懲りずに第百二十六弾です。
★観鈴
柳也「お前が司会か…俺がやってもよかったんだぞ?」
★裏葉
柳也「…そういう解釈でいいのか?」
★柳也
観鈴「わ、すごく厳しい意見っぽい」
★神奈
柳也「まったくだ。あんなに女らしい神奈なぞ、一生かかっても見えんな」
<たっぷりであるな>
劇場版AIRでの、裏で動いてるSummer編メンバー。
見る前は、劇場版ではSummerやると聞いてたんだけどなあ…
この部分についてはかなーり期待はずれでしたわ。
てゆーか裏葉さんの存在意義がかなり…。
『4行小説』
「劇場版AIR公開記念パート2」
「今回は、劇中でも語ってた過去パートの登場人物…」
「Summer編のメンバー中心っ」
「司会は観鈴ちん。テーマは劇場版について思うこと」
観鈴「往人さんから、“劇中で観鈴が語ってたし何より縁が深いから司会やってこい”って任されたの」
神奈「殊勝な心がけよの、観鈴どのは」
観鈴「神奈ちん、観鈴ちんでいいよ」
神奈「いや、今回は特別企画ゆえ、余は至極真面目に通すことにするぞ」
柳也「普段が不真面目な分違和感がかなりあるだろうが、どうか気にしないでくれ」
神奈「柳也殿!余はいつも真面目であるぞ!?」
柳也「しかし今真面目にといっただろう。つまり普段は不真面目だという事ではないのか」
神奈「“至極”という文字をぬかしておるわ!」
観鈴「にはは…神奈ちんも柳也さんも劇中とは大違い」
柳也「そうだ、そのとおりだ。何が神奈さまだ。神奈と呼べばいいものを…」
柳也「しかも物凄い敬語尽くしではないか。あれではますます俺の立場が…」
神奈「何を勝手に申しておるか!余の方が更に違っておるわ!」
裏葉「ううう…神奈様があのようにおしとやかになられて…ううう…」
観鈴「わ、裏葉さん泣いてる」
神奈「裏葉…裏葉はあのような言動の余がいいと申すのか?感涙になどむせびおって」
裏葉「うう、確かにあのような神奈さまも愛しゅうございますが、違いまする神奈さま…」
柳也「裏葉はほとんど出番が無かった事を嘆いてるんだな」
裏葉「うう、そのとおりでございます…」
神奈「たしかに…ただ余と親しいだけの女官という存在であったの…」
裏葉「ううう…あんまりでございます…」
柳也「気の毒だがな。話の都合上は仕方ない、我慢しろ」
裏葉「ううう…」
観鈴「けど…三人ともそんなにたくさん出番があったわけでもないよね?たまに語りで出てきて…」
柳也・神奈・裏葉「「「………」」」
観鈴「あ、あれっ?」
神奈「観鈴どの、それは禁句であるぞ?」
観鈴「わ、ごめんなさい」
柳也「話の都合上仕方ない事ではあるがな…」
裏葉「柳也さまは話の都合で片付けてしまわれるおつもりですか?」
柳也「事実そのとおりだろ。あの劇場版は、俺と神奈と裏葉の仲良き時間を映したものではない」
柳也「あくまで、俺と神奈の恋愛物語、として語られているのみだ…いや、それだけでもないがな」
柳也「だから納得するしかないと思うが、どうだ?」
裏葉「はあ…たしかに神奈さまと柳也さまは契りを交わされておりましたが…」
柳也「それと何の関係が…」
裏葉「大有りでございます。満足されてしまうと人は薄情となるものでございますね…」
柳也「どういう意味だ」
裏葉「言葉どおりでございます」
神奈「いいかげんにせぬか裏葉!一人拗ねておるでない!」
観鈴「が、がお、話が進まない…」
神奈「見るがいい、観鈴殿が困っておるではないか」
裏葉「…では神奈さま。まずは一つお願いがございます。聞いていただければ私は拗ねずに元に戻りましょう」
神奈「余に願いだと?なんだ、申してみよ」
裏葉「劇中の台詞を一つ喋ってくださりませ」
神奈「な、なななな!?」
裏葉「難しいことではありますまい?柳也様に語りかければよいのです」
神奈「う、うむう…」
裏葉「やってくださらぬのならば…わたくしめがあーんな事やこーんな事を…」
神奈「わ、わかった!余はやるぞ!」
裏葉「うふふふ、ありがとうございます」
