懲りずに第百三十九弾です。
★柳也
神奈「いきなりなんたる無礼を申すか柳也どのは」
★神奈
裏葉「あらあらまあまあ、やっとお気づきあそばされたのでございますね」
★柳也
裏葉「では、まずは戦の場面からまいる事にいたしましょう」
★裏葉
神奈「…柳也どの、余はもう終わりとう思ってきたぞ」
★柳也
神奈「…それは余に対するあてつけか?」
★裏葉
柳也「つまりは中途半端か?」
★神奈
裏葉「あらあらまあまあ…。神奈さま、可愛いと美しいとかけておるのはすばらしくございます」
<なかなかなかなか…>
TVアニメ版AIR観賞記念特別企画その4です。
今回はsummer編。アニメ版では非常に走り走りでなんじゃこりゃと思ったのですが…
後に特別編が作られるというのは非常に楽しみです。
結局のところ、放映中は時間の都合上仕方なかったのでしょうな…。
『4行小説』
「今回は、てれびあにめ版についてその4だそうだ」
「お題と内容と参加者は…もう分かりきってるだろうから省略するぞ」
「それにしても俺が進行役というのも久しぶりだな…」
「作中に負けぬように、神奈をからかわねばなるまい」
柳也「これがお約束ってやつだぞ」
神奈「斯様な約束などいらぬわ!」
裏葉「では早速…」
ぴとっ
神奈「なんのまねだ?」
裏葉「裏葉は神奈様をいとしゅう思うておりまする」
神奈「ええい暑苦しい、離れぬか!」
ぴとぴとっ
神奈「離れずによけい引っ付くでない!しかも柳也どのまで!」
柳也「いや、こういうのは成り行きってやつでな…」
裏葉「世間には押し競饅頭という遊びがございまする。それを模倣いたしましょう」
神奈「寒いときならよいが今は暑いと申しておろうが!さっさと離れよ!!」
ぴとぴとぴとぴとっ
裏葉「更に更に寄り添わせていただきまする」
柳也「やれやれ、これは本当に暑苦しいな」
神奈「やめんかー!!」
すすすすっ
裏葉「では、気を取り直して四行に移るといたしましょう」
柳也「そうだな。掴みは十分だ」
神奈「ふう、ふう…おぬしら、余で遊んでおるな?」
裏葉「何をおっしゃいます。これは自然の摂理…そう、神奈様の摂理でございまする」
神奈「そのような飾り立てた言葉を使うても無駄じゃ!余はもう学んだぞ!」
裏葉「あらあらまあまあ…。こうして神奈様に怒鳴られておりますとまるで…」
柳也「浅知恵で悪賢くなった探偵気取りの箱入りお嬢様とその後始末をいつもしている助手、みたいだな」
裏葉「まあまあ、それは訝しいたとえでございますね」
神奈「…誤魔化したであろ?」
柳也「大丈夫だ、神奈に一番手を譲ってやるぞ」
神奈「ええい、そのような強引きわまる誤魔化し方は聞き飽きたわ!」
裏葉「神奈様。いつまでも拗ねてないで四行なさってくださりませ」
神奈「まったく、しようのないの…」
「こたびは、見事に余の心うちを描いてくれておったの…」
「母上に会いたい想いに、柳也どのと裏葉との暮らしに…」
「そして、結構余は赤くなっておったな」
「やはりこうしてみると、余は照れ屋なのだの」
神奈「何がじゃ」
裏葉「いつもいつも神奈様は顔を赤らめて…可愛いございます、愛しうございます」
ひしっ
神奈「だから抱きつくでない!」
柳也「今赤くなってるが…それは照れてるんじゃなくて、怒って赤くなってるみたいだな」
裏葉「あらあら、そうなのですか?神奈様」
神奈「見てわからぬか!いいから早く離れよ!!」
すすっ
裏葉「残念にござりまする」
柳也「ところで母君の話題が出ていたが…」
神奈「今回の語りには登場せぬのか?」
柳也「登場すれば、この場では初の対面という事になるがな。生憎…」
裏葉「わたくしめの力及ぶところではございませんでした。申し訳ありません…」
神奈「そうか…。残念だが、抗えぬ運命ならば受け入れねばなるまい」
柳也「なあに。今お前がやってる人物語りをこなし終える頃にはきっと会えるさ」
神奈「ふふふ、心配するな柳也どの。実は佳乃殿がいずれ連れてくると言ってくれたのだ」
