『AIR偽小説第四十九弾』

懲りずに第四十九弾です。
今回は平坦的。残るは三人か…。
今更言うのもあれなんですけど、何喋ってもらうかはなかなか苦労します。


『4行小説』

★往人
「今回も特別ゲスト、らしいが…」
「俺が毎回出してるテーマってなんだかな…」
「たまにはアシスタントに頼るのもいいだろう」
「というわけで任せたぞ」

みさき「そう言われても困るよ…」
往人「っていうか、お前を呼んだ覚えはないんだが」
みさき「それはひどいよ。私が更に人を連れてきたんだよ」
往人「そうか…。で、誰を連れてきたんだ?」
みさき「友達の雪ちゃんだよ」
雪見「こんにちは、深山雪見よ」
往人「…どこかで会わなかったか?」
雪見「気のせいでしょ。だってあなたとは初対面ですもの」
往人「だよな…いや、声とか雰囲気とか誰かに…」
みさき「それはおいといて、テーマはちゃんと出してよ」
雪見「みさき、ここって一体なにをする場なの?」
みさき「それはね、四行の語りだよ。往人ちゃんが出すテーマに沿って四行語るんだよ」
往人「おい、その呼び方やめろって…」
雪見「で、テーマがまだ無いわけね」
みさき「そうだよ。困ったな、往人ちゃんが出してくれないとどうしようもないよ」
往人「無視か…。まあ、あえて個性をつぶす必要もないな」
みさき「そうだよ。往人ちゃんの方が可愛いしね」
往人「…やっぱり呼び方変えろ」
みさき「嫌だよ」
往人「………」
雪見「ねえ…もしかして司会で遊ぶ場でもあるの?」
みさき「あっ、雪ちゃんよく気が付いたね。さすがだよ」
往人「こら!嘘を教えるな!!」
みさき「冗談だけどね」
往人「はあ…。仕方ない、テーマを出してやる。佳乃について」
みさき「佳乃ちゃんについて?」
雪見「佳乃ちゃんって誰?」
みさき「雪ちゃん会った事無かったっけ?となると無理だね」
往人「…じゃあラーメンセットについてだ」
みさき「うん、わかったよ」
雪見「ラーメンセット?」
みさき「食べ物だよ」
雪見「そんな事わかってるわよ…」
みさき「頑張って語るね」
往人「…もしかしてお前、食いしん坊なのか?」
みさき「違うよ。食べるのが好きなだけだよ」
往人「それを食いしん坊と言うのでは…」
雪見「往人君、気にすると多分負けるわよ」

★みさき
「ラーメンセット、以前観鈴ちゃんからたくさんご馳走してもらったよ」
「その時はどんぶり10杯分くらい作ってくれてね…」
「お腹いっぱい食べられて幸せだったよ」
「いいよねえ、ラーメンセットは」

往人「ラーメンセットじゃなくてもいい気がするんだが…」
みさき「じゃあ次はカツカレーについて語ってみるよ」
往人「いや、もういいって」
みさき「残念…」
雪見「それにしても10杯…相変わらずよく食べてるわねえ…」
みさき「食べるの好きだからね」
雪見「そういう問題じゃないような…」
往人「で、次はお前だ、深山」
雪見「ラーメンセット、ねえ…」

★雪見
「うーん、唐突に言われても困るんだけど…」
「演劇でもあまり食べ物の題材は使ったこと無いのよね」
「でも部活帰りによく食べるって話は聞いたことあるような…」
「…ごめんなさい、これ以上は語るの無理」

みさき「ダメだよ雪ちゃん。失格」
雪見「し、失格…」
往人「いや、まあ、無理なら無理で仕方ないんだが…」
みさき「え〜?ダメだよ往人ちゃん、妥協しちゃ」
往人「妥協って言ってもなあ…もっと質の悪い奴もいるし…」
雪見「はあ…なんでわたしってこんな所にいるのかしら…」
往人「あっ!」
みさき「!……びっくりしたよ」
雪見「急に叫んで…どうしたの?」
往人「いやいや、誰かに似てるなと思ったら、その台詞で思い出した」
雪見「わたし?」
往人「そうだ。たしか美坂香里だっけかな。あいつも同じ様な事を言っていたぞ」
雪見「…誰?」
往人「だから美坂香里…」
香里「呼んだ?」
みさき「うわわっ!」
往人「急に現れるな!」
香里「だって…急に連れて来られたんですもの…」
雪見「この人が美坂香里さん…」
香里「あっ、初めまして。美坂香里です…って、知ってるのよね、もう」
雪見「失礼だったかしら。えーと、わたしは深山雪見です」
みさき「私は川名みさきだよ」
往人「そして俺は国崎往人だ」
香里「あんたの名前はとっくに知ってるわよ」
往人「忘れてるといけないと思ってな」
香里「はあ…どうでもいいわね…」
往人「………」
みさき「ところで、急に連れて来られたってのは?」
香里「気配を消すプロに誘拐されたのよ」
みさき「誘拐…」
雪見「なんだか深刻そうね…」
香里「深刻なんてもんじゃないわ、まったく…」
往人「気晴らしにラーメンセットについて四行どうだ?」
香里「ま、やってあげるわ」

★香里
「…とは言っても、あたしラーメンあんまり食べないのよね」
「相沢君でも奢ってくれたなら…」
「いえ、やっぱり行かないと思うわ」
「ラーメンが嫌いってわけでもないんだけど…」

みさき「ふーん、あんまり食べないんだ…」
香里「まあ人によって好みとかあるでしょうしね」
雪見「ねえねえ、普段どんなもの食べてるの?」
香里「どんなって…別に普通よ」
雪見「どういうこと?」
香里「言葉通りよ」
雪見「…なるほど、使える台詞ね」
香里「は?」
雪見「あ、いや、わたし演劇部だから。台本書く時に使えるかなって」
香里「なるほど、勉強家ねえ…。あたしもそれくらいの精神で臨むべきかしら」
往人「そろそろ締めるか。元々今回は深山だけが目的だったからな」
みさき「そうだったんだ。だから私に案内を頼んだんだね」
雪見「そうよね。みさきがたしか案内してくれたのよね」
往人「…おい待て。お前ら佳乃に連れてこられたんじゃなかったのか?」
みさき「佳乃ちゃんからやり方を教えてもらったんだよ。するとできたんだよ」
往人「いいのか、魔法をそんなにあっさりと…」
雪見「魔法…あれ魔法なの?」
みさき「ちなみに私の名前の“さ”を“な”に変えて濁点を一つ付けるとみなぎになるよ」
香里「んなこと誰も聞いてないでしょ…」
往人「ぐお、もしかして手強い奴が増えてしまったのか…」
みさき「大丈夫だよ。私はほとんど冗談で済ますから」
香里「その冗談の程度によっちゃあこっちも容赦したくなくなるわね…」
雪見「みさき…ちゃんと真面目に過ごしてよね?」
みさき「うー、だから私は大丈夫だよ〜」
往人「さてと、そんなこんなで終わりにするか」
香里「…結局何を語ったの?」
往人「ラーメンセットだ」
香里「その真意はないわけ?」
往人「…特にない」
香里「はあ…いつも通りね」
雪見「なんだか疲れてるわね、美坂さん」
香里「香里でいいわよ、雪見」
雪見「そ。じゃあ香里」
みさき「初対面にしてすぐうち解けちゃったね、香里ちゃん」
香里「…やっぱりあたしもちゃん付けなの?」
みさき「もちろんだよ」
香里「まあいいわ…」
往人「まとまったか?じゃあ終わりだ」

<なにがなんだか>


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