「あら、ひょっとして和解した?」
由依「それはよかったですねぇ」
あゆ「うぐぅ、和解じゃないと思う…」
裏葉「では神奈様、最後に締めの言葉を」
神奈「う、うむ…。これにておしまいとする!」
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