観鈴「ねえ柳也さん。どういう意味があるの?」
柳也「知らん。どうせ裏葉が遊んでるだけだろ…」
神奈「こほん。ではいくぞ。…その前にどのような台詞があったかの?」
裏葉「覚えておらぬのならば、雰囲気でよろしいので再現なさってくださいませ」
裏葉「そうそう、もちろん柳也様もお返事をなさるのですよ。よろしいですね?」
柳也「な!?なんで俺まで!」
裏葉「柳也さまがなさらなければ、今宵わたくしが柳也さまにあーんな事やこーんな事を…」
柳也「…やればいいんだろ、やれば。ったく…」
裏葉「はい。よろしゅうございますわ」
観鈴「なんだか裏葉さん、お母さんよりひどいわがまま…」
神奈「で、では改めて参るぞ。…柳也様、わたくしをあの海まで連れてってくださりますか?」
柳也「はい、神奈さま。この柳也、貴方様のためにひとはだ脱ぎましょう。…こんなもんか?」
神奈「柳也殿、ひとはだ脱ぎましょうというのは何か違わぬかの?」
柳也「ていうかお前誰だ。柳也さま?わたくし?まがいものの神奈じゃないのか」
神奈「…余は柳也どのを今すぐ流刑にしたいと思うたぞ」
柳也「お前にそんな権限はない」
神奈「この無礼者が!だいたい柳也殿も柳也殿で、劇中はもっと素直で凛々しくて格好よかったわ!」
柳也「なにぃ?俺はあんな優男風味じゃないぞ!」
裏葉「まあまあ柳也さまも神奈さまも。二人とも素晴らしい演技でございましたよ」
神奈「裏葉はいいものだの。言動はまったく同じであったがゆえ、こんな仕打ちも受けぬ」
柳也「まったくだ。だいたいなんで俺らがけこんな演技をしなきゃならん」
裏葉「さて観鈴さま。暗雲も晴れましたところで、お題に戻るといたしましょう」
観鈴「あ、は、はい。えーっと、劇場版について思うところを四行で語って」
裏葉「まずは一番手としてわたくしが参るといたしましょう」
神奈「…何故かすっかり上機嫌だの」
柳也「気が済んだんじゃないのか」
「わたくし含め三人が家族のような間柄として描かれなかったのは至極残念でございますが…」
「あのように可憐な神奈さまは二度と見る事ができますまい…」
「ですから、わたくしはわたくしで、別の見方で楽しみもうしました」
「そう、舞台が違えば中身というのは変わるもの…ですから気にしてはならないのでございます」
裏葉「もっとも、原作に忠実である方がいいという見解が圧倒的に多いのでございましょうけどね」
神奈「裏葉の場合は余がどのようであっても嬉しいのではないのかの」
裏葉「神奈さまは麗しゅうございますから、何であってもお似合いになるのでございますよ」
神奈「似合う…」
観鈴「裏葉さんって、なんだか懐大きい。たしかあゆちゃんが下半分を包む袋って表現してたけど…」
神奈「こぼれないように、などと申しておったな…どういう事なのだ?」
裏葉「それについては思うところの解釈をなさってくださいませ」
観鈴「えっと…あちらこちらで出ている不満からスルーされている要素を受け止めて表に出してあげてる?」
柳也「どういう事だ、それは」
観鈴「が、がお、言っててわかんなくなった…」
神奈「うむむむ、難しいものだの…」
裏葉「うふふふ」
柳也「ふうむ、相変わらず裏葉は手強いな…」
裏葉「うふふふ」
観鈴「え、えーっと、じゃあ次、次行こ」
神奈「次は余かの」
柳也「お前が何を語る」
神奈「…柳也どのは相変わらず無礼だの。余が一番語るところがあるわ!」
柳也「なら遠慮しろ。次に俺がやる」
神奈「ほほう…それはそれは、余を立てる言動が待っておるのであろうな?」
柳也「あるかそんなもの。それに、間違っても俺は方術は使えぬしな」
裏葉「柳也さま、さりげなく話題に入ろうとせずに、四行から入るのが礼儀でございますよ?」
柳也「わかったわかった、中途半端にはしないから」
「一番大きいのは神奈との逢瀬と契り…」
「そしてまた、最後に俺が殺されてしまうという事だ」
「気を抜いてはならぬのが戦いであるというのに…」
「しかもあのような逃げ方は死にに行くようなものではないのか?」