柳也「そうなのか?」
裏葉「それは確かな情報にございまする。ただ、いつかは存じ上げませぬが」
柳也「ふうむ…。まぁ焦っても仕方ないな。さて、楽屋的話はここまでにして、話を戻すぞ」
神奈「母上の話だな」
裏葉「そう…でよろしいのですか?」
神奈「もちろんだ。思い出すのも辛いが、大事な場面であるからの」
柳也「あっさりとやられてしまいすぎ、というところか?」
神奈「そうであるの…。まったく、劇場版といい此度といい、どうして母上はこうも蔑ろにされるのだ」
裏葉「劇場版はどうか知りませぬが、今回はやはり時間の都合なのでございましょうね」
柳也「暗い部分はもういい。正直、すごい力だ、神奈も八百比丘尼殿も」
神奈「翼人を甘く見るでないぞ。まぁ、だからこそ呪いの力も凄かったのであるがな」
裏葉「神奈様、その話に移られてしまってはもう終わってしまいまする」
神奈「う、うむ、そうであるな。…では、お手玉の話をいたすとしよう」
柳也「お手玉か…。ずっと不器用だったな、お前は」
神奈「くっ、返す言葉も無いの…。余の完敗であるのは間違いない」
柳也「だいたい、力みすぎだ。いきなりでやっと思い切り投げるのはどうかしてるぞ」
神奈「…だんだん腹が立ってきたぞ。そこまで申すほどのものではないであろうが!」
神奈「柳也どのも柳也どので、くるみ割りの披露がなかったであろうが!」
柳也「全然関係ないぞそれは…」
裏葉「まあまあ、神奈様の可愛らしいこと。こうして神奈さまのお戯れを聞いてるとまるで…」
柳也「皿洗いをしてたら手が滑って食器を割ってしまい、悪いのは洗剤の所為だと言い張るばいととその仲間のようだ」
裏葉「まあ柳也さまったら、随分と現代的なたとえですね」
柳也「ずっと前に読んだ横文字辞典を思い出しただけだ。もっとも、色んな奴から現代の事は聞いたしな」
神奈「もうよい。余のことはこれくらいにして、次は柳也どのが四行をせよ」
柳也「進行役は俺なんだが…まぁ今回はそれもほとんど関係ないな。よしやってやろう」
裏葉「柳也さま、おもしろおかしいものを期待しておりまする」
柳也「いや、そう言われも困るが…」
「先ほどからいくつかたとえ話が出てきておるが…」
「作中ではこれをとかく出しておったのが印象的だな」
「おそらくは制作側として注目しておきたい部分であったのだろう」
「後俺の名場面といえば、やはり戦い…戦いの場面だろうな」
神奈「戦…そういえば、余の命じた部分もしっかり描いておったな。よいことじゃ」
柳也「人を殺めることは許さぬ、か…。そしてまた、それゆえに俺は深い傷を負ってしまう…」
柳也「あの時ずいぶん神奈は気にしていたが、なあに深く思いつめる事は無いんだ」
神奈「悲しむ余に、柳也どのが“死ぬなと命ずればよい”と申したのは、まことに…」
神奈「まことに、胸がいっぱいになったものだぞ」
裏葉「いい雰囲気でございますね。柳也さまが頼りになる証拠にございまする」
神奈「うむ、そのとおりだ」
柳也「面と向かって言われるとむずがゆくなるな…次の話題に移ってくれ」
裏葉「まだでございますよ柳也さま」
柳也「なんだ。まだ何かあるのか?」
裏葉「千本の刀を集めんがために、さる橋の上で幾人もの武士を襲っておりましたが…」
裏葉「ある日現れた、翼人の子女にどすんと一撃を食らわされ…」
裏葉「その見事なお尻に心を奪われてしまい、改心したというお話が…」
柳也「なんの話だそれは…」
神奈「しかもその翼人とは余のことかの?」
柳也「だろうな。作中でも神奈は見事な尻をしておった」
裏葉「そうでございますね。こんな風に…」
さわさわ
神奈「ええいっ!やめんかこの痴れ者が!!」
柳也「俺は撫でておらんぞ」
神奈「分かっておるわ!今のは裏葉だな!?」
裏葉「さて、気が済んだので次の話題に参るといたしましょう」
神奈「…まったくおぬしは…」
柳也「と、神奈に呆れられてるとまるで…」
