『AIR偽小説第二十四弾』

懲りずに第二十四弾です。
中途半端に真面目です。
ここらへんが、技量の無さが現れるといいましょうか・・・。
風浴び、ってお気に入りの言葉です。
(“風浴”ふうよくでもいいかもしれない)


『4行小説』

★神奈
「さてさて、今度こそきっちり余が進行役じゃぞ」
「お題は風じゃ」
「夏の暑い日に、日陰で休んでおる最中に吹いてくる微風…」
「なんとも言えぬほど心地よいものじゃ…」

美凪「風は、いいものですね……」
神奈「おお美凪ちんか。そうであろうそうであろう」
美凪「風船にお米券をくくりつけて……拾った方は幸運です」
神奈「何の話をしておるのだ……」
美凪「それでは参りましょう。風に乗ってどこまでも」
神奈「い、いや、どこまでも行かれると困るのじゃが…」

★美凪
「そよそよそよそよ……」
「ひゅーんひゅーん……」
「心地よい風をこの身にあびながら……」
「私は空を駆け巡るのです……」

神奈「………」
美凪「どうしました?神奈ちん」
神奈「空を駆け巡る、か……。余は翼はあるがまだ飛べぬ……」
美凪「……飛べない翼に意味はあるのでしょうか?」
神奈「いつか来るべき時の為の翼じゃ。例え今は駄目でも、いつかきっと……」
美凪「……そう、ですね。いつかきっと……」
聖「まあまあ。そうしんみりとするもんじゃない」
神奈「おお、これはこれは聖ちん」
聖「私は帰る」
美凪「待ってください聖ちん。何が不満なのですか?」
聖「不満というかなんというか……その呼び方をやめて欲しいのだが……」
神奈「ん?聖ちんは別名をもつという事か?」
美凪「びっくり。美凪ちんはそれを知りませんでした。聖ちんの真の名とは一体?」
聖「真の名などない!……しょうがない、いずれ収まるのを待つとしようか」
神奈「なんじゃ嘘なのか」
美凪「聖ちん、嘘は良くないです」
聖「……さて、お題は風だったな?」

★聖
「玄関の一直線上に窓があるとよろしくないという」
「これはいわば、部屋の空気の流れが全体に行き渡らないためだな」
「もちろんうちではそんなことはないから安心してくれ」
「ただ、クーラーに頼りすぎてる面もあるが……」

聖「ふう、それでは私は帰るとする」
神奈「まった聖ちん。風についてどう思う?」
聖「どうもこうも……大事な要素だ。そういうことだ。ではまたな」
神奈「むむっ、早くも去って行ってしまった……」
美凪「……どうされたんでしょう、聖ちん」
神奈「わからぬな……」
観鈴「だから、呼び方に問題があったんだと思うよ」
美凪「あ、おはこんばんちは、観鈴ちん」
観鈴「遠野さんすっかりその呼び方……」
美凪「ちっちっち、美凪ちんです」
観鈴「がお……」
神奈「観鈴ちんが発端ではなかったか?だから余達はそう呼んでおる」
観鈴「うーん、別にいいけど……。えっと、それよりわたし行くね」
美凪「……空へ?」
観鈴「にはは、わたし空は飛べないよ」
神奈「…そうじゃな」
観鈴「お題は風だったね?」

★観鈴
「堤防の上に立って受ける風は……」
「とってもとっても気持ちいいの」
「往人さんは初めてわたしを見た時、まるで飛んでるみたいって思ったって」
「そこで両手を広げて立ってると、そう見えるんだって」

神奈「……風、なのか?」
観鈴「うーん、ちょっと違ったかも。でも、あそこの風が気持ちいいのはたしかだよ」
美凪「神尾さんオススメの場所、ですね」
観鈴「うんっ。…あれ?遠野さん呼び方変わった?」
美凪「ちょっと気分が変わりました。美凪ちんはまたいずれ」
神奈「……なあ観鈴どの」
観鈴「わ、神奈さんも呼び方変わった」
神奈「…いや、なんでもない。…今度余もその場所に連れていってくれ」
観鈴「う、うん、いいよ。一緒に風浴びよ」
美凪「風浴び……いいですね……」
神奈「初めて聞く言葉、じゃな。しかし普段から何気なくやってきたのじゃろうな……」
観鈴「ところで、これで終わり?」
神奈「うむ、そうじゃ。…少ないかの?」
美凪「いえいえ。さてそれでは、早速風浴びの旅へ参りましょう」
観鈴「にはは、旅って言ってもすぐそこだよ」
神奈「そんなに近くなのか?ならば早くゆこうぞ」
観鈴「わ、わ、そんなに引っ張らないで」
美凪「れっつごー、です」

<風浴びへ、いざ……>


戻る