神奈「さすが柳也どのであるの…余との繋がりをたった一行で終わらせたのは減点大であるがな」
柳也「そんなもん別にいいだろ。一番大きいと言ったので十分だ」
神奈「別にいいだと!?たった一行が別によいものか!四行ならば四行なりにすべてで語らぬか!」
裏葉「あらあらまあまあ、神奈さまがこうも熱くなられるとは…」
観鈴「よほど柳也さんに語ってほしかったんだね」
裏葉「ならばもう一度でございますかね。契りの部分だけを強調して…」
裏葉「神奈さまのあーんなところがどうだったとか、骨の髄まで語ってくださりませ」
柳也「語ってたまるか!だいたい、俺は劇中の俺とは違うというに」
神奈「そうであるの。柳也どのは痴れ者であるがゆえ、期待するだけ無駄というものだ」
柳也「ああ、するなするな。俺はコマは回さん」
観鈴「柳也さん妙にコマにこだわってる…」
裏葉「神奈さまはコマを見て非常に喜んでおられました…ここはこの裏葉めがしっかりと柳也さまの代わりに…」
柳也「話をそらすな。要するに、俺が方術を使えて何をどうするというんだ」
神奈「強調するべきはそこなのかの?」
柳也「そらそうだろう。裏葉の存在価値がなくなってしまう」
裏葉「…りゅ〜う〜や〜さ〜ま〜?わたくしのそ・ん・ざ・い・か・ち・は、方術だけと申すのですか?え!?」
神奈「だわわわっ!!?」
観鈴「わ、う、裏葉さんが激怒した!」
神奈「ええい、だから柳也どのは無礼者だと普段から言うておるのだ!はよう裏葉に詫びぬか!」
柳也「じょ、冗談だ裏葉、気にす…」
裏葉「むんっ!」
びしびしびしびしびしっ
柳也「ぐおっ!?」
神奈「おおおっ!柳也どのに五芒星の形でお札が!」
観鈴「…お札じゃなくって、それお米券?」
裏葉「さようにございます観鈴さま。此度は劇中に出番の無かったお米券を、美凪さまにいただいて参りました!」
柳也「う、が、か、からだが動かん…」
裏葉「柳也さまは陰陽師の札というものをご存知ですか?」
裏葉「一出番、相手の動きを操る事ができるもの…」
裏葉「そう、相手が持つお札をすべて捨てたり、わざと零の関所に止まったり、貧乏神を受け持ったりと仕向けられるのです!」
神奈「裏葉が意味不明な事を呟いておる…」
観鈴「が、がお、裏葉さんが壊れちゃった…」
裏葉「うふふふ、柳也さま。何をして差し上げましょう?」
柳也「や、やめ、ろ、裏葉」
神奈「観鈴どの、柳也どのがいいようにされては困るのだの?」
観鈴「うん、話が進まなくなっちゃう」
神奈「ふむ…。のう裏葉、そろそろ勘弁せぬか?」
裏葉「いくら神奈さまの頼みでもこればかりは聞けませぬ」
観鈴「が、がお、裏葉さん恐い…」
神奈「ならば仕方あるまいな…。…あーあー、裏葉、裏葉」
裏葉「なんでございますか、神奈さま。今はじっとしていてくださりませ」
神奈「それがのう、今余は裏葉の胸に飛び込みたい気分であるぞ」
裏葉「えええっ!?」
ふぃん
柳也「うっ!」
観鈴「わ、柳也さんがくんって沈んじゃった」
柳也「ふう、ふう、呪縛が解けたか…」
裏葉「神奈さま神奈さま、さあ早く!もう、斯様な事を神奈さまの口から出させてしまうなんて、私めはなんという…」
裏葉「なんという事を…神奈さまのお気持ちもわからずに…」
裏葉「さあ、遠慮なく飛び込んでくださりませ!!」
神奈「…気分であったがやめにするぞ。まずは四行だ。それが今回の主題であるがゆえな」
裏葉「神奈さま!?」
神奈「裏葉、いつまでも横にそれておる場合では無いのだ。司会を困らせては傍若無人となんら変わらぬ」
裏葉「神奈さま…」
神奈「現に今観鈴どのが困っておった。ならば余達はどうするべきだ?答えは一つであろ」
裏葉「…仰るとおりですね、申し訳ございませんでした神奈さま」
神奈「うむうむ、分かればよいのだ」
観鈴「スゴイ…神奈ちんばっちりまとめた…」
柳也「これも司会経験の為せる技か…成長したな…」
柳也「いや、ある種裏葉を操ってるとも…」