裏葉「まるで、ずっと大根役者だった新入りが初めて立った主役の舞台で大成功を収め…」
裏葉「そこで調子に乗った新入りにたしなめられている古株の役者達…でございますね」
柳也「…長すぎだぞ。しかもよくわからん」
神奈「まったくじゃ…」
裏葉「うふふふ。というわけで、次なる話題は柳也様がよくなされますたとえ話についてでございます」
裏葉「やっぱり、私が“まるで”を言い出して、柳也さまがたとえを出すべきでございますね」
柳也「裏葉の場合はかなり捻りすぎてしまうのだろうな」
神奈「柳也どのも柳也どので、たまによく分からなくなるぞ」
柳也「そうか?ぴったりなたとえではないか。特にじゃじゃ馬な姫を連れて逃げたなど、最高この上ない」
神奈「誰がじゃじゃ馬じゃ!」
裏葉「当然、神奈様でございます。しかしながら、そのような神奈様も麗しゅうございます」
ぴとっ
神奈「…なぜひっつく?」
裏葉「神奈様は磁石をご存知ですか?二つの極をもち、片方は片方に惹かれあう…」
裏葉「それはもう、ここはまさにそれなのでございます」
ぴとぴとっ
神奈「言ってることがよくわからん上に、また柳也どのもひっつくでない!」
柳也「まあなんだ、こうして身を寄せ合っているとまるで…」
裏葉「まるで、可愛らしい婦女子に、あーんな事やこーんな事を教えようとしている大人の場面…でございますね」
柳也「…危ないたとえだな」
神奈「ええい、たとえなどもういいから早うはなれぬか、暑苦しい!」
ぴとぴとぴとぴとっ
神奈「だから何故余計にひっつくのじゃ!!」
裏葉「神奈さま。北風と太陽のお話はご存知でございますか?」
裏葉「ある旅人の衣を脱がそうと競うのでございますが…」
裏葉「風で無理矢理衣を剥ぎ取ろうとした北風より、熱気をあて自然と脱がせた太陽に軍配があがったのでございまする」
神奈「つまりは何が言いたいのじゃ」
柳也「要するに、こうしていれば神奈も自然と何かをしてくれるだろうという事だ」
神奈「何かとはなんじゃ!いいからとっとと離れぬか!!」
すすすすっ
裏葉「…はぁ、神奈様はちと冷とうございまする」
柳也「まったくだ」
神奈「こらこらこら、そんな端まで離れろとは言っておらぬ」
裏葉「さようにございますか。では…」
ぴとっ
柳也「では俺も」
ぴとっ
神奈「ええいっ、やめんか!これでは作中と原作の繰り返しではないか!!」
すすすっ
裏葉「と、こうして神奈さまのお戯れをお聞きしておりますとまるで…」
柳也「商売上手な売り子にあれもこれもと品を売りつけられて、ほとほと参っている客人だな」
裏葉「あらあらまあまあ、それはまた実に困ったたとえでございますね」
裏葉「ちなみに返品は可能でございますか?」
柳也「なんだそれは…。一度買ったものは戻せまい。神奈とはそういう売り子だ」
裏葉「あらあら、それは頑固な売り子でございますね」
柳也「そのとおりだ。やれやれ、他の客人も大変だな…」
神奈「勝手に二人して何を盛り上がっておるか!何故余がそのようなたとえ方をされねばならぬのだ!」
柳也「と、いいかげんからかったところで次の話題に移るか」
裏葉「そうでございますね」
神奈「くうう…やっぱり余で遊んでおるな…」
柳也「拗ねるな拗ねるな。次は裏葉だ、きっといい話題を作ってくれるぞ」
神奈「ますます余は心配だ」
裏葉「あらあら神奈様。斯様な事は四行が終わってから仰ってくださりませ」
「げに可愛らしきは神奈さまの寝顔…」
「また、神奈さまは何を着てもお似合いで、可愛らしゅう…」
「呪いの最中にある神奈さまはなんともおいたわしゅうございましたが…」
「やはり神奈さまは可愛らしい…これに尽きるのでございます」
柳也「珍しく意見が合いそうだな。だがしかしこれもさだめだ。まずは…寝顔か」
裏葉「受け止めてくださって嬉しゅうございます、柳也さま」
神奈「やはり余で遊びたいらしいの…」
裏葉「まあ神奈さまったら。寝顔が可愛らしいのはご自慢なさることでございますよ」