観鈴「え、えーと、じゃあ本題に戻るね。柳也さんが方術を使えるって話」
神奈「そう、そうであった。何ゆえ柳也どのは不満なのだ?」
柳也「俺は剣一筋で生きてきた。いわばさすらいの剣士…なんちてな」
ごすっ
裏葉「柳也さまったらまたおふざけあそばすとは…」
神奈「裏葉、その手に持っておる丸太は…」
裏葉「二十弾にて柳也さまを睡眠に導いた丸太のわけ木でございまする」
観鈴「なんかすごい音したけど…大丈夫?」
裏葉「大丈夫でございましょう、柳也さまはお強うございますゆえ」
柳也「…つぅ…裏葉!いきなり何をするか!」
裏葉「うふふふ、やはり大丈夫でございました」
神奈「笑うておる場合なのかの…」
観鈴「えーっと要するにさっきのは裏葉さんなりのツッコミって事なんだよね?」
裏葉「うふふふ、そういう事でございますね」
柳也「何を笑顔で呑気な…」
裏葉「柳也さまが話の腰を自ら折られてございましたから、対抗すべく私も折らせていただきました」
柳也「お前は…」
神奈「結局話が進まぬの…余のまわりはこんな輩ばかりだ。まったく益体も無い…」
柳也「ま、まあ話を戻すか。方術が気に入らないのには理由があってだな…」
観鈴「えーっと、もういいから次の話題行こ?」
柳也「司会のお前が話の腰を折るな!」
裏葉「観鈴さまの言うとおりでございますね。次は柳也さまの言動について異義申し立てをいたしましょう」
柳也「おま…裏葉!さっき言ってた事はなんだったんだ!?」
裏葉「冗談でございますよ。さあ柳也さま。自身と劇中との違和感を語ってくださりませ」
柳也「まったく。えーとだな、俺は…」
裏葉「それは言葉遣いであったり、また…そうそう、たしかに惚れ惚れするような殿方でございましたね」
裏葉「ただ、戦はあまり上手そうには思えませぬね。たしかに強うございますが…やはりあの場はこっそりと抜けるが得策」
裏葉「だとすると、少々頭の方はきれが鈍るのかもしれませんね…。私めとしては、子孫がいたのか気になるのでございますが…」
柳也「お前、先に語るな」
裏葉「神奈さまがお子をお生みにならなかったのならば、子孫たるものは居なかったのでございましょうね…」
裏葉「いいえ、しかし…実は裏でわたくしとの契りがあったりしたならば…」
裏葉「などと考えるのは不謹慎でございましょうし、ありえないのでございましょうね…」
柳也「………」
神奈「すっかり裏葉の独壇場であるの」
観鈴「すごい積極的…。やっぱり出番がほとんど無かったからかな?」
裏葉「先ほどの発言、神奈さまがお子をお生みにならなかった、と考えるのは…」
裏葉「いえ、なかったと考えるのが自然なのでしょうね。そもそも、伝承そのものが違っておりますし…」
裏葉「これ以上進むと神奈さまご自身の事になるので、柳也さまについてはここまでにして神奈さま参りましょう」
観鈴「…え、えーっと、そういうわけだから最後神奈ちん」
神奈「ん!?よ、余なのか!?」
柳也「勝手に語られて勝手に飛ばされた…こんな理不尽なのあるか?」
裏葉「まだでございますよ柳也さま」
柳也「何がまだだ」
裏葉「海…そう、海があるではございませんか。あの部分は私は非常に気になりまする」
柳也「ああそうか、そうだな…俺の話題からは多少外れるが、それは同感だ」
観鈴「海っていいよね、観鈴ちん大好き。でも、なんで気になるの?」
神奈「原作においては、余は海を結局見ることなどできなかったのだ」
観鈴「劇中と一緒じゃないの?」
神奈「裏葉と柳也どのから話を聞いただけであったからの。社殿…いやあの場はなんだったかの…まあよい」
神奈「ともかく、余は海そのものをまだ見たことがなかったのだ。遠くに見える、などというのも無い」
観鈴「そっかあ…」
神奈「それゆえ、たとえ遠くからでも海が見えるあの場をうらやましく思うたぞ」
神奈「たかが少し歩くだけで浜までゆけるというではないか」
観鈴「じゃあ環境は良かったんだね」
裏葉「それがそうとも言えませぬ。神奈さまは、館より一歩も外へ出る事が許されなかったのです…」