神奈「それは違うと思うがの…」
柳也「拗ねるな。“もう余はおなかいっぱいじゃ…”とのたうち回る姿は絶品だ」
神奈「そんな事を余は言うたおぼえはない!」
柳也「寝言だからな。覚えてなくても無理は無い」
神奈「…やはり余は不快であるぞ」
裏葉「では違う寝言の…いえ、あれは寝返りでございますね。そのお話をいたしましょう」
柳也「寝返りの話?」
神奈「なんだそれは」
裏葉「それは森の道中…柳也さまの膝枕で眠る神奈さまが、懸命に足と手を動かしてらっしゃるのでございます」
裏葉「動かすと申しましても、右足が主に足首より先、左足は左右にあちらこちらと」
裏葉「そして両の手は、多少左右に揺れはしますが、一番動いてらっしゃるのは指先でございました」
柳也「そんな場面あったか…?」
神奈「とんと記憶に無いのだがの…」
裏葉「後から確認いたしますと、それはこんさあとという舞台の夢…」
裏葉「神奈さまが、鍵盤楽器とやらを懸命に奏でていたのでございました」
裏葉「そう、私や柳也さま。そして母君様が見守る中で…」
神奈「ほ、ほう…。さっぱりわからぬが、なかなか凄そうな夢ではないか」
柳也「裏葉、本当にそれは何の話なんだ?」
裏葉「うふふふ…立ち消えになってしまったさる絵の空想…とでも言いましょうか、それなのでございますよ」
柳也「ふうん???」
神奈「裏葉独自の話、というわけなのだの」
裏葉「それについてはここまでにいたしまして、次はお着物についてでございますね」
柳也「着物か…。着せ替えは2,3回ほどしかできなかったとかいう話か」
裏葉「言われてみれば…。うう、もっと神奈さまで着せ替えをしとうございました…」
神奈「そのような捻じ曲がった希望をはくでないわ!」
裏葉「神奈さま」
神奈「な、なんじゃ?」
裏葉「こうなったら今お着替えなさいましょう。実はここに観鈴さまの学校の制服が…」
柳也「いつそんなもん借りてきたんだ」
裏葉「それは企業秘密でございます。…さぁ、神奈さま」
神奈「や、やめぬか!だいたいその服ならばさる書物にて余はかなり着ておったわ!」
柳也「変な情報を仕入れたようだな…」
裏葉「いけませんねこれは…。しかしながら、それならそれで別の着物があるのでございますよ」
ごそごそごそ
裏葉「観鈴さま特選、がおがおてぃーしゃつでございまする」
柳也「お前なんつーもん借りてきてるんだ」
裏葉「きっと神奈さまにお似合いでございまする」
神奈「この痴れ者が!なんでもかんでも着せようとするでないわ!!」
神奈「第一それでは、余の背丈に合わぬではないか」
裏葉「大丈夫でございますよ。これ一枚のみを身につければ…」
裏葉「下は無防備なれど、殿方の注目度は最高にございまする」
神奈「…柳也殿、裏葉から衣服を奪い、川に投げ捨ててくるのじゃ」
神奈「これは命令じゃぞ?」
柳也「気持ちはわからんでもないが、あれは観鈴からの借り物だ。捨てるわけにはいかんだろう」
神奈「そうであった。しかしであるな…」
柳也「まあそういうわけだから裏葉。せいぜい見せるだけに我慢しておけ」
裏葉「至極残念にございまする。さすれば…」
神奈「ま、まだ何か出すつもりなのか?」
ごそごそごそ
裏葉「これなら文句はありますまい。劇場版にて晴子さまが身につけておられました…」
裏葉「すけすけねぐりじぇにございまする。これで殿方もいちころにございまする」
神奈「…柳也殿、やはり裏葉が持つ着物を捨ててまいれ」
柳也「だから駄目だっての。おい裏葉、いいかげんにしておけよ?」
裏葉「はあ…。折角神奈さまがお色気を見せる機会というのに…」
裏葉「仕方ありませぬ。では…」
ごそごそごそ
裏葉「これは冬場に身につければ至極あたたかい、だっふるこーとにみとんにかちゅーしゃにございまする」
神奈「…今度はあゆ殿から借りてきたのか?」
裏葉「ええ。“うぐぅ、是非神奈ちゃんに着せてあげてね”と申しておりました」
柳也「いや、多分それは嘘だろ…」