柳也「まぁその事情については一緒と言えば一緒なんだが…連れ出すならばやはり堂々と連れ出すべきではないな…」
柳也「特に、ただのちょっとそこの浜辺まで散歩という名目で出るのならまだしも…」
柳也「最後の願いを聞き届けるために、あんな強行突破は無貌だ」
裏葉「もっとも、私たちは綿密な計画を練って神奈さまを連れ出したのでございますがね」
柳也「という事を踏まえると…劇中は時間が無かったと見るのが妥当か…」
裏葉「だとしたら柳也さまも納得がいきましょうね?」
柳也「だがなあ…あの状況は、神奈を射殺してくれといわんばかりではなかったか?」
柳也「あんな浅はかな俺は…どうにも我慢ができないが…」
裏葉「それでは、なんとか連れ出そうとしたら知らぬ間に待ち伏せされていたという解釈はどうでございましょう?」
裏葉「そして、今飛び立たねば神奈さまの命が尽きてしまうほどであったなら…」
柳也「ふうむ…なかなかいい補完だな。たしかにそれならば、一度神奈を引き戻して後隙を伺うというのも難しい話だ」
裏葉「納得いただけましたか、柳也さま」
柳也「ああ、これで納得しておくことにしよう」
裏葉「それはよろしゅうございました」
観鈴「…なんだか、難しい話がいっぱい。観鈴ちん、ぴんち」
神奈「ようわからぬが、いわゆるたとえ話であろ?柳也どのが納得するように裏葉が仮説を立てたのだ」
裏葉「そのとおりでございます神奈さま」
観鈴「うわ、すごいね神奈ちん」
神奈「なんのなんの。もっともっと褒めるがよいぞ」
柳也「少しおだてるとすぐこれだ…。さてと、海の話に戻るとしようか」
裏葉「そうでございましたね。海…それは一つの重要点でありました」
観鈴「そうなの?…うん、そうだね。dream編じゃあ、観鈴ちん海に行けなかった」
柳也「海に向かって立っていたじゃないか。一枚絵もある」
観鈴「ううん。最初じゃなくって、後半の方。多分、あの時海を見れてたら何かが変わったかも…なんてね、にはは」
神奈「ふむ…。ともあれ、余も同じであるな。結局海を見ることはかなわなんだのだから」
裏葉「神奈さまはしきりに海を見たがっておられました」
裏葉「あの時無事に行けていたなら…夏の浜辺を二人が鬼ごっこ…」
裏葉「砂浜で戯れる裏葉と神奈さまは、皆の者の注目の的にございまする」
柳也「お前それまた話ずれてるぞ」
裏葉「うふふふ」
神奈「………」
観鈴「えーっと、結局海についてはもういいのかな?」
柳也「中途半端な気もするが…いつまで語っているわけにもいくまい」
観鈴「うーん…。じゃあ次は神奈ちん。最後のまとめ」
神奈「ま、まとめなのか?」
裏葉「いえいえ。神奈さまについて存分に語らねば。ここからが主題でございますよ」
柳也「主題…でいいのか?」
神奈「と、とにかくやるからの」
「百八十度変わっている、という表現を見かけたぞ」
「余がとても女の子らしい、と…どういう事だそれは!」
「しかしそれより…柳也どのと余が…」
「あれは最も驚くべき場面であるかもしれぬの…」
神奈「…余は柳也殿を逆さ吊りにしたく思うてきたぞ」
柳也「ふっ、神奈の力で俺を持ち上げられるかな?」
神奈「くっ…。うう、裏葉ぁ〜、柳也どのがあんな意地悪を申すのだ〜」
裏葉「あらあらまあまあ。大丈夫ですよ神奈さま。後で私がしっかり逆さ吊りを見せてご覧に入れましょう」
神奈「うむうむ、頼もしいぞ裏葉」
裏葉「うふふふ、お任せあれ神奈さま」
観鈴「わ、なんか闇取引してるみたい…」
柳也「っていうか本当にやるなよ?」
裏葉「それはどうでございましょうかねえ?」
柳也「う…。わ、わかったわかった神奈。俺が悪かったから」
神奈「…余は少々肩がこったの。誰か揉んでくれる者はおらぬものかの〜」
柳也「くっ…。これだからお前は、あの劇中で百八十度変わってると言われたりするんだ」
もみもみ
神奈「それとこれとは関係無いわ!だいたい柳也どのが無礼すぎるのだ!…柳也どの、もう少し左を」