神奈「まあそれくらいならば許容範囲であるがの…いや、これもまた余の背丈に合わぬぞ?」
裏葉「大丈夫でございますよ。下には…」
ごそごそごそ
裏葉「この、名雪さまよりお借りした、けろぴーぱじゃまにお着替えなさいませ」
神奈「…柳也どの、はよう次の話題に移らぬか?」
柳也「そうだな…。裏葉がわざわざこれだけ用意していたのも驚きだが…」
裏葉「着てくださらないのでございますか?」
裏葉「多くの方々にご協力いただきましたのに、これではあんまりでございます…」
神奈「協力もなにも、裏葉の選ぶ着物が悪すぎるのだ!もう少し考えぬか!」
裏葉「ううう…おいたわしや…」
裏葉「神奈さまもお年頃。少しはおめかしをと思いましたのに…」
神奈「だから余はその着物の選択がおかしいと申しておるのだ!」
柳也「…いいかげん話を元に戻すぞ。神奈の着物、振袖と村娘の着物についてだな」
裏葉「柳也さま。今更それについて語れと仰るのですか?」
柳也「たしかに今更ではあるが…」
裏葉「だから私は、斯様な着物をたくさん持参したのでございますのに…」
裏葉「神奈さまがいけずにございますから…」
神奈「ええい、いいかげんにせぬか!」
柳也「…もう着物についてはいいか。では次の話だ。呪いがどうとか…」
裏葉「柳也さま…まだ途中でありますのにさっさと次に移られるとは…」
柳也「いつまでも神奈をからかっててても仕方ないだろうが」
神奈「まったくそのとおりであるぞ」
柳也「この場の主旨ではあるがな」
神奈「…そのような主旨は捨ててしまえ!」
柳也「さて、呪いについて話を戻すぞ。この物語のある意味根幹を成すものを」
裏葉「随分と大袈裟な言い回しでございますが…これからすべてが始まったともいえるのでございますね」
柳也「太古の昔からの星の記憶との関わりがあるとかなんとか…どういう事だ神奈?」
神奈「余に尋ねるなど百億万年早いわ」
裏葉「あらあら神奈さま。それは単位がまちごうてございますよ」
神奈「う…。と、ともかく余に尋ねるでない!」
柳也「重要人物なのにあまり知らないのだな」
神奈「仕方ないであろ…。まだ余は若いのだ」
柳也「微妙な言い回しだな…」
裏葉「それらを含めて、神奈さまはやはり可愛らしゅうございまする」
柳也「もう結論にいくのか?」
裏葉「細かい設定の話については、他の場所にお任せなさりませ」
裏葉「きっとそちらの方が、より分かりやすくなるかと存じまする」
神奈「他の場所…なんだそれは?」
裏葉「企業秘密にございます。うふふふ…」
神奈「………」
柳也「まぁ、裏葉がそういうのなら仕方ないな。ならばここで終わりか」
裏葉「お待ちくださいませ。こうもあっさり終わってはつまらぬというもの」
裏葉「更なる話題をもうけようではありませぬか」
柳也「あっさりでも無いと思うが…まだ何かあるのか?」
裏葉「折角柳也さまのたとえが光った放映でありますゆえ…」
裏葉「各々、何かしらのたとえ話を出すのはいかがでございましょう」
柳也「たとえ?ふむ、それを四行でやるという事か」
裏葉「左様にございます」
神奈「もうよいではないか。夏には特別編とやらも出るのであろ?ならばきりがよいではないか」
柳也「お前がそんな俗世間めいた台詞をはくな。まったく…」
裏葉「そうですよ神奈様。それは私の台詞にございます」
神奈「別によいではないか。して、終わりにしないのであればはようするがよいぞ」
柳也「随分急かし気味だが…。まあいい、まずは俺からしておくとするか」
「実は俺たち三人が集まるというのはこの場では、前回劇場版を除けば久々であるという」
「繋がりが深くありながら、このように久々という言葉が飛び出しておるのはまるで…」
「射た矢のように家を飛び出していったわがまま娘を、ようやく連れ戻したその両親…」
「と、そんなところか」
柳也「いや、そうともとれるな、というたとえだ」
裏葉「つまりは、別の視点からみたたとえでございますね」