もみもみ
柳也「こうか?…俺は思った事を言ってるまでなんだがなあ」
観鈴「なんだかんだ言いながら肩揉みやってる」
裏葉「結局柳也さまはお優しゅうございますからね」
観鈴「ところで神奈ちんについてがすっかり途切れちゃってるけど…」
神奈「おおそうであったの。柳也どの、もう肩揉みは良いぞ」
柳也「ふう…」
神奈「さて…手前に柳也どのが言うた内容であるが、どうも自殺行為よの…」
柳也「あの空へ飛び立つ場面か?」
神奈「違う、母上だ!何故あのような展開に…」
神奈「余が飛び立ち向かう事を感じとったとはいえ、あの場面はあんまりではないか!」
裏葉「それが母親というものでございますよ…という事を表現したかったのでございましょうね」
観鈴「でもあれはひどいな…すぐに殺されちゃって…」
柳也「時間の都合か、はたまた作り手の意図か…。どうも急ぎ悲劇に見立てすぎる気はするな」
神奈「はぁ…少なくとも余は…。この場では無事に母上にお会いしたいものであるな…」
裏葉「大丈夫でございます。佳乃さまはきっと連れてきてくださいまする」
柳也「裏葉は連れてこれないのか?」
裏葉「残念ながら私の力が及ぶところではございませぬ…佳乃さまでないと…」
観鈴「なにげにかのりんすごいんだね」
裏葉「という設定なのでありましょう」
神奈「複雑な気分であるの…」
観鈴「そうそう、話が神奈ちんに戻るけど、観鈴ちんとシンクロしてるんだよね」
神奈「しんくろ?」
裏葉「真に黒いとは…諸悪の根源でございますか?」
柳也「そんな凝った悪い意味じゃないだろ…」
観鈴「同調って意味でね。劇中の観鈴ちんは、神奈ちんの話に自分を重ねるの」
観鈴「それで、悲しい最後を迎えるんだけど…」
神奈「…観鈴どの、劇中の余と観鈴どのは何か繋がりがあったのかの?」
観鈴「さあ…。語られてないし」
神奈「…では憶測で語るしか無いではないか」
観鈴「そういう事になるね」
裏葉「更に言えば、往人さまは柳也さまの子孫なのでありましょうか?」
裏葉「という話は手前にもした気がいたしますが、合わせて気になる部分でありますね」
柳也「そこらへんの説明も無いな。もっとも、劇中で俺は殺されてしまったからな」
柳也「神奈が何かしらの想いを羽に托して、かの人たちに授けたなら別だが…」
神奈「何日も降り続いたとあったの…相当の数であるな」
観鈴「空に閉じ込められた少女…閉じ込められたの?」
神奈「原作と違って余はのろいはかけられなんだ。だからそうとはいえぬと思うがの」
裏葉「おそらくは想い…神奈さまの想いが、空に消え、その空に残ってしまったのでありましょう」
裏葉「だから、閉じ込められた、という表現がなされたのだと思いまする」
裏葉「そして…それを解放する意志は…おそらく密かに柳也さまが方術でどこかに飛ばして…」
柳也「ありえなさそうでありえそうな説だな」
裏葉「というところで納得し、終わりといたしましょう」
柳也「なんだそれは…」
裏葉「そろそろ疲れてまいったでしょう、神奈さま?」
神奈「いや、余はまだ…」
観鈴「疲れたんならジュースがあるよ。どろり濃厚柿味〜」
柳也「柿味?」
観鈴「ささ、神奈ちん」
神奈「い、いや、余は遠慮する」
観鈴「が、がお、どうして?」
裏葉「それはもう終わりにするからでございます。進行役の観鈴さま」
観鈴「うーん、なんでそうなるかな…」
神奈「おしまいにいたしませぬか、観鈴さま。わたくしは疲れました…」
観鈴「………」
神奈「ふふっ、どうだ観鈴ちん!余はすっかり身につけたぞ!」
柳也「どういう威張り方だ…。でも疲れたのは本当みたいだな。呼び方が元に戻った」
裏葉「という事でございますよ、観鈴さま」
裏葉「これ以上はおそらくだらだらとなるに違いありませぬ」
裏葉「ゆっくり別の場におゆずりなさりませ…」
観鈴「うーん、仕方ない…じゃあこれにておしまいっ」
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