柳也「そういう事になるな。第一、俺自身があまり参加に乗り気でないしな」
神奈「柳也どのも積極に出ればよいのだ。ただし裏葉が積極的に出ている時に限り」
神奈「さすれば、上手く調整もつこう」
裏葉「神奈さま。それはすなわち、柳也さまにわたくしめを抑えろと、そういうことなのでございますか?」
柳也「それまた大胆な命令だな」
神奈「…命令ではない。これは余の提案だ」
裏葉「提案でございますか。どうなされますか?柳也さま」
柳也「…どっちにころんでも俺はないがしろにされそうだが…それはその時々、という方向にする」
裏葉「さようにございますか…。では私も時と場合を見計らうことにいたしましょう…」
神奈「…ひょっとして、余は余計な事を言うてしもうたかの?」
柳也「さあな…。さて、次は裏葉か」
裏葉「たとえの話でございますね?わかりもうした」
「今更ながら、私たちの言葉づかいは…」
「今も昔もそしてこの先も、混合入り乱れてございまする」
「斯様な言葉遣いはまるで…」
「あたらしものでよいと思うて取り入れたはいいが、すぐに飽きて投げ出す姫君のようでございますね」
裏葉「そうでございます。神奈さま、気をつけてまいりましょう」
神奈「…さっきから余をたとえの種にしておらぬか?」
裏葉「気のせいではございませぬか」
柳也「そうだ」
神奈「わがまま娘だの、飽きて投げ出す姫君だの…余に対するあてつけにしか聞こえぬぞ?」
柳也「なんだ、そういう風に呼ばれうる自覚はあったのか」
神奈「…そのようなものはないわ!」
裏葉「自覚が無いのでございますか?それは困りましてございますね…」
神奈「余にどうしろと…」
裏葉「自覚はございますか?」
神奈「…あるぞ」
裏葉「それはよろしゅうございました。では神奈さま」
柳也「最後にたとえを出して締めだ」
神奈「むぅ、やはり余は遊ばれておる…」
「毎度毎度、余は誰かれにもてあそばれからかわれておる…」
「いたいけな少女でありながら斯様ないじめを受けるとはまるで…」
「本人が意識してはいないが美しいがために、別の輩に毒を盛られて死にかける…」
「悲劇の少女であるような気がしてならぬ」
裏葉「しかしながら、神奈さまを死に至らしめるなど…」
裏葉「いくらなんでもたとえが過ぎまする。斯様な事は断じてありませぬゆえ」
柳也「強調したいところは分かるが、行き過ぎのたとえを神奈は出しているのだと思うぞ」
神奈「そのとおりだ。柳也どのはよくわかっておるな」
柳也「もっとも、本人が意識していないがというのはどうだかな」
神奈「やはり柳也どのも無礼であるな…」
裏葉「神奈さまはもっと意識なさって構いませぬ。神奈さまは可愛いのでございますから」
柳也「お前が言うとどうも曲がって聞こえるのだが…」
神奈「もうよいもうよい。これまでにしてさっさと終わらぬか」
柳也「なんだ、疲れたのか」
神奈「柳也どのが締めろと申したではないか。だから終わりにいたせ」
裏葉「なぜに早く終わりたいのでございますか?これからが本領発揮…」
柳也「神奈の言うとおりだなと思って終わろうと思ったのに…まだ何かやるつもりかお前は」
裏葉「神奈さまの可愛らしいところから四行を…」
柳也「…もう終わるぞ、本当に」
裏葉「ああっ、柳也さま!」
神奈「ふう、ようやく終わるか…。今回はやけに長かったの…」
裏葉「裏葉はまだまだ語り足りませぬ!神奈さまのあーんなところやこーんなところを…」
裏葉「お着替えの場面も交えてお話しようと思うておりましたのに…」
神奈「そのような場面など申さなくてよいわ!」
柳也「はいはい、本当に終わり。俺も疲れた」
裏葉「では…疲れを癒さんがために…」
神奈「柳也どの!早く締めるのだ!」
裏葉「神奈さま!遮ってはなりませぬ!」
柳也「まったくもって騒がしいことだな…。とにかくこれで終わりだ!」
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